日経(H18.6.30)社会面で、摘発カジノの収益を隠匿しようとして、弁護士らが逮捕されたと報じていた。
記事によれば、架空の債権で、収益金600万円の差押をして隠匿しようとしたということである。
債権差押であるから、弁護士報酬は数十万円程度である。
その程度で逮捕されてしまうのでは、割に合わない。
もっとも、実際には多額の弁護士報酬を得ているのかもしれないが(但し、この弁護士は事実を否認しているので真相はよく分からない)。
2006年06月28日(水) |
女子大生誘拐事件 被害者のプライバシーについて |
日経(H18.6.28)社会面で、女子大生誘拐事件を報じていた。
この事件では、被害者の顔、大学、自宅、親などのプライバシーがばんばん報道されているが、大丈夫なのだろうか。
被害者の二次被害が心配である。
2006年06月27日(火) |
堀江被告の公判前整理手続きで検察側が大量の証拠開示 |
日経(H18.6.27)社会面で、ライブドア粉飾決算事件の堀江被告の公判前整理手続きで、検察側がダンボール20個分の証拠を追加で開示したと報じていた。
これだけの量だと見るだけで大変である。
私が経験したケースで、これと同じくらいの分量の証拠が開示されたことがあるが、その証拠を見るために6人が一週間缶詰になった。
堀江被告の事件でも、証拠を精査するのに多くの弁護人が必要であろうし、国選弁護人だと対応できなかったのではないか。
資産のある堀江被告だからこそ、多くの私選弁護人を選任して対応することが可能なのだろう。
2006年06月26日(月) |
過払い金返還請求はビジネスチャンス? |
日経(H18.6.26)3面の広告欄に、週刊ダイヤモンドの見出しで「多重債務者200万人の反撃!」「過払い金返還請求で行列のできる法律事務所」というものがあった。
気になったので、週刊ダイヤモンドを買ったのだが、その記事では、消費者金融に対する過払い返還請求が急増しており、それが弁護士にとってビジネスチャンスになっているとのことであった。
私の経験でも、1人の依頼者が数社合計で1200万円の過払い金返還を受けたことがあり、規定に従った弁護士報酬を得ている。
その意味では、過払い金返還請求が弁護士のビジネスという側面は否定できない。
しかし、利息の上限金利を下げて、グレーゾーンが解消されることがほぼ確実になっており、いずれは過払い金返還請求は無くなり、弁護士の仕事も減ると思われる。
そうすると、グレーゾーンの撤廃を主張することは自分の仕事を減らすことになるのであるが、多くの弁護士はグレーゾーンの撤廃を主張している。
それゆえ、過払い金返還請求が「弁護士のビジネスチャンス」というのは、皮相的な見方だと思う。
2006年06月23日(金) |
役員報酬の個別開示について |
日経(H18.6.23)11面で、会社法施行後、初の株主総会について報じていた。
その記事の中で、ソニーの株主総会では、株主が、取締役の役員報酬を個別開示するよう求めたが、47%の賛成に止まり、否決されたと書いていた。
否決されたとはいえ、47%ということはほぼ半数であり、個別開示の要請は強いものがある。
一般に、役員報酬の個別開示に反対する理由とて、個々の役員報酬の金額というのはプライバシーに関わる問題であること、役員報酬の総額を株主総会で決めれば、お手盛り防止の目的は達成できるから、個別開示までする必要性はないことが挙げられる。
ただ、今回のソニー株主の提案は、上位5人に限って報酬を開示せよとしている。
上位5人となると、会社経営の中枢にいる人たちであり、そのような立場にいる人たちは、プライバシーがある程度制約されてもやむを得ないのではないか。
そうであれば、上位5人の役員報酬を開示するよう定款で定めよという株主の提案は合理的なものと思う。
日経(H18.6.22)13面で、「揺れる著作権保護」というタイトルで、放送と通信の融合の問題について書いていた。
利用者の立場からすれば、好きなテレビ番組をネットで自由に見たいであろうが、俳優などの権利者は安易に自己の権利を渡したがらず、そのため、放送と通信の融合という問題が、「著作権保護との兼ね合いで袋小路に入っている」とのことである。
確かに、これまでは俳優などの権利保護が不十分であり、ネットの利用に当たっては十分な手当てが必要であろう。
ただ、著作物は使われなければ意味がないし、使われなければ権利者の利益にもならない。
それゆえ、大きな議論の枠組みとしては、利用を促進する方向で進めるべきではないかと思う。
2006年06月21日(水) |
山口母子殺人事件 差し戻しはやむを得ない |
日経(H18.6.21)社会面で、山口母子殺害事件で、最高裁は、「無期懲役ははなはだしく不当である」として、1、2審判決を破棄し、事件を高裁に差し戻したと報じていた。
この最高裁の判断に対し、遺族は、「下級審でもう一度審理するというのは、遺族として納得がいかない」とコメントしていた。
さらに審理が続くのであるから、遺族としては当然の気持ちであろう。
しかし、最高裁が原審を破棄する場合には、事件を差し戻すのが原則であり、最高裁が自ら判断すること(これを「破棄自判」という)はもともと例外とされている。
しかも、死刑判決となる可能性が強いのであるから、さらに事実を取り調べて慎重に判断することが不当とは思われない。
それゆえ、遺族の気持ちは分かるが、最高裁が、高裁に事件を差し戻したことはやむを得ないのではないかと思う。
2006年06月20日(火) |
20%を超える儲け話には注意 |
日経(H18.6.20)社会面トップで、「株式が公開される」と嘘を言って5億円を詐取した事件で7人が逮捕されたと報じていた。
最近は、消費者問題の法律相談をすると、一日のうち一件は未公開株の被害者が訪れる。
しかも、逮捕されたことを知ってから慌てて相談に来ることが多い。
しかし、逮捕されてから騙されたお金を取り戻すことは不可能に近い。
そのため、ほとんどの相談が、事件を受任することなく相談だけで終了している。
うまい話に騙されないための一つの目安として、利回りが20%を超える儲け話は眉唾だと思った方がいいと思う。
2006年06月19日(月) |
派遣労働者の事前面接 |
日経(H18.6.19)19面のリーガル3分間ゼミというコラムで、派遣労働者を事前に面接できるかという問題を取り上げていた。
結論としては、正社員となることが予定されている場合を除き、事前面接はできない。
容姿によって選ぶなど差別的な派遣になる恐れがあるからである。
しかし、受付事務を予定している場合に、暗い印象の人が派遣されても企業としては困るであろう。
事前面接ができないというのは、実情に合っていないのではないだろうか(日弁連は事前面接の緩和に反対しているが)。
2006年06月16日(金) |
弁護士に残業手当は? |
日経(H18.6.16)1面の「ネットと文明」という連載記事の中で、深夜まで働く六本木ヒルズ内の企業に対し、残業手当の支給の有無などで労働基準監督署が目を光らせているという内容のことを書いていた。
六本木ヒルズでなくとも、多くのソフトウェア会社などでは残業手当を全額は支給していないのではないだろうか。
ときどき、「年俸制だから残業手当は不要」という議論を聞くが、それは通らない。
そのため、辞めた従業員から後で残業手当を請求されたり、労働基準監督署に駆け込まれたりしてトラブルになることがある。
その場合、企業側にあまり勝ち目はないので注意すべきであろう。
ところで、大手法律事務所では多くの弁護士が深夜まで働いているが、勤務弁護士であれば、残業手当の対象となる。
たとえ裁量労働制(1日9時間と協定すれば、それ以上労働しても9時間の労働とみなす制度)をとっても、深夜業、休日労働には割増賃金の支払いが必要である。
しかし、弁護士に残業手当を支給しているという話は聞いたことがない。
2006年06月15日(木) |
サービサーに業務停止命令 |
日経(H18.6.15)社会面で、法務省は、サービサーのセンチュリー債権回収に対し、業務停止命令を出したと報じていた。
記事によれば、元社長が、取締役会の決議を経ずに株券を作成するなど、取締役会と監査役が本来の機能を失っており、法令順守の体制が欠如していたとのことである。
取締役はすべての業務を把握しているわけではなく、特に社外取締役であれば、取締役会に報告される案件しか分からないというのが実情である。
しかし、サービサーでは、法令順守のために、少なくとも取締役の一人は弁護士でなければならないとされている。
それゆえ、「取締役会が本来の機能を失っていた」というのであれば、その弁護士の責任は重いと思う。
2006年06月14日(水) |
KDDIの顧客情報が400万件流出 |
日経(H18.6.14)1面に、KDDIの顧客情報が400万件も流出したと報じていた。
個人情報保護法は2005年4月から全面的に施行されているが、それ以後の情報流出としては最大規模ではないだろうか。
2004年にはヤフーBBの情報が流出し、謝罪金として1人500円を支払っている。
しかし、訴訟も提起され、裁判所は、ヤフーBBの運営会社に対し、一人当たり6000円の損害賠償を命じている。
今回の情報流出は個人情報保護法の全面施行した後のことであるから、企業の個人情報管理義務違反はより重大ということになるだろう。
そうすると、訴訟提起されると1人あたり6000円では済まないかもしれない。
仮に1万円の損害賠償義務が認められたとすると、400億円の賠償義務ということになる。
個人情報を取り扱っている事業者にとっては恐ろしいことである。
2006年06月13日(火) |
積水ハウスに説明義務違反 |
日経(H18.6.13)社会面で、違法建築になるのに自宅改修計画を持ちかけられ、それにより損害を被ったとして積水ハウスとみずほ銀行を訴えた事件の最高裁判決について報じていた。
その記事によれば、最高裁は、二審を破棄して、積水ハウスの説明義務違反を認め、さらに、みずほ銀行の責任を認める余地があるとしたとのことである。
事実関係がいまいちよく分からないが、おそらく積水ハウスの担当者が、違法建築になるのに、それをよく調査しないまま自宅改修計画を勧めたものと思われる。
自宅を改修した人は、勧めたのが積水ハウという大企業であり、また日本を代表する銀行が融資するのだから、まさかそれが違法建築になるとは思わなかったのであろう。
しかし、このような企業の説明義務が問題になった裁判において、これまでは、企業の説明義務違反はあまり認められていない。
大企業を勝手に信用した方が悪いということなのであろう。
その意味で、説明義務違反を認めた最高裁判例は、画期的判例であると思う。
2006年06月12日(月) |
弁護士が覚せい剤所持で逮捕 |
日経ではなく、朝日ネットニュース(H18.6.12)で、横浜弁護士会が、同会所属の弁護士が、覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されたと発表したと報じていた。 すでに、この弁護士は起訴されて、保釈中とのことであり、「元依頼人に呼び出され、見知らぬ外国人に手渡された。覚せい剤だとは知らなかった」と弁明しているそうである。
弁護士が覚せい剤を所持していたことは嘆かわしいし、「知らなかった」という言い訳も信じ難い。
ただ、不思議なのは、警察はなぜマスコミに発表していないのだろうか。
また、否認しているのに、すでに保釈されていることも異例である。
報じられていない事実が他にあるのかもしれない。
2006年06月09日(金) |
裁判官は、最高裁判例の批判はしない傾向にある |
日経(H18.6.9)社会面で、交通事故で妊婦を負傷させ、緊急出産で生まれた胎児を死亡させた事件について、静岡地裁浜松支部は業務上過失致死傷罪の成立を認め、加害者に禁固1年8月の実刑を言い渡したと報じていた。
「胎児はいつから人となるのか」という問題は、殺人罪の成否と絡んで古くから議論がある。
判例は、一部露出したときから「人」となるという見解である。
この一部露出説からすれば、胎児に対する業務上過失致死罪は成立しないという考えもあり得る。
ところが、最高裁は、水俣病裁判で、胎児に病変を発生させることは、人である母胎の一部に病変を発生させたものであり、胎児が出生し人となった後、右病変に起因して死亡するに至った場合は、結局、人に病変を発生させて人に死の結果をもたらしたことになるとして、業務上過失致死罪の成立を認めた。
かつて司法修習生のときに、裁判官と一緒にこの最高裁判例の勉強会をしたことがある。
修習生のほとんどは、業務上過失致死罪を認めた結論は妥当であるにしても、最高裁の理論構成は不合理であるという見解であった。
というのは、最高裁は「人に病変を発生させて人に死の結果をもたらしたことになる」というが、「人に病変を発生させ」という「人」は母親であり、「人に死の結果をもたらした」という「人」は出生した胎児であるから、整合性がないのではないかという疑問があるからである。
これに対し、裁判官は全員一致で最高裁判例の理論構成を支持して平行線のままで終わった。
もちろん、裁判官の見解が間違いというわけではないが、もう少しいろんな意見が出てもいいではないかという気はした。
裁判官は本能的に最高裁判例の批判はしないものかも知れない。
2006年06月08日(木) |
最近の法律は条文が難解で、理解できないものが多い |
日経(H18.6.8)2面社説では、証券取引法を改正し、金融商品取引法が成立したことについて論じていた。
ところで、従来の証券取引法も、金融商品取引法も、厳密に規制しようとするためか、条文の中にカッコで文章が挿入するなどして、法律家でもなかなか理解できない難解な条文が多い。
新会社法でもパズルのようにして条文を読まないといけないものがあり、評判は極めて悪い。
何とかならないかと思う。
2006年06月07日(水) |
村上ファンドに対する追徴について |
日経(H18.6.7)4面に、村上ファンドがインサイダー取引によって得た財産について、投資家にまで追徴が及ぶのかという問題に関する記事が載っていた。
証券取引法は、インサイダー取引で得た財産は追徴すると規定している。
しかも、証券取引法には両罰規定があるので、村上代表だけでなく、村上ファンドも追徴の対象となる。
そこで、「投資家の出資金も追徴されるのか」という問題が生じるということになる。
記事では、「証券取引法の解釈に幅 専門家の見方は割れる」と書いていた。
村上ファンドの契約の内容が分からないので深い検討はできないが、村上ファンドは民法上の組合のように思われる。
そうであれば、村上ファンドが管理している資金は組合財産であるから、それは追徴の対象になるのではないかと思う。
組合財産が追徴されることにより出資者が損失を被った場合には、違法行為をした村上代表らに対する損害賠償請求することによって補填することになるのだろう。
いずれにせよ、記事では、「証券取引法の解釈に幅」とあったが、これは証券取引法の解釈の問題ではなく、村上ファンドという組織の契約の性質にかかわる問題のように思う。
2006年06月06日(火) |
村上代表の記者会見 往生際が悪いのではないか |
日経(H18.6.6)1面トップは、大見出しで、「村上代表 逮捕」と報じていた。
容疑は、2004年11月8日ごろ、村上代表はライブドアの幹部らからニッポン放送株の5%以上を取得する方針だと知らされ、その後、村上代表らは、ニッポン放送株約193万株を約99億5000万円で買い付けたというものである。
これに対し、村上代表は、記者会見で「2004年11月8日ごろ、ライブドアの幹部らから『ニッポン放送株を買って経営権を取りたい』と聞かされたが、実現可能性は低いと思った」と述べている。
これでは、インサイダー取引したことを認める記者会見を開きながら、インサイダー取引とは思わなかったと言っているようなものである。
争うのであれば徹底的に争えばいいのであって、往生際が悪いと思う。
2006年06月05日(月) |
村上ファンドの村上代表が「きょう逮捕」 |
日経(H18.6.5)1面トップで、「村上ファンドの村上代表をきょう逮捕」と報じていた。
容疑はニッポン放送株に関するインサイダー取引ということである。
報道によると、村上代表はインサイダー取引にならないよう随分気を使っていたそうである。
それでも、一瞬の油断がこのような結果を生んでしまった。
インサイダー取引の怖さを思うと同時に、村上ファンドがここまで目立たなければ、刑事事件にまではならなかったのではないかとも思う。
2006年06月02日(金) |
「共謀罪」 民主党案を丸のみ |
日経(H18.6.1)2面に、「共謀罪」の新設をめぐり、与党が、共謀罪の適用範囲を限定するという民主党案を全面的に受け入れることを表明したと報じていた。
野党案を丸呑みすることは極めて珍しく、その政治的意味合いについてはコメントする立場にはない。
ただ、もともと与党の案があまりにも「共謀」の範囲を広げて過ぎたものであり、筋が悪すぎ法案だったということはいえる。
2006年06月01日(木) |
裁判所の敷地内にある弁護士会館 |
日経ではなく、朝日ネットニュース(H18.5.31)で、大阪地裁に隣接する大阪弁護士会の会館を裁判所が約5億円で買い取ることになったと報じていた。
記事によれば、大阪弁護士会館は裁判所に隣接し、あたかも裁判所の敷地のような地形のため、裁判所以外に売却することが困難であったとのことである。
このケースは、裁判所の敷地と思える地形とはいえ、弁護士会館は隣接していただけであるが、以前は裁判所の敷地内に弁護士会の建物が建っているところが多かった。
しかし、国の敷地内に弁護士会館があることは問題なのであろう。
現在では、弁護士会は、所属弁護士が費用を出し合って裁判所の近くの土地を買って弁護士会館を建設している。
それでも支部にいけば、弁護士会館を建てるだけの資力がないのだろうか、裁判所の敷地内に弁護士会館が残っているところがある。
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