2010年03月31日(水) |
消費書相談の内容をリアルタイムで掲載して欲しい |
日経(H22.3.31)夕刊で、「消費者庁の事故情報サイトが明日から稼働」という記事が載っていた。
消費者生活センターや各省庁に寄せられる製品の事故情報を集約するとのことである。
それはそれでよいが、消費書相談の内容をリアルタイムで集計し、掲載することも望みたい。
相談事例を掲載しているサイトもあるが、リアルタイムでないため、現在どのような消費者被害が増えているかが分からない。
それが分かれば、消費者被害の防止に随分役立つと思うのだが。
2010年03月30日(火) |
警視庁の発表「教祖の意思の下、組織的・計画的に敢行したテロ」 |
日経でなく(H22.3.30)夕刊で、国松警察庁長官が銃撃された事件の公訴時効が成立したことを受け、警視庁が記者会見を開き、「事件はオウム真理教のグループが(松本智津夫)教祖の意思の下、組織的・計画的に敢行したテロだった」と発表したと報じていた。
「教祖の意思の下、組織的・計画的に敢行したテロ」という発表に、丸正事件の正木弁護士と鈴木弁護士を思い出した。
丸正事件で、正木弁護士と鈴木弁護士は、有罪判決確定者以外の者を真犯人であるとして名指したが、その結果、名誉毀損罪で起訴されているのである。
警視庁が、自らの捜査ミスを棚にあげて、起訴できなかった事件をこのような形で発表するのは問題ではないだろうか。
2010年03月29日(月) |
過払い金が依頼者にほとんど行かない? |
日経でなく朝日(H22.3.29)7面で、日弁連の宇都宮新会長が過払い利息返還請求を巡って高額報酬や誇大広告の問題が広がっているとして、「再規制が可能かどうか検討して対応したい」と述べたという記事が載っていた。
その記事の中で、亀井金融相が「過払い金が依頼者にほとんど行かず、弁護士がポケットに入れちゃうことが相当起きている」と述べたと報じていた。
しかし、過払い金報酬は、訴訟になった場合、弁護士会主催の法律相談での基準は過払い金の25%である。
テレビで広告をしている法律事務所も弁護士会の基準を参考にしているようであり、「過払い金が依頼者にほとんど行かないことが相当起きている」というのは言い過ぎである。
もっとも、最高裁で借り手に有利な判決が出てからは訴訟が比較的簡単になっており、弁護士会の報酬基準でも少し高いと思う。
弁護士会は高額報酬を批判するのであれば、弁護士会(東京三弁護士会)の基準も見直すべきだろう。
日経(H22.3.26)社会面で、2005年の離婚状況が続けば10組に3組が離婚する可能性があるという記事が載っていた。
10組に3組が離婚というと、すごく多い気がするが、離婚が急激に増えたという印象はない。
年金分割制度が導入されると離婚が急増するかと思ったが、それほどでもなかった。
10組に3組が離婚というのは、離婚が増えていることもあるが、婚姻率が下がっているのも原因のようである。
2010年03月25日(木) |
名簿作りを奨励する条例を制定 |
日経(H22.3.25)夕刊で、大阪府箕面市で、名簿作りを奨励する条例を制定したと報じていた。
個人情報保護への過剰反応から学校や自治会などでは名簿の作成が減っており、昨年の新型インフルエンザで休校の連絡が行き届かずに混乱したそうである。
そこで、安心して名簿を作るために条例を制定したとのことである。
問題意識は理解できるが、条例でそこまでおせっかいする必要があるのかと思う。
そもそもの問題は、個人情報保護法の適用範囲があまりに広すぎることにあるのではないか。
箕面市としては条例で対応せざるを得ないが、本来であれば、安心して名簿を作れるようにするためには、条例の制定よりも個人情報保護法の改正こそ必要であろう。
2010年03月24日(水) |
兵庫県弁護士会が、司法試験合格者を1000人程度に減らす決議 |
日経(H22.3.24)夕刊で、兵庫県弁護士会が、司法試験の年間合格者数を1000人程度に減らすよう求める決議をしたという記事が載っていた。
しかし、これはセンスが悪い。
昨年の合格者は2135人であるが、すでに飽和状態であり、レベルも相当低下しているといわれている。
ところが、政府は合格者を年3000人に増やす方針を閣議決定しており、それが現実化すると果してどうなるのだろうと思う。
その意味で増員反対決議をする心情は理解できる。
しかし、1000人に減らせというのでは、反発を招くだけであろう。
もう少し世間の理解ということに配慮できなかったのだろうか。
2010年03月23日(火) |
市民後見人が伸び悩んでいる |
日経(H22.3.23)社会面で、市民後見人が伸び悩んでいるという記事が載っていた。
認知症などの人の財産管理をする成年後見人は、7割が親族、2割が弁護士か司法書士で、市民後見人は1,2%と非常に少ない。
しかし、市民後見人の必要性は大きいと思う。
市民後見人はほとんど無償である。
後見人を申し立てる必要がある場合でも、後見人の報酬を払う資力がなく、申立できないケースもあるが、市民後見人がいれば、そのような場合でも対応できる。
また、弁護士や司法書士の場合には財産管理が中心になりがちであるが、市民後見人は、被後見人により身近に接することが多い。
それゆえ市民後見人の必要性はあるのだが、前述のように市民後見人は多くない。
記事では、その理由を「養成や運営に手間がかかり、自治体が及び腰である」としていた。
そうであれば、信頼できるNPO法人と自治体が連携し、法人後見人を選任してもらえばいいのではないか。
そうすれば、市民の後見業務を法人がサポートすることが可能になり、自治体の負担も軽減するからである。
いずれにせよ、今後、ますます後見人申し立てが増加することは確実であり、後見人のより一層の充実が望まれる。
2010年03月19日(金) |
昨年の衆院選の定数配分について、名古屋高裁が「違憲」と判断 |
日経(H22.3.19)社会面で、「一票の格差」が最大2.30倍だった昨年の衆院選の定数配分について、名古屋高裁は「違憲」との判断を示したと報じていた。
昨年の衆院選をめぐっては、大阪、広島、福岡の3高裁が「違憲」、東京高裁と福岡高裁那覇支部は「違憲状態」、東京高裁の別の部が「合憲」としている。
流れとしては「違憲」という感じである。
裁判でも流れというのはあるから、最高裁でも「違憲」と判断される可能性は高いのではないだろうか。
2010年03月18日(木) |
裁判所は自首をあまり重視しない |
日経(H22.3.18)社会面で、警察に保険金目的の殺人事件に関与したと自白した事件の控訴審で、東京高裁き、懲役20年とした一審・水戸地裁判決を支持、被告側控訴を棄却したと報じていた。
上申書の提出して初めて事件が発覚したのだから、自首が成立する。
それで懲役20年というのは一見重いようにもみえる。
ただ、裁判所は、自白が犯行後の事情のためか、あまり重視しないように思う。
もちろん、反省の表れとして、量刑に有利に働くのは間違いないが、世間が考えているほどは減刑しないことが多い。
2010年03月17日(水) |
ネット上の表現行為と名誉棄損 |
日経(H22.3.17)社会面で、個人利用者によるインターネット上の表現行為と、新聞や雑誌といった従来の媒体での記載とで、名誉棄損罪の成立要件を区別すべきかが争われた事件で、最高裁は、「ネットを理由に責任が緩和されることはない」と判断したと報じていた。
1審の東京地裁は、ネットの特性から、個人利用者にネット上の表現行為の名誉棄損罪の成立範囲を狭く解し、無罪を言い渡していた。
これに対し、2審東京高裁と最高裁は、ネットでの表現行為と、新聞や雑誌といった従来の媒体の記載とで区別すべきでないとして、有罪を言い渡したものである。
ネットだからと言って名誉棄損罪の成立範囲を狭く解すると、名誉棄損的な表現がますます横行するであろうから、最高裁の判断はやむを得ないだろう。
ただ、ネットでの表現行為の議論に一石を投じた東京地裁の判断は評価していいのではないかと思う。
2010年03月16日(火) |
盗撮容疑で検事を取り調べ |
日経(H22.3.16)社会面で、バス停で女性のスカートの中を盗撮しようとしたとして、名古屋高検の検事が任意で取り調べを受けていると報じていた。
この検事は、上司に「撮影しようとしていた」と説明しているそうであるから、犯意は認めているようである。
それでも任意での取り調べなのは、検察官だからというわけではないだろう。
「撮影しようとしていた」だけであれば、実行行為に着手していない可能性があるからである。
それで任意捜査になっているのだろう。
2010年03月15日(月) |
富士通前社長の「辞任」騒動 |
日経(H22.3.15)17面で、富士通の野副前社長の「辞任」騒動の記事が載っていた。
前社長の言い分では、
「『好ましくない企業グループとの関係を続けている。辞任しなければ富士通は上場廃止になる。』と迫られ、やむなく辞任を受諾した。」
「しかし、「反社会的勢力と関係を続けたとの指摘に根拠は乏しい」
とのことである。
そのため、前社長は辞任の取消を求めている。
前社長の主張が正しいのであれば、辞任したことは錯誤であるとして、無効になる余地はある。
ただ、改めて取締役会で解任決議をすれば同じことであるが(報道では、後に相談役は解任したそうであるが、取締役の解任決議はしていないようである。)
もっとも、反社会的勢力との関係はないのであれば、なぜ辞任要求を受け入れたのだろうかという疑問はある。
2010年03月11日(木) |
ライブドアの堀江元社長の動産を差押え |
日経(H22.3.11)社会面で、東京地裁が、ライブドアの堀江元社長の自宅で個人資産の差し押さえを執行したと報じていた。
これは「動産執行」という手続きであるが、通常は、動産執行で功を奏することは少ない。
執行官が玄関から中を覗いて「何もありませんね」と言って終わりになることも少なくない。
そのため、個人の債務者の場合には動産執行まですることはあまりない。
それで堀江元社長も油断していたのだろう。
堀江元社長はブログで「憤慨している」と書いているそうである。
しかし、動産執行はあまりないとはいえ、法に則った手続きなのであるから、やむを得ないことである。
2010年03月10日(水) |
金庫株の放出が3割増 |
日経(H22.3.10)19面で、金庫株の放出が前年より3割増えたという記事が載っていた。
株式の持ち合いに使う動きもあるようである。
しかし、金庫株のメリットの一つとして、時価会計の導入で株式の持合い解消が進められているなかで、下落する自社株を買い支える効果が期待できるということが言われたはずである(それに対し、その効果を疑問視する意見もあったが)。
それが金庫株を株式持ち合いに使うのでは、本来期待された使い方とは逆である。
産業界の強い要請で法改正され、金庫株は自由になったが、それが本当によかったのだろうか。
日経(H22.3.9)夕刊で、不法残留者が21年ぶりに10万人を下回ったという記事が載っていた。
外国人の犯罪も減少している気がする。
一時期は、東京地裁の刑事法廷は必ず外国人の被告人が何人かいたが、最近はそのようなこともなくなっている。
犯罪白書でも、外国人の犯罪は平成17年をピークに減少傾向にある。
不良外国人にとって、日本は、法律に反してまで来るほど魅力的な国でなくなっているのだろう。
2010年03月08日(月) |
日弁連会長選挙の再投票 |
日経(H22.3.8)社会面で、日本弁護士連合会の次期会長選挙の再投票について報じていた。
選挙は、現執行部の路線を継承する山本剛嗣候補に対し、司法試験合格者を大幅に減らすことを公約に掲げた宇都宮健児候補との争いである。
前回の投票では、投票数では山本候補が上回ったものの、都道府県数で宇都宮候補が勝ち、再投票となった。
法曹人口の増大に対する弁護士の不安は大きく、それが宇都宮候補の善戦につながったのだろう。
本音では、法試験合格者は減らすべきと思っている弁護士の方が多いのではないか。
それでも現状維持派である山本候補が投票数で上回ったのは、東京、大阪での組織票があったからである。
弁護士会の世界は狭く、組織票で当選が決まることがほとんどである。
しかし、今回の再投票は組織票では決まらないと思う。
2010年03月05日(金) |
強制わいせつ事件で技官に無罪判決 |
日経(H22.3.5)社会面で、科学警察研究所の男性技官が強制わいせつ罪に問われた事件で、千葉地裁は、この男性に無罪を言い渡したという記事が小さく載っていた。
この事件は逮捕されたときは大きく載っていたから、男性技官には気の毒である。
強制わいせつ事件や強姦事件では、犯行直後に女性が被害届を出した場合には、警察はほぼ女性の言い分に添って事件を描き、被疑者から事前に聴取することなく逮捕することも多い。
ただ、この種の事件では客観的証拠は少なく、主な証拠は被害者の供述と被疑者の供述ということもよくある。
そうなると、警察は、被疑者の言い分よりも被害者の言い分を安易に信用しがちである。
記事の事件の詳細は知らないが、そのような経緯で起訴されたのではないだろうか。
2010年03月04日(木) |
債権回収会社の監督強化 |
日経(H22.3.5)1面で、債権回収会社の監督を強化するという記事が載っていた。
債権回収会社とは、債権の管理と回収を専門に行う会社であり、『サービサー』と言われている。
記事によれば、サービサー法を改正して、禁止する行為を例示するそうである。
ただ、禁止行為として、「債務者から退去を求められても応じない」「(両親など)債務者以外の人が拒否しているのに、取り立てへの協力を要求する」などを挙げているが、それは当然のことである。
そのような当たり前のことを明記しなければならないほど、問題が生じてきているということなのだろう。
2010年03月03日(水) |
過重労働による労災で2億4000万円の支払い |
日経(H22.3.3)社会面で、長時間残業の過労で倒れ、寝たきりになったとして、ファミリーレストランの支配人だった男性と両親が、レストラン経営会社に損害賠償などを求めた事件で、会社が計約2億4000万円を支払うことで和解が成立したという記事が載っていた。
過重労働に起因する労災をめぐる解決額としては過去最高額とのことである。
ただ、過去最高といっても、この事件に特別な事情があって増額をしたというわけではない。
終生介護が必要になったとして、その間の介護費用などを積み上げていくとその額になっただけである。
つまり、会社としては、加重労働による労災が発生した場合、それだけの額を支払う可能性があるということである。
日経(H22.3.2)社会面で、法テラスの電話相談が100万件を突破したという記事が載っていた。
不況で利用者が急増しているそうである。
ただ、法テラスの電話は『電話による法律相談』ではないので、上記の記事は誤解を招く書き方である。
法テラスでは、問い合わせ内容に応じて,オペレーターが法制度や相談機関・団体等を紹介するだけである。
もっとも、電話をする方は、電話で法律相談できるものと思っている人が多いので、期待に添えない回答になってしまう。
法テラスは、誤解されないように、名称を「インフォメーションセンター」とするなど、工夫したほうがよいと思う。
ただ、相談する方も、電話で法律相談を済まそうと思うのは止めた方がいい。
電話では情報を十分伝えられないために、誤った回答をされる危険があり、相談者が不利益を被るおそれがあるからである。
2010年03月01日(月) |
KDDIによるJCOM株取得問題について |
日経(H22.3.1)16面で、KDDIがJCOM株を(間接的に)取得しようとしたが、金融庁が変更を求めたことについて論じていた。
金商法では、株式の3分の1超を取得する場合にはTOB(公開買い付け)が必要とされている。
ところが、KDDIが買収しようと会社はJCOMの持ち株会社であり、JCOM株の3分の1を取得するわけではなかった。
しかも、その持ち株会社は、TOBを免れるために設立されたものではなく、意識的な脱法行為があったわけではない。
このような状況で、KDDIは、顧問法律事務所の意見を聞いた上で、TOBの必要なしと判断した。
ところが、金融庁は、TOBが必要であるとして、KDDIに計画変更を促したのである。
私は顧問法律事務所の考え方は間違っていないと思う。
ただ、だからと言って「OK」のサインを出していいかは別である。
問題となることは明らかであったのだから、金融庁への事前相談は必要不可欠であろう。
記事によれば、「事前相談する時間がなかった」(顧問弁護士)とのことであるが、専門家の意見書まで依頼しているだから、「時間がなかった」ということは言えないように思われる。
法律の解釈の正当性にこだわり、突っ走ってしまったという印象を受けるのだが。
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