たまの日々

2003年03月24日(月) ときどき、春

陽あたりの良い、北風を建物でさえぎられた、
守られたソメイヨシノは、
穏やかにひとひら、ふたひらと花弁をほころばせている。

長かった冬も、ようやく終わろうとしている。

一年前、
長く続けた派遣先を退職した。
その頃の冬の寒さが、
いつまでも身体の底につめたくよどんで、
消えなかった。
ずっと、冬のままだった。

そういえば去年は、
風邪をひいて満足に花見もできなかったっけ。
それ以上に、
気持ちが風邪をひいていて、
どんなに美しい景色も楽しい時間も、
ビー玉のむこうみたいにつめたく遠くちいさかった。

春も夏も秋も冬も。
現実感のないまま過ぎ去った。

温かみを失えば、
そのあたたかさをなつかしく、いとしくおもう。
失う程に、痛い程に、理解る。
その、大切さ。

そして、何も残っていない。
それでも、
何も、うしないたくない、
とおもう私の気持ち。

それでも、
今は、
そんな気持ちを少し預けて、
週末には桜をみにいこう。
やっとここまでこられた。

そして、ときどき、春。



2003年03月19日(水) 今日の私にできること

昨夜のアメリカ大統領の演説のニュースが、
街中のTVから溢れている。
なのにみんなの顔はいつもと同じ。

3月も半ばになった。
毎朝太陽の光の中で目覚められるのはとてもしあわせだ。
夕陽をみられることも私の気持ちをあかるくさせる。
今日は3ヶ月振りの友人から電話があった。
少し緊張のある会話がとてもたのしかった。
友達は、元気になりたくて電話をくれたみたい。
ヘンに信頼されているのかもしれないな。
私は、
元気じゃないときは絶対に友人に電話しない。
自分のことを信じないから、
突き放される瞬間が怖くて、
自分から声がかけられない。

そんな、
神様を持たない、
自分すら信用できない私だけど、
今、戦争をするのは賛成できない。
この戦争が、
ほんとうの何かを生むとはとても考えられない。

今日の私にできること。
なんだろう。



2003年03月11日(火) 履歴

実家で、
古い写真を見つけた。
中学卒業から大学3年まで。

写真はみんな笑顔だけれど、
いろんな顔の私がいた。

これも私の笑顔の履歴。

これからも、
記録を残してみるのもいいかもしれない。



2003年03月08日(土) 部屋でひとり

3月早々風邪をひいた。
おかげで、たのしいことの可能性は全部没収。
再びさみしい週末となってしまいました。

やはり一人暮らしなんてだいきらいだ。

高熱で会社を休んだ火曜には、
実家の母に電話をして、風邪薬と食料を持ってきてもらった。
あとはずっと一人で寝ていた。
9度を越えたときには不安に寒気がした。
うとうとして、目を覚ましては体温を測り、
氷枕におでこをあてて、
買ってきてもらったパンやプリンを食べて薬をのんだ。
これ以上、会社は休めない。
必死だった。

翌日ふらふらしながら会社へいった。

仕事がおわって母からメールが入った。

警察から電話があったって。

近所の保育園の駐車場におきっぱなしだった車のこと。



暗い気持ちで母に謝罪の電話をした。
疲れたような声で、
「あんたの風邪がうつったみたい」
その言葉が耳から離れない。

それ以来、
ずっとずっとひとりだ。
起きて、会社に行き、ご飯をつくって、ひとりで眠る。
ひとりばかりだ。

風邪が完治したとして、
私は実家に顔を出すことができるのだろうか?

金曜の夜は風が強くて、
ひとり、部屋でじっとしていると、
建物全体がときおり風に押されて揺れる。
ひとりでいることがほんとうに嫌だった。

ケータイを握り締めていた。
メモリに並ぶ友人たちの名前をみていた。
だれかと話をしたかった。
ひとりじゃないって、思い込みたかった。
でも、
誰も電話できなかった。

だれに電話をしてもいいのかわからなかった。
電話してもゆるされるのかわからなかった。

どうしたいかはよくわかっていたけれど、
決してそうするわけにはいかなかった。

追い詰められて、電話をしてしまった。
会話がしたかった。
だけど、
迷惑をかけただけだった。
電話なんかしなきゃよかった。
わかってたけど、
やっぱりしなきゃよかった。


心から思った。

私が、
もうすこしかわいくてやさしかったら。


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