監督:ジェニファー・フラケット、マーク・レヴィン 出演:ジョディ・フォスター アビゲイル・ブレスリン ジェラルド・バトラー、他 オススメ度:☆☆
【あらすじ】 作家のアレックス・ローバーは、自身の名前を主人公にした冒険小説シリーズを書いている。小説の中のアレックスは勇猛果敢な男性ヒーローだが、実際のアレックスは「アレクサンドラ」という名の女流作家で、しかも異常な潔癖症+外出恐怖症のニートだった。新作の取材の為に無人島に住む海洋学者にメールを送ったのだが、当の学者は海で遭難し、困った娘がアレックスにSOSメールを送って来た。一大決心をして娘を助ける為に外出する覚悟を決めたアレックスだが・・・
【感想】 オーストラリア人作家ウェンディ・オルー著の児童小説(原題:Nim's Island、邦題:秘密の島のニム)を映画化。 ニートな冒険作家アレクサンドラをジョディ・フォスター、海洋学者ジャックを「オペラ座の怪人」で一気に知名度の上がったジェラルド・バトラー、そしてジャックの娘ニムを「リトル・ミス・サンシャイン(未見)」でアカデミー賞にノミネートされて話題となった天才子役アビゲイル・ブレスリンが演じています。
予告編を見た時は、ニート女流作家とイケメン海洋学者のほのかな恋(娘があからさまなキューピット役)を描いた作品だとばかり思っていたのですが、蓋を開けると無人島で孤軍奮闘するお嬢ちゃんの様子と、そのお嬢ちゃんを助ける為に勇気を出してニート生活と決別する「中年女流作家」のアドベンチャームービーといった趣でした。
明らかに予告編で観客を「恋愛映画」だと誤誘導している典型的な作品ですね(苦笑)
ま、そんなこんなで「お子様向けファンタジーアドベンチャー」 完全にお子様向けなんだけど、今の日本で「おお!ジョディの新作か。こりゃ見逃せないな」とおっしゃるお子様は「皆無」とまでは言いませんが(言いたいトコロだけど)極めて稀な例であろうかと思われ。 要するに「役者の名前で子供は呼べない。だから大人を呼ぶ為に予告編で捏造するしかない」という苦渋の選択をされたのだろうと容易に想像付くのですが・・・まあ、悪い話じゃないからいいんですけど、それにしても大人の鑑賞に堪え得るクオリティの作品なのか?と問われると首を傾げるしかないという感じですか。
東京のど真ん中並みにインフラの整った「無人島」って段階でドン引きする「大人の」観客は多かろうと思います(笑) 百歩譲って「インフラ完璧な無人島で、就学児童(親のエゴで未就学なので児童虐待確定)と学者が暮らす」という設定を甘んじて受け入れる事にしても、とりあえず何もかもがご都合主義過ぎてツッコミ所が満載。
アレクサンドラは自身が書いた冒険小説の主人公「アレックス」と常に会話し続けているのですが、勿論小説中のヒーローが目の前にいる訳がないので、コレは「アレクサンドラの脳内妄想」という訳で・・・勿論映画中でも目に見えないアレックスと勝手に1人で喋ってる痛いおばちゃんの図、というのがシーンで登場するのですが(笑)、まあこの一連のシーンは大人が見ても結構苦笑しながら楽しめるレベルなのでいいと思いますよ。
それにしても遭難した学者のヨットの行方やら、アレクサンドラの珍道中の痛さはどうにもカバー出来ません。 特にアレクサンドラが嵐の海に救難ボート1つで飛び出して行くシーンは本作最大のツッコミどころ。流石にこのシーンは子供が見ても「ママー、このおばちゃん頭がおかしいのー?」くらいは言いそうです(笑)
もうめった斬りしまくってますが、それもこれも「恋愛映画だとばっかり思って見ていた」からだろうと。 最初から予告編で「世界中が愛したファンタジーアドベンチャー児童小説を映画化」とでも銘打っていれば、その心積もりで鑑賞出来るので「まあ、ガキ向けアドベンチャーなんだから何でもアリだわな」と納得も出来たハズなのに、中途半端な予告編で誤誘導なんかしちゃうからおかしな事になる訳ですよ。
運よく本作を鑑賞前にこの感想を読まれた方は、「コレは子供向けファンタジーアドベンチャーなのだ」としっかり心に刻まれてから鑑賞される事を強くオススメします。 子供向けの話なのだと思えば、正直結構楽しめるんじゃないかと思いますよ。ええ。ホントに(^-^;
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