ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2009年06月18日(木) カンフーシェフ

監督:イップ・ウィンキン
出演:サモ・ハン・キンポー
    ヴァネス・ウー
    加護亜依、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ホアン・ピンイーは、右手を負傷し店を去った兄の後を継ぎ有名料理店のシェフをしていたが、兄の息子(甥)は父が去ったのはピンイーのせいだと逆恨みしていて、ピンイーを陥れて彼は店から追放されてしまう。ピンイーは兄の師匠であったレストラン「四海一品」の創立者・シェンを訪ねるが、彼は既に他界し「チン・イン」の姉妹が父の遺志を継ぎ経営していた。四海一品のシェフになったピンイーだったが、甥がその事を聞きつけて様々な妨害工作を仕掛けてくる。


【感想】
香港・日本合作のカンフー映画。
と言うか、多分本作が日本で紹介されるのは「元・モー娘。の加護亜依ちゃんが香港映画に出演!」という部分か、はたまた本作に出演している台湾で爆発的人気を博しているアイドルユニット「F4」のヴァネス・ウー君ファンの婦女子向けプロモだけなんじゃなかろうかと思います。

そんなアタクシは加護ちゃんが目当てでもウー君が目当てでもなく、「サモ・ハン・キンポー」目当てなんですが(^-^;
ちなみに本作、公式サイトで調べたら既に東京では公開終了、ぴよが住んでる名古屋では来週末までの公開、その後は京都と大阪と神戸で上映するだけみたいです。
「加護亜依ちゃん出演!日・香合作!」で日本で5都市限定公開ってさー、この映画、人に見せる気ないでしょ?(^-^;

まーそんなこんなで本作ですが。
基本的に「出演役者の誰かのファンでなければ、見なくてもどーでもいい」作品だとは思います(苦笑)
その割りに上記の「オススメ度」が高めじゃないか?と思われる方も多かろうと思いますが、これはサモ・ハンが出演しているというだけでぴよの中では「☆3つ」が確定しているので、余り気にしないで頂きたい(をい)

でもですね、本作は「昔ながらのユルいB級カンフー映画」が好きな方なら、かなり懐かしい気分で見られるであろうと。

まずは、当然ですが「サモ・ハン・キンポー」ですよ。
お歳を召されても相変わらず「世界一よく動くデブ」の名は健在!!フィルム早回し位はやってるかな?とは思うものの、それを差し引いてもかなりキレもよく動いていますよ♪
映画冒頭からいきなりサモ・ハンのアクション!コレは往年のカンフーファンにはオイシイご馳走でしょう♪(^-^)

それから本作は「昔ながらの正統派カンフーアクション」をきちんとやってくれている。
CG処理合成が主流となったアクション映画業界で、2009年の今「正統派カンフーアクション」が見られたというのは個人的に大変喜ばしい事だと思います。
手技・足技も当時の型をキレイに見せてくれますし、体を張った「セットを派手にぶち壊しアクション」もきちんと盛り込んでいる辺りは、昔ながらのカンフーファンにとっては「よし♪よし♪」って感じですよ。

昔のB級香港映画の「ユルさ」を程よく再現している辺りも個人的には好感触。
バカバカしいコメディシーンを差し挟みつつ、シリアスと人情ネタとちょっぴりラブ♪な要素を盛り込む。ある意味絶妙なバランスを取りながら、全体的なユルい流れをカンフーアクションシーンで締めるという展開。
・・・まあ、簡単に言っちゃえば「古臭い作り」なんですよ(苦笑)、だけどそれが好きな人には楽しいんですわ。

加護亜依ちゃんが出演したというのが話題だそうですが、この手の映画に日本のアイドル系が出演するというと、通常なら完全な客寄せゲストキャラ(チョイ役)扱いだろうと思うのですが・・・意外や意外、本作の加護ちゃんは思いっきり話の軸に絡む主要登場人物として出演されていました。
アクションもユルいながらなかなか頑張ってこなしてますよ。見た目・演技も香港女優さんっぽく見える。違和感ないわ〜

そして登場するや否や流暢な中国語セリフをガンガンにド喋りまくり!・・・じゃなくてー、声は吹替えです。
セリフ完全吹替えなのを残念に思うファンの方も多いかと思いますが、昔の香港映画は吹替えが多かったんですよ。だから個人的には違和感はそれ程感じませんでした。ちなみにサモ・ハンも声は吹替えてたみたい?ですね。ヴァネス・ウー君はどうだっただろう?ちょっとよく判らない。

そうそう!ヴァネス・ウー君・・・実はまーったく知らない方だったんですが(ファンの人、すまん!)
彼はいいねー♪すっげーいい体してるワ!それに体の動き・キレも物凄くいい!!アクションシーンの立ち回りも動きの流れが美しくて型もキレイに決まっているし、今後も香港カンフーアクション映画にガンガンに出演してもらいたいなー♪

内容に関しては、まあ「一山100円系」ですから(苦笑)
お料理シーンで韓国の人気舞台「NANTA」を彷彿させるようなミュージカルちっくなシーンがあったり、美味しそうな中華食材や中華料理がガンガン登場します。映画冒頭でブタちゃん一頭丸々登場して「ひえぇ〜!」になりますが、こういうのも中華料理の醍醐味だと思えばネ・・・個人的にここら辺りは興味ないからどーでもいいんですが。←をい

個人的には懐かしい気分になりながら大いに楽しませてもらいましたが・・・正直万人向けではありません(^-^;
でも、昔のユルいカンフー映画が好きだった!という人にはオススメしますよー♪・・・上映館がもう少しあればねぇ。








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2009年06月17日(水) 群青 愛が沈んだ海の色

監督:中川陽介
出演:長澤まさみ
    佐々木蔵之助
    福士誠治、他
オススメ度:☆+


【あらすじ】
沖縄の離島にやって来たピアニストの由起子と島の海人(うみんちゅ)・龍二は恋に落ち、2人は結婚し娘に恵まれ「涼子」と名付けた。だが由起子は涼子が幼い頃に亡くなってしまう。男手1つで育てた涼子はやがて美しい娘に成長し、島の幼馴染み一也と恋仲になるが、結婚を申し込みに行った一也に龍二は「いっぱしの海人になるまではダメだ」と突っぱねた。一也は龍二に認められようとサンゴを採りに海に潜るが、帰らぬ人となってしまう。


【感想】
宮木あや子氏著の同名タイトル小説を映画化。
この方、2006年にデビューしたばかりの新進気鋭の若手女流作家さんだそうですね。お名前すら知りませんでした(^-^;
そんな訳で原作は当然未読です。まあ原作はどーでもいいでしょう(をい)、映画としては「長澤まさみちゃん主演最新作」という部分が大いにクローズアップされるだろうと思います。
特に長澤まさみちゃんのファンではありませんが、彼女可愛らしいですよね。でもうちの相方は「長澤まさみって男らしい顔だと思うけどなー。俺は断然蒼井優ちゃんが好き♪」と言っています・・・どうでもいい情報でしたね(苦笑)

沖縄、と言うか「八重山諸島」が大好きなので、「全編沖縄ロケ」というだけで期待値がドーン☆と跳ね上がるんですが

まー、かったるい。←いきなりかよっ(^-^;
コレは脚本も演出もどうかと思うんですが・・・どうなんでしょう?コレ。
まあ、ココで聞かれても困るでしょうけどね、それにしてもただ延々とピアノ弾いてるシーンだったり、なんとなく島の様子を流し撮りした映像がBGMに乗せて映し出されているだけだったり。
まったりした雰囲気を見せたいのか?どうか判りませんが、テンポ悪いしシーンのカットの仕方も違和感あり過ぎですよ。

話は3段階になっていて、第一章が「涼子が生まれるまで(パパ・ママの恋愛編)」、第二章が「涼子の子供時代編」、そして最後の第三章になってようやく本作の予告編に出て来る「涼子と一也が恋に落ち、一也が亡くなってから編」
これを映画中でも本当に「第一章」「第二章」「第三章」と画面暗転させてわざわざ表示して話を区切ってるんです。
本を読んでいるなら当たり前の区切りかもしれませんが、映画でコレやられても余り感心しませんね。そもそも区切る意味が判らないし、うがった見方をすれば「話を上手く繋げられなくて章分けするしかなかったのか?」等と邪推したくなる。

最愛の恋人を亡くした涼子に、その父親もまた同じ苦しみを過去に背負っていたのだよ・・・という事が見せたかったんだろうと思うのですが、第一章の「パパ・ママの恋愛編」、コレ長過ぎです。
えれぇ〜長い割には龍二の妻に対するの深い愛だとか、喪った悲しみみたいな物が伝わってこない。ついでに言うと第二章の「涼子の子供時代編」もわざわざ章分けして見せる程のモノがまるでない。

通常だったら今の状態の涼子を最初から見せて、周囲のキャラの会話と回想シーン等を差し挟む事で人物背景を見せて行くのが王道だと思うのですが、逆に「王道で見せても面白くないから新しい試みをしよう!」という事なんですかね?
残念ながらこの試みは失敗してると思いますよ(をい)

肝心の「八重山諸島のこの美しさったらどーよ!?(ワクドキ)」な絵もねぇ・・・やたら空がくすんでるんですよ。
どうして長期ロケして撮影してるのに、わざわざこんなくすんだ色調なんでしょうか?タイトルになっている「群青」自体も決して「心に染みる云々」という物もなく、八重山諸島の美しさが全く伝わって来ないじゃないですか!(怒)
この映画見て「やっぱり沖縄っていいなー。キレイだなー♪」とは到底思えませんって!!くっそー。

展開も想像の域を超えるものは何もないし、単調だし、溜息付きまくりだったんですが・・・
唯一良かったのは福士誠治君かなー?フィルモグラフィを調べたら彼の出演している作品を何本か見ていたのですが、正直余り記憶になくて(すんませんっ!)、まあだから返って良かったのかもしれないですが、3人幼馴染みの中で1人蚊帳の外になってしまった、しかも涼子に横恋慕しているという切ない設定なんですが、彼の苦悩する様子には正直「萌え」でした♪
酒を飲んで自分の醜い心を曝け出すシーンにはちょっとウルッと来ましたね。

そんな訳で、福士君がいなかったらほとんど評価するトコロがなかったです。
「長澤まさみちゃんが新境地を開いた!」みたいな煽り文句も華々しいんですが・・・地味で暗い映画ですわ(^-^;








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2009年06月06日(土) ハゲタカ

監督:大友啓史
出演: 大森南朋
    玉山鉄二
    柴田恭平、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
鷲津政彦はニューヨーク帰りの敏腕ファンドマネージャーで、徹底した合理主義で次々と企業買収をし「ハゲタカ」の異名をとっていたが、日本の閉鎖的なマーケットに嫌気が差し、今は海外生活を送り業界内では「ハゲタカは死んだ」という噂まで流れる程だった。その鷲津の元にかつての朋友・芝野が現れ、日本有数の自動車企業「アカマ自動車」が謎の巨大ファンドから買収を掛けられているので救って欲しいと頼まれる。


【感想】
真山仁氏著の同名タイトル小説を2007年にNHKでTVドラマ化し、それが大当たりした事で舞台を現代にして映画化。
だから本作のキャストはNHKのTVドラマのキャストをそのまま受け継いでいます。
ちなみに本作の原作・TVドラマを一度も見た事がありません。きっと本作を見に行くのは最低でもTVドラマ版にハマった人というのが大前提だろうと思うのですが・・・予告編を見てちょっと気になったというのと、相方が大のハゲタカファンなので一緒に見に行こうと誘われて何となく見に行っちゃった、という感じでして(^-^;

コレ、多分TVドラマを見てないと人間関係の背景が判らないのでかなりキツいですね。
ぴよは相方から鑑賞前に登場人物の背景や大まかなエピソードをレクチャーしてもらっていたので割りとすんなり内容に入り込めたんですが、途中で鷲津が「俺は200万で人を殺したんだ」と語るくだり等は、TVドラマ版を見ていない人には何を言ってるのかサッパリ判らないし、もしぴよも先にレクチャーされてなければ「むむ?このシーンは何か後の伏線に違いないゾ」等と勘違いな妄想を膨らませていたに違いないだろうと(苦笑)

この数年で世界の金融市場は激変し、今も混迷を極めている訳ですが・・・本作の脚本家も随分混迷しただろうと。
ネタの柱は企業買収、かつてのライブドアのニッポン放送買収ネタを自動車メーカーに設定を変えている訳ですが、そこにリーマン兄弟破綻とサブプライムローン問題、トヨタショック等のここ1年で起こった経済・金融破綻問題も絡めて行く訳です。結構忙しいですね(笑)
直近のネタも絡めつつ、中東の王族から融資を引き出そうとするくだり等は「撮影時はドバイも元気が良かったんだろうな」と苦笑いしてしまう一幕もあって、バランスがいいんだか悪いんだか微妙な感じがしなくもないです(^-^;

ネタはてんこ盛りですが、最低でも「ニュースソースは朝の情報番組」という程度の知識でも充分理解出来るレベルにまで噛み砕いた内容になってます。少なくともぴよの頭の中なんて「とくダネ」と「ミヤネ屋」でしか構築されてませんから(苦笑)、この程度のオツムの出来でも充分理解出来るという訳です。バカにも優しい作りです♪(こらこら)

買収の仕掛け人が、これまた昨今発展目覚しい「大中国様」辺りなのも面白い。
かなり厳しく中国様を批判する内容になっているのでは?と思うんですが、かの国は言う事無茶苦茶ですからね。最近でもデジタル商品を中国で製造・販売するのにソースコードを開示しなければならないとかいう意味不明な制度を作ったばかりですし(みんなインドに逃げて〜!)、この際ですからもっとコテンパンにやってやれ!って感じですよ(笑)

今回鷲津と対決する「赤いハゲタカ」、中国側のトレーダーとして玉山鉄二君が演じていますが、彼のキャラはとても面白かったし彼の演技もとても良かった。
本作、全体の流れは骨太な金融ドラマと見せかけて、後半は玉山君演じる「赤いハゲタカ」の生い立ちを巡る人間ドラマという構成になっていましたが、玉山君のキャラが立っていたので人間ドラマ部分もしんみりと見れたのは良かった。

株の売買すらやった事のないおバカとしては、「バブル崩壊ってこうやって起こるのか」と感心しながら見ていましたよ。
経済と言うのは、いち早く情報を握る誰かが操作して動いているのだなぁ。その誰かによって時として世界中が混乱する程の大きな波が起こったりするし、一握りのトップランナーが小国の国家予算並みのお金を右から左に動かして巨大な利益を享受し、そして膨大な数のアンカー達が割りを食って、なけなしの全財産を取られて首吊ったりするんだな、と。

バカなので今後も株はやりませーん。いいお勉強させてもらいましたー(^-^;








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2009年06月05日(金) 真夏のオリオン

監督:篠原哲雄
出演:玉木宏
    北川景子
    堂珍嘉邦、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
倉本いずみはアメリカから届いたある一通の手紙と今は亡き祖母が書いた楽譜を持って、かつて祖父が艦長をしていた潜水艦の乗組員だった老人と対峙していた。何故アメリカ海軍の駆逐艦艦長が祖母の楽譜を持っていたのか・・・第二次世界大戦末期、いずみの祖父である倉本孝行艦長は、親友でイ-81の艦長・有沢の妹・志津子から「お守り」としてもらった「真夏のオリオン」という曲の楽譜を手に潜水艦イ−77に乗り込み、日本の最後の防衛ラインとして洋上潜行していた・・・


【感想】
池上司氏著の「雷撃深度十九・五」を映画化・・・ではなく、この小説+1957年に公開されたハリウッド映画「眼下の敵」という作品を掛け合わせて「ローレライ」の福井晴敏氏が映画用に脚本を書き下ろしたものだそうだ。
何か説明が回りくどいですか?簡単に言えば「(大昔のハリウッド映画+既存の日本小説+福井晴敏)÷∞(無限大)」

いきなりスゴイ意地悪な書き方しちゃいましたー(苦笑)・・・でも、本作は結構面白かった!ホント!

まず最初に言うと、「戦争映画」を期待している人には全く肩透かしの作品です。
本作はいかにも戦争映画!というド迫力の戦闘シーンというのはほとんどないと言ってもいい。多少はあるにはあるんだけど潜水艦と駆逐艦が1対1でやり合ってるだけなので、ミサイルドンドン☆火柱バンバン☆みたいな訳にいかない。
本作の見ドコロは「派手な戦闘シーン」ではなく、日本海軍の潜水艦戦長VSアメリカ海軍駆逐艦艦長が、お互いしのぎを削る息詰まる頭脳戦をを繰り広げるという部分でしょう。頭脳戦だから簡単に火柱は上がらないゾ!(^-^;

更にはその頭脳戦を繰り広げる潜水艦艦長・倉本の高潔な人格者振りを見せるヒューマンドラマ仕立て。
・・・ね?いつもの福井節炸裂の予感ですか?クライマックスはお涙頂戴でキマリだねっ!(げろー)

と、半ば鼻白む思いで見ていたのですが、意外や意外!「ほら泣け!やれ泣け!」な、いつもの福井さんお約束の畳み掛けるお涙頂戴展開にはならずに、割とアッサリとした作風になってました。
「なんだ、亀山プロデューサーもようやく臭いネタに飽きたのか」と思ってたんだけど、よくよく思い返したら本作ってフジTV制作じゃないんですよね。映画冒頭でテレ朝製作って出てたじゃないですか!(^-^;
どうも「福井晴敏」という名前だけで脊髄反射的に「フジTVね」と思ってしまうイケナイ癖・・・いやいや、でもテレ朝製作のクセにちゃっかり「のだめネタ」を絡ませているのはどういう了見なんだ!?(苦笑)

まあいいです。ちょっと脱線しました。
潜水艦艦長×駆逐艦艦長のそれぞれの思惑が交錯して、ギリギリの攻防戦をするシーンはかなり面白かったです。
どちらもよく似た感性の持ち主なんですよね。お互いの意図が手に取るように判るだけに、どう出るか・どこまで待つか・どこで仕掛けるかでジリジリするんです。当然映画としては日本側視点で見せていますので、倉本艦長の機転を利かせた作戦には「ほほーう」と唸ったりする。

潜水艦に「回天」の乗組員が乗艦してくるシーンが出てきたので「うわ・・・コレ見せるの?」とかなりイヤな気分になったりしたものですが、本作の回天の使い方は「よくやった!」と手を叩きたくなります。
(回天が何か知らない人はググれば直ぐ判ります。最近映画にもなったのでご存知の人の方が多いでしょう)
この「回天作戦」が倉本艦長の人柄の良さを観客にアピールするという効果も上げている。敵との丁々発止を見せながらヒューマンドラマとしての側面もしっかり見せてくれるという、正に一石二鳥のミラクルシーン!

ところでヒロインの志津子(孫のいずみと1人2役)を演じた北川景子ちゃん、相変わらずお綺麗な方ですね♪とっても愛らしいお顔の方だと常々思っているんですが・・・演技はどーなの?コレ(^-^;
CHEMISTRYの堂珍さんが役者初体験?でご出演されているんですが、彼はかなり頑張ってたと思いますよ。でも堂珍さん演じる有沢がいよいよ・・・な場面でいきなり「北川景子・プロモーションビデオ」が流れた時には腰が砕けた(薄涙)

まあトコロドコロで「はぁ?」な生温いシーンもあるし(それは大抵北川景子ちゃん絡みだったり。苦笑)、映像自体のショボさは本当にどうしようもなく予算不足の邦画らしさが溢れていて痛々しいんですが(←相変わらず意地悪)、映画全体の流れは個人的にかなり好きな部類でしたね。

あ、書き忘れてましたが本作完全な「フィクション」ですよ。実在した人物を「倉本艦長」というキャラの肉付けとして参考にはしたらしいですが、話自体は全くの創作ですからお間違えなく!!

そんな訳で「戦争映画」が苦手な婦女子が安心して楽しめる、あくまでも「娯楽映画」です。
だから戦争映画マニアな方には全くオススメが出来ませんのでご注意下さい(苦笑)
個人的には作戦シーンがかなり気に入ったので、この作戦シーンの元ネタらしい?「眼下の敵」というハリウッド作品が見てみたいなーと思いましたね。きっと元ネタの方がよりストイックな作りなんだろうなと。








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2009年06月04日(木) 劔岳 点の記

監督:木村大作
出演:浅野忠信
    香川照之
    仲村トオル、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手・柴崎芳太郎は日本地図を完成させるべく、最後の空白地点「劔岳」の初登頂をして測量せよとの命を受ける。劔岳は「死の山」と呼ばれる険しい山で、かつて幾人もの測量士が登頂を目指すも未踏峰のままだった。ところが最近出来た「日本山岳会」が海外から最新鋭の装備を購入して劔岳初登頂を目指しているという情報が入り、柴崎は「軍の名誉を掛けて初登頂せよ」とプレッシャーを掛けられる。


【感想】
新田次郎氏著の同名タイトル小説を映画化。
監督の木村大作氏は、長く邦画界の名作を支え続けたカメラマン(撮影監督)で「八甲田山」「鉄道員(ぽっぽや)」他、数多くの作品の撮影を手掛けてきた映画人ですが、自らがメガホンを取った監督作品は本作が初めてなんだそうだ。

そんな訳で撮影畑のプロ中のプロだけあって、本作は素晴らしい立山の四季を見る事が出来ます。
眼前に聳え立つ、何者も寄せ付けぬ威風堂々たる風格の劔岳は勿論の事、雲間に浮かぶ富士山、真っ赤に染める雲海、赤に黄色に葉を染め抜いた色鮮やかな紅葉、黒々とした岩肌、何もかもを飲み込んでしまいそうな雪渓・・・四季折々の様々な時間の立山の神々しく美しい大自然を、見事にスクリーンに切り取っています。

また、本作ではCG等の画像処理は行わず、キャストとスタッフは約200日もの長期ロケを敢行し、実際にこの山に入り来る日も来る日も山を登り、テント生活もして過酷な自然と共存しながら撮影を行ったそうです。
だから自然が発するオーラ、登頂を目指す主人公達一行の生々しい苦痛の叫びがスクリーンから溢れ出すかのよう。

ついでに言うと、本作はほとんどを「順撮り(シナリオの順番通りに撮影する事)」したそうで、実際映画を見ているとよく判るのですが、浅野さん以下出演者の皆さんが、最初の頃は小奇麗で肌にハリもあってお元気そのものなんだけど、話が進むに連れてヒゲぼうぼうになり、顔は日に焼けくたびれて行って、最後の方は本当に「疲労困憊」といった風情(苦笑)
要するに「とことんリアルを追求した映像」という事ですね。本当に物凄い迫力があります。

そんな訳で映像は文句なしに太鼓判なんですが・・・ちょっと監督が本作に思い入れを持ち過ぎな気がしますね。
いや、思い入れのない作品なんてそれこそクソなんだけど(苦笑)、要するに入れ込み過ぎて丁寧に作り過ぎたのか?やたら話が冗長になってダラダラとした印象が強いんですよ。
映画前半なんてかなり端折れるエピソードやシーンが多いんですが、とにかく何もかも丁寧に見せ過ぎなんです。だから無駄に上映時間が長くなって(ちなみに本作の上映時間は2時間半弱)映画中盤までかったるくて・・・(^-^;

本作は「軍の測量士チームvs趣味の山男達のガチ対決」がメインになるので、どうしても絵面がむさ苦しいおじちゃん達ばっかりになってしまうのを嫌ったのか?一応ヒロインとして主人公の妻役に宮崎あおいちゃんを起用しています。
まあ相変わらずあおいちゃんは可愛らしいんだけどー・・・正直彼女のシーンはほぼどーでもいいですね(をい)、いや本当に特に内容に深く食い込む役回りでもないですし、これだけ上映時間が無駄に長くなるくらいなら、いっそバッサリ切っちゃった方がよかったかもしれない。

散々引っ張って「ここまで険しい山、本当にこんな軽装備で登るのは流石にムリでしょー」みたいな気分モリモリにさせてくれたのに、映画中盤までに時間を掛け過ぎたからなのか?クライマックスが「あれれっ!?」っと拍子抜けするくらいアッサリしていて・・・うーむ。これはどーしたモノか(滝汗)

人生訓までご教授頂ける、それはそれは有難く素晴らしいお話なんですよ。
特に引きニートな皆さんには是非是非ご覧になって頂きたい、本当に心に染みるお話のハズなんです。
それなのに何かスッキリしないと言うのか、もう本当に「冗長過ぎる」の一言に尽きますわ。何とも勿体無い作りです。








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