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りょうちんのひとりごと
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2011年12月30日(金)
Vol.786 富士山が見える場所

おはようございます。りょうちんです。

千葉県には山という山がない。県の最高峰である愛宕山でさえ408mしかないから、本当にぺったんこだ。周囲の大半を太平洋と東京湾に囲まれてあとは関東平野がどーんと広がっているから、山々が間近に迫り来る景色なんて千葉にいる限りどこに行っても見ることはできない。こういう地形は全国的には珍しいようだが、昔から千葉に住んでいる俺はこれがずっと当たり前だと思っていた。だから遠出をしてかなたに山が見えてくると、ずいぶん遠くまで来ちゃったなぁと思う。
だが千葉にいても、富士山は見ることができる。俺の住む市からはおよそ150kmも離れた場所にあるのにさすが日本一、空気の澄んだ視界良好な日に限って富士山を眺めることができるのだ。実家の近くの広い畑から。高速道路の橋の上から。中学校の屋上から。数少ない富士山が見られる場所は昔から俺にとっては特別なスポットで、そこから運良く富士山を見ることができた時はなんだかとてもラッキーに思えて、少しだけ幸せな気持ちになれるのだ。だから俺はそこに行くと、どんなに視界が悪くても富士山を探してしまう。
冬の初め、良く晴れた朝。最寄駅から我が家の方に向かって線路沿いの緩やかな坂を上り幹線道路に出た橋のたもとで、何気なく目をやるとそこに富士山があった。隣の駅に建つ高層マンションの隙間から見えるのは、真っ白に雪化粧され堂々とした稜線の、あれはまぎれもなく富士山だ。俺の家からわずか3分しか離れていない近所なのに、こんなところに富士山が見える場所があったなんて、10年も住んでいてまったく気づかなかった。
もっと良く富士山が見たくて、橋を渡ってみたり幹線道路を越えて線路沿いの道を先に進んでみたりしたのだが、高層マンションや他の建物が邪魔になってしっかり見える場所はほんのわずかな一部分だけらしい。それでも富士山が見える場所を発見できた喜びと、こんな場所からも富士山が見えるんだという驚きが重なって、なんだかやっぱり俺は幸せな気持ちになった。