たまの日々

2002年06月30日(日) 流転の地

ふとした瞬間に、
足元がふらついたりどれだけでも眠れたり、
楽しいことが自分からおもいつけな思いつけないのは、
疲れている証拠だと思う。
だから、
久しぶりに落ち着いて眠りにつけたことは、
とてもうれしかった。
いや、
そういうことが
とてもうれしいということがすでに、
とても疲れている証拠だったりする。

明日から新しい会社です。
この不景気で失業率の高いご時世に、
休み無く次の仕事に就けるということは、
とてもありがたいことではあるんですが、
でもだからといって、
これからは、
土曜がなかなか休めないみたい、というのは超不満。
月に2回程度の出勤なら我慢できるのですが、
1回というのはなかなか苦しい。
それはつまり、
休みがとりにくい、ということなのだろうか。
という不安にさいなまれる一日でした。

昨日、面接にいったのです。
昼間はずっとそこで働くかどうか悩んで、
日曜を半分たのしんで、1/4眠って、1/4稽古して、
明日は新しい職場。
よく考えたら、急流に飲み込まれたみたいに、
過去の辛さもこれからの不安も考える暇もないまま、
次の日常に押し流されている。

私はこれからどこへ流されていくんだろう。
近頃、
夢を見る能力に欠けている、と思う。
根無し草。

けれどせめて、今日程の眠りを。
今程のやすらかさを。








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2002年06月26日(水) 進める?

肌寒い日々が続いています。
ここ二日間、長袖生活してます。
相変わらず毎日電車に揺られながら本を読み、
家に帰ってビールをのみながらぼんやりとテレビをみる。
この時期はドラマの最終回が目白押しで、
そいつらをはしごしては、
いろんなハッピーエンドに
節操なく感情移入してめそめそうだうだしています。
毒にも、
薬にもならないさまざまなストーリーを、
無尽蔵に頭の中に流し込んで、
なにもかもをあふれさせて、
なんとか平衡を保っています。

そんな、毎日です。

以前、
日記を書くこの瞬間を、
私はとてもとてもたいせつにしていました。
それは、
いちにちのうちでもっともしあわせな時間でした。
でも今は、
自分の真実に降りていくような、
深く知っていくような時間が、
怖い。
気持ちが真空になってしまわないように、
見たくないものを見つけてしまわないように、
いっぱいいっぱいで生きている私には、
あたりまえのことかもしれない。

進みたいのに、
どっちにむかっているのかわからない。
それなりにしあわせなはずなのに、
自分がどうしたいのかがわからない。






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2002年06月21日(金) ロックカルピス

最近、
いっぱいいっぱい、
という言葉を口にするたび、
コップに、
ぎりぎりまで水の入ったところを思い浮かべる。

ところで最近の私はうつわがちっちゃくて、
おまけにはいってる液体が、
なんだかどろどろぬるぬるしていて、
どこに捨てたもんだか、
どう始末してよいもんだか、
途方に暮れる毎日。

いっそのこと、
氷がいっぱい入ってて、
シンプルで水滴がいっぱいついてる、
指がぴりぴり張り付いちゃうような、
飲んだら頭がキーンと冴え渡るような、
そんなグラスならいいのにね。

きっちり冷えた陶器のグラスで、
なみなみと注がれた金色のビールと
白くてきめ細やかな泡でもいい。
ぐいぐい飲み干して、おかわりまでしちゃえる。

見えている、
事実なんてすべての真実に比べたら、
氷山の一角。
ガラスのコップにロックアイスを入れて、
カルピスをつくろう。
からからと懐かしい音が、
初夏の網戸越しの風に、
忘れていた甘い未来を透かして見せる。






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2002年06月19日(水) 溶けろ!

真昼の公園を横切って家に向かう。
川沿いに続く細くてちいさい、
ジャングルジムとすべり台しかないような公園。
初夏の陽差しは力強く、
真っ直ぐ平等に刺し込んでくる。
うしろめたい気持ちも何もかも
あからさまに照らし出されて隠せない気がする。
だからここにはだれもいない。
影の印象がいつもよりずっと強い。
木々の緑が匂うように濃い。
南国の、
葉の大きい、ためらいのないくっきりした赤やピンクの、
背の高い花がいきいきと太陽と会話をたのしんでいる。

免許証の書き換え、と言い訳をして会社をサボり、
平日の昼間を思い切り動き回った。
髪を切ったり銀行にいったり、
NTTへ連絡したり市役所に書類を出しにいったり。

そうやって動き回って気持ちよく疲れ果てた体に、
ゆっくりと眠気がのしかかる。
パソコンの前に座り込み、
いちにちをかみしめる。

こういう時間をたのしむのが、
いままではあたりまえだったのに、
今の私は、
ぎりぎりまで水を汲んだコップのように、
動かすこともできない。

ちいさく息をして、
そっと声を出し、
無理やり、浅い眠りにつく。
おびえるように生きる。
時間を、くぐりぬける。

こんなわだかまりも、
溶けてしまえばいい。
容赦のない夏の光に。






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2002年06月11日(火) ずっと、きっと

朝のまだ透き通った空気の中を、
駅に向かって走る。
高い塀の向こうの老木に光る青々とした葉や、
黄色い帽子をかぶった通学途中の小学生のざわめき、
川面に映る葉桜。

近頃、
生きている時間が短い。

少しはやめの時間の普通電車に乗って、
黙々と本を読む。
一時間程で乗り換えの駅に着く。
エスカレータは使わない。
たくさんの階段ですいすいと人々を抜いてゆく。

ホームの端に立つ。
本の続きを読む。
地下鉄がごうごうと風を掻き乱して、
私の前に滑り込んでくる。
ねじ込まれるように乗り込む。

そして吐き出される。
降り注ぐ蛍光灯の白い光。
階段を昇る定期券を通す改札を抜ける。
長い階段がまっすぐ上に伸びている。
足が重くなる。
会社が近いから。

更衣室で着替える。
似合わない黄緑色の事務服。

エレベーターが口を空けている。
目の前が真空になる。

往きと帰りと、
週末だけは真っ直ぐいろんなことが見られる。

時間を無駄に消耗している。
自分に嘘をついて耐えるふりをして、
実はラクをしてる、怠けてる。

ずっとこんな生活を続ける事はできない。
私にはできない。

よかった、気付けて。

悩んでも、戸惑っても、
きっと歩き出す。






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2002年06月03日(月) ノイズ

何もする気になれない朝だった。
たったあれだけのことで筋肉痛になって、
空気がのったりと暑苦しくて。

一時間程、
ぐずぐずとあきらめきれずに布団の上で粘った。
寝返り打つことさえ億劫で、
えいやあ、と無理に声にだして起き上がった。

家中の窓を開ける。
簡単に朝ごはんをつくり、
洗濯をして、軽く掃除をする。

生活の、ノイズ。
ここちよい。

一人暮らしのノイズはつまらない。
私がたてた音しかしない。

すぐにつまらなくなって、
車に乗って久しぶりに実家へ向かう。
なつかしい、
昔は当たり前で迷惑なだけだったノイズを聞きに。

窓は全開!
風の音、街の音、空にすいこまれていく。

実家に帰ると母は出かけていた。
父がつくったであろう洗い物がキッチンの流しに幾重にも積まれていた。
適当に昼ごはんをつくって食器を全部洗った。
水が心地よかった。
勢いがついたので実家の猫も洗った。
拭いて日向に置くと、不服そうにいつまでも毛づくろいをしていた。
父は寝そべってTVを見ていたけれど、
私が水遊びをしているのがうらやましかったのか
突然夏の日差しの中で車を洗いはじめた。

柿の若葉越しの午後の光は、
やさしい色を落としていた。
私は嘘みたいにのどかなノイズにあっという間に飽きてしまった。

「古本屋さんに行ってくる。
帰りにアイスかってきてあげるよ。リクエストある?」
父に声を掛けるとそうだなあとあかるく答えて、
少し悩んでかき氷の、みぞれがいいな、といった。
昔から、私が好きなかき氷。
あっさりとした色、すっきりした甘味。

二十歳になるまでの7年間、
口をきくことのできなかった、父。

通勤用に4冊の本を買い込み、
みぞれのカップかき氷を探して店を3軒廻った。
出かけている母の好きなあずきの入ったの。
私のレモンスライスのはいったの。
妹のクッキーアンドバニラ。

余分に買い込んで家路を急いだ。
カンペキにのどかな、
夢のように淡い日曜日。

こんな時間が過ごせるようになるまでに、
たどった平たんではない道のりを、
遠く、近く思った。






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