ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2008年08月27日(水) 幸せの1ページ

監督:ジェニファー・フラケット、マーク・レヴィン
出演:ジョディ・フォスター
    アビゲイル・ブレスリン
    ジェラルド・バトラー、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
作家のアレックス・ローバーは、自身の名前を主人公にした冒険小説シリーズを書いている。小説の中のアレックスは勇猛果敢な男性ヒーローだが、実際のアレックスは「アレクサンドラ」という名の女流作家で、しかも異常な潔癖症+外出恐怖症のニートだった。新作の取材の為に無人島に住む海洋学者にメールを送ったのだが、当の学者は海で遭難し、困った娘がアレックスにSOSメールを送って来た。一大決心をして娘を助ける為に外出する覚悟を決めたアレックスだが・・・


【感想】
オーストラリア人作家ウェンディ・オルー著の児童小説(原題:Nim's Island、邦題:秘密の島のニム)を映画化。
ニートな冒険作家アレクサンドラをジョディ・フォスター、海洋学者ジャックを「オペラ座の怪人」で一気に知名度の上がったジェラルド・バトラー、そしてジャックの娘ニムを「リトル・ミス・サンシャイン(未見)」でアカデミー賞にノミネートされて話題となった天才子役アビゲイル・ブレスリンが演じています。

予告編を見た時は、ニート女流作家とイケメン海洋学者のほのかな恋(娘があからさまなキューピット役)を描いた作品だとばかり思っていたのですが、蓋を開けると無人島で孤軍奮闘するお嬢ちゃんの様子と、そのお嬢ちゃんを助ける為に勇気を出してニート生活と決別する「中年女流作家」のアドベンチャームービーといった趣でした。

明らかに予告編で観客を「恋愛映画」だと誤誘導している典型的な作品ですね(苦笑)

ま、そんなこんなで「お子様向けファンタジーアドベンチャー」
完全にお子様向けなんだけど、今の日本で「おお!ジョディの新作か。こりゃ見逃せないな」とおっしゃるお子様は「皆無」とまでは言いませんが(言いたいトコロだけど)極めて稀な例であろうかと思われ。
要するに「役者の名前で子供は呼べない。だから大人を呼ぶ為に予告編で捏造するしかない」という苦渋の選択をされたのだろうと容易に想像付くのですが・・・まあ、悪い話じゃないからいいんですけど、それにしても大人の鑑賞に堪え得るクオリティの作品なのか?と問われると首を傾げるしかないという感じですか。

東京のど真ん中並みにインフラの整った「無人島」って段階でドン引きする「大人の」観客は多かろうと思います(笑)
百歩譲って「インフラ完璧な無人島で、就学児童(親のエゴで未就学なので児童虐待確定)と学者が暮らす」という設定を甘んじて受け入れる事にしても、とりあえず何もかもがご都合主義過ぎてツッコミ所が満載。

アレクサンドラは自身が書いた冒険小説の主人公「アレックス」と常に会話し続けているのですが、勿論小説中のヒーローが目の前にいる訳がないので、コレは「アレクサンドラの脳内妄想」という訳で・・・勿論映画中でも目に見えないアレックスと勝手に1人で喋ってる痛いおばちゃんの図、というのがシーンで登場するのですが(笑)、まあこの一連のシーンは大人が見ても結構苦笑しながら楽しめるレベルなのでいいと思いますよ。

それにしても遭難した学者のヨットの行方やら、アレクサンドラの珍道中の痛さはどうにもカバー出来ません。
特にアレクサンドラが嵐の海に救難ボート1つで飛び出して行くシーンは本作最大のツッコミどころ。流石にこのシーンは子供が見ても「ママー、このおばちゃん頭がおかしいのー?」くらいは言いそうです(笑)

もうめった斬りしまくってますが、それもこれも「恋愛映画だとばっかり思って見ていた」からだろうと。
最初から予告編で「世界中が愛したファンタジーアドベンチャー児童小説を映画化」とでも銘打っていれば、その心積もりで鑑賞出来るので「まあ、ガキ向けアドベンチャーなんだから何でもアリだわな」と納得も出来たハズなのに、中途半端な予告編で誤誘導なんかしちゃうからおかしな事になる訳ですよ。

運よく本作を鑑賞前にこの感想を読まれた方は、「コレは子供向けファンタジーアドベンチャーなのだ」としっかり心に刻まれてから鑑賞される事を強くオススメします。
子供向けの話なのだと思えば、正直結構楽しめるんじゃないかと思いますよ。ええ。ホントに(^-^;








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2008年08月26日(火) 20世紀少年

監督:堤幸彦
出演:唐沢寿明
    豊川悦司
    常盤貴子、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ロックスターの夢破れ、今は実家のコンビニを継いで失踪した姉の子供の面倒を見ているケンヂ。久しぶりに小学校の同窓会に出席したケンヂは、そこで最近世間を賑わせているカルト集団「ともだち」の噂を聞いて愕然とする。「ともだち」が解く終末論は、ケンヂ達が子供の頃にお遊びで書いた「よげんの書」の内容とそっくり同じだったのだ。「ともだち」の正体は「よげんの書」の存在を知る誰かだと当たりを付けたケンヂ達は、事件の真相を追うのだが・・・


【感想】
1999年〜2007年まで連載され、累計発行部数2000万部を超える浦沢直樹氏著の大人気コミックを映画化。
本作は最初から「3部作」で製作されると発表されていて、本作がその第一章。何しろ原作コミックは22巻+2巻という超大作なので、単発で作れるハズもない。
一昔前の邦画ならコレをムリムリに一本の映画にしてしまうトコロでしょうが、「デスノート」が前後編で製作されて空前のヒットを飛ばしたのに気を良くしたのか?本作は更にスケールアップして3部作で行くという事ですね?

肝心の原作コミックなんですが、珍しく既読・・・と書きたいトコロなんですが、これが微妙でして。
コミック発売当時からコツコツとマンガ喫茶で読み進めていたものの、12〜3巻辺り(多分)で挫折。いや、つまらないから挫折した訳ではなくて、読みたくてもいつマンガ喫茶に行っても誰かに最新刊が取られてるから読めなくて〜・・・その内マンガ喫茶に行かなくなっちゃったので放置してある状態、という事でして(苦笑)
だから結末は全く知りません。でも本作(第一章)の辺りは既読・・・という、正に「微妙な状態」

かなり前に読んだ(しかも途中まで)作品なので、正直細かい部分とか忘れちゃってたんですが・・・
本作、かーなーりー原作コミックを忠実に再現しているなーという感じがしました。印象的なシーン等はコミックのカットをそのまま実写に写し取っているのではないでしょうか?

最初、本作のキャスティングが発表になった時、「えええええ。好きな役者さんばっかりだけど・・・うーん」というのが正直な感想だったのですが、少なくともキャスティングに関してはコレで良かったんじゃないかと思いましたよ。少なくとも著しくコミックのイメージが崩された、という感じはありませんでした。
ちなみに本作、何でもないチョイ役でもすんげー豪華な役者を大量投与。同窓会のシーンなんて溜息出ますヨ。

3部作、しかも原作は超人気コミック、加えて「先の読めない(要するにオチが大切)」展開という事で、本作だけで評価をするのは少し厳しい・・・という部分と、ある程度までの内容を知っている分、内容に関して触れると何がオチバレになるかちょっと判らなくて書き難いんですが。

確かに原作コミックにかなり忠実に作られているのですが、見ていて何か上滑りな感は否めません。
エラソーに書くと「話に厚みを感じない」とでも言うのか・・・まあ、マンガが元ネタなのに「厚み」がどうこう言うのも筋違いだと言われればその通りなんですが(苦笑)、原作コミックがここまで爆発的な人気を博したというのは、大人が読んでも惹き込まれる厚みのある内容だったからだと思うんですね。
伏線の張り方、登場人物の横顔を伝える(本筋には絡まないが)小さなエピソード等が実に丁寧に描かれていて、その細かな描写とダレさせずに読者を牽引した圧倒的なパワーに、これだけのファンが付いたのだろうと思う訳です。
まあ簡単に言っちゃうと、本作は「大筋をキレイになぞっている」というだけにしか見えなかったと言うのか(苦笑)

そうは言ってもですね、本作は決して「つまらない」訳ではないです。むしろ「かなり面白かった」です。
邦画でしかも3部作の第一章なのに、上映時間は2時間20分もある。それなのに全く退屈せずに楽しめたんだから、これはこれで非常に良く出来た作品なんだろうとは思うんです。思うんですが・・・原作をここまで忠実に再現した作りなら、そりゃ面白くない訳ないだろ?だって原作は映画の100倍面白いんだぜ?と思ったらダメですか?(^-^;

まあそんな訳で、評価は低めにしておきましたが・・・本シリーズは絶対に全て映画館で見ますよ!
何しろ自分も原作コミック途中までしか読んでないから先が気になるしネ!(笑)








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2008年08月25日(月) グーグーだって猫である

監督:犬童一心
出演:小泉今日子
    上野樹里
    加瀬亮、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
漫画家の麻子は13年連れ添った愛猫「サバ」を亡くし、悲しみの余り漫画が描けなくなってしまった。そんなある日ペットショップでアメリカン・ショートヘアの子猫と運命的な出会いをし、家に連れ帰って「グーグー」と名付けて暮らし始める。グーグーの避妊手術をしようと外に連れ出した際に、グーグーが逃げ出してしまった。慌てて探す麻子を助けてくれたのは、近所に住む風変わりな青年「沢村」だった。


【感想】
少女マンガ界の巨星・大島弓子氏著の同名タイトルのエッセイコミックを映画化。
大島弓子さんの作品って「綿の国星」しか読んだ事ないです。愛くるしい画風なんだけど、ちょっと不思議な感覚の作風の方という印象があるのですが・・・コミックについてはとりあえずおいといて。
主人公・麻子をキョンキョン(←この呼び方は古過ぎるか。苦笑)、アシスタント役に上野樹里ちゃん、そして年下のちょっぴり気になる風変わりな青年役を加瀬亮君が演じています。うおー!好きな役者さんばっかり♪

要するに、長年飼っていた愛猫を亡くして「ペットロス」状態になった主人公が、新たな猫と出会って癒される&周囲の人間関係も見せつつほんわかとした恋愛ネタも絡ませるというヤツだな・・・と当たりを付けていたのですが。
確かに上記のネタも盛り込まれているのですが、途中から「へ!?」と思うようなネタが登場。これはちょっとこの映画の作風にはそぐわないネタなんじゃないの?と思ったのですが、どうやら大島弓子さんご自身が実際に経験された事のようですので(原作コミックにも同じくだりがきっとあるのでしょう)、原作に忠実に作ったという事なんでしょうか。

小泉今日子さんの声、好きなんですよね。
主人公の麻子は天才漫画家らしく、ちょっと浮世離れした雰囲気の女性。そんな「霞食って生きてんのか?」みたいな不思議さんキャラを、小泉今日子さんが囁くような声で優しく語って演じていきます。
上野樹里ちゃんのアシスタントぶりも可愛い。ちょっぴりのほほん、ちょっぴり熱い、そして一生懸命な女の子。どう考えても「のだめ」のキャラと被るんですが、明らかに「のだめ」の演技でこの役のオファーが来たんだろうと。

魅力満載の吉祥寺、ほんわかしたキャラのほのぼの恋愛、そしてタイトルにもあるグーグーの愛らしい様子♪
何もかもがステキー!・・・と言いたいトコロなんだけど、なぁ〜んか肌に合いませんでした(^-^;

エッセイコミックが元ネタだから仕方ないのか?話のネタがバラバラに提示されていてとりとめない印象です。
それから英会話教室の講師、この人の存在意義は?さっぱり判りません。一応「吉祥寺案内」のナビゲーター役もしているのですが、はっきり言って完全に浮いてる気がするんですけど。
ついでに言うと、楳図かずお先生!先生の事はかなり好きですが・・・絶対に映画から浮いてますからっ!(苦笑)

根本的に犬童監督の「お茶目な遊び心」のツボが、自分とは合わないのだろうなぁ〜と。

加瀬君演じる「沢村」のキャラも、オタクなんだかジゴロなんだか純朴なんだか掴みどころがない。
キャラも掴みどころがないけどエピソードも掴みどころがない。ペットロスの癒しと再生物語?みたいな感じですが、そもそも先代のネコ「サバ」を亡くした喪失感というのが映画からは感じられなかったので、何故か擬人化されたサバと語り合うシーンも自分の心には響くものがありませんでした。

そんな訳で、ぴよには正直「イマイチ」な感じがしましたが・・・
ネコ好きさんは必見でしょう。とにかくグーグーは可愛い!ネコ好きさんならグーグーを見られるだけで大満足・・・かな?








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2008年08月23日(土) ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

監督:ロブ・コーエン
出演:ブレンダン・フレイザー
    ジェット・リー
    マリア・ベロ、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
1946年ロンドン。穏やかだが退屈な生活を送るオコーネル夫妻は、ある日外務省から頼まれて「シャングリラの眼」と呼ばれる巨大なブルーダイヤを上海に返還するべく当地に赴いた。上海に着いたオコーネル夫妻は、そこで両親に内緒で大学を辞めて遺跡発掘にいそしむ我が子アレックスと再会し仰天する。更にアレックスが発掘した皇帝のミイラが、2000年の時を超えて復活するという事件まで起こる。


【感想】
「ハムナプトラ×ジェット・リー様」って、大好物の掛け合わせですよ!いやっほーう!!
予告編を見ただけで軽く萌え死んだ。しかもリー様と相対する宿敵?「不死の体を持つ美女」をミシェル・ヨーが演じると聞いたら期待度は更に高まるに決まってるじゃーありませんか!

何だかんだで荒唐無稽なおバカアドベンチャーは大好きなので、ハムはお気に入りのシリーズ。
どうでもいいけど「ハムナプトラ」という邦題、1作目に登場した街の名前なんですけどね。当時はまさか本作が世界的大人気になってシリーズ化されるなんて、日本の配給会社の方々は思わなかったんでしょうなぁ(^-^;
とんだ見込み違いでしたが今更タイトル変える訳にもいかないだろうし、もう二度と「ハムナプトラ」が舞台になる事なないんだろうけど、今後もこのタイトルで行くっきゃありませんわね(苦笑)

さて話は本作に戻して。

まず、レイチェル・ワイズがエヴリン役を降板しましたね。コレはハムファンに取っては大減点ですよ。
レイチェルが「売れない頃ならともかく、今更こんなバカ役なんてやってられないわよ!イメージ壊れるわいっ」と思う気持ちは判らなくもないですが、アンタの名前が世に出るきっかけになったのは正に本シリーズじゃないですかと。
エヴリンはレイチェルじゃなくちゃダメだ。マリア・ベロは決して悪い役者ではないけど、レイチェルが放つあのキラキラした愛くるしさがなくなって、エヴリンが「富豪のやり手ババア」みたいになっちゃった。悲しくてやり切れない(涙)

それよりやり切れないのがリー様ですよ!!
そもそもこのシリーズが「中国を舞台」にするという段階で間違ってるとは思うのですが、それはまあよしとして。
「邪悪な皇帝」としてのカリスマ性は充分にあります。だってリー様ですもの♪・・・じゃなくて、よくもこんなクソみたいな役を引き受けたものだと。全くリー様の魅力が引き出せていない。ってか進んで笑い者にしようとしてる!?

最初の登場シーンはかなりワクドキさせてくれるんですよね。
世界征服の為なら人の命など虫けら同然の冷血漢。気に入った女ならどんな手を使っても我が物にする、腹心だろうが何だろうが自分の意のままに動かなければ一片の情もなくうち捨てる・・・ステキッ!リー様は大スターになっても尚、こういうアドベンチャー物で徹底的なヒール役を演じてくれる懐の深さが素晴らしいワッ♪悪役だけどカッコイイ〜♪

そしたらそしたら・・・水に顔付けて「ポニョ?」と思った瞬間、キングギドラですよ(怒)
誰がキングギドラにしろと。誰が空を飛べと。自由自在に変身だぁ?あぁん?ふざけんのも大概にしろよと。

リー様がご出演あそばされているからには、アクションシーンを期待するのは当然の事でしょう。
あの皇帝コスプレ(軽く萌え)で放つリー様のキレキレ☆アクションったら、どんだけカッコイイの〜?と期待に胸を膨らませていたと言うのに、実質リー様の肉体美を堪能出来るアクションシーンはゼロ(涙)
僅かな「肉弾戦シーン」は、ほとんどがフィルムぶつ切りのCG加工劣化品。そりゃ、リー様とタイマン張ってアクション出来る役者なんてそうそういないから多少の事には眼を瞑りますよ・・・それにしてもコレは流石にヒドイんじゃないっ!?

内容ね、内容・・・まあどーでもいいですって。
元々オチの見えてる荒唐無稽バカアドベンチャーなんだから、それなりに楽しませてくれれば万事OKですよ。
それにしても脚本自体も過去作品に比べてお粗末だったような。息子のキャラも半端だし、CGショボいし、このシリーズって悪役側にも観客を惹き付ける魅力的なエピソードが絡むのがお気に入りだったんですが、今作そういう演出も全くありませんでしたね。もう本当にがっかりですよ。

イエティが登場する辺りまではまだワクワクして見れたんですが・・・こんなクソみたいな話にしちゃうくらいなら、本当にもうこのシリーズは封印してもらいたいですよ。
次回は南米が舞台!な予告してましたけど、それじゃ丸々インディとネタ被っちゃうぞ!悪い事言わないからやめとけー








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2008年08月20日(水) パンダフルライフ

監督:毛利匡
ナレーション:菅野美穂
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
中国・四川省成都にある「成都ジャイアンドパンダ繁育研究基地」は、絶滅の危機に瀕したジャイアントパンダの保護育成と繁殖・救済を目的にした中国最大規模の施設。この施設で生まれた子パンダ達の成長、母パンダの育児の様子等を1年間密着。更に和歌山県白浜にある「アドベンチャーワールド」で生まれ育った双子のパンダ「リュウヒン・シュウヒン」の二頭が中国に里帰りし成長する様子を取材したドキュメンタリー


【感想】
パンダは世界中の人気者〜♪・・・てな訳で、世界初の「ジャイアントパンダドキュメンタリー」
日本・中国の合作で(多分日本側が主導だろう)、ナレーションは菅野美穂さんが担当。菅野美穂ちゃんの優しくて鼻にかかった声と語り口は、愛くるしいパンダのナレーションには適任でしょう。いかにも!なイメージ。

映像は中国・成都にある「ジャイアンドパンダ繁育研究基地」での様子がメインですが、和歌山県のアドベンチャーワールドの様子もかなり丁寧に撮影されています。

誰が見ても愛くるしいパンダですが、どういう歴史であの白黒パンダちゃんが今の時代に生きているのかという変遷を知る人というのは案外少ないのではないでしょうか?
映画では「パンダの歴史」のお勉強も出来ます。パンダのご飯が笹になった理由を初めて知りました。ちなみに本作中ところどころ登場するパンダイラストは、大のパンダファンだと豪語する「くらもちふさこ」先生が描き下したそうです。

意外と知らない「パンダの子育て」、意外と知らない「パンダの生態」
例えばパンダは縄狩り意識が非常に強く、また一頭当たりが必要とする広さもかなり広大だという事。それからパンダというのは年に1度しか繁殖期がなく、しかも繁殖出来るのはほんの数日(2,3日)しかないという事。
パンダは通常双子を産むという事・・・ほとんど世間では知られていないこれらの生態を、ドキュメンタリーで見せます。

まあ後は「きゃわいいぃ〜♪」と声を思わず挙げてしまう、愛くるしい子パンダちゃんの様子のオンパレード。
生き物の子供というのはどんな種でも大抵可愛いものですが、それでなくても見た目がラブリーなパンダ、しかも子供。
これが可愛くなくて何を可愛いと言うのか・・・パンダに興味がない人が見ても、思わず目を細めたくなりますよ。

まあそうは言ってもですね、
ドキュメンタリーとしては至極ありふれた作りで、コレと言って何か特筆すべき点というのはありません。
ただ漫然とパンダの1年を見せているに過ぎないので、いくら愛くるしいからと言っても延々と子パンダが戯れている様子を流されているだけでは、いくら動物好きとはいえ睡魔が襲う(苦笑)

せめて「絶滅危惧種の保護研究の最先端事情」「地球温暖化に伴う絶滅危惧種の増加と対策」「今後の課題」等の前向きなアプローチ、または違った視点があればいいのですが、本当にダラダラとパンダの様子を映しているだけではあくびを抑える事は難しい。

まあ、パンダ好きさんは世の中多いですから(私の友達にも熱狂的パンダ好きがいますしね)
そういう世のパンダ好きさん、それからパンダを見て「いやぁ〜ん♪可愛いぃ〜♪」と声を上げるこのアタクシを見て少しは萌えてくれよな!という「男攻略モード」に突入中の女子中高生の皆様、男子誘って頑張ってくれ!
パンダだってたった2日の繁殖期で子供作ってんだぜ。おまいらも100分の本作の上映時間で男くらい落とせ!(笑)








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2008年08月19日(火) 落語娘

監督:中原俊
出演:ミムラ
    津川雅彦
    益岡徹、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
幼少時に叔父の影響を受けて落語の世界を目指すようになった香須美。大学の落研で学生コンクールを総なめにした彼女は、プロになる為に子供の頃から憧れていた三松家柿紅の門を叩くが「女の噺家はいらない」と無碍に断られる。唯一そんな香須美を拾ってくれた師匠が「三々亭平佐」、だがこの師匠が一筋縄ではいかない「奇行・蛮行・破天荒」の三拍子が揃った人物。ある問題を起こし寄席に出入り禁止状態の師匠は、ある日突拍子もない企画に着手するのだが。


【感想】
新鋭作家・永田俊也氏著の同名タイトル小説を映画化。
奇しくも先日マキノ雅彦監督の「寝ずの番」を鑑賞したばかりですが、本作ではマキノ雅彦ではなく役者の「津川雅彦」として本作の主人公・香須美の師匠役でご登場。ネタも「落語界」を描いているという点でも被ってます。

日本の古典・伝統芸能の世界は、今でも完全な「男社会」と言っても過言ではないでしょう。
落語の世界もまた然り。もちろん女性落語家が全くいない訳ではありませんが、「ほとんどいない」と言って異論はなかろうかと思います。本作はそんな「THE・男社会@落語界」で真打を目指して頑張るカワイコちゃんの孤軍奮闘と成長を見せるというのが主題・・・なんだろうと最初のアプローチを見て思った訳ですがー。←何このもったいぶった書き方(^-^;

主人公・香須美を演じたミムラちゃんはとっても可愛い♪
可愛いけどセリフも落語もカミカミ(笑)セリフ噛みまくって神!・・・って韻踏んでる場合ぢゃない。
根本的に彼女がこの役やるのはムリがあるんじゃないか?と思わなくもないのですが、とても頑張っているのは判るので百歩譲って良しとしてもですね、津川さんがお上手過ぎて全部持ってっちゃってるのはどうしようもない(苦笑)

津川さんだってキャリアが天と地程違うカワイコちゃん女優さんと比べられても困るでしょうけど、それにしても一応映画の予告やら公式サイト上では「主役」を張ってるハズの女優さんを完膚なきまでに食っちゃったのはなぁ・・・(^-^;

演技でも完全に食ってるけど、内容までまるっと持ってっちゃった。
話は途中までは確かに「男社会の中で孤軍奮闘するカワイコちゃん」ネタなんだけど、中盤以降は津川さん演じる師匠が起死回生を賭けて「禁断の落語」に挑むという話にスウィッチ。
話の最も盛り上がるクライマックスは全てこの「禁断の落語@緋扇長屋(ひおうぎながや)」の語りシーンになる。
この「緋扇長屋」という創作落語は、噺を作った本人のみならず、後にこの噺に挑戦した落語家は全員が全てを語り終える事なく奇怪な死を遂げてしまったという、正に正真正銘の「禁断の落語」という設定。

噺のオチも、そして映画のオチも結構キレイに決まるのですが、せっかく津川さんが素晴らしい演技で落語語りをしてくれていると言うのに、ただ座布団に座った津川さんの映像だけを見せたのでは観客は面白くないだろう、とサービス精神旺盛になってくれた製作陣は、このクライマックスの「緋扇長屋」の噺を、津川さんの「語りナレーション」に被せて映像で見せまくってしまった。これは正直いただけないです。

基本は津川さんが落語語りをしているシーンで噺を提示し、トコロドコロでチラリ程度で「説明映像」が差し込まれる程度に抑えて欲しかったですね。要するにそれ位津川さんの語りは素晴らしかったという事。

「緋扇長屋」の件は横に置いて、改めて本作を考えると・・・
確かに悪くはない話なんだけど軸がどこにあるのかがさっぱり判らない。ミムラちゃんは本当に主役なのだろうか?この映画は当初思い込まされていた「カワイコちゃん頑張る物語」ではなく、実は「エロいおっさん(コラ)頑張る物語」なのか?
話の序盤と締めはカワイコちゃんが担当して、分厚い中身はおっさん担当。あ、でも締めはカワイコちゃんが確かに出張るけど肝心のオチはまたしてもおっさんが持ってっちゃってたな(苦笑)

そんな訳でどうにもこうにも尻の座りが悪い作りでした。
正直ミムラちゃんでは、津川さんと渡り合うにはちと荷が勝ち過ぎたとしか言い様がないです。
落語って、聴いてる分には楽しいんですけど・・・本当に難しいモノだなぁと思いましたよ。女がなかなかこの世界で大成しないというのが、ミムラちゃんによって証明されてしまう形になってしまいました(苦笑)








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2008年08月11日(月) 寝ずの番

監督:マキノ雅彦
出演:中井貴一
    木村佳乃
    木下ほうか、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴が今正に息を引き取ろうとしていた。それを見守る弟子達は、最期の師匠の願いを聞き届けようと虫の息の師匠に問う。すると師匠は「そそが見たい」と言うのだ。驚く弟子達だが何とか願いを叶えようと、おとうと弟子「橋太」の嫁・茂子を説得。茂子は意を決して師匠に「そそ」を見せるのだが、師匠は「そそ」ではなく「そと(外)」が見たいと言ったのだった・・・その後程なくして亡くなった師匠の通夜、弟子達が集まって「寝ずの番」をする。


【感想】
俳優・津川雅彦氏が自分の母方「マキノ」姓を名乗りメガホンを取った、監督初作品。
本作自体は中島らも氏著の同名タイトル短編小説3部作を映画化しています。ちなみにお約束通り原作未読(^-^;

流石の芸能名門一族!津川さん、もといマキノ氏の人脈で恐ろしい程豪華な役者が揃ってご出演。
メインキャラは言うに及ばず、師匠のお葬式に弔問に訪れるというチョイ役であんな人・こんな人が実名で出演。こういうのを見るにつけて人脈というのは金にも勝る宝だなぁと、改めて思わされますね。
・・・と、いきなり年寄り臭い事を書いてしまいました(苦笑)

それと言うのも、本作は鑑賞ターゲット層が非常に限定されていると思うからですよ。
本作、文部科学省認定作品であるにも関わらずR-15のレイティングが付いている。何か猛烈に矛盾してる気がしなくもないのですが、映画を見ればレイティングが付くのもさもありなん・・・とにかく下ネタ連発、ってか下ネタ9割?(笑)
とてもじゃないけど健やかにお育ちあそばれるお子様に見せられる内容ではありません。大人の、しかもこの手の下ネタを大らかに笑い飛ばせるだけのユーモアを許容出来る方じゃないと楽しめない。

そんなこんなで、下ネタ上等!なぴよは大笑い(笑)
映画冒頭から飛ばしてますから〜。上の【あらすじ】にも書きましたが、師匠の最期の願い「外が見たい」を「そそが見たい」と聞き間違いして遁走する弟子達の真剣な様子が、何とも滑稽でユーモラス。
ちなみに「そそ」と言うのは「女性陰部」の地方隠語(京都の方言?)だそうです。聞いた事がありませんでした。
最初は「粗相(おもらし)の事?」と思ったんだけど、似て非なり。でももしかしたら語源は同じなのかな?

いよいよ師匠がなくなってからは、通夜を徹夜で死者の傍で語り明かしす「寝ずの番」を弟子達がする様子を見せる。
昔はどこのご家庭でもお通夜の晩は親族や近親者・縁者が集まって徹夜で死者の思い出を語りながら酒を酌み交わして番をしたものですが、最近ではこういう風習は廃れて来ているかもしれません。
本作は、その「古き良き弔い」の様子を何とも楽しく「お下品」に見せてくれます(苦笑)

犯罪スレスレのネタから果ては「遺体とラインダンス」まで繰り広げるという、ちとやり過ぎな感はあるものの、本作のいいところはどんなお下劣なエピソードも、どんなバカ騒ぎも、何もかも「故人を愛し慕う気持ち」がひしひしと伝わる事。
愛するが故、慕うが故、「本当にどーしようもない師匠だった」と語る弟子達の優しい眼差しが胸を打つ。往々にして故人を偲ぶ時に語られるエピソードというのは「失敗談」や「呆れた話」のようなネガティブネタが多い。でもそれは「故人とそれだけ近しい間柄だったから語れる」という気持ちから発せられるのだと思いますね。

本作を見て「死者を冒涜するような」と思うような方は、もしかしたら近親者を亡くした事がないのかもしれない。
この映画のネタは、自分の身近な人を亡くして「寝ずの番」をした事のある大人だったら、笑って頷けるでしょう。故人の生前の横暴ぶり、やんちゃな英雄譚を笑って語る事、それはもっとも故人が喜ぶ弔いなのだと大人は知っている。

ネタはエロ全開だし、少々ネタが被って冗長な感はありますが(一番弟子の弔いシーンはなくてもいいような?)、本作の根底に流れる「古き良き日本人のお弔いの気持ち」には、見終わった後に何か清々しいものすら感じさせてくれました。
・・・清々しい、と言っても「エロ全開」ですからね。とりあえず笑っちゃって下さい(^-^;








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2008年08月04日(月) ジャージの二人

監督:中村義洋
出演:堺雅人
    鮎川誠
    水野美紀、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
会社を辞めたばかりの息子(32歳)とグラビアカメラマンの父(54歳)の2人が、北軽井沢の別荘にやってきた。東京に残してきた息子の嫁は他の男と恋愛中、そして3度目の結婚が黄色信号の父という「ワケアリ父子」は、今は亡き祖母が収集していた古着のジャージに着替えて「何にもしない夏休み」をまったりと過ごす。


【感想】
芥川賞・大江賞受賞作家「長嶋有」氏著の同名タイトル小説を映画化。ちなみに原作未読です。
息子役には今乗りに乗ってる堺雅人サン、そして父親役には「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠サンが演じ、監督はここんとこ当たり作品が続く中村義洋氏がメガホンを取っています。

それぞれ結婚生活が上手く行ってない父子が2人して別荘でしばらく生活する。ただそれだけのお話。
「かもめ食堂」以来、綿々と量産されている「何もしない・何も起こらない系」ですね。小さなネタを繋ぎ、キーになるグッズ等(本作では携帯電話とトマトか)を登場させてはだらだら続くエピソードを締める役割を果たさせ、状況や背景の説明は敢えてしない・進展させない・でも癒されて少しだけ前向きになってる?みたいな系譜。

予告編を見た段階で判っちゃいたけど、堺雅人さんが最近お気に♪なので鑑賞した訳ですが・・・正直この手は飽きた。

気になるのが本作の原作ですわね。
少なくとも映画では登場人物の心情等をキャラに語らせる事は一切しなかったのですが、映画は役者さんがセリフでは語らなくてもきちんと「演技」してくれているので、そのふと見せる表情や仕草等で語られなかったセリフの代弁をしてくれる訳ですが(本作、そういう部分ではなかなか役者さんが上手かったと思います)、これを活字で表現するとなると一体どう表現しているのだろう?と、映画を見ながら原作の表現方法が気になって仕方ありませんでした(^-^;

要するに、本当に本作は「何もしない」という事でして(笑)

何か話の筋とか軸のようなモノがある訳でなく、なんとなーく父と息子がまったり過ごしていて、それが何か各々の抱える問題に対して前向きになる要素があるわけでもなく、父は淡々と麻雀ゲームをしているだけだし、息子は犬の散歩をさせてトマト料理を食って時々小説を書いてるだけ。
同じシーンを繰り返し見せ、そこに少しずつゲストキャラ?を挿入する事で繰り返されるシーンが少しずつ状況を変えるという方式で、何となく話は流れていきます。

見ていて確かにコチラもまったりした気分は存分に味わえるのですが・・・この手も余りにも量産され過ぎると、どうしたって食傷気味になっても仕方ないと思うんですよね。
決して悪くない作りなんですが、「じゃあどこが特に良かったの?」と聞かれても困ると言うのか(^-^;

正直、なーんも心に残らなかったので「1時間半、まったりのんびり出来てよかったなー」というだけでした。
世間的には相当ウケが良さそうな予感はしますが、もう本当にこの手の作品に飽きちゃっただけなんですよ。ええ。








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2008年08月02日(土) ハプニング

監督:M・ナイト・シャマラン
出演: マーク・ウォールバーグ
    ズーイー・デシャネル
    ジョン・レグイザモ、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
ある朝、突然NYのセントラルパークで人がバタバタと倒れて死んでいった。時同じくしてビル建設現場からは作業員達が次々と飛び降り自殺をしている・・・「NYでテロ発生か」のニュースが駆け巡り、フィラデルフィアに住む科学教師のエリオットは、最近ぎくしゃくしている妻アルマを連れて同僚教師のジュリアンと彼の娘ジェスと共に列車で安全な場所を求めて移動を始めるのだが・・・


【感想】
またシャマラン。何度騙されてもシャマラン。←この書き出しはよくありませんね(苦笑)
それにしても彼の作品の予告編はどうしてこんなに刺激的で面白そうに作られているのかと。絶対に期待を裏切られると判っているにも関わらず、あの予告編を見たらいてもたってもいられないのが映画好きの悲しい性でしょう(薄涙)

さて本作、アプローチがかなり面白い。
科学教師のエリオットは、最近ミツバチが姿を消した事を気に留めていて、授業で「ミツバチがいなくなった理由」について生徒達とディスカッションを活発に行う。
どうやらこのネタが「見えない脅威」に絡んで来るのか?と期待は高まるばかり。
更には予告編で「うおぉぉぉ!」と叫んだあのシーン・このシーンが次々登場。でも序盤で予告編映像が全部出て来るのがナニゲに気にならない訳でもないんですが・・・(一抹の不安)

そんなこんなで「とにかく安全な場所を探して逃げよう」という事になって話は動き出します。

・・・動き出したのはエリオット達だけで、話はこれ以上動く事はありませんでした(苦笑)
あああああ。またしてもオチバレ書いちゃってる。ダメじゃん、自分。orz

まあ、いい。←よくないって(^-^;
とにかく逃げる。逃げて逃げて逃げまくる。何から逃げていいのかよく分からないけど逃げる。
でも逃げてる内にエリオットは「ある自然現象」がどうやらこの「見えない脅威」に絡んでいる事に気付く。理由はよく判らないけどとにかくその問題の自然現象から逃れられれば死ななくて済むという事だけは学習出来たので、何とか回避方法も判った模様です。よかった♪よかった♪

ところで、シャマラン作品は「予告編で先読み(どんな話か予想する)してはいけない」と判っているものの、そこは映画好きとしてどうしても「きっとこんな風な展開なんだろーなー」くらいは考えちゃうじゃないですか。
とりあえずぴよは「科学教師」「いなくなったミツバチの行方」等の前振りがあったので、きっとエリオットが何かこの不可解な現象に対して重大な秘密を見つけ出して、そして地球を救う救世主となる話なのだな?と当たりを付けていた訳です。

そしたらそしたら・・・ある意味「驚くべき展開」でしたね。
コレはコレで観客の予想を大幅に裏切る大どんでん返しと言ってもいいのかもしれない(笑)

とても前向きに考えると、本作は「夫婦の絆の再生」みたいな・・・とても心優しいほんわかムービーなのかも?
まあきっとそうなんでしょう。だからエリオットが自殺行為だと百も承知していても妻の元へ歩み出そうとするその瞬間が何物にも得難い崇高な瞬間なのです!これぞ愛の成せる奇跡なのです!!

・・・せめて「奇跡オチ」にしろって(ぼそ)
その後のオチには大笑いするしかなかったですわ。結局何だったんだよと。
ミツバチとか自然現象とかとかムダに気味の悪いババアとか、散々いじくり倒せるネタを振るだけ振っておいて、どうして何もオチをつけずに放置しちゃえるのかと・・・ま、これぞ「シャマラン・クオリティ」とでも言うのか(苦笑)

相変わらず映画見終わった後に「出だしは最高に面白そうだったのにさー」とツッコミまくり満載な訳ですが、
何度騙されてもそれでもシャマラン作品をうっかり見てしまうというのは、これはもう「敢えてツッコミたくて見ている」としか自分でも思えなくなって来ました(^-^;

そう思うと・・・本作はとてもクオリティが高いです。映画見終わったらツッコミ満載!ツッコミ入れたい人は是非!(笑)








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2008年08月01日(金) 百万円と苦虫女

監督:タナダユキ
出演:蒼井優
    森山未來
    ピエール瀧、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
短大卒業後、就職浪人でフリーターをしている鈴子は、バイト仲間からルームシェアを持ち掛けられて共同生活を始めたのだが、あるトラブルを起こした末に刑事告訴されて前科者となってしまう。出所して実家に戻るものの居場所のない鈴子は家族に「100万円溜まったら家を出て行く」と宣言し、100万円溜まると自分を知る人のいない土地に行っては家を借り、またその地でバイトして100万円溜まったら他の土地に移動する、という生活を続けるようになるのだが・・・


【感想】
蒼井優ちゃん主演最新作。若手女流監督「タナダユキ」氏が脚本も書いているようですが、この方全く知りません。
出演している役者がナニゲに豪華。上記の面子の他にも脇役で笹野高史さん、佐々木すみ江さん、嶋田久作さん等の舞台畑や名脇役と呼ばれるようないぶし銀役者さん達が数多くクレジットされています。

鈴子は友達もいなくて地味で自分の気持ちを余り表に出さないタイプの女の子。
要するに「1山100円」の目立たない子ね。でもすっごく可愛いから実はクラスの男子からは密かな人気だったり。それが気に入らないクラスの中心的派手な女子グループの子達からは「何アイツ」みたいな目で見られてたりして(苦笑)
結構世の中にこういうタイプの女の子は多そう。で、蒼井優ちゃんはその「どこにでもいそうな地味で可愛い子」をすごくリアルに演じてくれています。もう本当にアナタは可愛過ぎるからっ!!

刑務所を出所するシーンから始まるのでギョッとするのですが、どうして前科者になったのかはその後明らかになる。
正直言って・・・こんな事くらいで本当に刑務所に入らなきゃいけないんですか?ちょっとこの映画のトーンからは掛け離れたイメージがするんですが、自分自身から逃げ出したい・自分の事を知る人がいない街で暮らしたい・誰かと関わり合いになりたくない・自分を知られたくない、という彼女のメンタリティを表すのに「前科者」というのが都合が良かったんでしょう。

まあそんな訳で、鈴子は100万円溜まると見知らぬ土地に行っては家を借りて生活する。
100万あれば結構遠くまで移動出来るし、田舎なら敷金・礼金払ってバイトを見つけるまでの生活費も何とかなる。バイトが見つかったら節約してお金を貯めて、貯金が100万に達したトコロでまた移住するという生活を繰り返す。

ありがちな「自分探しの旅」を全面に押し出すタイプではなく、むしろ逆で「自分から逃げ回る旅」を見せる。
でも、世の中本当に独りぼっちでなんて生きていける訳がない。バイトすればバイト先の同僚や雇い主との人間関係も生まれるだろうし、バイト先の常連客や田舎に住めば馴れ馴れしい老人やご近所さんも現れるだろう。
「自分なんて何の取り得も資格もない、しかも前科者だ」と殻に閉じこもる鈴子だが、行く先々で生活には大して役にも立たないだろう「才能」を認められてはちょっぴり嬉しくなったりする。

誰にも見咎められたくないと思っていても、人と人が交われば必ず自分を見つめて評価してくれる人が現れる。
そういう何でもない、でも人として生きて行く上でとても大切な事を地味〜に、でもジワジワと見せてくれます。

鈴子の弟のネタが平行して描かれていて、最初はこのクソガキ鈴子の弟がウザくて仕方なかったんだけど(をい)、実はこの弟は後にかなりいい仕事をしてくれます。鈴子は行った先々から弟に手紙を書くという約束をするんだが・・・このネタの落としドコロにはグッと来ましたよ。
不動産屋で契約する時に保証人の欄に弟の名前書いてるから「何かあるな?」とは思ってたけど、こーいう事か!

森山未來クンが、何だか妙に感じが良くてぷち惚れた♪(笑)
告白シーンなんて萌え萌えですよ。でもその後の展開が・・・「シフト見てバイト代計算してた」というシーンでオチが直ぐに想像ついちゃったのがちょっと残念だったなぁ、と。でもそれを差し引いてもかなりいい感じ♪(^-^)

肝心のオチは判っちゃったけど、本作は終わり方がとても好きですよ。
コレでベタベタな「お涙頂戴感動抱擁シーン」なんてやられた日にゃ〜ドッチラケになる所ですが、本作は見せ方が本当に上手いと思ったし、観客に色々考えさせるだけの余白を残してくれて、その余白の分量が本当に絶妙でした。
蒼井優ちゃんの一人語りも、見せ過ぎないで余韻の残る演出も、何もかもがツボに入った一作でしたね。

都会の真ん中で独りぼっちでうずくまって生きている・・・そんな就職浪人の皆様(コラ)、そうじゃない方も本作必見です!








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