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2008年06月29日(日) ■ |
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Vol.723 俺の腹黒い部分 |
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おはようございます。りょうちんです。
来月初め、うちの店から徒歩5分の場所にライバル店が出店する。やばい。どうしよう。困った。大ピンチ。なんて動揺する俺を想像しているライバル店かもしれないが、俺にしてみれば蚊に刺される程度にしか考えてない。それもそのはず、ライバル店の情報を知れば知るほど、向こうにとって不利な状況なのが明らかになってくる。なぜその場所に出店するかというくらい立地条件が悪く、あんな場所に店を出すなんてろくに商圏や集客力の調査もなしに出店に踏み切ったとしか思えないのだ。開店直後は多少うちの店にも影響があるかもしれないが、ビビるまでもない。 バイトのYさんがライバル店に興味を持ったようで、向こうでも働きたいと申し出た。うちは仕事の掛け持ちを認めているので、俺はこころよく送り出す。しかしライバル店の関係者との話では、うちで働いていることに対してNGだという答えが出たらしい。でもそこは要領の良いYさん、うちでのバイトはもうやめたことにして、面接をするりと通り抜けすでに何度か研修にも参加したそうだ。おかげでライバル店の情報がどんどん入ってくる。10人ちょっとしか従業員が集まらず人手不足に苦労してるとか、オープン初日にキャンペーンをやるとか。Yさんをスパイにしているつもりはけしてないが、そんな情報を知るたびにおもしろがっている。 一方、ライバル店はうちの店をかなり敵対視しているらしい。うちのデータ等をYさんから聞き出そうとしたりもしているようで、そのへんはYさんも適当にごまかしてくれている。でも個人的にはご近所さんとして仲良くしたいので、わざと人手不足とキャンペーンでドタバタしている開店直後に顔を出して様子を見てこようかと企んでいる。どんな失態や失敗やミスをするのか考えると、早く開店しないかなぁと胸がわくわくしちゃうのだ。 あーもう、そんなところが俺の腹黒い部分だなんて我ながら思ってしまうのだが。でもライバル店は2年もすれば潰れちゃう。そんなの、火を見るより明らかだ。蚊に刺されたかゆみは、遅くとも2年後には完治しているに違いないのだ。
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2008年06月26日(木) ■ |
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Vol.722 ザリガニ釣りに熱中する |
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おはようございます。りょうちんです。
実家に帰り、父と一緒に犬の散歩に出かけた。いくつか散歩のコースがあるが、今回はたけんさ山の方へ。たけんさ山と呼ばれる雑木林の中を細い小道が通り、やがて坂を下って林を抜けたところに小さな池がある。いつもはその池を気にもせず通り過ぎてしまうのだが、ふと水面をのぞき込むとなにやら動くものが見えた。 ザリガニだ。それも1匹や2匹ではない。大量のザリガニがあちこちでちょこちょこ動いている。俺は急いで水辺まで駆け寄りそばに落ちていた枯れ枝で水面に波を作ると、それまで平和に暮らしていたザリガニたちがあわてて濁り出した泥の中に姿を隠した。この池は、ザリガニの穴場だ。家に帰って弟にこの話をすると、弟も目を輝かせて興味を示した。 考えてみたら、ちびっこの頃はこんな小さな冒険が人生のすべてだった。この道はどこに続いているかとか、この林の向こうには何があるかとか、この川はどこまで流れていくんだろうとか、そんな想像をいつも胸に秘めていた。そしてそれをすでに確かめて知っている上級生がカッコよく見えた。クワガタがいっぱい採れる栗林や、ワラビがあちこちに生えている草むらや、サワガニがたくさんいる小川をどれだけ知っているかが俺らのステータスだったし、自分の足でそれらの穴場を探し出すことに命を賭けていた。こんな冒険をしながら俺らは毎日を過ごしていたのだ。 数日後、犬の散歩という口実で、さっそく弟を引き連れて例の池までやってきた。用意したのは糸とスルメ。昔と同じように、拾った枝の先にスルメをくくりつけた糸を結んで即席の釣り竿のできあがり。スルメを水面に落とすと、わずか5秒でザリガニが釣り上がった。弟とどちらが大きなザリガニが釣れるか競い合う。やっていることは30年前と何も変わりなく、それがなんだかおかしかった。昔はバケツいっぱいのザリガニを採って、家に持って帰って飼ったり食べたりしたのだが、今回は全部逃がしてやることに。年がいもなく、時間を忘れて俺らはザリガニ釣りに熱中する。坂の上では、とうに散歩の終わった父と犬がずっとこっちを眺めていた。
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2008年06月04日(水) ■ |
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Vol.721 歯医者へ行く勇気 |
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おはようございます。りょうちんです。
虫歯が痛くて仕方がない、そんな経験をした記憶が俺にはない。面倒臭がりな俺だから歯磨きなんて特別こまめに毎回丁寧にやっている訳ではないが、虫歯にはなりにくい体質なのだろう。だからおかげさまで歯科医に通ったのは生涯で数回しかなく、歯の治療となると小学生の時以来体験してないのだ。高校生の時に親不知が痛み歯医者に行ったのを最後に、俺はずっと歯医者のお世話になることはなかった。 去年の秋、相方から歯科検診をしようと誘われた。市でおこなう歯科検診なので30歳以上の市民なら誰でもたった300円で受診できるという。痛くもない歯を診てもらうのもいささか抵抗があったが、ものは試しとさっそく予約の電話を入れ、ずいぶん昔に何度かお世話になった歯医者を訪れた。 母の付き添いで数年前にここに来たのでそれほど懐かしくはなかったが、診察台の上に俺自身が横になるのはホントに久しぶりだ。小学生の頃に、ここで作られた思い出に良いものはない。あの日に味わった痛みが、無意識のうちによみがえってくる。順番待ちをしている俺の横ではしかめっ面をしたおばさんが、あの頃の俺と同じように痛みに耐えながら歯を削られていた。今日は治療じゃない、検診するだけだから痛いはずはないと自分に言い聞かせながら、やがて俺の番がやってきた。 歯が痛くないのだから、虫歯なんてまったくないと思っていた俺だったが。残念なことに診察の結果、C1と呼ばれる虫歯になりかけ程度の歯が数本あることが判明した。今は痛くないが放っとくと少しずつ悪化してやがて痛みも伴うようになるそうで、おまけに歯石も溜まっているらしい。歯磨きの時にたまに血が出るのはぎゅうぎゅう力をいれて磨き過ぎているからで、正しいブラッシングの方法も教えてもらった。検診はここまで。早めに治療した方が良いとアドバイスをもらう。 あれから半年。結局その後、治療には行かないままの俺。やっぱりあの痛みを想像すると、歯医者へ行く勇気がどうも出ないのだ。そして今年もまた歯科検診の案内が郵送されてきた。今日は虫歯予防デー。さぁ、俺、どうするべきか?
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