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2013年03月31日(日) ■ |
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Vol.803 校長先生との約束 |
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おはようございます。りょうちんです。
第二次ベビーブームの最中に生まれた俺。同じ学校に通う同級生は200人を超え、全校では1000人以上もの生徒が通う俺の母校は、たしか当時市内でも2番目に大きなマンモス小学校だったと記憶している。そんな小学生時代の話。 5年生になってまもなく、市内の研修施設に一泊二日で宿泊するという学年行事があった。クラス単位で発表会をしたり、みんなで夕食のカレーを作ったりと、様々な体験をしながら2日間を過ごすイベントで、その中に班ごとに分かれて工芸品を作るといったプログラムがあった。ろくろを使って陶芸をするとか、草木染めでハンカチに色をつけるとかある中で、俺らは小刀を使って竹とんぼを作ることになった。刃物の扱いには十分注意するよう再三の注意があったにもかかわらず、慣れない小刀を駆使して硬い竹を削る工程で、悪戦苦闘していた俺はうっかり手が滑り、半ズボンから剥き出しになった自分の太ももに小刀を突き刺してしまう。傷口からはあっという間に血がにじみ出てきた。俺は大したことないケガだと思っていたのに、流血する傷を見た先生はすぐに病院へ連れて行くとの判断を下した。 病院までは自分の担任か保健の先生が連れて行ってくれると思っていたのだが、そこにやってきたのはまさかの校長先生。校長先生は自分の車の助手席に俺を乗せ、病院までの道すがらずっといろんな話をした。それまで俺は校長先生と話したこともなかったし少し取っ付きにくいと思っていたが、結構気さくなおじさんだった。 時は流れて卒業の日。校門で先生方に見送られる中、校長先生もそこにいた。おめでとうやがんばれと言われる中で、校長先生からの言葉は「立派なお医者さんになってね」だった。一瞬何のことかわからなかったが、俺は思い出した。あの日、校長先生の車の中で将来の夢を聞かれた時、俺は「医者になりたい」と答えたのを。あの時は本気でそう思っていたが、影響されやすい俺は次々と夢が変わる少年だった。でも、大勢の生徒の中で俺を覚えていてくれたのが、すごくうれしかった。 今、医者ではない俺は校長先生との約束を守っていない。まだご存命だろうか?
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