2004年02月27日(金) |
警察官そっくりの制服を着て電車に乗ったら、逮捕。 |
日経ではなく朝日(H16.2.27付)社会面に、通販で警察官そっくりの制服を買って、それを着て電車を往復した人が、軽犯罪法で逮捕されたと報じていた。
そんなことで逮捕されるのかという気がするが、軽犯罪法では、「資格がないのに、法令で定められた制服を用いた者は拘留または科料に処する」と定めている。
つまり、警察官の制服を着てうろうろするだけで犯罪になるのである。
「法令で定められた制服」という限定があるから、どんな制服を着ても犯罪になるわけではないが、そのような趣味を持っている人は注意した方がいい。
2004年02月26日(木) |
日経の連載小説の挿絵が著作権法違反 |
日経(H16.2.26付)文化面に、連載小説「新リア王」の挿絵が著作権・肖像権侵害の恐れがあることが分かり、挿絵の掲載を取りやめたとの「お断り記事」が載っていた。
もっとも、挿絵を見ると、修行中の写真を参考にはしているが、挿絵の作者によって新たな生命が吹き込まれた作品であると思う。
とはいっても、その挿絵は、原著作物(写真)のおかげで生まれたのであるから、写真の著作権者にきちんと了解を得るべきであった。
著作権法はいろいろと難しいことを書いているが、平たく言えばそういうことである。
2004年02月25日(水) |
ヤフーBBの顧客情報が流出 |
日経(H16.2.25付)1面に、ヤフーBBの顧客情報460万人分が流出した可能性があると報じていた。
おそらく内部犯行であろう。
ヤフーBBでは、顧客情報にアクセスできるの可能性のある人間の数は100人を超えていたようであるが、多すぎるのではないか。
もっとも、最近は50人程度に絞っていたようであるが、対策として遅すぎる。
少なくとも、このような情報の漏洩事件が起こったときに、情報に接触できる人間を直ちに特定できるようにしておくべきであるが、それさえもできていないように思われる。
それにしても460万人分となると、例えば「2ちゃんねる」で訴訟する人間を募って損害賠償の訴訟提起すると、一人当たりの損害額が1万円としても、1万人集まると一億円の請求になる。
とすると、1人1000円の弁護費用を徴収しても、弁護費用は1000万円になる。
やってみようという弁護士が出てくるかもしれない。
2004年02月24日(火) |
社外取締役は片手間ではできない |
日経(H16.2.24付)29面に、委員会等設置会社についてのコラムが掲載されていた。
そこでは、委員会等設置会社の実施企業がいまだ少ないこと、その理由として、社外取締役が果たすべき役割が不明確なことにあり、そのため、監督の基準を明確にする必要があることを論じていた。
書いていること自体は間違いとは思わないが、私は、社外取締役が期待された役割を果たすためには、社外取締役が必要かつ十分な会社情報を得ることができる体制を保障することであると思う。
月に一度程度の取締役会に出席しただけでは、情報量は限られており、十分な監督責任を果たすことはできない。
取締役会の前に議案の内容をよく検討し、不明確な場合は自ら情報を取得できる体制であること、会社にとってマイナスの情報も上がって来る体制にしておくことが必要である。
このように考えると、社外取締役というのは片手間でやれる業務ではない。
ましてや、いくつもの社外取締役を掛け持ちすることは不可能である。
その意味で、私は社外取締役に監督機能を過度に期待することはできないのではないかと思っている。
2004年02月23日(月) |
松本被告の弁護団長のインタビュー記事 |
日経(H16.2.23付)社会面に、オウム事件の松本被告に対する判決を前にして、松本被告の弁護団長のインタビュー記事が載っていた。
この弁護団長は、以前は比較的大きな事務所に所属していたのだが、オウム事件の弁護団長になるにあたり、事務所に迷惑がかかるかもしれないというので、その事務所を退所したと聞いている。立派な方である。
弁護活動においては、松本被告とまったく意思疎通ができず、苦労したことと思う。
また、立場上、自分たちの弁護活動を否定するように言い方もできないだろう。
とはいえ、そのインタビュー記事の中で、「無駄な質問は一つもなかった。質問を批判するなら、許可をした裁判所を批判すべき」という答えはいかがなものかと思う。
裁判所が苦々しい思いで弁護人からの質問を聞いていたのは公知の事実だからである。
私は、的確な質問であればあるほど、質問時間は短くて済むと思っている。
その意味では、弁護団が質問の趣旨さえも不明な、揚げ足とり的な質問をしたことについては素直に反省すべきではないかと思う。
2004年02月20日(金) |
東京高裁が、ストックオプションは給与所得であると判断 |
日経(H16.2.20付)1面で、東京高裁が、ストックオプションは給与所得であると判断したという判決を報じていた。
給与所得と認定されると、一時所得とする場合に比べて税額はほぼ倍になるから、受け取ったほうとしては重大である。
確かに、ストックオプションの実態を考えると、給与取得と考えるべきかなと思う。
ただ、問題は、税務署は、あるときまでストックオプションを一時所得として処理するよう指導していたのに、それをある日突然、給与所得であると見解を改めたのである。
企業も受け取る側も、ストックオプションは一時所得として処理することを前提にしていた。
それがあるとき突然変わるのでは、予測可能性がつかない。
このような恣意的な処理は租税法律主義に照らして問題である。
今回の東京高裁の判決で、裁判の流れは税務署の言い分を認める方向になったようである。
しかし、私はこのような税務署の恣意的運用は問題であると思う。
日経(H16.2.19付)1面で、企業が情報を不正に開示した結果、株取引で損失した場合、企業に対する賠償責任の訴えが容易になるように証券取引法を改正すると報じていた。
これまでは、情報を不正に開示していたとしても、投資家の損失との因果関係の有無や、損害額の算定が困難であった。
それを、改正により、情報不正開示と損害とに因果関係があると推定することにし、また、損害額については、前後2ヶ月の平均株価と、投資家の売却時の株価の差額とを損害とするとのことである。
社会が複雑になると、一つの原因だけで一つの結果が生じるわけではなく、因果関係は複雑になってくる。
また、損害の算定も難しい。
そのため、投資家が訴訟を起こすことは容易ではなかった。その意味で、このような法改正は望ましい。
ところで、記事では、前後2ヶ月間の平均株価が180円の場合、その投資家が120円で売却したとすると、法改正により、60円が損害とされると解説していた。
しかし、仮にその投資家が、株価を100円で購入していたとすると、120円で売却できたのだから損害がないともいえそうである。
このように損害の算定というのはなかなか難しい。そのため、法律案のように、ある程度は擬制によって算定するしかないのである。
2004年02月18日(水) |
カネボウへの産業再生機構の支援は、法の趣旨に反しないか |
日経(H16.2.18付)社説で、カネボウが産業再生機構を利用する経営再建策を示したことに対し、「甘えではないか」という厳しい批判を寄せていた。
産業再生機構法1条は、産業再生機構の目的として、「雇用の安定への配慮」「我が国の産業の再生」「不良債権の処理の促進による信用秩序の維持」「有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者の事業の再生を支援」を挙げている。
しかし、産業再生機構がカネボウへ支援することは、「産業の再生」「事業の再生」を図るものではなく、「カネボウの再生」を目的にするもののように思える。
それは、法の趣旨に反しているのではないだろうか。
2004年02月17日(火) |
供託却下は当然である |
日経(H16.2.17付)社会面に、学歴詐称問題の古賀議員が、議員歳費を返納するために法務局に供託したが、供託を却下されたと報じていた。
供託の却下は当然である。
供託は、賃料に争いが生じ、賃貸人が受け取りを拒絶しているときに、賃借人が供託することにより、賃料不払いの責任を免れるためなどの場合に使われる制度である。
供託はこのような場合だけではないが、いずれにせよ、供託できる要件は法律で定められており、いかなる場合でも供託できるわけではない。
政治的パフォーマンスかも知れないが、国会議員なのだから、法律に基づいた行動をすべきであろう。
この人は何を考えているのだろうと思う。
2004年02月16日(月) |
日亜化学の訴訟戦術は稚拙である |
日経(H16.2.16付)5面に、青色LED訴訟で200億円の支払を命じた判決についてのコラムが載っていたが、その中で、「中村教授の貢献分をマイナスとした鑑定を提出したのは法廷技術としてあまりに稚拙である。」と断じていた。
私も、同感である。
日亜化学は、この特許の価値がマイナスという鑑定結果を提出したが、「マイナスの特許ならば、放棄すればいいじゃないか。」というツッコミが聞こえてきそうである。
当然、裁判所は、そんな証拠は無視した。
この訴訟は、日亜化学側の訴訟の稚拙さが目立つ。
社長が悪いのか、弁護団が悪いのかは分からないが・・。
2004年02月13日(金) |
公立高校が予備校に大学合否情報を提供 |
日経(H16.2.13付)社会面で、公立高校が予備校に大学合否情報を提供した行為が、個人情報保護条例に抵触するのではないかという記事が載っていた。
個人情報保護条例では、特定の個人であることが分かる個人情報を外部に提供する場合は、当該個人の同意が必要と定めている。
したがって、同意を得ずに合格者の氏名を予備校に提供することは個人情報保護条例に違反する。
文部科学省は、条例違反になるかどうか言葉を濁しているようであるが、条例違反になることは明らかであろう。
ところで、そうすると、例えば公立高校の合格発表の掲示板に合格者の氏名を記載することも許されないのだろうか。
もっとも、「外部」に情報提供したとはいえないので、条例違反にならないともいえそうである。
事前に同意を得ておけばいいのであるが、同意がない場合はなかなか難しい問題である。
2004年02月12日(木) |
武富士が、お詫びの全面広告 |
日経(H16.2.12付)に、武富士が、武井会長が起訴されたお詫びと、今後はさらにコンプライアンス体制を強化していくという内容の全面広告を出していた。
「コンプライアンス体制のさらなる強化」は結構であるが、しかし、武富士はそれまでもコンプライアンス体制はあったはずである。
それがなぜ機能せずに会長の独走を許したのか、どうして、これまでと違い今後は法令遵守することができるようになるのか、といった点を具体的に明確にすべきである。
そうしない限り、単なる決意表明で終わるだろう。
2004年02月10日(火) |
イラクで、自衛隊が民間人を誤射した場合の刑事責任 |
日経(H16.2.10付)社会面に、イラクの自衛隊活動に関し、テロリストと間違って民間人を射殺した場合などに、どのような刑事責任を負うのか問題となっており、「解釈が難しい」と結論付けていた。
記事の中では、「民間人を誤射しても故意がなければ免責される」と書いていたが、正確ではない。
しかし、テロと思って撃ったところ民間人であった場合でも、殺人の故意はある。
人を撃つということの認識において違いはないからである。
したがって、民間人を射殺した場合は、殺人罪の適用が問題になる。
ただ、正当防衛と思って撃ったところ、正当防衛でなかったのであるから、誤想防衛ということになる。
これは、誤想防衛は故意を阻却されるかという問題であり、司法試験の刑法の問題にもよく出題される。
記事では「解釈が難しい」とあったが、日本国内でも起こりうる問題であり、解釈として難しいことはない。
ただ、イラクという戦争状態の外国の地で証拠がきちんと収集できるのかという意味では、難しい問題があると思う。
2004年02月06日(金) |
東京ゼネラル問題で、行政責任を問う声が高まる |
日経(H16.2.6付)27面に、商品先物取引会社の東京ゼネラルが破綻した問題で、行政の監督責任を問う声が次第に高まっているという記事が載っていた。
記事によれば、東京ゼネラルは虚偽の財務諸表を公表していたが、行政はそれを見抜く機会が何度もあったのに、放置したとして、行政の責任を問う損害賠償訴訟が起きるかもしれないとのことである。
そもそも、監督官庁である経済産業省と農水省とは、商品先物取引業界を育成する立場と、監督する立場の二つの立場を併せ持っている。
これでは十分な監督ができるはずがない。
実際、先物取引業者はたびたび問題を起こしているが、一向に改善されない。
実効ある監督をするためには、独立した監督機関を新設するしかないであろう。
2004年02月05日(木) |
京大側が、不正アクセスにあたらないとの見解を表明 |
日経(H16.2.5付)社会面に、京大研究員が、著作権保護団体のホームページから個人情報を引き出し、不正アクセス禁止法で逮捕された事件で、京大側が、不正アクセスに当たらず、違法性はないとの見解を示したと報じていた。
その理由として、「プログラムの欠陥からサーバーに侵入したものであり、パスワードやアカウントを盗んでいない」ということらしい。
京大側は、法学者にも相談したらしい。
しかし、不正アクセス禁止法に定める「不正アクセス」の定義には、他人のパスワードを使うことだけでなく、制限されている情報を利用できるようにする行為も含まれている。
したがって、京大側の見解は無理があるように思う。
確かに、サーバーの欠陥を放置した管理者に問題はある。
だからといって、そこに侵入して情報を取得していいということにはならない。
「違法でない」という京大側の見解は、身内をかばうだけのものでしかないと思う。
2004年02月04日(水) |
顧問弁護士はつらい? |
日経(H16.2.4付)社会面に、日本歯科医師連盟が、不正な経理処理をしたという事件で、連盟の弁護士は、「献金は訂正に処理している」と述べて、虚偽記載を否定したと報じていた。
しかし、受け取った議員側では受領を認めているのに、それを収支報告書に記載していないのであるから、「適正に処理」されていないのは明らかである。
おそらく、顧問弁護士もそう思っているのではないか。
そうは言っても、連盟側が「適正に処理している」といえば、顧問弁護士もそれに沿うコメントをせざるを得ない。
コメントすることを断れば、「何のための顧問弁護士か」といわれるだろう。
こういうときの顧問弁護士はつらいものである。
2004年02月03日(火) |
アメリカでの経済スパイ容疑について、日本で窃盗罪を適用 |
日経(H16.2.3付)1面と3面に、アメリカで経済スパイ罪で起訴され、身柄の引渡しを求められていた遺伝子スパイ事件で、検察庁は、窃盗罪を適用して、研究者を身柄拘束したと報じていた。
その解説記事で、アメリカでの経済スパイ容疑について、日本で窃盗罪を適用して引き渡すことのバランスの悪さを指摘していた。
しかし、バランスは悪いのだろうか。
確かに、経済スパイを直接処罰する規定は日本の法律にはない。
しかし、日本国内で、会社から試料を無断で持ち出したのであれば、それは窃盗罪である。
情報の窃盗が犯罪になるかということは、刑法の勉強のときによく問題になる。
結論としては、情報を盗んでも犯罪にならないが、情報を印刷している紙を持ち出せば、その紙を窃取したと評価できるので窃盗罪が成立する。
また、コピーして持ち出したとしても、コピー用紙の持ち出しが窃盗罪に該当する。
たとえ、外に持ち出してコピーして資料を元に返したとしても、外に持ち出した時点で窃盗罪が成立する。
何だかクイズみたいだが、いずれも窃盗罪が成立する。
したがって、試料を持ち出せば当然窃盗罪が成立するから、身柄拘束されアメリカに引き渡されることはやむを得ないと思うし、バランスを欠くとは思わない。
この研究者は、知的所有権が誰に属しているのかという認識が不十分だったのではないだろうか。
2004年02月02日(月) |
日本弁護士連合会と公明党は近い? |
昨日の日経(H16.2.1付)2面に、「影響力をます公明党」という内容の記事が載っており、その中で、「日本弁護士連合会に近い公明党」と書いていた。
しかし、日弁連が公明党に近いというのは初耳である。
むしろ、自民党などからは、日弁連は共産党に近いと思われていたはずである。
自民党があまり相手してくれないから、同じ与党である公明党にお願いするしかなく、それが「日本弁護士連合会に近い公明党」と思われているのかも知れない。
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