A Will
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2005年12月23日(金) 終り。

「ただ」そばにいたい。
「ただ」一緒のおふとんで眠りたい。
「ただ」手をつなぎたい。
「ただ」入りたい。
「ただ」「ただ」「ただ」・・・・


わたしにあるのは、そんな刹那なのかなって。



『お前といると不安になるんだよ』

と、過去に言われたことがある。
わたしを傷つけたくて仕方なくて、それで言われた言葉。

まんまと傷ついた。未だに。





わたしは誰かを好きでいたいし、好きなら傍にいたいって思っちゃうんだ。

だってしょうがないじゃない。
見たこともない人を愛するなんて出来ないじゃない。






フラれちゃった。。。




いつか来る日、が今日だっただけ。





悲しいのは当たり前だから。当たり前がわたしにも通用するのは、
そうね。ちょっと良い発見かも。




不快にさせた?

可笑しい。そんなの、だって。仕方ないじゃない。




ゼロの期待。
ある意味で軽くなった気がする。


あの重さが好きだったんだけど。あの重さも愛したんだけど。




好き、でした。



うん。傷ついたから痛いのは仕方ないから。
でも痛がり続けるのは無理だから。わたしは大丈夫だと思うから。



そうだ。言われたんだっけ。
「お前は、俺がいなくても平気、だから」

けれど、それはお互い様なのにね。言わなかったけれど。




痛みを引きずる。

ねえ。最後ならせめてあいしてるって言って欲しかったな。


2005年12月13日(火) でも。わたしが決めるわ。

間違えてたの?

何がいけなかったの?

どこがダメだったの?




ぐるぐる。

考えてるうちはボケないんだってよ?と笑った人がいた。
ああそうか。ならわたしは大丈夫だ。ボケたりしない。


間違えてた。
何かがいけなかった。
どこかがダメだった。

よく解らないけれど、わたしはどこかで何かを決定的に落としたみたいだ。



人の温もり。

さめたら、忘れるみたいに。






行き先なんてない。
ここにいなくちゃいけない。多分まだ。


夢見てる。
叶わない夢を、せめて見る。







電話。ならないかな?





もう、きっと。
どこにいても。

いつだって準備だけはしてあるんだ。


どれだけ適切じゃなくても、大丈夫だっていえる自信があるんだ。





向かう先が。
君に繋がってないことを、ちゃんと理解してる。

君に繋がってることを、それでも願ってる。






迎えに来てよ。

もう言わない。





迎えに行くよ。

これに決めた。


2005年12月06日(火) 息の白くなる部屋にふたりきり。

夜に来て。朝に帰る。

君ときたら、わたしは夜は1人で眠れないものだと決め付けてた。




思い出など嫌いだ、と漏らした夜に君はいた。



君は温かい。
ああ今は君の必要な季節だよ。





疑わなかった。
なんでだろう。あの日から。腕を掴まれた日から。


不思議とも思わなかった。



君はわたしを好きだった。誰より好きでいてくれた。

と言うより、好きでいるほか仕方なかったんだろうけれど。









「永遠でしょ」

上弦の月。「きれえ」と言ったのを覚えてる。


君は、そんなわたしを見て、すこし眉を上げた。これも覚えてる。
そうして、また口を開くの。薄くね。


「永遠でしょ」




あの時、わたしは答えなかった。
どうでも良かった。


君がいた。わたしもいた。

君の手は相変らずあたたかくて、あの人の手の冷たさを思い出すにはちょうど良かった。








でも。傍にいて欲しい。本当はね。


2005年12月05日(月) 乾いた質問。

あのころに還りたいか。と君の優しい声が聞いた。



わたしは首を振る。
電話越しじゃ見えないけど、君は解ってくれると思うから。


わたしは首を振った。




そっか。と君は呟く。

君は賢い子だね。






今のままで十分よ。とわたしは笑った。






2005年12月03日(土) 雲の切れ間の青の下。

今日も冬。
1人きりだった。ざくざく歩く。1人きりでよかった。


1人きりが良かった。



ナスとモッツァレラチーズのトマトソースパスタ。
ミネラルウォーター。


わたしも大人になったもんだ、とガラスをすり抜けてきた日差しを浴びて思った。




泣き出しそうだった、なんて誰が信じてくれるんだろう。
剥げた透明マニキュアが涙を誘うな、とナスを頬張りながら思った。




会いたい人が思い浮かばなかった。

たくさん居すぎて、誰でもいいような気さえして、そうしたら申し訳なくって、



モッツァレラチーズをフォークで刺す。
頼りないその感触に、ああ1人だ、と思い直す。


ひとり。


その響きに多分救われてる。





悲しかったわけじゃない。
寂しかったわけでもない。

ただ。

冷たい手が、どこにでもあった、あの冷たい感触が。



しろく。ひえた。しんから。



なんで今更。見つけてしまった。あの笑顔を。


捨てたはずだった。すべて。失くしたつもりだった。
あんなのあったら、わたしは生きてなんかいけない。


そばにいたい。会いたい。ここに来て。




いつだって見つけてくれたのだ。どこにいても。なにをしてても。
赤い花の下。桜の木の下。どこかの塀の下。



携帯も、ポケベルさえなくて。
待ち合わせ場所に必ずたどり着けないわたしを、見つけてくれたのだ。




あの笑顔。















幸せでたまらない、君がわたしを見つけてくれた瞬間の。












せめて、君の写真なら良かった。
それなら、わたしはただ黙ってそれを粉々に千切って川にでも流せたのに。




わかってるよ。
何度も何度も何度も!

思い知ってるんだ。どんなに逃げたって。どんなに他の人を好きになったって。
他の人に抱かれたって。嘆いたって。喜んだって。
嘘でも虚勢でも強がりでもなくて大丈夫だって言えたって。君を思い出さない日が何日もあったとしたって。



わたしは、君を好きすぎてる。

君を好きで幸せすぎて、多分、それで完結しちゃったんだ。










わたしは偶然に君に会って、当然に君を好きになった。


ただそれだけのこと。






君を感じ続けるなんて、そんなこと出来もしないのに。

こんな日は君に良く似合うから。
そして、わたしはきっと迷子みたいな顔をしてるはずだから。




その全部を君にあげたいって思ったんだ。


2005年12月01日(木) あんたのものでいい。

わたしは首を振った。
ぱたぱた。そんな音が立ちそうに涙が零れた。




「泣いてるの?」

困ったみたいに。小さい子に話しかけるみたいに。

「泣いてなんかない」


強がりじゃなくて、本当に泣いてるつもりなんかなかったんだ。


「お前らしいな」

頭を撫でられる。
それが酷く優しくて、かえって全身が痛み出すようなそんな感覚。





「5年も経てば解るよ」
と。


君は言った。

16歳の冬だった。マフラーを忘れて、凍え死ぬと思ってた。
わたしはきっと恐ろしく子供だったのだろう。






あの時の君と同じ年齢になったよ。
そして、また冬だ。



5年。

君が苦々しく笑って呟いた言葉を、
わたしは未だに時々だけど思い出すよ。





「連れて行きたいけどなぁ」



それがすべてだよね。







一緒に行けるはずなんてなかった。解ってたよ。恐ろしく子供のわたしでも分かったよ。



でも。あの日のわたしは。できることならきみのものになってしまいたかった。






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