今日の日経を題材に法律問題をコメント

2012年03月30日(金) 暴力団を隠してゴルフすることは詐欺罪か

 日経(H24.3.30)社会面で、山口組弘道会ナンバー2の暴力団組長の身分を隠してゴルフ場で一緒にプレーしたとして詐欺罪などに問われた男性に対し、名古屋地裁は詐欺罪の成立を認め、懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡したと報じていた。

 
 詐欺罪というのは、人を騙して財産的利益を得ることであるが、暴力団の身分を隠してゴルフをしたことが「詐欺罪」にあたるのだろうか。


 判決は、「暴力団が出入りすることで一般客が敬遠し、経営の根幹にかかわる可能性があり、ゴルフ場が被った損害は大きい」と認定しているが、それは単なる想像にすぎないのではないか。


 もちろん、暴力団排除は重要であるが、暴力団の身分を隠してゴルフをしたことに「詐欺罪」を適用することには違和感がある。



2012年03月29日(木) 日航パイロットの整理解雇有効

 日経ネットニュース(H24.3.29)で、日本航空のパイロット74人が、整理解雇されたのは不当だとして、日航を相手取り、地位確認などを求めた訴訟で、東京地裁は整理解雇を有効と認め、地位確認についての原告側請求を棄却したと報じていた。


 解雇した当時、日航は会社更生手続き中であり、その中での整理解雇だから無効にはならないだろう。


 そうはいっても、日航は2011年4〜12月期の営業利益が前年同期比1.6%増の1616億円と絶好調である。


 整理解雇などリストラしたから営業利益が出る体質になったといえるのだろうが、解雇された側は納得いかないかもかもしれない。



2012年03月28日(水) 効果のある質問とは思えないが

 日経(H24.3.28)3面で、衆院財務金融委員会で、巨額な年金毀損が問題になっているAIJ投資顧問の浅川社長が参考人として出席して質疑に応じたと報じていた。


 質疑において、議員らは「いつから顧客をだまそうと思っていたのか」「なぜむちゃな運用をしたか。ばくちに自信があったのか」と質問しているが、あまり効果があるとは思えない。


 そもそも、「だまそうしたこと」「ばくちである」と決めつけ、それを前提に質問するのは、誤導尋問の一種として刑事裁判では異議の対象になる。


 もっとも、議員たちは尋問の効果よりも、いかに自分は怒っているかを地元選挙民にアピールするかだけを考えているのであれば別であるが。



2012年03月27日(火) 原判決が破棄されると未決勾留がすべて刑に算入される

 日経(H24.2.1)社会面で、「イカタコウイルス」と呼ばれるコンピューターウイルスを作成し、器物損壊罪に問われた事件で、東京高裁は懲役2年6月とした一審判決を破棄し、懲役2年4月を言い渡したと報じていた。


 わずか2か月刑が軽くなっただけだが、被告人としては一日でも軽い方がよいのは当然である。


 それだけでなく、原判決が破棄されているので、身柄拘束されている場合には、上訴を申立てた後の未決勾留日数がすべて刑に算入されることも被告人には大きなメリットである。


 逆に、控訴が棄却されると、控訴せずにさっさと服役した場合に比べて、刑務所を出るのが2、3か月遅くなる。


 それだけに、弁護人としては安易に控訴は勧められない。


 控訴しても結論が変わる可能性(刑の減軽も含めて)の有無を判断できるかどうか、弁護人の力量が問われるところである。(大抵の弁護士は判断可能であるが)



2012年03月26日(月) グーグルの「サジェスト機能」に表示の差し止め命令

 日経(H24.3.26)社会面で、グーグルの検索で自分の名前を入力すると、犯罪を連想させる単語が連動して自動表示されるとして、男性がプライバシー侵害などを理由に米グーグルに表示差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁は差し止めを命じる決定をしたという記事が載っていた。


 男性の実名を検索しようとすると、関連単語を予測して自動表示する「サジェスト機能」において、犯罪を連想させる単語が候補の一つとして自動的に表示され、検索結果として出てくる複数のサイトに男性を中傷する内容が書かれていたそうである。


 東京地裁はプライバシー侵害にあたるとしてグーグルに対し表示の差し止めを命じた。


 ここでは「サジェスト機能」が問題になったようであるが、検索の結果出てくるサイトを表示することもプライバシー侵害に当たるのだろうか。


 今回の東京地裁の決定においてこの点をどのように判断したのかは不明である。


 ただ、検索結果の表示の問題についてはすでに判例(東京地裁H22.10.22)原則として検索サイトに違法性はないとしている。

1 検索サービスの運営者自体が、違法な表現を行っているわけでも、当該ェブページを管理しているわけでもない。

2 検索サービスの運営者は、検索結果として表示されるウェブページの内容や違法性の有無について判断すべき立場にない。

3 検索サービスの検索結果から違法な表現を含む特定のウェブページを削 除すると、当該ウェブページ上の違法ではない表現についてまで、社会に対する発信や接触の機会を事実上相当程度制限する結果になる。


 いずれの見解ももっともであり、結局は、検索サイトの有用性と、ウェブページに書かれた人のプライバシーや名誉のいずれを重視すべきかということになるのだろうが、なかなか難しい問題である。



2012年03月23日(金) 一審で勝った事件で控訴審で敗訴したとき

 日経(H24.3.23)社会面で、切り餅がきれいに焼ける「切り込み」技術に関する特許が侵害されたとして、越後製菓がサトウ食品工業に商品の製造差し止めや損害賠償などを求めていた事件で、知的財産高裁はサトウ食品工業に製造・販売の禁止と約8億円の賠償を命じたと報じていた。


 越後製菓は、切り餅の側面に切り込みを入れることで、焼くときれいに膨らむ技術の特許を取得した。


 これに対し、サトウ食品工業は製品の側面に加え、上下面にも十字に切り込みを入れて「サトウの切り餅」として販売していた。


 しかし、知財高裁は、「側面に切り込みがあれば、越後製菓の発明の範囲に含まれる」との判断を示したものである。


 もっとも、一審では特許権の侵害を否定しているくらいだから、侵害しているのかどうか微妙な事案だったと思う。


 敗訴したサトウ商品工業は大打撃であろうが、それよりもサトウ食品工業側の弁護士たちの落胆ぶりを想像してしまう。


 一審で勝っていながら、控訴審で敗訴することぐらいがっかりすることはないからである。そのような事件は、何年前であってもいまでも鮮明に覚えている。



2012年03月22日(木) 求刑の1.5倍の判決

 日経(H24.3.22)社会面で、1歳8カ月の三女に暴行を加えて死なせたとして、傷害致死罪に問われた父親と母親の裁判員裁判で、大阪地裁は、懲役10年の求刑に対し、それぞれ懲役15年を言い渡したと報じていた。


 検察官の求刑は、検察官側の意見に過ぎないから、裁判所がそれに拘束されることはない。


 また、裁判員制度というのは国民の目線によって判断する制度であり、その判断はできるだけ尊重すべきといえる。


 しかし、懲役15年というと殺人罪並みの刑である。


 求刑という制度があることにより、ある程度の刑の平等が保たれている。

 
 そのような実情を考えると、求刑の1.5倍というのはあまりに重いと思うのだが。



2012年03月19日(月) 出版社の著作隣接権

 日経(H24.3.19)16面で、電子書籍の普及につれ、出版業界が危機感を持ち、法的権利を確保しようと懸命になっているという記事が載っていた。


 出版業界としては、レコード会社や放送事業者のような著作隣接権の創設を望んでいるようである。


 その理由として電子書籍の普及による中抜き危機感や、ネットでの海賊版対策ということがあるようだ。


 しかし、電子書籍の普及による中抜きのおそれについては、作家などとの契約によって対処することも可能であろうし、まずはその努力をすべきであろう。


 現に、そのような努力している出版社もある。


 ネットでの海賊版対策についても、他の法規の活用により対処は可能ではないだろうか。


 多くの国では出版社に隣接権のような独自の権利を与えていないようである。グローバル化の中で、日本だけ独自の権利を創設することは好ましいとは言えない。


 出版社は、まずは作家などと契約書をきちんと作成し、契約関係を明確化することの努力をすべきではないだろうか。



2012年03月16日(金) 最高裁の差戻し審で大阪地裁は無罪を言い渡す(求刑死刑)

 日経(H24.2.1)社会面で、母子殺害容疑で殺人などの罪に問われ、二審の死刑判決が最高裁で破棄された事件の、差し戻し審判決で大阪地裁は、被告人に無罪(求刑死刑)を言い渡したと報じていた。


 この裁判では、事件と被告人を結びつける直接証拠がなかったため、間接事実によって被告人が犯人であると認定できるかどうかが焦点だったが、大阪地裁は、一つ一つの証拠を検討した上で、事件と被告人とを結びつけることができないと判断したようである。


 平成22年に審理を差し戻した最高裁判決では、「情況証拠によって認められる間接事実中に,被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない事実関係が含まれていることを要する」と判示している。


 この表現が、情況証拠から有罪を認定をする場合のハードルを上げたようにも読め、マスコミはそのように認識している様子がある。


 しかし、最高裁の判示や補足意見などをよく読むと、間接事実を積み重ねて犯人性を推認していくという事実認定の手法自体を否定しているわけではない。


 それゆえ、新たな判断基準を設定したものでも、有罪認定のハードルを上げたものでもないと思われる。


 実際、最高裁の判示の中で「情況証拠によって事実認定をすべき場合であっても,直接証拠によって事実認定をする場合と比べて立証の程度に差があるわけではない」とはっきり述べている。


 マスコミは、この最高裁判決を過大に評価しすぎているのではないかと思う。



2012年03月15日(木) 日弁連会長選挙が再選挙に

 日経(H24.3.15)社会面で、日本弁護士連合会の会長選挙の決着がつかず、再選挙となったという記事が載っていた。


 当選するためには、総得票が最多であることともに、全国52の弁護士会の3分の1超でも最多票を獲得することが必要である。


 ところが、宇都宮現会長と山岸弁護士の両氏とも、この当選条件を満たさなかったためである。

 
 この状況ではいつまでたっても当選条件を充たさず会長が決まらない異常事態になるかもしれない。


 全国の弁護士会の3分の1超でも最多票を獲得することを条件としているのは、会員数の少ない地方の弁護士の意見を尊重するためであり、制度としては悪くないと思う。


 しかし、最終的には最多票を獲得した候補者を当選とするように制度を変えないと、いつまでも会長が決まらないということになりかねない。



2012年03月14日(水) 強制起訴された事件で無罪判決

 日経(H24.3.14)夕刊で、未公開株の購入を持ち掛けて現金をだまし取ったとして、詐欺罪で強制起訴された投資会社社長について、那覇地裁は無罪を言い渡したと報じていた。


 この事件は検察庁が二度にわたり不起訴にしたものを検察審査会が起訴すべきと議決して裁判になっていたものである。


 強制起訴制度が始まってから最初の判決とのことであり、それが無罪になったのであるから影響は大きい。


 4月には強制起訴された小沢元民主党代表の判決があるが、これが無罪になると強制起訴制度の見直しの議論が起きるかもしれない。



2012年03月13日(火) 警視庁は留置施設を全面禁煙に

 日経(H24.3.13)社会面で、警視庁は、警察署などの留置施設を全面禁煙にすると発表したと報じていた。


 拘置所では喫煙はまったくダメであったと思うが、警視庁管内の警察署の留置場では一日2本までタバコを認めていた。これが全面禁止になるわけである。


 かつて、留置された被疑者が「タバコを吸えなかったのは基本的人権の侵害である」として裁判を起こしたケースがあるが、最高裁は、禁煙措置は合憲であると判断している。


 実際問題としても、各人たばこの銘柄が違うから管理する側も管理が大変だったと思う。


 被疑者はとってはわずかな楽しみが奪われることになるかもしれないが、全面禁煙の措置はやむを得ないと思う。



2012年03月12日(月) ソーシャルメディア利用が増えリスク管理が急務

 日経(H24.3.12)21面で、社員のソーシャルメディア利用が増え、企業のリスク管理が急務になっているという記事が載っていた。 


 従前は社内のパソコンを使ってのネット利用が問題になっていた。


 ところが、近時、ソーシャルメディアの利用者が多くなっており、また、会社が営業活動にスマートフォンを持たすケースも増えている。


 そのため、業務と私的利用との境目があいまいになってきたことが最近の特徴であろう。


 その場合、企業としては、社内規則で、企業秘密や顧客情報を漏えいさせないこと、業務中のソーシャルメディアの使用を禁止すること(企業にもよるが)など、許されないことを細かく明記し、従業員に周知しておくことが重要である。


 その場合、どのような記述が許されないのかを具体的に示すことが大事であろう。


 その意味では、ソーシャルメディアが普及してきたといっても、企業によるリスク管理のポイントはこれまでとあまり変わらないのではないだろうか。



2012年03月09日(金) 死刑問題について、法務省幹部らによる勉強会の報告書

 日経(H24.3.9)夕刊で、法務省は、同省幹部らで構成する「死刑の在り方についての勉強会」の報告書を公表したという記事が載っていた。


 報告書では、「死刑制度の存廃について現時点で結論を出すことは相当ではなく、廃止論と存置論の主張を併記する形にとどめた」とのことである。


 死刑存廃の議論はすでに出尽くしており、いまさら勉強会を開いても新しい問題が出てくるわけではないだろう。


 もちろん、法務省の幹部といえば検事であるから、それは分かった上でやっているのだろうが。



2012年03月08日(木) 大阪の放火殺人事件で再審開始決定

 昨日の日経(H24.3.7)夕刊で、1995年に大阪で保険金目当てに自宅に火を付けて長女を焼死させとして、放火や殺人罪に問われ、母親と内縁の夫の無期懲役が確定した事件で、大阪地裁は再審開始の決定をしたと報じていた。


 再審開始の決め手となったのは、弁護側による再現実験の結果が自白の内容と違っており、自白の信用性が失われたからである。


 この再現実験は、車庫やふろ場などを忠実に再現したうえで、ガソリンをまいて発火させており、多額の費用がかかっただろうと思う。


 通常の事件で、弁護側がこのような実験を行うことは不可能である。


 それは費用だけの問題ではない。


 以前、爆弾事件の弁護人をしたことがあり、その事件では爆弾の威力が問題になった。弁護側としては、大した威力はなかったということが言いたいわけである。


 しかし、爆弾を実際に弁護側が作って再現実験することはできないから、文献を証拠として提出して爆弾の威力がないことを証明するしかなかった。


 とにかく、費用の問題を始め、被告人側には様々な制約がある。


 それだけに、捜査機関は、起訴するために有利な証拠だけを収集するのではなく、公益的意識を持って被告人に有利な証拠もきちんと収集して欲しいと思うのだが。



2012年03月07日(水) 休眠預金は誰の権利か

 日経(H24.3.7)19面で、使わなくなった預貯金口座のお金は誰のものだろうかということを論じていた。


 取引がなくなって10年経過し、通知を預金者に郵送しても届かない残高1万円以上の口座、及び、10年経過し残高1万円未満の口座は、通常「休眠預金」と呼ばれている。


 休眠預金は銀行の利益として計上されているが、預金者から払い戻し請求があれば銀行は払い戻しに応じており、利息も付けているようである。


 しかし、本来であれば、最後の銀行取引から5年経過すれば消滅時効にかかる(信用金庫、信用組合では10年だが、預金者が会社であれば5年)。


 したがって、銀行が時効を主張すれば(これを「時効を援用する」という)、払戻請求はできなくなる。


 ただ、銀行は、社会的な批判を気にして、時効を主張せずに払い戻しに応じているのだろう。


 つまり、休眠預金に対する権利は誰のものかといえば、「預金者である」と言えるが、ただ、時効を主張されれば消滅する不安定な権利ということになる。



2012年03月06日(火) 東電女子社員殺害事件 再審開始の可能性が高い

 日経(H24.3.6)社会面で、東電女性社員殺害で無期懲役が確定した事件の再審請求審で、新たに被害者のコートから受刑者と異なる男性のDNA型が検出されたと報じていた。


 弁護側は、犯行現場に第三者がいたとする弁護側主張を補強するものだ、としている。


 しかし、コートに犯人と以外の男性のDNA型が付着する可能性はどこにでもある。


 その意味では、その鑑定結果は重要な証拠とは言えないと思う。


 ただ、そのような重要度が低い証拠についてまで報道しているのは、再審開始の可能性が高いからであろう。



2012年03月05日(月) 「組織的関与」とは何か

 日経(H24.3.5)19面で、粉飾決算が問題になっているオリンパスの上場廃止問題について論じていた。

 その中で、かつて東京証券取引所の西室社長が、上場廃止の判断基準の1つとして「組織的関与」を挙げていたとしていた。


 しかし、そこでいう「組織的関与」とは何だろうか。


 取締役会で、違法なことを違法なことと承知で決定すれば、それは組織的関与であろうが、そのようなことを取締役会で決議するはずがない。


 逆に、取締役会で決議しなければ「組織関与」でないというのであれば、そのような基準はないに等しい。


 結局、「組織的関与」ということは極めて曖昧な言葉であり、当然、法的にも定義されていない用語である。


 そのような曖昧な言葉を上場廃止の基準にすること自体、間違いであると思う。



2012年03月02日(金) 大王製紙創業家は株式を譲渡する義務まではない

 日経(H24.3.1)社会面トップで、東京地裁が行われた、大王製紙前会長、井川被告の初公判の様子を報じていたが、それに関連して、大王製紙と創業家の内紛について書いていた。


 事件後、大王製紙は、創業家の影響力を薄めるため、創業家から関連会社の株式を買い取る方針を表明した。

 ところが、前会長の父親で元顧問の高雄氏らはこれに反発し、創業家が大半の株式を持つ関連会社では、創業家側が提案した役員を選出している。


 世間では、この創業家の動きに対し、非難する声の方が大きいようである。

 「息子が会社に大迷惑をかけたのになんだ」というわけであろう。


 しかし、前会長の父親が違法なことをしたわけではない。

 また、株主の意思に反対する役員がいる場合、株主が解任することは、むしろ当然といえる。


 元顧問は、元会長の父親として世間から非難されるのは仕方ないかもしれないが、株式を譲渡しないことまで非難されるいわれはないであろう。


 大王製紙が株式を買い取って創業家の影響を薄めたいという方針は間違いではないだろう。

 しかし、交渉であり、しかも売ってもらう立場なのであるから、それなりの価格を提示しないといけないし、礼を尽くさないといけない。


 大王製紙は、世間の風を頼りに強気の交渉をしているようにみえるが、交渉術としては稚拙であると思う。



2012年03月01日(木) 家賃3.1か月分の更新料 京都地裁が一部無効と判断

 日経(H24.3.1)ネットニュースで、賃貸マンションの1年ごとの契約更新時に、家賃約3.1か月分の更新料を支払ったケースで、京都地裁は、「更新料は高額過ぎる」として、貸主に約10万円の支払いを命じたと報じていた。


 東京だと「更新料は2年に一度、新賃料の1か月分」という契約が多いから、1年ごとに家賃3.1か月分の更新料というのは高い印象である。


 もっとも、最高裁は「賃料などに照らし、高額過ぎるなどの特段の事情がない限り有効」と判断している。


 これは、家賃を安くして、その分更新料で収支を合わすいうことは不合理ではないし、それを賃借人が理解していれば問題ないという考え方なのであろう。


 ただ、そのケースの更新料は、1年ごとに家賃約2か月分であった。


 それに比較しても、更新料が家賃3か月分というのはかなり高い気がする。


 いずれ最高裁で判断されるだろうが、家賃を近隣相場より低く設定していることが賃借人にも明らかであるというような事情でもない限り、更新料の一部は無効と判断されるのではないか。


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