2007年06月29日(金) |
緒方元公安調査庁長官を逮捕 |
日経(H19.6.29)1面で、東京地検が緒方元公安調査庁長官を逮捕と報じていた。
被疑事実が詐欺であることに驚いた。
逮捕してみたが、容疑不十分で釈放するというわけには行かないだろうから、検察庁は相当確かな証拠を持っているのかもしれない。
しかし、詐欺といっても、資金が調達できなければすぐ犯行が分かるわけであり、そのような単純な手口の犯罪を行うのだろうか。
どうもよく分からない事件である。
2007年06月28日(木) |
特許庁が、特許料を最大4割下げ |
日経(H19.6.28)1面で、特許庁が、特許料を最大4割下げる方針と報じていた。
記事によれば、特許権を取得し、維持するために支払う費用の平均は17万円弱とのことである。
そのため、特許を多数保有している大企業にとって、特許料が引き下げられることによるメリットは大きいだろう。
ただ、特許料引き下げでよりメリットが大きいのは個人や小さな企業ではないかと思う。
というのは、個人などの場合、特許料の負担が厳しくて、特許申請を思いとどまったり、特許取得後の維持費用を支払えず、特許権が消滅することがよくあるからである。
それゆえ、今回の特許料の引き下げは、大企業にとっても、小企業や個人などにとっても意義がある措置といえる。
2007年06月27日(水) |
光市の母子殺害事件の差戻し審で被告人が殺意を否認 |
日経(H19.6.27)社会面で、山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審で被告人質問が行われたという記事が載っていた。
記事によると、被告人である元少年が、「中学1年のときに自殺した実母に重ねた。赤ちゃんを抱いているお母さんに無性に甘えて頭をなでてもらいたいと、後ろに回って抱きついた。性的なものは期待していなかった」と殺意や強姦目的を否認したとのことである。
しかし、元少年はこれまでそのような供述はしたことがないはずである。
多くの人は、その元少年の主張が弁護団の指示によってなされていると思っているのではないだろうか。
もちろん、弁護士が供述を指示することはない。
しかし、そのように思われても仕方ないほど、その少年の言い分は唐突な印象であった。
2007年06月26日(火) |
ミートホープ社の偽装肉問題で、保険金詐欺 |
日経(H19.6.26)社会面で、ミートホープ社の偽装肉問題で、偽装肉のクレームがあった場合に、「従業員が誤って羊肉を混ぜた」と過失を装って保険金の支払いを受けていたことが判明した、と報じていた。
これが事実なら、保険金詐欺ということになり、罪は重い。
時効の問題があるからどうなるか分からないが、立件されれば、悪質性が極めて強いから、実刑になるだろう。
2007年06月25日(月) |
ブルドックソースの株主総会で買収防衛策が承認 |
日経(H19.6.25)1面で、ブルドックソースの株主総会で、3分の2以上の賛成で買収防衛策が承認されたと報じていた。
ブルドックソースについては、アメリカの投資ファンドがTOBをかけており、それに対抗して買収防衛策を導入しようとしたものである。
これに対し投資ファンドは、買収防衛策発動差し止めの仮処分を申し立てているようであるが、株主の3分の2以上が賛成している以上、司法判断でも、その株主の意思が尊重されるだろう。
ただ、この防衛策が発動されると、新株予約権が無償で割り当てられ、投資ファンドだけには現金(約20億円)が支払われるのであるが、これでは総会屋に金員を支払っておとなしくしてもらうようなものではないのだろうか。
しかも、その防衛策導入のために、アドバイザーや弁護士に多額の費用を支払っている。
これらの費用(投資ファンド側は、30億円を超えると言っている)を支出する結果、今期は最終赤字になるようである。
そもそも、株主の3分の2以上の賛成が得られるのならTOBは成功しないはずである。
それなのに、それだけの費用をかけて買収防衛策を導入する必要性があったのだろうか。
2007年06月22日(金) |
総連本部の売買問題 元公安調査庁長官が1億円を受領 |
日経(H19.6.22)社会面で、朝鮮総連本部の売買問題で、緒方元公安調査庁長官が1億円を受領していたと報じていた。
それが事実であれば、これまでの緒方弁護士の説明とは大きく食い違う。
私は、この事件で検察庁が電光石火で強制捜査に乗り出したことについて、「当面は任意捜査を行うのが普通であり、あまりに政治的ではないか」と書いた。
しかし、平気で1億円も受領するような弁護士であれば、それまでに検察庁から目をつけられており、仮装売買をしかねない人物であると思われていたのかも知れない。
2007年06月21日(木) |
刑事裁判は有罪、無罪を決めるだけか |
今日ではなく、昨日の日経(H19.6.20)夕刊で、富山県警に誤認逮捕され、実刑判決を受けた冤罪事件で、再審の初公判が開かれたという記事が載っていた。
記事によれば、この裁判で弁護側は、捜査の実態を解明するために取調官の証人申請をしたが、裁判所は「必要性がない」として認めなかったとのことである。
確かに、刑事裁判というものが被告人が無罪かどうかを裁くためだけのものであれば、検察官が無罪であると言っているのだから、取調官まで尋問する必要はないのかもしれない。
しかし、刑事裁判の目的は、有罪か無罪かを決めるためだけであろうか。
被告人にとっては、裁判で十分調べてもらった上で無罪判決を言い渡されることによって、初めて身の潔白が証明されたと思うのではないだろうか。
刑事裁判の機能としてこのような刑事政策的機能を考慮するならば、取調官の証人尋問を行ってもよかったのではないかと思う。
2007年06月20日(水) |
すべての商品が、原則クーリングオフが可能に。 |
日経(H19.6.20)5面で、特定商取引法を改正し、原則としてすべての商品、サービスを規制対象とし、クーリングオフが可能になると報じていた。
これまではクーリングオフの対象となる商品は個々に列挙していた。
そのため、悪質な業者は、規制対象外の商品等の販売を行い、被害が出る都度に、その商品を規制の対象としてきた。
その結果、被害と規制とがいたちごっことなっていた。
今回、特定商取引法の改正により、すべての商品・サービスを規制対象としたことは喜ばしいことである。
ただ、ずいぶん前からその要請はあったのであり、今回の改正は少し遅すぎたと思う。
2007年06月19日(火) |
朝鮮総連中央本部の売却問題 −弁護士としておそまつではないか |
日経(H19.6.19)1面に、整理回収機構が、朝鮮総連に対し、627億円の返済を求めていた事件で、東京地裁は整理回収機構の請求を認めたという記事が載っていた。
それに関連して、社会面で、朝鮮総連中央本部の売却問題を引き続き報じていた。
この朝鮮総連中央本部建物の売買では、買主の会社社長(元公安調査庁長官、弁護士)は、出資者と一度しか会っておらず、名刺の交換さえもしていなかったそうである。
つまり、購入代金調達の可能性をほとんど確認しないまま、売買契約を締結し、登記を移転したということである。
買主の会社社長は元公安調査庁長官で広島高検の検事長まで務めた人であるが、やった行為は弁護士としてあまりにおそまつである。
偉くなり過ぎると、自分の目で確認するということをしなくなるのだろうか。
2007年06月18日(月) |
年金の納付記録がなかった場合の納付の証明 |
日経(H19.6.18)3面に、年金問題に関して、納付記録がなかった場合にどのように納付を証明するのかについて、Q&A方式で解説していた。
その記事では、領収書があればよいが、なければ振込みの確認できる銀行通帳、過去に勤めていた会社の雇用主の証言などを元に、年金給付の是非を判断するだろうと書いていた。
しかし、過去に勤めていた会社の雇用主の証言と言っても、小さな会社だと書類がきちんと保管されているとは限らないし、倒産している会社も多いだろう。
その場合にどうなるのかについては、政府の説明は明確でなくよく分からない。
この問題は、納付したことの証明責任を国民にどの程度負わすのかということなるであろう。
裁判では、通常の裁判で要求される証明責任の他に、仮差押などの保全処分で認められる、「一応確からしいという程度の証明(疎明)」というものがある。
先の記事で念頭においているのは、このような疎明責任程度のように思われる。
しかし、本人の記憶だけでは「一応の確からしさ程度に証明」したことにはならず、社保庁も本人の記憶だけで納付の事実は認めないだろう。
結局、納付の事実につといて「一応の確からしさ程度」にも証明できない人は必ず出てくると思われる。
その場合、裁判であれば、証明できない以上諦めるしかない。
しかし、年金問題を裁判と同じように考えるわけにはいかないように思う。
2007年06月15日(金) |
朝鮮総連中央本部の売却問題で元日弁連会長の自宅等を捜索 |
日経(H19.6.15)社会面で、朝鮮総連中央本部の売却問題で、東京地検は、朝鮮総連の代理人である元日弁連会長の自宅・事務所を捜索したと報じていた。
この問題では、東京地検は、すでに買主側の投資顧問会社の社長である元公安調査庁長官の自宅・事務所を捜索している。
朝鮮総連中央本部の売却の経緯は次のようである。
整理回収機構が、朝鮮総連に対し、628億円の返済を求めて訴訟をしており、朝鮮総連が敗訴すれば、朝鮮総連中央本部が差し押さえられる恐れがあった。
そこで、朝鮮総連中央本部を守るために、朝鮮総連が、投資顧問会社(社長は元公安調査庁長官)に本部がある土地、建物を売却したというものである。
この売買では所有権移転登記が先行しており、売却代金はまだ支払われていない。
先に登記をするということは通常の不動産取引では聞いたことがなく、極めて異常な取り引きである。
それゆえ、仮装売買と疑われても仕方ない。
しかし、現時点で自宅や事務所の捜索までする必要があるのだろうか。
検察庁は投資顧問会社社長(元公安調査庁長官)から事情を聞いて、「売買代金の支払いは可能である」との説明を受けたようである。
そうであれば、その代金支払いの帰趨を見極めてから強制捜査に乗り出しても遅くないはずである。
通常、捜査機関は告訴してもなかなか動かないのに、今回は新聞報道されたその直後に強制捜査しており、極めて異例である。
今回の検察庁の捜査はあまりに政治的過ぎるのではないだろうか。
2007年06月14日(木) |
不動産鑑定の監視を強化 |
日経(H19.6.14)1面トップで、国交省が、不動産鑑定の監視を強化に乗り出すと報じていた。
「監視強化」しなければならないということは、これまでの不動産鑑定は恣意的なものが多かったということなのだろう。
われわれ弁護士も、賃料の増額、減額などで不動産鑑定を依頼することがある。
そのようなとき、「不動産の鑑定評価というのは、最初に結論ありきだなあ」と思う。
例えば、鑑定の際に採用する物価上昇率は一義的に決まらない。
そのため、少し採用する数字を変えれば、鑑定額が相当変わってしまうからである。
しかし、裁判では、いったん不動産鑑定評価がなされると、その鑑定評価額が一人歩きするからこわい。
2007年06月13日(水) |
国政選挙にも電子投票 |
日経(H19.6.13)2面に、国政選挙にも電子投票を認める法案が衆議院に提出されたという記事が載っていた。
電子投票といってもタッチパネルであり、その効果としては開票作業が早くなる程度でしかない。
反面、機械にトラブルが生じたときの問題は限りなく大きい。
トラブルでデータの一部でも消えたらどうなるのか。
消えたデータの再現ができず、誰に投票したのかが不明になれば選挙が無効になりかねない。
とりわり、国政選挙ではその影響はあまりに大きい。
電子投票をなぜそんなに急ぐのだろうか。
2007年06月12日(火) |
保護者の理不尽な要求に、弁護士が学校に助言 |
日経(H19.6.12)社会面で、東京都は、保護者の理不尽な要求に対し、弁護士が学校に助言する取り組みを始めたと報じていた。
これまでは学校事故やいじめ問題などで、弁護士が保護者の代理人になることは多かったが、保護者の理不尽な要求に弁護士が学校に助言するというのはめずらしい気がする。
ただ、現場の教師の実感として、保護者の理不尽な要求が増えているそうである。
その場合に、弁護士が介入することによってどこまで解決に役立つかはよく分からない。
しかし、理不尽な要求には毅然とした対応をすべきであろうし、その法律的精神的な支えとなるのであれば、歓迎すべきことであると思う。
2007年06月11日(月) |
コンビニにはトラブルが比較的多いように思われる |
日経(H19.6.11)夕刊で、セブンイレブンのフランチャイズ加盟店のロイヤルティーについて、最高裁は、返還を命じた二審を破棄したと報じていた。
この事件では、廃棄商品を売上原価に含めるかどうかが問題となったようである。
ロイヤルティーは売り上げから売上原価を差し引いて計算するため、廃棄商品を売上原価に含めるとロイヤルティーは低くなるからである。
最高裁の判断の当否は別にして、コンビニにはトラブルが比較的多いように思う。
先日も、ビルのオーナーが、大手コンビニのフランチャイザーに10年の期間でビルを賃貸したところ、売り上げが上がらないので2年で撤退すると通告されたという相談を受けた。
貸す側は10年間借りてくれることを前提に投資をしている、わずか2年で撤退されたのでは大問題である。
ところが、契約上はいつでも撤退可能と、ビルのオーナーに不利な内容になっている。
しかし、コンビニのフランチャイザーは、このような契約の内容をきちんと説明していなかったようである。
前記の最高裁の事件もそうであるが、フランチャイザーの説明不足がトラブルの原因となっていることが多いのではないだろうか。
日経でなく朝日(H19.6.8)夕刊で、更生保護法が成立したと報じていた。
この法律により、今後は、保護観察中に順守事項を守らない場合には、刑務所や少年院に戻らせることが可能となる。
現状の保護観察は機能不全に陥っていると言わざるを得ない。
私が経験した事件でも、対象者が保護司に暴言を吐いたため保護司が怯えてしまい、十分な保護観察がなされなかったケースがあった。
刑務所や少年院に戻らせる制度は、機能不全に陥っている保護観察を実効的なものにするための有力な手段になると思う。(この制度の創設だけで問題が解決するわけではないが・・。)
2007年06月07日(木) |
コムスンが介護報酬を不正請求 |
日経(H19.6.7)1面で、訪問介護のコムスンが介護報酬を不正請求したことから厚生労働省が処分したことに対し、同社はグループ会社にコムスン全事業を譲渡すると報じていた。
事業譲渡は、利用者の保護と雇用の確保が大義名分のようであるが、処分の潜脱と取られても仕方ないだろう。
そもそも報酬の不正請求は詐欺罪に該当するのだが・・。
2007年06月06日(水) |
楽天がTBSに帳簿閲覧請求の仮処分を申立て |
日経(H19.6.6)11面で、楽天とTBSとの提携問題で、楽天がTBSに帳簿閲覧請求の仮処分を申し立てる方針と報じていた。
帳簿閲覧請求の仮処分申し立ていうことになると、大手法律事務所の出番である。
この問題で、TBSは、「提携したいのであれば先に株を売却すべき」などと、子どもみたいなことを言っているが、本音は、新参者に乗っ取られたくないということなのだろう。
他方、楽天は、「放送と通信の融合」と主張しているが、そのようなことはライブドアとフジとの問題で堀江氏も言っていたことであり、目新しさはなく、どのように『融合』するのかよく分からない。
楽天の本音は、老舗企業というブランドを傘下に収めることによって企業価値を高めたいということなのだろう。
どっちもどっちという感じである。
結局、儲かるのは法律事務所やアドバイザーばかりなりということのようである。
2007年06月05日(火) |
平成電電の広告を掲載した新聞社に対し、損害賠償請求 |
日経(H19.6.5)社会面で、平成電電の詐欺事件に関し、被害者らが、日経新聞などに対し、平成電電の広告を掲載して被害を拡大させたとして損害賠償請求の訴訟提起をしたと報じていた。
平成電電については以前から問題視されており、弁護士らが、新聞社に広告の掲載の中止を申し入れていた。
それにもかかわらず掲載を続けたことから、被害を拡大させたとして訴えられたもののようである。
訴訟では、広告掲載する際にどれだけ注意義務を尽くせばよいのかが争点となると思われるが、被害者側にとって容易な訴訟ではないだろう。
ただ、安易に広告を掲載しがちなメディアに対する警鐘にはなると思う。
2007年06月04日(月) |
裁判官が落語で裁判員制度をPR |
日経(H19.6.4)社会面に、裁判員制度を周知するために、裁判官(宇都宮地裁所長)が落語でPRという記事が載っていた。
この裁判官は有名な方で、東京地裁の破産事件のやり方を、関係者に使いやすくする方向に劇的に変えたことで有名である。
弁護士会では、毎年何回か、東京地裁破産部の裁判官に講演をお願いしているが、そのときもこの裁判官(当時は破産部の部長)の話は笑いが絶えなかった。
その裁判官の後から講演する裁判官も、それにつられて笑いと取ろうとするのだが、慣れないことはするものではなく、痛々しいギャグになることが多かった。
2007年06月01日(金) |
「スナップ写真にも著作権」 |
日経(H19.6.1)社会面に、「スナップ写真にも著作権」という見出しの記事が載っていた。
記事の内容は、自分が撮影したスナップ写真が単行本に無断掲載されたとして、出版の差し止めと損害賠償請求を求めた裁判で、知財高裁は、販売の差し止めと損害賠償額として85万円を認めたというものである。
どのような写真か分からないが、一審も著作権侵害を認めているので、訴えが認められて当然の裁判なのだろう。
ただ、「スナップ写真にも著作権」という見出しは、やや誤解を招く書き方である。
すべてのスナップ写真に著作権が認められるわけではないからである。
著作権は、思想または感情を創作的に表現したもの(著作物)に付与される権利である。
それゆえ、何の意図もなく撮った写真にまで著作権は認められないだろう。
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