朝寝して、遅くに朝食をしたため、その後、祖母にも御飯を食べさせる。介護の経験はないので、おっかなびっくり。祖母はほとんど無口になってしまい、少し惚けてしまっているらしい。スプーンでおかゆやおかずを口に運ぶと、おとなしく咀嚼する。自分で食べていた頃よりも、たくさん食べているのではなかろうか。満腹になっても「もういい」と言わないのかも知れない。言い知れぬさみしさを覚えながらも、祖母と過ごすひとときを味わったのだった。
食事の片付けがすむと、姪っ子に「絵を描いて」とせがまれる。『ハム太郎』、スヌーピー、『ワンピース』など、さすがに何も見ないでは描けないので見本を見ながらの模写ではあるが、あれこれと描いては喜ばれるので、こちらも楽しい気持ちになる。
そして夕暮れの駅舎で、家族に見送られながら、故郷を後にした。さっさと帰っておけばそんなこともなかったろうに、里心がついてしまって、車窓の向こうが涙でにじみそうになる。 本当に意固地になっていて、「故郷は遠きにありて」、二度と帰るまいとまで思いつめたこともあったけれど、帰ってみればふるさとと家族は、ただ懐かしく愛しかった。
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