今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年03月31日(日) 弁護士事務所の法人化について

 日経17面に、弁護士・税理士が法改正により会社になることが認められという特集記事が載っていた。

 これまで、法律事務所は、法人ではなかった。
 だから、法改正により、これまで個人商店だったのが、会社組織に変わるようなものである。


 ところで、その記事で、経済界では、弁護士、会計士、税理士など異なる専門家が1つの会社を構成し、顧客の相談に総合的に対応する「ワンストップショップ」への要望が強いと書かれている。

 その要望はよく分かる。

 とくに税金問題は、それを無視した問題解決はあり得ないほど重要であり、会計士・税理士とチームを組んで対応する必要性は高い。


 ただ、会計士・税理士と一緒にチームを組んでやる案件というのは、いつもあるわけではない。


 法律事務所の中には、税理士が所属している事務所もあるが、実態を聞いてみると、法律事務所と会計事務所の2つがあるような感じで、到底、「ワンストップショップ」とはいえないようである。


 おそらく、法律事務所がかなり大規模化し、扱う案件が相当増えないと、会計士・税理士などを雇用する意義はないであろう。

 その意味でも、今後、法律事務所の大規模化は不可避であると思われる。


 ちなみに、私の事務所は小さな事務所である。
 しかし、企業だって大企業だけが生き残れるわけではない。
 工夫して、大規模事務所ではできないことをやっていきたいと思っている。



2002年03月30日(土) 証券監視委の権限強化は賛成であるが、実現は難しい

 日経16面に、経団連が、日本版SEC創設構想を打ち出したというインタビュー記事が載っていた。

 あれっ、「日本版SECはあったのじゃないの?」と思って読んでみると、

 現行の証券取引等監視委員会では不十分であり、これを金融庁から独立させ、アメリカSECのように、独自の行政処分権、企画提案権を与えるという内容のようである。


 その内容を要約すると

 投資家の金融資産を効率的に運用させることが国家的命題であること、

 そのためには、市場取引のルールを透明にする必要があること

 これまでは、自由化ばかりに目がいって、市場の透明さの確保が見落とされてしまったこと

 このような透明さの確保のために、証券行政を銀行・保険行政から切り離し、資本市場に関する監督権限を監視委に集中させる必要がある

という内容である。


 日経7面には、アメリカでは、エンロン問題を教訓に、SECが最後のチェック役になるには、大きな組織も容認せざるを得ないという流れが強まっているという記事が載っていた。


 すなわち、監視機関の強化というのは時代の要請といえるものであり、経団連の構想に賛成である。


 ただ、独立の監視委を創るということは、官僚が自己の権限を手放すことを意味するから、果たしてそのような認めるだろうかという懸念がある。

 また、権限の強化と同時に重要なことは人材の確保であるが、SECに優秀な人材が集まるだろうかという疑問もある。

 したがって、実現性という意味では、期待薄といわざるを得ないのではないだろうか。



2002年03月29日(金) 再び空売り規制について

日経7面に、「検証・空売り規制」という特集記事が載っていた。

 このような検証記事を載せるのは、空売り規制に対し、よほど批判が集まっているのだろう。


 その記事によれば、空売り規制は、G7を控えて、公的資金の再注入に代わって、急浮上したこと

何としてでも株価を上げて、3月危機を回避する必要があったこと

などが空売り規制導入の理由であり、「株価対策 色濃く」と結論づけている。



 株価は一時1万2000円を回復したため、「金融庁の勝利」という評価も増え始めているそうである。

 しかし、同じ記事の中に、マレーシアで、空売りを禁止にしたところ、海外投資家の市場参加が減少し、売買高も細り、他のアジア諸国に比べて株価の戻りも鈍くなっている記載もあった。

 日本でも、株価は1万2000円を再び割っており、空売り規制の効果が持続するかどうかは不明である。



 証券取引法は、第1条において、有価証券取引の公正と、有価証券の流通の円滑化をはかることを直接の目的とすると規定している。

 そうであるのに、株価対策のために、空売り規制することは、取引の公正に反するし、流通の円滑化も図れなくなる。
 すなわち、証券取引法の目的に反しているのである。

 このような小手先の規制は、小泉内閣のいう、「骨太の政策」とは言わないのではないか。



2002年03月28日(木) 弁護士はそんなに儲かる仕事ではない

 日経社会面で、「リクルート事件 あす論告求刑」との記事が載っていた。

 「えっ!まだ裁判していたの?」という感じである。

 記事によれば、初公判以来、12年間、318回の公判が開かれたそうである。


 ただ、ここでは、リクルート事件の問題や、長期化した裁判の批判ではなく、弁護士報酬について書いてみたい。


 弁護士費用は、着手金と報酬金に分かれる。

 着手金は、最初に必要な費用であり、裁判に勝っても負けても払わなければならない(弁護士もただでは動けないのだから)。

 報酬金は、裁判に勝ったときに発生する費用である。


 江副さんが着手金を幾ら払ったかは知らないが、大きな裁判であり弁護士1人ではできないこと、全面否認していたので長期化が予想されていたことなどから、着手金は2000万円と仮定する。


 個人が2000万円を払うというのは大変なことである。
 弁護士は儲かっていいなあと思うかも知れない。


 これを時給に直して計算してみる。

 弁護士は最低でも3人は必要であろう。
 そうすると、一人あたり約666万円が収入である。

 裁判は318回開かれたから、一回当たり2時間として、636時間。

 江副氏は、裁判の前に、一回の裁判あたり、4回か5回打ち合わせをしたと言っているから、平均して4.5回する。
 一回の打ち合わせに2時間かかったとすると

 318回×4.5回×2時間=2862時間


 それ以外に、弁護士だけの打ち合わせも必要である。
 また、記録を読んだり、書面を作成する時間が必要である。

 これが、一回の公判当たり、3時間かかったとする。
 すると、318回×3時間=954時間


 以上をトータルすると4452時間となる。


 先ほどの666万円を4452時間で割ると、
一時間あたり1495円となる。


 ただし、これには、交通費、事務費などの経費はまったく計算に入れていない。
 また、着手金に対する税金も考えていない。
 捜査段階では、何度か逮捕された江副氏に面会に行っているはずであるが、それらの時間も考慮に入れていない。


 それらを考慮すると、時給は1000円以下になりそうである。

 弁護士というのは、そんなに儲かる仕事ではないのである。



2002年03月27日(水) 東京都 外形標準課税で敗訴

 日経三面、社会面、社説は、東京都の外形標準課税に対し、違法という司法判断がなされたことの記事であった。


 私が興味あるのは、その判断の当否よりも、東京都がわずか2か月くらいで、条例をまとめたときに、東京都の顧問弁護士は、どのように関与し、どのようなアドバイスをしたのかである。


 まさか、その条例は問題はないというアドバイスはしてないだろう。
 そのようなアドバイスをしたとしたら、それは大問題である。


 おそらく、顧問弁護士としては、その条例が問題があることは指摘したのだろう。
 
 しかし、問題点を指摘した上で、「最終的には東京都が決めることである」という言い方をしたのではないだろうか。



 実は、弁護士が、依頼者からアドバイスなどを求められて、このような回答をすることは多い。

 弁護士は経営者ではないのだから、問題点を指摘すれば十分であり、あとは、そちらで判断してくれというわけである。

 本音を言えば、弁護士としては、いいか悪いかはっきりいうのは、自分に責任が掛かってくるから怖いわけである。
 とくに、止めとけというのは言いやすいけど、やってもいいというのは怖い。


 しかし、依頼者からみれば、いいのか悪いのか、はっきりいって欲しいであろう。
 依頼者は、そういうはっきりした結論を求めているのであって、そういうはっきりした結論が欲しくて、対価を払っているわけである。


 そのため、私は、責任逃れをせず、できるだけ結論をはっきりいうように努力している(そうはいっても、仮に裁判になったら勝つか負けるか結論を出しかねる事案も多く、依頼者のニーズに応えるのはなかなか難しい。)。



2002年03月26日(火) 宇宙戦艦ヤマトの著作者は松本零士でないとの判決

 日経社会面に、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の著作者は、アニメプロデューサーであるとして、漫画家松本零士氏の請求を棄却したとの記事が載っていた。


 判決によれば、当該プロデューサーは、企画書の作成から映画の完成までの全製作過程に関与したが、これに対し、松本氏は、作品全体からみれば部分的であり、プロデューサーの製作意図を反映したに過ぎないと判断したとのことである。


 宇宙戦艦ヤマトは、松本零士氏の作品という印象が強いだけに、意外感がある判決であるが、判決は、全体的イメージを作ったのが誰かに着目している。

 その中で、松本氏は、プロデューサーの創ったイメージを受けて、そのイメージに従って描いたにすぎないと判断されたようである。


 創作活動において最も重要なことは何かを考えさせられる判決である。
 



2002年03月25日(月) 辻元議員問題−秘書が同意すれば詐欺罪にならないというのはおかしい−

 日経一面、二面、社会面は辻元議員の記事であった。

 秘書としての勤務実態がないのに、あるように装い、国から支給されたの秘書の給与を、他に流用したのではないかという疑惑である。

 同様のケースは以前にもあり、2人の議員が詐欺罪で有罪になっている。

 そのため、辻元議員も、政治的責任だけでなく、詐欺罪の適用も問題にされている。


 ところが、辻元議員の代理人弁護士は、「秘書の同意を得ているので詐欺罪にはならない」と言ったそうである。


 これはおかしい。


 確かに、秘書が被害者であれば、その秘書の同意があれば詐欺罪は成立しない。

 しかし、ここで問題になっているのは、国が騙されたかどうかであり、被害者は国である。

 だから、秘書が同意していたかどうかは、犯罪の成立には直接には関係がない。


 この場合、詐欺罪の成否のポイントは、秘書の同意があったかどうかでなく、秘書としての勤務の実態があったかどうかである。



 新聞記事は、話したとおり書かず、適当につまみ食いして書かれるので、その代理人弁護士の発言の正確なところは不明である。

 しかし、かりに、その発言通りであれば、辻元議員はその弁護士から適切なアドバイスを受けられているのか心配になってしまう。
(といっても、私は辻元議員の支持者でも、アンチ辻元派でもないですが)



 話は大分それるが、このような場合、弁護士は、疑惑が発覚した直後から、法的アドバイスにとどまらず、トータルなアドバイスができればと思う。

 これまでは、弁護士は、聞かれたらアドバイスをするというスタンスであり、控え目であった。

 しかし、これからは、それだけではニーズに応えきれないと思う。


 週刊誌で疑惑が発覚した直後から、まず事実関係を確認し、あとで発言がぶれないよう、徹底的に事実関係をチェックする。

 発言では、間違っても、「秘書が・・」なんて言わせないようにする。

 どんな服装を着るべきかまでアドバイスする。


 要するに、アメリカ型なのだが、弁護士はこういった分野にも進出すべきであると思っている。



2002年03月24日(日) アナリストレポートが、ネットで個人でも入手可能に

 日経11面に、アナリストリポートが個人投資家でも入手できるようになったという記事が載っていた。


 これを読んで、第一に思ったことは、情報が多様化・公平化するわけであり、喜ばしいということである。

 第二に、このような情報の多様化・公平化により、情報を独占していた証券会社の担当者にとっては厳しい時代になったのだろうということである。

 従来は、アナリストリポートを適当につまみ食いして、それをあたかも重要情報のように顧客に説明し、顧客もそれをありがたがっていたケースもあったであろう。

 しかし、そのような手法は通用しなくなりつつある。

 もっとも、それは、人の情報を流すだけで商売できていた時代が終わったというだけであって、今後は、証券会社での中も、優秀な人とそうでない人との差別化がなされていくのだろうと思う。


 第三に、直接情報が入手できるということは、自己責任の原則がますます強調されるということである。

 記事にもあったが、アナリストリポートでは、バイが5割、ホールドが4割、セルは1割だそうである。
 そうであれば、株価は上がる一方のはずだが、実際はそうではない。

 すなわち、アナリストリポートを信じて取り引きしても損をする可能性は高いわけである。

 しかし、それも自己責任であって、もはや証券会社の責任にはできなくなるわけである。
 一般投資家は、このことに特に留意すべきであろう。



2002年03月23日(土) 借用書に署名してなくても、裁判で負ける?

 おとといの日経だが、気になっていた記事があるので、そのことについて・・。

 3月21日の日経社会面に、偽造借用証書を使って貸金請求訴訟を起こした事件のことが載っていた。

 その記事によれば、容疑者は、これまで2000件以上の訴訟を起こしたそうである。


 この記事を読んで、偽造の借用証書なのに、なぜ裁判で勝つことができるのだろうか、訴えられた方が「借りていない。借用証書の字は、私の字と違う。」と言えば、それで済むはずと思うかも知れない。

 しかし、現実は、まったく借りた覚えがないのに、偽造した借用証書を証拠で出されて、その証拠を重視して、裁判所が、偽造した側の訴えを認め、支払いを命じたケースがあるのである(もちろん、請求を認めなかった裁判所もある。)。

 中には、和解の席で、裁判官が、「契約書があるのだから」と言って、強引に和解に応じることを説得したケースもあるようである。



 こわい話である。
 借りてもない、借用書に署名捺印してもない、お金を借りてもないのに、裁判で負けるのだから。



 この原因は、一部の裁判官が、契約書等の書面を重視するあまり、物の見方が硬直的になっているためである。


 借用証書があるのに、訴えた債権者の訴えを認めないのは勇気がいる。
 しかし、訴えた債権者を勝たすのには勇気はいらない。


 そのため、今後も、このような硬直的な見方をする裁判官が増えてくるような気がする。



2002年03月22日(金) 弁護士が依頼者を詐取して逮捕 情けない話である

 今日の日経社会面に、弁護士が依頼者から300万円を詐取して逮捕されたという記事が載っていた。

 なんとも情けない話である。

 おそらく、その弁護士は何千万円あるいは何億円の借金を抱えているのだろう。
 だから、300万円というのは氷山の一角であり、他にも預かり金を横領したりしていると思う。


 以前は、バブルのときに不動産や株式投資などに手を出して多額の借金をつくって、それで首が回らなくなって事件を起こすというパターンが多かった。

 しかし、最近は、女性に入れ込んで借金したり(どういうわけか、フィリピン女性が多いという話である)、いろいろのようである。



2002年03月21日(木) 政府による株価操作はいいかげん止めたらどうか

 日経4面に、金融庁が、空売り規制を定めた証券取引法に違反するとし、5証券会社に業務改善命令を出したことが載っていた。

 空売りする証券会社は証券取引所に対し、空売りであることを明示する義務があるが、その明示義務に違反したのだそうである。


 しかし、違反の内容は、保有する現物株数の確認を怠ったため、あるいは、証券金融会社へ借り株の申し込みを忘れたために、空売りをするつもりがなかったのに空売りとなってしまい、結果として明示義務違反を犯してしまったのだそうである。

 すなわち、うっかりミスである。

 それでも業務改善命令を出したのは、金融庁は空売りに対し厳しい姿勢で臨んでいる姿勢を示したかったのだろう。


 同じ紙面で、柳沢金融担当相が、大統領経済諮問委員会(CEA)のハバード委員長が日本政府の空売り規制強化を批判したことに反論したことが載っていた。


 政府は、よほど空売り規制をしたいのだろう。


 ところで、日経15面コラム「大磯・小磯」に、金融当局が空売り規制に当たり議員に説明した資料のことが載っていた。

 その説明資料には次のようなことが書いてあったそうである。

「外資は東京から撤退して食い逃げに走る可能性が大」

「外資が空売りするのは、年俸一億円の専門家を100人から150人抱えており、新しい不良債権の材料がないと、人員を支えきれないから。」


 要するに、株価下落の諸悪の根元は外資にあり、これを空売り規制によって叩けば、株価は上昇するという発想である。


 しかし、そこには、なぜ空売りが悪いのかが説明されていない。

 悪いのは株価操作であって(これは法律ではっきり禁止されている)、空売りではないであろう。

 政府は、いいかげん、このような姑息な手段による株価操作は止めたらどうか。



2002年03月20日(水) 山形マット死事件、裁判所の判断が分かれる

 日経社会面トップは、山形マット死訴訟で、生徒7人の関与を否定した判決の記事であった。


 この事件は、少年事件(成年の刑事事件)では、家裁で3人の関与を肯定し、高裁では7人全員の関与を肯定していた。

 昨日の判決は、民事訴訟であるが、まったく逆の判断をしたことになる。


 全員が関与していないとすると、「じゃ、誰がやったんだ」と言いたくもなるが、証拠を見ているわけでないので、裁判所の判断についてはコメントのしようがない。


 ここで言いたいのは、少年事件では、検察官のチェックが十分でないということである。


 成年の事件であれば、有罪率は99%以上であり、検察官としては、絶対に有罪判決を得なければいけないと考えてる。

 それゆえ、証拠を厳密に検討する。

 必要があれば、追加の捜査を命じ、有罪できるだけの証拠を集めさせる。

 たとえ被告人が自白していても、かりに公判になってから自白を翻して争うことを想定して、そうなっても有罪にできるだけの証拠を集めるのである。


 ところが、少年事件は、全件、家庭裁判所に送致される。

 その時点で、検察官の手からは離れる。

 すなわち、少年事件では、検察官が自分で公判を維持するわけではなく、その後は当事者ではなくなるから、どうしても証拠の検討が緩くなっしまうのである。

 これが、山形マット死事件で裁判所の判断が分かれた原因の一つとなっていると思う。


 少年法改正により、検察官が関与が認められるようになったが、例外的であり、基本的構造は変わらない。
 そのため、今後も同じような問題は生じるだろう。



2002年03月19日(火) 再び、志村化工の株価操縦について

 日経には載っていなかったのだが、志村化工の株価操縦事件で、証券取引監視委員会は、株価操縦を知りながら売買の注文を受けたネット証券に対し、行政処分をするよう金融庁に勧告したそうである。


 しかし、事実関係としては、ネット証券の担当者は、株価操縦であること知りつつ売買の注文を受けたのだから、共犯ではないか。
 したがって、刑事処分となることもあり得たと思う。

 その意味では、行政処分というのは、処分として重くはないといえる。


 しかし、このようなことを繰り返していると、いずれは刑事事件に発展することもあると思う。

 そうなると、雪印乳業や、三菱自動車のように、一挙に社会的信用を失うであろう。
 とくに、ネット証券などの新興の証券会社は、信用を失ったときに、それに耐える体力がないため、倒産の恐れさえある。


 確かに、仕手筋、仕手株という言葉が日常的に出てくる世界であり、株価操縦であることを知りつつ注文を受けるというのはどこでもやっていることかも知れない。

 だからといって、目先の利益に走っていると、将来すべてを失う恐れがあることに注意を喚起したい。
 



2002年03月18日(月) 山形マット死事件 もっと迅速な裁判を

 日経社会面に、「山形マット死事件の賠償訴訟が明日判決」という記事が載っていた。

 この事件は、少年審判(成人の刑事事件に相当)と、民事事件とでそれぞれ裁判になった。

 そして、審判では、3人が不処分(無実に相当)になっている。

 他方、明日判決があるのは、民事事件での地裁判決である。


 民事事件と、刑事事件(本件では少年審判)は、まったく別個に行われ、それぞれの判断は、相互に影響しない。
 だから、同じ事件でも違う結論が出ることがある。

 違和感を覚えるかも知れないが、裁判所はそれぞれ独立していることの現れであり、やむを得ない。


 それにしても、この事件は1993年に起こったから、すでに9年が経っている。

 無実を争っている少年は、本当にやっていないのであれば、この9年間は辛かったであろう。

 他方、仮に、暴行に参加していたのであれば、やっているのに9年間も嘘をつき通したことになる。
 これは、その少年の精神面に、よい影響を与えていないのではないか。


 問題なのは、こんなに長くかかった裁判である。
 加害者とされている少年や、被害者の両親のために、もっと迅速な裁判がなされるべきだったと思う。



2002年03月17日(日) 破産手続きの簡素化は、弁護士への信頼が基礎に

 日経18面に、「簡易な破産手続き広がる」という見出しのコラムが載っていた。

 破産手続きを簡素化して、迅速な処理をはかると共に、できるだけ弁護士が申立人代理人となり、かつ、免責不許可事由があるなど問題のある事案は、破産管財人を付けて、手続きの透明性と、公正さをはかる試みがなされているという内容である。


 すなわち、弁護士を破産手続きの中に積極的に参加させ、裁判所と弁護士とが協働することによって、手続きの迅速性と、公正さをはかろうとするものである。

 しかも、裁判所と弁護士との協働といっても、弁護士の報告を全面的に信用し、小規模の破産手続きでは、裁判所のチェックは、ほとんどノーチェックに近い。


 だから、弁護士(申立人代理人)がその気になれば、破産者の資産隠しなど、不正なことはいくらでもできる。

 そこには、裁判所の弁護士に対する著しい信頼がある。


 だからこそ、弁護士は、襟を正して職務を全うしなければならないし、私自身も、それを常に自覚している。



2002年03月16日(土) カイワレ訴訟で国に600万円の賠償命令

 日経社会面に、「O157カイワレ訴訟 国に600万円賠償命令」という見出しの記事が載っていた。

 それによると、カイワレ大根の生産者が、O157の原因としてカイワレ大根の可能性があると発表した厚生省に対し、損害賠償として、5250万円を請求した事件で、大阪地裁は、厚生省の発表は相当性を欠くとして、国に、600万円の賠償を命じたそうである。


 報道によると、請求額の約12%しか認められていないから、全面勝訴とはいえない。

 しかし、国としては、法的責任があるとされたのだから、今後に与える影響は大きいだろう。


 それにしても、行政が、国民の安全を考えて、早期に発表したのが違法だとすると、今後は発表に慎重になり、従来の姿勢に戻るのではないか。

 もっとも、判決は、早期に発表したのが違法としたのではなく、その発表の仕方に問題があるとしているのだが、受け止める厚生省としては、同じことであろう。


 私は、早期に発表した厚生省が違法であるとは思わないし、その発表の仕方にも問題があるとは思わない。
 この判決は、高裁でひっくり返るのではないだろうか。

 もちろん、厚生省の発表により損害を受けたカイワレ業者には同情を禁じないが、それは行政が補償することによって解決すべきであろう。
 



2002年03月15日(金) 処理過程の説明が重要

 日経19面に、「IASB東京会議の焦点を聞く」という見出しで、モルガンスタンレー証券マネージングディレクターに、会計基準の違いが支障になるかなどについて聞いていた。


 そこで答えていたことを一部拾い出してみると

「会計基準の違いは支障にはならない。
 なぜなら、企業価値は、(1)ディスカウントキャッシュフロー、(2)時価に置き換えた純資産額、(3)同業他社との株価などを組み合わせて総合判断するからである。」

「会計処理で望むことは、なぜそのような会計判断になったのかという会計処理過程の詳しい説明である。」


 日米の会計基準の妥当性の問題にとらわれず、もっと大きいところから問題を捉えており、読んでいて納得した。

 とくに、なぜそのような会計判断になったのかという会計処理過程の詳しい説明が必要という主張は説得的である。

 そのような説明がなされていれば、会計判断の適否を検証することが可能だからである。


 私は会計の専門家ではないが、読んでいてよく分かった。
 インタビューに答えていた人は、相当頭のいい人なのだろう。
  



2002年03月14日(木) 再び鈴木議員について 傷害罪の時効は7年

 日経2面に、鈴木議員が6年前に外務省職員を暴行し、全治一週間のけがを負わせたと報道されていた。
 診断書まで残っているそうである。

 全治一週間のけがだから、傷害罪となる。
 そして、傷害罪の時効は7年である。

 したがって、鈴木議員は、今後、傷害罪に問われる可能性がある。

 ただ、このような軽微な傷害事件は、被害者が被害届を提出しなければ、警察は捜査しない。

 被害者が許している場合にまで、警察が捜査することは行き過ぎだからである。

 そこで、暴行を受けた外務省職員が被害届を出したら、警察は捜査を開始せざるを得ないのではないか。

 6年前のことだから、記憶があいまいになっていると思うが、被害者と目撃者の証言が一致すれば、診断書もあることから、証拠として十分である。

 その場合、被害の程度からいって、5万円か10万円程度の罰金刑だろう。
 ただ、鈴木議員の政治生命は終わるだろう。 



2002年03月13日(水) 相場操縦で、証券会社を家宅捜査

 日経16面に、志村化工の相場操縦容疑に関して、ネット証券会社に家宅捜査(捜索差押)が入ったことから、当該ネット証券の株価が下落したとの記事があった。

 株価が下落したのは、ネット証券が捜査の対象になったと見られたからであろう。
 
 すなわち、先日の報道では、当該ネット証券の担当者は、顧客が不当な相場操縦していることを認識しながら、取引に応じていたということだから、ネット証券自体が捜査の対象となったのではないかと疑われ、株価に影響したのだろう。


 私は、この記事を読んで、最初は、ネット証券が、当該容疑者の株式取引記録の任意提出を拒んだために、家宅捜査が入ったのであって、ネット証券もその関係者であると見られて家宅捜査されたのではないと思った。

 しかし、記事の最後に、証券会社のコメントがあり、「捜査には全面的に協力する」と書いていた。
 したがって、任意提出を拒んだために家宅捜査に入ったのではないようである。


 とすると、ネット証券に家宅捜査が入った目的は、第一には、当該容疑者の株式取引記録を捜査して、相場操縦の証拠を収集するためであろうが、そのような証拠収集を通して、証券会社の違法性も認められれば、それも捜査しようという腹づもりなのではいないか。


 今後の捜査の展開は分からないが、少なくとも、安易な手数料稼ぎに走ったために、会社のイメージはマイナスとなり、株価まで下がることになってしまったのは事実である。

 他の証券会社は、これを他山の石とすべきだろう。



2002年03月12日(火) 鈴木議員の証人喚問を聞いて

 昨日の鈴木議員の証人喚問について、日経は、「甘い追及 疑問山積み」という見出しをつけていた。

 他の新聞も同じ調子である。
 追及が甘いというのは、証人喚問のたびに言われている。

ただ、一応、質問する側を弁護しておくと、鋭い質問をするためには、本人がギョッとするような証拠がなければならない。
 しかし、そのようなギョッとするような証拠があることは滅多にないのである。

 裁判でも証人尋問があるが、修習中の頃、反対尋問で効果を上げることは期待しない方がいいと言われたことがある。

 それなのに、質問する側は、成果を上げないと批判されるのだから、つらいところである。


 そうはいっても、昨日、証人喚問を聞いていて、もう少し工夫できないだろうかと思った。

 まず、質問の背景説明が長すぎる。
 もう少しズバッと質問すべきである。

 また、自分の質問事項を消化するのに精一杯で、鈴木議員の回答に対して、その回答のおかしいところをその場で考え(そのためには、これまでの資料がすべて頭に入ってなければならない)、再質問するということをしていない。

 要するに、事前の準備、事前の勉強が足りないのである。



2002年03月11日(月) 知的所有権を保護するため、懲罰的損害賠償請求を認めるべき

 日経1面に、「知的財産で大綱」という見出しで、知的財産権を保護して国際競争力を強化する行動計画をまとめると報道していた。

 今さらという感じで、アメリカに10年遅れているようである。


 ところで、この記事では触れていないが、知的財産権を保護するためには、懲罰的損害賠償制度の導入が不可欠であろう。


 懲罰的損害賠償請求とは、不法行為したものに対し、懲罰を与えるために、実際の損害額以上の請求を認めるものである。

 アメリカで多額の損害賠償請求が認められているのは、そのせいである。


 ところが、日本でのこれまでの伝統的考えでは、損害賠償請求は、実際の損害を上回っては請求できないことになっている。


 特許法102条3項は、特許権を侵害した者に対し、契約していたら取得していただろう金銭を、損害として賠償請求できると規定している。

 つまり、特許を侵害した側からみれば、契約して特許料を払っても、特許を侵害して損害賠償を払っても、同じことなのである。

 この規定の根底には、実際の損害以上の賠償請求は認めないという考えがある。
(もっとも、実際にそれ以上損害が生じたことを立証すれば、その損害の賠償請求できるが、立証の問題があり、困難なこともある。)

 これでは、きちんと契約して特許料を払おうという気はならないのではないか。


 懲罰的賠償請求の問題はずっと議論されているが、立法化されていない。

 知的財産権にだけ懲罰的損害賠償請求を認めると、交通事故の損害賠償請求など、他の場合と整合性が取れなくなるからというのである。


 しかし、知的財産権を保護しようとすること自体、その権利を特に保護しようというのだから、すでに政策に片寄りがあるのではないか。
 その意味では、整合性を理由にするのは、一貫性がないように思う。


 要するに、契約しても、権利を侵害しても払う額が同じというのでは、まじめにやっていることがばかばかしくなっていまう。

 まじめにすれば儲かる反面、不当なことをすると損するという社会を作らないといけないと思うのである。



2002年03月10日(日) 貯蓄証券 安全性を優先して利回り低下

 日経9面に、「大変わり証券貯蓄」という見出しで、エンロンの破綻による元本割りをきっかけに、証券貯蓄が元本確保優先の運用に移行し始めたという内容の特集記事が載っていた。

 MMFの元本割れによって、最近は、MRFが注目されているが、その記事によれば、MRFでは、銀行の普通預金を下回るものも目立つそうである。

 これでは、銀行に預けた方がよっぽどましである。


 販売会社が、これまでリストとリターンとをきっちり説明することを避け、「安全で預貯金より有利」というあいまいな売り方をしたことのつけが回ってきたのでないだろうか。

 だから、元本割れによって、一斉に解約されたのではないか。

 むしろ、株式で運用する投資信託を、リスクとリターンをきちんと説明して売った方がいいのではないだろうか。
 理想論と言われるかも知れないが、説明責任をきちんと果たすということが、今後、ますます重要になってきていると思う。



2002年03月09日(土) 情報は、公平に提供されなければ意味がない

 日経の広告に、証券会社の全面広告が載っていた。

 そのキャッチコピーに、

「この国は、いつも説明不足だ。」

「正確な情報をリアルタイムで、どなたにも公平にお届けすることが、これからの企業の責任でもあります。」

とあった。

 その通りだと思う。


 少し前までは、インターネットによってリアルタイムに株価情報を提供することさえも許されていなかった。
 それに比較すると、現在は、個人投資家も、相当、リアルタイムに情報に接することができるようになってきている。

 それでも、個人投資家と機関投資家との間には、まだまだ情報格差があると思う。

 エンロンが破綻した際、機関投資家は投資信託をすばやく解約したが、個人投資家は、それに取り残されてしまった。
 これも、情報格差が一つの原因となっている。

 情報開示は、自己責任の原則の大前提である。
 しかも、その情報は、誰にでも公平に提供されなければ意味がないのである。



2002年03月08日(金) ファーストクレジット 会社更生開始決定

 日経11面に、ファーストクレジットについて、東京地裁が会社更生手続の開始決定したとの記事が載っていた。

 これは、債権者である新生銀行が、ファーストクレジットは実質債務超過であるとして、会社更生開始を申し立てたのに対し、ファーストクレジットが、債務超過でないと反論していたところ、東京地方裁判所が、実質債務超過であると認定して、開始決定を出したものである。


 争いのポイントは、不動産を時価評価するか、取得価格で評価するかということである。

 すなわち、不動産を時価評価すれば、債務超過になるが、取得価格で評価すると、債務超過にはならないのである。


 不動産を取得価格で評価することが認められているのは、販売用不動産を除き、不動産というのは売却を予定されていないこと、そして、企業というのは永続的なものであることから、不動産の時価が現実化することはないというのが一つの理由になっている。


 しかし、裁判所では、不動産についても時価評価する。

 それは、会社が存続可能かどうかを判断するためには、現時点で時価評価しないと判断できないからである。


 私は、会計の専門家ではないから、どちらが正しいか断定はできない。
 取得価格で評価するのは、それなりに合理性があるからであろう。

 しかし、以前、会計学を勉強したときに、不動産を取得価格で評価するというのは、どうも感覚的になじめなかった。

 債権者や一般投資家にとっては、時価評価の方が、現時点での資産価値をそのまま反映するのだから、理解を得やすいのではないだろうか。
 



2002年03月07日(木) 著作権に30秒ルールはない

 日経3面に、「著作権 ネット時代の新条約発効」という記事が載っていた。

 インターネットの普及に対応して、音楽・映像などの情報の著作権を守る条約が相次いで発効するという内容であった。


 その記事と直接は関係ないが、著作権というのは分かりづらい権利である。

 その理由は、第1に、権利の当事者が多いからである。

 条文上、著作者だけでなく、実演家、レコード製作者などが出てくる。

 わかりにくい第2の理由は、権利の内容が多岐にわたっているからである。

 著作権に含まれる権利の種類として、かつては複製権が中心であった。
 
 しかし、今日では、技術の発達によって、公衆送信権という権利まで作り出さざるを得なくなった。

 分かりづらい理由の第3は、法律用語をあくまで漢字で表記しようとするためである。

 例えば、「著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。」(23条2項)という表現がされている。
 これを初めて読んだ人は、何のことやらさっぱり分からないのではないだろうか。

 どうも、法律を作る人たちは、カタカナが嫌いらしい。。


 それはともかく、音楽業界では、30秒ルールというのが言われているようである。
 30秒以内であれば、無許可で音楽を流しても著作権侵害にならないというものである。

 しかし、これは音楽業界が、自分の都合のよいように流したデマである。

 著作権法に、30秒ならいいという規定はどこにもない。
 そのような法律を制定するはずがない。

 したがって、訳知り顔に、30秒ルールなんて言わない方がいい。

 ところで、私の知り合いの裁判官でカラオケの大好きな人がいて、他の人がマイクを持ったまま30秒以内に歌わないと、マイクを取り上げて自分が歌うという方がいた。
 それを、その人は、30秒ルールと名付けていたが、それはこれとは関係ない。



2002年03月06日(水) 高い配当約束する商法にはご注意

 日経社会面に、通信販売の広告に投資すれば高い配当金を払うとうたった「ジー・オーグループ」が出資法違反の疑いで強制捜査されると報道されていた。

 このグループの商法は、実態は詐欺であろう。出資した人も、「騙された」という気持ちが強いと思う。

 しかし、実は詐欺で立件するというのは難しい。
 「騙すつもりはなかった。商売がうまくいかなかっただけだ」と言い逃れするおそれがあるからである。

 そこで、このような詐欺的商法に対しては、他の法律で立件して、その捜査の中で詐欺の証拠が出てくれば、再度、詐欺で立件するという手法をとる。

 例えば、株取引の二八商法も、最初は、無登録営業として、証券取引法違反で捜査するのが普通である。


 ところで、先の「ジーオーグループ」のように出資金を集めて新しい商売をするといった商法については、よく相談を受ける。

 一般的にいって、「配当金として○○%以上は確実」といっているのは、注意した方がいい。

 配当約束するのは、出資法に違反するからである。

 それ以上に問題なのは、この低金利の時代に、二桁の配当を保証できるはずがなく、商売として成立しないからである。
 それゆえ、勧誘された人は、その商法で、どうやって二桁の配当を稼ぎ出すのかを、冷静に考えた方がいい。

 もっとも、低金利時代だからこそ、そのような儲け話を持ちかけられるのだが、うまい話には飛びつかない方がいい。



2002年03月05日(火) 電子商取引にガイドラインを発表

 事務所のADSLが突然繋がらなくなった。

 先日もそのようなことがあり、NTTに電話したら、モデムの電源を一旦切ってくれとのこと。
 そのとおりしたら繋がった。

 そこで、今度も同じようにしたが、今度は繋がらない。

 いらいらしながら法廷に出かけ、夕方6時すぎに事務所に帰ると、繋がるようになっていた。

 どうも、ADSLは安定性に問題があるようだ。

 それが原因で、更新が夜になってしまった(という言い訳ですが)。



 今日の日経7面に、経済産業省が電子商取引について、現行法の解釈を示す指針をまとめたとの記事が載っていた。

 法解釈は本来裁判所の専権であり、行政が解釈することは問題であるようも思われる。三権分立に反するのではないかという疑問があるからである。

 しかし、いかなる場合に法律に反するのかが分からなければ、行動の自由が確保されない。
 そのような要請から、最近は、行政によるガイドラインの制定がなされるようになってきている。

 本件も、行政によるガイドラインであり、裁判でも同様の解釈がなされるとは保障されていないが、それでも裁判になった場合、その指針は充分斟酌されるであろう。

 その意味で、そのような指針を発表することは適切であると思う。


 ところで、その記事の中で、電子商取引の契約の中で、「パスワードが一致すれば本人からの申込みとみなす」と定めていても、第三者がなりすました場合に、そのようなみなし規定が無効になる可能性があると書いていた。

 一瞬、ドキッとした。

 「パスワードが一致すれば本人からの申込みとみなす」という規定は、電子商取引の根幹であり、かかる規定が無効となれば、電子商取引は成立しないからである。

 しかし、よく読めば、「事業者側からパスワードが流出した場合」には、その規定は適用されないとのことのようである。

 そのような例外的事例であれば分かる。

 とすると、事業者は、パスワード等が流出していないことの証拠を常に保存しておく必要があろう。
 例えば、パスワード等のデータ保存のルールを決めておく、そのデータにアクセスできる者を決めておく、アクセスした記録が残るようにしておくことなどが重要であろう。



2002年03月04日(月) 日経に法律事務所の広告がでていた

 日経の広告に、法律事務所の広告が載っていた。
 事務所所属の弁護士が全員立っている写真で、全国版7段である。

 そこで、今日は弁護士の広告について少し。

 弁護士の広告はこれまで禁止されていたが、一昨年10月、解禁され、原則として自由となった。
 これにより、弁護士の広告が新聞や電車内等に掲載されるようになった。

 といっても、広告を出している弁護士は少数派である。

 というのは、広告の場合は、人の紹介でないから、素性の分からない人も相談に来る可能性があるわけで、それを嫌がる弁護士も多いからである。
 また、広告を出さなくても、十分やっていけるという理由で出さない事務所もあるだろう。

 ただ、これからは、弁護士の世界でも、生き残りをかけて広告などを出して積極的に経営していく弁護士と、従来どおりの方法でやっていく弁護士との二極化が進むのではないだろうか。


 ところで、私も新聞広告を出したことがあるが、広告料というのは高い。

 以前、日経に全面広告を出すことを思いつき、問い合わせたことがあった。

 そうすると、場所を確保するだけで2000万円以上、これに広告デザイン料を含めると、2500万円くらいになるといわれた。
 それを聞いて、すぐに止めた。

 だから、今日の日経に載っていた法律事務所の広告は、800万円くらいになっているのではないか。

 しかし、弁護士が全員立っている写真の広告を掲載して、広告料に見合う効果があるとは思えないのだが・・。(余計なお世話だが)



2002年03月03日(日) 戸塚被告が異議申立

 日経社会面で、戸塚ヨットスクール事件の戸塚被告が、上告を棄却した最高裁の決定を不服として、異議を申立てたとの記事が載っていた。

 これを読んで、裁判所は三審制ではなかったのか、なぜ、最終審である最高裁の判断に異議を申立てることができるのかと疑問を持ったかも知れない。


 これは、上告審の決定とはいえ、まったく誤りがないとはいえないので、再度、審査して訂正する機会を与えたものである。

 平たく言えば、万が一うっかりミスがあってはいけないという理由から、異議申立が認められているのである。


 しかし、実際には、そのようなうっかりミスがあるはずがなく、決定が覆ることはあり得ない。

 したがって、戸塚被告は近々収監されることになる。



2002年03月02日(土) 株式市場に、政府は過剰介入すべきでない

 日経30面「真説・異説」というコラムに、野村総合研究所顧問の水口氏のインタビュー記事が載っていた。

 同氏は、

「株空売りは悪くない。企業が問題にすべきは、なぜ売られているかを知ることである。」

「政府が規制によって市場に介入することは、経済の健全な発展を妨げる。政府が株価を支えれば、株価への信頼性が損なわれる。」

「株式の魅力を訴えるべきであり、税制は簡素化し、株式譲渡益は、一時的に無税にすべき。」

と述べていた。


 全面的に賛成である。

 証券取引法1条は、有価証券取引を公正にさせ、有価証券の流通を円滑化を図ることを直接的な目的としている。

 ところが、毎年3月になると、政府は株価を上げるために介入を繰り返す。
 しかし、それが、株式取引の公正化に反することは明らかであり、これでは、政府による株価操縦と変わらない。

 政府関係者は、今一度、証券取引法1条をじっくり読むべきであろう。



2002年03月01日(金) 志村化工の株価操縦を、ネット証券会社は知っていた?

日経ではないが、

 毎日新聞社会面に、志村化工株の操作で、ネット証券担当者が、「異常な売買と知りつつ、注文を受け付けた」と話していることが報じられていた。

 もし、報道されているとおりだとすると、その担当者は幇助犯に問われる可能性があり、そのネット証券も罰金の対象となりうる。


 当該担当者は、手数料欲しさに、注文をそのまま受けたのだろう。

 しかし、相場操縦によって、被疑者たちは一億円の利益を得たと報じられており、逆にいえば、それけだけ損をした人がいるということである。


 自己責任の原則は、公正な証券取引市場があって初めて、成り立ちうる責任である。

 したがって、相場操縦という不公正な取引が行われ、それを証券会社が見て見ぬ振りをしたのであれば、それは極めて問題のある行為であるといわなければならない。


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