日経(H22.2.25)社会面で、脱税容疑で逮捕された弁護士の事件で、新たに会社役員が逮捕されたという記事が載っていた。
この弁護士は、オフィスビルなどを売買する際、累積赤字を抱えた法人を利用して利益を圧縮していたそうである。
これだけ聞くと、節税行為とはいえても、脱税とまではいえないような気もする。
事件の全容がよく解からないが、逮捕までされる事件なのだろうか。
2010年02月24日(水) |
消費者金融会社が、架空債権で詐欺 |
日経(H22.2.24)夕刊で、消費者金融「レタスカード」の社長らが、架空債権によって融資を得たとして、詐欺容疑で逮捕されたと報じていた。
この会社は破産手続き中であり、破産によって架空債権の存在が明らかになったそうである。
ある大手消費者金融会社に対し、弁護団が破産の債権者申し立てを行ったが、その会社は破産を回避しようとして懸命な努力をしている。
あまりの懸命さに、破産手続きに入るとまずいことでもあるのかと思ってしまう。
2010年02月22日(月) |
国税局が、脱税で東京地検に告発 |
日経でなく朝日(H22.2.22)社会面で、シティグループの日本支店の元幹部が、所得約1億3千万円を隠し、約3千万円を脱税したとして、東京地検に告発されたと報じていた。
今後刑事事件になるだろうから、失ったものは大きかったといえる。
以前扱った刑事事件で、株取引で10億円儲けたが、一切申告しなかったために、追徴課税、罰金などで儲けのすべてを失い、しかも実刑となって刑務所に入った被告人がいた。
正直に申告していれば、税金を払っても数億円が残ったはずだった。
新聞記事のケースでも、正直に申告しても1億円が残る計算になる。
それなのに元幹部が申告しなかったのは、おそらく周りの人間も正直に申告していないからだろう。
2010年02月19日(金) |
モンゴルの重機リース事業で家宅捜索 |
日経(H22.2.19)夕刊で、モンゴルでの重機リース事業で、投資ファンドへの出資を無登録で募ったとして、警視庁は、投資顧問会社の関係先を金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で捜索したという記事が載っていた。
フィリピンのエビ養殖事業、サウジアラビアから中国への重油輸入ビジネスなど、海外事業の投資にからむトラブルは多い。
そしてモンゴルである。
海外の事業となると、一般の消費者は、本当にその事業がなされているのかどうか確認もできず、情報がないため募集会社の言うがままである。
リスクを負担できるだけの資力と能力がない限り、海外事業への投資は絶対に止めるべきと思う。
2010年02月18日(木) |
平成電電の広告 新聞社の責任を認めず |
日経(H22.2.19)社会面で、平成電電に出資して被害を受けた出資者らが、平成電電の出資募集の広告を掲載した新聞社に対し「広告内容を調査する義務を怠った」と訴えていた事件で、東京地裁は新聞社の責任を認めず、請求を棄却したという記事が載っていた。
広告を掲載する新聞社の調査能力を考慮すると、高度な調査義務を課すことは難しいから、結論として請求棄却はやむを得ない。
ただ、平成電電はかねてより問題視されており、弁護士らが、新聞社に対し、出資募集の広告掲載を中止するよう申し入れていたはずである。
新聞社は、訴訟に勝ったことをただ喜ぶだけでなく、その新聞広告によって被害が拡大した事実は直視すべきである。
2010年02月17日(水) |
明石歩道橋事故で、取り調べを全面可視化 |
日経(H22.2.17)社会面で、明石歩道橋事故で、取り調べを全面可視化する方針という記事が載っていた。
この事件では、検察審議会が起訴相当決議を行っており、それを受けて、裁判所から選任された弁護士が検察官となって、当時の明石副署長を起訴することになっている。
そのため、取り調べの全面可視化が可能になった。
取り調べの全面可視化には検察庁は反対しているが、こんなところで全面可視化の風穴が開くとは思わなかった。
全面可視化については、「取り調べが困難になる」という反対意見があり、他方「それは杞憂である」という意見もある。
ただ、どちらの見解も実証がなされないまま議論がなされているように思う。
それゆえ、全面可視化を実際行ってみて、検証していくという作業は重要であろう。
2010年02月16日(火) |
破たん直前の会社は弁護士にとって誘惑が多い |
日経(H22.2.16)夕刊で、ジャスダックに上場していた「トランスデジタル」が、破綻直前に借入先に資産を不正に譲渡したとして、民事再生法違反で旧経営陣らが逮捕された事件で、申立代理人の弁護士事務所も家宅捜索されたと報じていた。
この弁護士は、会社破たん直前に旧経営陣と頻繁に会ってようである。
ただ、弁護士は「譲渡を中止するよう指示した」と述べているので、事実関係は不明である。
いずれにせよ、破たん直前の会社は経営の規律を失っており、弁護士にとって誘惑は多い。
それだけに十分注意していないと足元をすくわれる恐れがある。
2010年02月15日(月) |
段階を踏むことが重要 |
日経(H22.2.15)16面「リーガル3分間ゼミ」というコラムで、営業ノルマが達成できない社員を解雇することは有効かという記事が載っていた。
しかし、ノルマが達成できないというだけで解雇することは難しいだろう。
ただ、「営業職として中途採用したのに、期待通りの成績を上げられないので解雇したいのだが」と言う相談はときどき受ける。
雇う方としては即戦力を期待して採用したのに、期待した成績を上げられないのだから辞めて欲しいと思う気持ちは分からないではない。
だからと言って、即解雇することは止めた方がいい。
成績を上げられない場合には何度か指導すること、当該社員の勤務態度を観察しておくこと、指導の内容・回数や、勤務態度など記録しておくこと、それでも十分な成績を上げられない場合には、同じ営業でも部署替えを検討するなど手順を踏むべきだろう。
会社の立場でいえば、労働問題では、段階を踏み、それをきちんと記録しておくことが重要である。
日経(H22.2.12)3面に、経済産業省は、IT政策について、学識経験者らによる分科会と並行して、ネットで議論する掲示板を立ち上げ、報告書の取りまとめに活用する方針と報じていた。
これまでは、政府の審議会で報告書案をまとめてから、パブリックコメントにかけるのが通常であった。
これが、分科会の審議と並行してネット審議が行われ、それを踏まえて報告書案が取りまとめられるのだから、大きな進歩である。
私は、13年くらい前にある雑誌で「審議会の報告書がネットでも閲覧できるようになったが、ネットで審議会を開こうという発想まではないのは残念だ」と書いたことがある。
それが、ようやくネットで審議会を開くということになった。
ずいぶん時間がかかったとはいえ、喜ばしいことだと思う。
日経(H22.2.10)9面で、キリンとサントリーの統合交渉決裂の続報が載っていた。
交渉では、統合比率が最大の問題になったようで、キリン側は当初、キリン1対サントリー0.5程度を提示したが、それではサントリーの創業一族が3分の1を超えないため、サントリー側の反発を招いたそうである。
そこで、キリン側は、0.6程度まで歩み寄り、さらに0.7程度まで譲歩したが、妥結に至らなかったとのことである。
この報道が事実なら、キリンの交渉の仕方はうまくないといえる。
われわれも裁判などで、和解交渉することは日常茶飯事である。
その際、落とし所を想定しつつ、そこからあまり離れた数字は提示しないようにしている。
相手方の主張とあまりにかけ離れた数字を提示すると、相手方に反発されてうまくいかないだけでなく、裁判官にも和解する意思がないと思われるからである。
キリン側が交渉をまとめるつもりがあったのなら、サントリーの創業一族が3分の1を超える0.6を当初から提示すべきだったと思う。
もっとも、キリン側に、「必ず統合する」という強い意思が最初からなかったのであれば、話は別であるが。
2010年02月09日(火) |
郵便不正事件で、元上司が検察の主張を否定する証言 |
日経(H22.2.9)社会面で、郵便料金制度を悪用したとして、虚偽有印公文書作成罪などに問われた元厚生労働局長の公判の記事が載っていた。
この日の公判では、被告人の元上司が「議員の依頼はなく、被告人に証明書作成の指示もしていない」「(検察側の構図は)虚構だったのではないか」と、被告人に有利な証言したようである。
ただ、この元上司は、検察の取り調べでは「議員の依頼があり、被告人に証明書の発行を指示した」と被告人に不利な供述しており、取り調べの供述が採用される可能性は高い。
そうだとしても、議員の依頼があって、上司から証明書の発行を指示されただけで、高級官僚である被告人が公文書の偽造を指示するのだろうか。
検察官の構図によっても、この事件の動機は希薄なように思う。
ましてや、元上司が公判廷で証言したように、議員の依頼も上司の指示もなかったとしたら、虚偽の公文書を作成する動機はないことになる。
この事件は、検察が一方的に事件の構図を描いて、それに強引に当てはめていったという懸念が拭えない。
2010年02月08日(月) |
死刑容認が国民の85%と過去最高 |
昨日の日経(H22.2.7)社会面で、内閣府による世論調査で「死刑容認」と答えた割合がこれまで最高の85%になったと報じていた。
国民感情として死刑容認が多いことは理解できるし、それゆえ死刑制度の廃止は困難であろうと思う。
ただ、昨年に発生した殺人事件は、前年比15.4%減の1097件と戦後最少になっているのに、なぜ死刑容認派が増えたのだろうか。
識者は、秋葉原殺人事件の発生を理由に挙げていたが、30年前の新宿西口バス放火事件、10年近く前の池田小殺人事件など古くから同様な事件はあったはずである。
結局、理由としてはよく分からない。
日経(H22.2.5)社会面で、小沢幹事長を不起訴とした事件の続報が載っていた。
この事件は政治資金規正法違反が問題になったのであるが、小沢幹事長は、「虚偽記載は形式犯である」と語ったことがあった。
これに対して、「いや。実質犯である。」という批判がかなりなされた。
しかし、「形式犯」と「実質犯」の区別に意味があるとは思えない。
形式犯とは、法益侵害の抽象的な危険性もない犯罪である。
ただ「法益侵害の抽象的危険」を広く捉えると実質犯になるから、形式犯との区別は極めてあいまいになる。
そもそも、条文上は形式犯と実質犯という用語はなく、講学上の概念に過ぎないから、法適用にあたっては両者を区別する実益はない。
ちなみに、形式犯の例としては、免許不携帯が挙げられることが多い。
免許証を所持していなくても、それと交通事故の危険性とは関係ないにもかかわらず処罰されるからである。
ただ、免許不携帯には反則金という行政罰が科せられるだけであるから、『犯罪』という概念からは外れてしまう。
それゆえ、形式犯の例としてはあまり適切でないと思うが。
2010年02月04日(木) |
東京地検が週刊朝日に抗議文を送る |
日経(H22.2.4)社会面で、東京地検が、週刊朝日のという記事に対し「虚偽である」として、抗議文を送ったと報じていた。
週刊朝日の記事は、「子ども『人質』に女性秘書『恫喝』10時間」の見出しで、「東京地検が、議員秘書に『ウソ』をついて呼び出し、10時間近くにわたり『監禁』した。虚偽の証言を強要し、『恫喝』し続けた」というものである。
東京地検がウソをついてまで呼び出す必要はないから、記事の信ぴょう性は低い。
ただ、東京地検という権力を持ったところが、報道機関に抗議文を送れば、表現行為が委縮することは容易に想像できる。
虚偽の記事まで保護する必要はないという意見もあるだろうが、保護されるべき表現行為の範囲を東京地検が決めるべきではない。
権力は謙抑的でなければならない。
2010年02月03日(水) |
長期契約の節税商品は注意すべき |
日経(H22.2.3)7面で、年金保険が税改正で波紋という記事が載っていた。
年金保険には支払い期間に応じて相続税が3割から8割軽減される措置があり、そのため、富裕層向けに、相続税の負担を軽減する商品として販売されていたようである。
その優遇措置が税制改正で廃止することが盛り込まれた。
そうすると節税効果がなくなり、契約者としては「話が違うじゃないか」ということになる。
そのため、今後、どこまでリスクを説明したかが問題になる可能性がある。
ただ、税制はたびたび変更されるものであり、とくに節税対策として利用されている場合には、税金を取る方向に税改正されることが多い。
それゆえ、契約者としても、節税商品が長期契約の場合には安易に飛びつかず、税制が変わることがあり得ることを考慮すべきであろう。
2010年02月02日(火) |
脳脊髄液減少症と裁判 |
日経(H22.2.2)社会面で、脳脊髄液減少症の診断基準や治療法の早期確立を求める要望書を厚労省に提出したという記事が載っていた。
脳脊髄液減少症とは、脳や脊髄を取り巻く髄液が漏れるものである。
症状としては、頭痛などの痛み、めまいなど不定愁訴の症状を示すと言われており、交通事故の訴訟で最近よく主張されるようになった。
ただ、裁判では、脳脊髄液減少症であることが認められなかったり、脳脊髄液減少症と認められたとしても、それと交通事故との因果関係がないとされることが多いようである。
日経(H22.2.1)スポーツ面で、朝青龍が知人を殴って怪我をさせたとされている問題で、マネージャーが警察から聴取されたと報じていた。
この事件では、すでに示談が成立しているようである。
示談が成立して以上、起訴されることはほぼない(100%というわけではないが)。
ただ、親告罪(告訴が必要な事件)でない限り、示談が成立していても犯罪であることに変わりはないから、捜査することはあり得る。
とくに、報道によれば関係者の言っていることがあいまいなようであるから、警察としては、事実関係を確認する必要があると思っても不思議ではない。
それゆえ朝青龍から事情を聴くこともあり得る。
もっとも、その結果、関係者の証言がほぼ一致し、示談の成立が確認できれば、それ以上の捜査はしないだろう。
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