ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2008年01月31日(木) エリザベス:ゴールデン・エイジ

監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット
    クライヴ・オーウェン
    ジェフリー・ラッシュ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
若くして英国女王に即位したエリザベス。プロテスタント女王だった為にスペインからの圧力は凄まじく、また幽閉中のスコットランド女王がカトリックだった為に国内のカトリック勢力からの弾圧も激しかった。ある日海賊まがいの冒険家・ローリー卿と出会い、彼の自由奔放で豪放磊落な人柄に興味を抱く。立場上彼と恋に落ちてはいけないと自分を抑えたエリザベスは、自分の侍女を彼に近付けて擬似恋愛を楽しむのだが・・・


【感想】
生涯独身を通し「処女王」と呼ばれた英国女王・エリザベス一世の半生を映画化。
同じ監督、同じキャストがエリザベス一世を演じた「エリザベス」という作品が1998年に製作している事は記憶にそう古くないだろうと思いますが、この監督さんはよほどエリザベス女王に心酔しているのでしょうか?前作はオスカーレースでサクッと「恋におちたシェイクスピア」に持ってかれたのがよほど悔しかったのか、全く同じテーマで自主リメイク?

前作も見てるハズなんですが、正直言うともうあんまり覚えてない(をい)
そして「恋におちたシェイクスピア」の方はよーく覚えてますよ。要するにぴよの中で98年製作のエリザベスはそんな程度の印象しか残らなかったんだろうという事でして・・・さて本作は?という訳なんですが、

98年のエリザベスから10年、当時もエリザベス一世を演じたケイト・ブランシェットも10歳年を取り、ますます演技に磨きがかかって堂々たるエリザベス女王を演じていたと思います。
これはもしかしたら今年のオスカー、主演女優賞取っちゃうか?・・・まあとにかく圧倒的な存在感・威圧感で周囲を一喝する様はお見事。ケイト嬢は素晴らしい女優さんになりましたね。眉毛がなくて顔が怖いけど(こら)

今作ではエリザベスの愛人の1人「ローリー卿」との恋にスポットを当てて、彼との恋愛を通して何故彼女が「処女王」という立場を貫き通したのか・・・彼女の並々ならぬ英国に対する愛と決意、そして一人の女としての葛藤を、スペイン無敵艦隊を相手に大勝利を収めた「アルマダ海戦」に絡めて描いていきます。
要するに、本作「歴史大作モノ」じゃなくて「恋愛映画」の色が強いですね。

そんな訳で、実は歴史大作モノを期待していたぴよにはちょっと肩透かしな感はありましたが(^-^;
これはこれでとても見応えはありましたよ。まず衣装が凄いしね!超豪華絢爛!何?あのヅラ!←こらこら
いやそれにしても凄い迫力って言うか・・・絵的に本来はアルマダ海戦の部分が一番迫力があってもよさそうなモノなんだけど、アルマダ海戦の様子は「フーン」って感じで、とにかくエリザベスの様子に圧倒されっぱなしでしたね。

ローリー卿がエリザベスの侍女に手を出して極秘結婚した事で幽閉されたのは史実通りだけど、ローリー卿の見せ方をもう少し工夫しても良かったかな?という気がしなくもないです。
事実はどうだか知りませんが、本作ではローリー卿はエリザベスの心の拠り所のような、1人の女として生きられないエリザベスの葛藤を代弁するヒーロー的な役回りなのに、エリザベスに敬愛を評しつつちゃっかり侍女とねんごろになってしまう単なるジゴロにしか見えない。

ま、誰が見てもエリザベスより侍女の方が可愛いもんなー。仕方ないかもね〜(^-^;

立場上、常に毅然とした振る舞いで威風堂々としていなければいけない。その反面不安と恐怖に苛まれて、星読みに頼ってはウソでもいいから英国にとって有利な予言をして欲しいと懇願する。
自分の結婚が政治に利用されているのは承知しているから、表立って誰かと恋愛を楽しむ事は出来ない。だから侍女をけしかけて男と楽しそうにしている様を見ては侍女に自分の姿を重ね合わせるしかない。でもいざその侍女が自分の愛しい人と本当にねんごろになると嫉妬の炎を抑える事が出来ずに激昂する。

誰も本当の女王の葛藤を知る術はないけど、この映画の解釈もまた真実の一部分なんだろうと、そう思わされるだけの説得力は充分持った作りだったと思いましたね。
個人的には、恋愛部分から女王の葛藤を描き出すならもう少しドラマティックに作っても良かったのでは?少し真面目に作り過ぎていて面白味に欠けるな・・・とは思いましたが、これはこれで本当に良く出来ていると思います。








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2008年01月30日(水) 団塊ボーイズ

監督:ウォルト・ベッカー
出演:ジョン・トラボルタ
    ティム・アレン
    ウィリアム・H・メイシー、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
アメリカの閑静な住宅街に住むダグ、ボビー、ウディ、ダドリーの4人の中年男達は、週末ライダーのグループ仲間。若い頃は無茶な事もしたものだけど、家庭を持ち仕事に忙殺されて今はかつての面影もない。そんなある日ウディが「自由奔放な旅に出よう」と言い出して、4人はハーレーを駆って3200km離れた西海岸へ向けてツーリングに出掛けるのだったが。


【感想】
アメリカで2007年3月に公開されるやたちまち人気になり、かなり長い事興行収入ランキングに名を連ねていたそうです。
出てる役者さんが豪華ですしね。上記のお3方+マーティン・ローレンスの4人が「団塊ボーイズ」のメンバー。
・・・って、この邦題何とかなりませんか?原題は「WILD HOGS」と言うのですが(劇中のツーリングチーム名)、原題のままカタカナ表記にした方が断然いいですよ。この邦題は雰囲気ぶち壊しですって(^-^;

そんな訳で、本作は中年週末ライダー4人が日常を忘れてツーリングをする、というコメディ・ロードムービー。
4人はそれぞれ個人的に悩みも抱えていたりするけど、まあ大した事じゃない。この年齢になればよくあるような事。
そして4人のグループ構成はリーダー、ブレーン、お調子者、そしてボケ係とバランスよくキャラクターが組まれていて、それぞれがきちんと自分の役割を果たしながら旅を続けていきます。

旅の出発点から「イージー・ライダー」のパロディで軽く団塊世代のハートを掴み、その後も事ある毎にトラブルに巻き込まれたりトラブルを自ら作り出して、どーでもいいようなネタで観客を笑わせながら「最重要イベント地点」に向かって行く。
目新しい展開なんて何ヒトツなく、ボケギャグも超古典的、ならず者バイクチームとのクライマックスの激闘?も昔から散々使われてきた「青春ドラマ」の2番煎じ3番煎じ・・・ある意味安心して見られるけど、まあ凡庸(^-^;

この邦題の香ばしさといい、内容の古臭さといい、要するに本作は「かつての冒険野郎・今はくたびれたおっさん」に向けた応援歌のような作品。鑑賞ターゲット層も勿論この年代の人なんでしょうなぁ。
問題は、本作のターゲット層の人達がどれくらい劇場に足を運んでくれるのか、という事くらいですか(苦笑)

でも若い人が見てもなかなか楽しいんじゃないか?という気はするんですよ。
ここまで古臭いベタギャグって、今のお笑いに馴染んでる層には逆に新鮮なんじゃないかしら?
それに「男ってヤツは、いつまで経ってもガキでしょーがないよなぁ〜」なんて、女性が見てもほくそ笑みそう♪
要するに、中年パパ、パパに溜息付きまくりの恐妻ママ、パパを小バカにしてるガキ、家族揃って映画見に行って、パパの若き頃の武勇伝に触れてちょっぴりパパのお株を上げちゃおう!みたいなほのぼの感があるんですよ。
団塊世代以降の「今頑張ってる中年おやじ」が家族引っ張って見に行くのにうってつけかもしれませんわ。

ウィリアム・H・メイシーがオイシイですね。この人、こういうキャラが猛烈に似合ってます。
それから上にも少し触れましたけど、映画の随所に「イージー・ライダー」へのオマージュに溢れ、それはピーター・フォンダのご登場で最高潮に達します!このジジイ、本当にカッコいいゼッ!!
もうどこまで行っても本作は、かつて無茶やったものの今はしがないおっさん(既に爺さん?)を喜ばせる仕様。

団塊世代の方々はそろそろ第一線を退いて悠々自適の生活ですか?
でしたら本作を見て、若かりし頃を思い出して、そして気ままな旅に出てみましょうよ?時間はたっぷりありますヨ(笑)








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2008年01月28日(月) 歓喜の歌

監督:松岡錠司
出演:小林薫
    安田成美
    伊藤淳史、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
みたま市文化会館の主任・飯塚は、仕事も家庭もその場しのぎの典型的ダメ公務員。年も押し迫った12月30日、翌日の夜に予約が入っているコーラスグループからの問い合わせ電話がきっかけで、「みたまレディースコーラス」と「みたまコーラスガールズ」というよく似た名前を取り違えた飯塚はダブルブッキングしていた事にようやく気付く。慌てて双方に事情を説明するものの、どちらも一歩も引かない膠着状態になり途方に暮れるのだが・・・


【感想】
立川志の輔氏の同名創作落語を映画化。
古典落語を映画化したものは何度か見た記憶がありますが、新作の創作落語を映画化というのは珍しいかも?
監督は「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(ぴよは未見)」で大ヒットを飛ばした松岡錠司氏。主演のダメ主任を演じるのは東京タワーにも出演していた小林薫氏。それからコーラスガールズのリーダーを6年振りにスクリーン復帰の安田成美ちゃん、敵対するレディースコーラスのリーダーを「本気のコーラス歌手」由紀さおりさんが演じています。

「歓喜の歌」とはズバリ、大晦日に毎年アチコチの音楽ホールで演奏される「第九」の事。
映画の話も大晦日の夜にダブルブッキングしてしまった2つのコーラスグループを巡るドタバタを中心に、その騒動を引き起こしてしまった文化会館のダメ主任の2日間の迷走っぷりを見せるという展開になっています。

「大晦日の第九ネタ」なら、どうして年末に公開しないんだろう?と思われる方が多いと思いますが、コレはどうやら最初はフル回転で作って年末公開に間に合わせようと頑張ったものの、余りに日数が足らなくて編集が間に合わず、やむなく年明けの今になって公開になってしまったというのが真相だそうです。
・・・だったら思い切ってフィルム寝かせて、今年の年末公開にしてもいい気がするけどなぁ(ぼそ)

チケがなかなか取れないと評判の志の輔師匠の新作落語の映画化ですからどれだけ笑えるんだろうと思いきや、いわゆる人情話が先行の「ゆるいほっこりコメディ」という感じでした。
実際に師匠の高座に足を運んだ事がないので比較出来ませんが、コレはコレで上手く作ってあったと思います。

小林薫氏の演技が光る作品でしたね。
「どこにでもいそうな普通の人」というのは、実は一番演じるのが難しいんじゃないかと思う。
キワモノキャラやクセのあるキャラの方がインパクトを出しやすいので、大根でも簡単に演じられる。でもこの映画に登場するダメ公務員の典型のような凡庸なキャラというのは、実はとても難しそう。
それを観客に飽きさせる事なく、突出し過ぎず、かと言って無個性でなく、更に客に愛されるキャラにする。
小林氏は素晴らしい役者さんだなぁ〜と改めて思いましたね。

それから久し振りにスクリーン復帰した安田成美サン・・・可愛過ぎるからっ!!
何?あの癒し系!マジ萌えるわ。ほとんど仕事らしい仕事しないで家事と子育てしてたんじゃないの!?
どうしてフツーの主婦してたハズの人があんなに所帯染みないでいられるのか、本気で小一時間問い詰めたいですよっ
ぴよの中で彼女と同じ系統で「菊池桃子サン」という札もあるんですが・・・芸能人って不思議がいっぱい(笑)

内容については、まあ正直言って「誰でも安心して見れる(言い方変えれば凡庸な)展開」でして。
相対する2つのコーラスグループが、片や「歴史あるおハイソおばさま軍団」片や「新興庶民派パート主婦軍団」で、映画では庶民派軍団の方に肩入れした見せ方になっていたんですが(成美サンが庶民派チーム代表だったからね)、
個人的には庶民派軍団の方に肩入れして見せるなら、場所の取り合いをしているおハイソ軍団の方はもっと感じの悪いエゲツない気取ったババア達、という設定にしてもらった方が、後の展開が生きたのでは?という気がしましたが。

かなり強引な展開も多々あってツッコミ所満載ではあるものの、主人公・飯塚のドラマを主軸に見せつつコーラスガールズのメンバー個々の人情話等を小まめに挿入して目線を変える事で、観客を飽きずにクライマックスまで引っ張って行ったのはなかなか脚本が練れていたと思いましたね。

悪人なしのほっこりコメディなので、日本人の気質によく合う作品だとは思いますが・・・
正直言って「ここんとこ邦画で量産されてる系統」でしかなく、特に思い入れを持てる程ではありませんでした(^-^;








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2008年01月24日(木) アメリカン・ギャングスター

監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン
    ラッセル・クロウ
    ライマリ・ナダル、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
1970年代初頭のアメリカNYのハーレム。ハーレムを仕切った伝説のギャングに長年仕えたフランク・ルーカスは、ボス亡き後に一匹狼となって今までになかった新しい「麻薬密売ルート」を確立させた。表向き目立った生活をしないフランクは、長い間暗黒街のボスだと知られずに生きていたが、遂に彼を目に留めた人物がいた。それは汚職がはびこる中で不正を良しとせずに仲間から孤立していた刑事「リッチー・ロバーツ」だった。


【感想】
リドリー・スコット監督、デンゼル×ラッセルの2大オスカー俳優の初共演で話題の作品。
デンゼル演じたフランク・ルーカス、ラッセル演じたリッチー・ロバーツ共に実在する人物・・・予告編でも謳っていますが本作は事実を元に作られた作品です。上映時間は2時間37分。長い。長いぞー(薄涙)

確かに上映時間は長いのですが、その長さをそれほど感じさせる事はありません。
静かでありながら圧倒的な画力、圧倒的な演技力、全く違う生き方をしていく男達が、それぞれの男の生き様をこれでもかと見せ付けてくれて・・・よっぽど映画が嫌いかこの手のジャンルに鳥肌が立つという拒絶反応がある人以外ならスクリーンに見入る事は確実ですね。

デンゼル×ラッセルの初共演、という事でどんな丁々発止が見られるのかと思いきや、なかなか2人が絡まない。
フランクがハーレムの一匹狼としてのし上がって行くパート、リッチーが汚職を嫌って仲間内から孤立してしまうものの、その刑事としての高潔な姿勢を買われて麻薬捜査官として抜擢され、遂には誰も想像もしていなかった「黒人ギャング」に辿り着くまでのパート、と2つの話が同時進行で交互に描かれていきます。

まあ、とにかくデンゼルもラッセルも上手い。上手いからオスカー取ってるんだけど、でもやっぱ上手い!

デンゼルは最初の頃「ギャングのボスって柄じゃないよな、この人。余りにも品が良すぎるいい人系の顔立ちだし」と思っていたんだけど、フランク役はデンゼルじゃなければダメだったのだというのが後によく判る。
実際のフランクも表向きは非常に地味で真面目な生活を送っていたそうで、だからこそ長きに渡りフランクが実は裏の麻薬王なのだと気付かれなかったらしいですから。
劇中でもフランクの生活振りを調べ上げた捜査官達が「コイツは違うだろ」と誰もが評している。

ラッセル演じるリッチーも非常に魅力的なキャラクター作りがされていた。
プライベートは女にだらしがなくどうしようもないオヤジなんだけど、人間として実に高潔。刑事という特権を生かして汚職まみれになっている周囲に染まらず、孤軍奮闘して巨悪を叩く事に心血を注いでいる。
最初はやっぱり「ラッセルとデンゼル、演じるキャラが逆なんじゃねーの?(苦笑)」と思っていたものの、女にだらしない役はやっぱりラッセルじゃないとねー♪(をい)

映画中盤までのシーンはもっと端折れるだろう、後30分は短縮出来るんじゃないか?とは思う。
物凄く描き込みが緻密で丁寧なんですね。でもちょっと丁寧過ぎるかなー・・・と思うものの、実際この上映時間できっちり丁寧に人物描写を見せてもらえたからこそ、フランクという人物に抗え難い魅力を感じてしまったのか?とも思えるし。
コレはちょっと評価し辛いトコロ(^-^;

結構衝撃的だったのは、フランクが「全く新しい麻薬密売ルート」を思い付いたきっかけが、70年代当時流行り出した大型量販店と日本の家電メーカーのアメリカ進出のノウハウだったという事。
日本はアメリカの猿真似だと当時揶揄されていたものだけど、とんだ場所で日本のやり方が生かされていたという驚き。

既存の「ギャング映画」のような派手なシーンは少なく、麻薬王と刑事の生き様、そして当時のアメリカの腐敗した警察や社会構造等を淡々と丁寧に見せていく作りなので、華々しい映画を期待していると肩透かしを食らいそうです。
本作は実在した麻薬王と刑事を題材に取っていますが、決して「ギャング映画」ではなく「社会派モノ」ですね。

社会派似非ノンフィクションドラマだと思って見れば、かなり評価は高くなるんじゃないかと?ぴよは好きな映画です。







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2008年01月23日(水) いつか眠りにつく前に

監督:ラホス・コルタイ
出演:クレア・デインズ
    ヴァネッサ・レッドグレイヴ
    メリル・ストリープ、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
重病を患い、いよいよ人生の最期を迎えようとしていた老婦人アンを見守る彼女の2人の娘。半混濁状態のアンは娘達が一度も耳にした事のない男性の名前を何度も口にするのだった。意識と無意識の中でアンの記憶は1950年代のある週末に遡っていた。親友ライラのブライズメイドを務める為に海辺の街にやって来た彼女は、そこで運命の恋に落ちるのだが・・・


【感想】
「魅せられて」等で知られるスーザン・マイノット氏著の小説を映画化(原題は『EVENING』)
ヴァネッサ・レッドグレイヴとメリル・ストリープの2大オスカー女優の共演もさる事ながら、お互いの娘も共に本作に出演してダブル母子共演も果たしているという、何とも贅沢なキャスティングの作品。

死の床にあるばーさんが、自分の人生の中でも最も思い出深いある出来事を回想し、娘達は娘達で自分の母親の知られざる過去がある事を知って、今の自分の人生について思いを巡らす・・・まあそんな話なんだろうと思います。

つまんねー(ぼそ)←いきなりコレかよ(^-^;

とりあえず、ちょっと寝不足状態で鑑賞したのがいけなかったんだと思う。
それにしても映画冒頭からゆるゆる進行でかったるくて眠たくて、ちょっと油断すると意識が飛びそうになるのが辛くて、だから正直言うと映画序盤のセリフとか何言ってたかあんまり覚えてないんです。ごめんなさい(涙)

そんな訳で、死にかけのばーさんが(コラ)うたた寝から目覚めたトコロで、娘達が「今まで一度も聞いた事もない男の名前を連呼してたけど誰よ?」と詰め寄ると「私の最初の過ちよ。彼と2人でバディを殺したの」と、なぞなぞみたいな言葉を残して回想シーンと現在の様子を交互に見せて行きます。

結婚する親友の弟がどうやら大学時代の同級生らしい。この弟の名前がバディ。
バディは何故かアンにやたら「構ってちゃん」状態で、更に結婚するハズの親友は実は結婚するのを躊躇っている。
躊躇う理由は自分ちの家政婦の息子(イケメン?)が本当は好きなんだけど、全く振り向いてもらえなくてイライラしてつい他の男と結婚を決めちゃったから、というどーしようもなくありきたりな設定。
 
ちなみにこの家政婦の息子ってのがアンの「運命の人」なんだが、別にどーって事ない男です(^-^;
ってか、結婚式の他の参列者(多分新郎の友人)と見分けが付かなくて四苦八苦。それくらい華がない。でもそんなどうでもいい感じの男なんだけど、アンもその親友もゾッコン惚れ込んじゃってる。全く謎。
まあ、要するにバディのせいでアンは結局その運命君と結ばれる事が出来なかった、という話なんですがー

それをどうやら現在のアンの娘達への人生訓に結び付けたい様子なんですが、全く結び付いてないです(苦笑)
娘に「人生に過ちなんてないのよ」と語ってる割には、オマエ自分の人生後悔しまくりなんじゃねーの?って感じです。
運命君と結婚出来なかったアンは、その後その結婚式に参列してた別の男とサックリ結婚して娘を産むんだけど、アンばあちゃん曰く「彼の事はガムみたいに捨てちゃった♪」そうですし、その後更に再婚してもう1人娘を産むんだけど、どうやらその男とも死別ではなくて離婚した可能性が高い。(映画よく見てなかったからこの辺ちょっと曖昧)
誰のタネだろうと子供産んで育てて「母親」になれれば幸せなのよー・・・という話?でもなさそうなんだけど(^-^;

なんだかね、登場人物の誰にも感情移入出来なかったです。
だから当然だけど共感とか感動からは程遠い。上映時間が長く感じましたねー(溜息)
ぴよは全くダメでしたけど、本作を見て「判るわぁ!私もこんな事があったのよっ!」って人もいるかも?
そういう方だったらもっと気の利いた感想を持つだろうと思います。すいません。ヘタレな感想で(薄涙)








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2008年01月22日(火) ウォーター・ホース

監督:ジェイ・ラッセル
出演:アレックス・エテル
    エミリー・ワトソン
    ベン・チャプリン、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
第二次世界大戦中のスコットランド。ネス湖畔に住むアンガス少年は母と姉の三人で暮らしている。孤独なアンガスはある日ネス湖で不思議な卵を見つけて家に持ち帰ると、卵が孵化して見た事もない生物が現れた。アンガスは「クルーソー」と名付けて密かに飼う事にしたのだが、姉と使用人の1人にクルーソーが見つかってしまう。使用人はこの生き物を「伝説の恐竜ウォーター・ホースではないか」と言うのだ・・・


【感想】
「ベイブ」の原作者でも知られるディック・キング=スミス氏著の同名タイトル児童書の映画化。
「ロード・オブ・ザ・リング」のスタッフが映像を手掛けた、というのが本作最大のウリのようです(大人にとって)

誰でも一度は目にした事のある「ネス湖の恐竜写真」、あの写真は捏造だと既に結論付けられていますが、あの写真は確かに捏造だったけど、実はこの写真の裏には隠された真実の話があってネ・・・という「完全お子向けファンタジー」
先日見た「テラビシアにかける橋」も児童小説の映画化で「はいはい、お子向けファンタジーね(溜息)」と思って鑑賞したら、意外に大人も感動出来るヒネった作品だったので、今回もちょっぴり期待していたんですが・・・
本作は見事に「完全ガキ向け」でした(薄涙)

映画は現代のスコットランドのあるバーで、若い観光客の男女が店の常連らしき爺さんから「ネス湖の恐竜写真」に関する秘話を聞くという導入になっています。別にどうって事ないです。←いきなり何を言うか(^-^;

で、爺さんの語りから入って映像は第二次世界大戦当時のネス湖に切り替わる。
いよいよネス湖の恐竜の「真実の話」が語られていく訳ですが・・・アンガス少年が卵を拾ってきて家に持ち帰り、その卵が孵化して何とも不気味なぬるぬるした生物が登場し、その不気味生物を見た瞬間に悲鳴を上げるでもなく手懐けてしまった段階で、話の全ての展開が見えました。

はい、終了〜。←今日も早い(笑)

映像はキレイなんだけど(この部分だけは評価出来る)、話自体はとてもじゃないが大人が楽しめるモノじゃない。
予想を何1つ裏切らず、何のサプライズもなく、とりあえずガキがスクリーンを見ながら「クルーソー頑張れ〜」みたいな嬌声を上げる事さえ出来れば100点満点という「対象年齢:10歳未満」な話です。

退屈する程じゃないんです。少なくともお子向けなので見て胸糞悪くなる話じゃない。
ウォーター・ホースを介して使用人と仲良くなる事で、猛烈に暗かったアンガス少年は笑顔を取り戻して、母親はホッと胸を撫で下ろしたりしますし(エミリー・ワトソンが神経質な良家の奥様というキャラにハマってました)
ウォーター・ホースの天敵ワンコは、最終的に巨大化したウォーター・ホース君にがっつり食われてカオスだし(笑)

とりあえずツッコミ所も満載なんですが、子供が見たら何の問題もなさそうなどーでもいい作りです。
細かいツッコミ入れてやろうかとも思ったんですが、それすらする気にもなれない・・・「昔100回は見た」という、手垢が付きまくったネタの本当にどーでもいいお子様映画でした。

「映像の美しさ」だけに大人は1800円払えませんね?まあそんな作品です。お子様の同行でしぶしぶ見て下さい(^-^;







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2008年01月21日(月) 陰日向に咲く

監督:平川雄一朗
出演:岡田准一
    宮崎あおい
    塚本高史、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
大型台風が近付いている8月の東京。この街で様々な人々が陰日向の奮闘を繰り広げる・・・パチンコ依存症で借金取りから追われるシンヤ、母親の初恋の人を探しに浅草のストリップ劇場を訪れた寿子、崖っぷちアイドル「みゃーこ」を必死に応援するオタクのゆうすけ、「モーゼ」のようなカリスマホームレスに出会って自らもダンボール生活を始めたエリートサラリーマンのリュウタロウ。一見バラバラに見える人々の人生が奇妙に交錯していく。


【感想】
劇団ひとり氏著の大ベストセラー同名タイトル小説の映画化。
相当売れてるらしいですが、原作未読です。でも予告編をバンバンやってるし話題にもなってるのでかなり期待♪

原作がどういう構成になっているのか判りませんが、要するに「オムニバス群像劇」ですね。
更に登場人物それぞれがどこかで何かしら繋がっている(アイドルおたくネタだけは独立してたかな)という・・・数年前に大ヒットした「ラブ・アクチュアリー」のヒューマンバージョンといった風情です。
この手の「オムニバスに見せて、実は登場人物が微妙に繋がってる」という展開は今更感がありましたね。

まあ悪くない話なんですが、何だかグダグダになっちゃってるなぁ〜という感じがしましたよ。
登場人物が多過ぎるんでしょうか?少なくとも「アイドルおたくネタ」はばっさり切ってもよかった気がします。明らかにこのネタだけが話の流れ全体から浮いていると思いましたから。

それから親切設計のつもりなのかもしれないけど、登場人物の人物相関図が判り安過ぎる。
登場人物があらかた出た段階で「この人とこの人がこーいう関係で、こっちは実はあの人って事ね」と、相当察しの悪い人でも想像が付いちゃうんですよね・・・まあ、本作はサスペンスというジャンルではないので人物相関図が丸判りだって全然問題はないのかもしれませんが、それにしてもあくまでも見せ方は「実はこの人とこの人がネ!」という種明かし的なお楽しみを観客に提供しようという意図を感じるので「それにしてはショボい見せ方だなぁ」と思わざるを得なかったです。

キャスティングにも疑問符が。←今日は吠えまくってますなぁ〜(^-^;
岡田クンはいいね!彼はジャニーズ系の中でも演技力は突出してると思うな♪
でも塚本クンは「おたく」じゃないでしょう。演技云々以前に風貌が全くキャラに合ってないですよ。それから実は個人的には大好きな宮崎あおいちゃんなんですが、このキャラクターには合わないと思いましたね。弁護士にも見えなければ一人二役のコメディアンキャラも寒過ぎる&大ウケしてる漫才ネタがショボ過ぎでドン引き。

なんだかなぁ〜・・・な空気が延々と脳内を支配していて、かなりお寒い気分で観ていたのですが、
グダグダな展開や見せ方を差し引いても、本筋の訴えている部分は日本人気質によく合う内容だったと思いますね。
都会でみんな孤独を噛み締め、悩みを抱え、本音を晒せずに生きている。それがあるきっかけで誰かと出会い、交流する事で自分が抱えていた問題と対峙して、そして動き出す・・・こういうネタは日本人のメンタリティによく合うと思います。

「笑って、泣ける」みたいな煽りコピーを見掛けますが、少なくとも笑える部分はなかったし泣きもしませんでした。
でも話自体は決して悪くはないと思ったんですよね。きっと原作はあれだけ売れてるんだから、少なくとも映画よりは上手に構成されているんだろうと思いますよ。

原作は素晴らしい?のかもしれませんが、映画の見せ方は今一つ・・・という気がしましたね。








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2008年01月18日(金) 再会の街で

監督:マイク・バインダー
出演:ドン・チードル
    アダム・サンドラー
    リヴ・タイラー、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
NYで歯科医をするアダムは妻と2人の娘に恵まれて仕事も順調な、誰が見ても羨むような人生を送っていた。ある日20年ぶりに大学時代のルームメイト「チャーリー」と再会するが、チャーリーはアダムの事を覚えていないと言う。ある事件以来消息が判らなくなりチャーリーの事を心配していたアダムは、再会をきっかけにチャーリーの元を訪れるようになるのだが・・・


【感想】
ドン・リードル×アダム・サンドラーという異色の組み合わせの作品。
監督は自ら役者もするマイク・バインダー氏。彼は本作でも会計士の役で出演しています。

本作、上の【あらすじ】にも「ある事件」という風にボカして書きましたが、チャーリーは世界中が忘れようにも忘れられないあの大事件で妻と3人の娘を亡くしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまった、という設定。
ミエミエなのは百も承知ですが、その「事件」が何なのかはここには書きたくありません。

何故なら本編では話がかなり進んで来るまで、チャーリーがPTSDになってしまったきっかけが何だったのかを具体的には説明してくれなかったからです。
「あの事件に関する話なのだ」と観客に前もって知らせたくないのだろう・・・という監督の意図を感じたので、既にアチコチで思いっきりネタバレされまくってますが、敢えてココでは触れないでおきたいです。

要するに本作は「心に傷を持った人の再生物語」系なんですね。
正直言うとあの事件絡みのネタにしなくてもよかったんじゃないか?という気はしなくもない。
単に「事故で妻と子供を一度に亡くした男と、何不自由ない生活に見えるものの、実は腹に一物抱えている男の友情と再生を描いた作品」という作りで全然良かったのに・・・この事件絡みにしちゃうと、斜め目線で観る人も多かろうに、という気がしましたね。

で、問題の「友情と再生物語」なんですが、コレがまた凄くヒネった見せ方をしてましてね。
まあそう思ったのは、ぴよが「この映画は実はあの事件ネタだったんだ」という事を知らずに鑑賞していたからというのも多分にあるんですが、チャーリーの様子が最初の内は「コイツ、何かの事故で頭でも打ってイカれちゃったって設定?」という風にしか見えなかったんですよ(苦笑)

でも凄くささやかだけど、チャーリーとアダムのお互いの事情をさりげなく伏線として描いている。
チャーリーに関してはバレバレだけど、アダムの方は自分の見知った精神科医に通りすがりを装って(勿論待ち伏せ)「自分の友達の事なんだけど」という設定で実は自分の悩みを打ち明けたりしている。本当は予約を取ってきちんと診療を受けたい気持ちもあるんだけど、どこかで「世間的に何もかも満たされていると評価されているハズの俺がメンタルクリニックにグチを垂れに行くなんて」という抵抗感を感じているという葛藤が本当にさりげなく描かれている。

上記の伏線(世間的に誰もが羨むような状況なのに、実は悩みを抱えているアダム)があるからこそ、チャーリーに妻にも語れない自分の悩みを堰切ったように語ったアダムの様子にジーンと来たんです。

友情は一方方向じゃない。アダムが自分の悩みを封印して、いい人ぶって「学生時代の友達が悩んでいるから」という正義感だけでチャーリーと会っているという話だったら、大して感動もしなかったと思うんですよ。
アダムが妻にも言えなかった自分の悩みをチャーリーに開けっぴろげに語った事で、チャーリーもようやくアダムは同じ土俵で語れる相手なんだと、ようやく胸襟を開いて付き合える人に出会ったんだろうな、と・・・

結果的に大団円とは言い切れない微妙な終わり方ではあったものの、人間ってそうそう簡単に心の傷が癒される訳でもなければドラマティックに人生観が変わる訳でもない。
非常に人間心理をリアルに描いた作品だったなぁ〜と思いましたね。

正直、かなりゆるゆるな展開の作りなので、途中でダレちゃう人も多い気がするのですが、見て損はないです。
子供にはこの映画の友情と心理は判らないだろうなぁ・・・心に傷を持つ大人の為の作品ですね。








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2008年01月15日(火) テラビシアにかける橋

監督:ガボア・クスポ
出演:ジョシュ・ハッチャーソン
    アナソフィア・ロブ
    ロバート・パトリック、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
11歳のジェス少年は学校ではいじめられっ子、家は貧乏の子沢山でお金がなくて常にイライラしている両親とこしゃまっくれた妹に振り回されて散々な毎日。絵を描くのが大好きだったジェスは日々絵を描いて自分の世界に閉じこもっていた。そんなある日隣の家に女の子が引っ越して来た。彼女「レスリー」はとびきり個性的で活発な女の子。現実社会に溶け込めず、豊かな想像力を持つ2人はたちまち仲良くなり、2人で空想の国「テラビシア」を創って毎日遊ぶようになる。


【感想】
キャラリン・パターソンが1977年に発表した同名タイトル児童小説の映画化。
子供が中心の話なので、年に数本「大作映画」しか映画を見ないような方にはあまり馴染みのない役者さんしか出演していないので、日本でどれくらいウケるのか微妙な感じなのですが・・・本国アメリカでは昨年2月公開した際、大作映画が封切らないシーズンだった事も手伝ってかなりのヒットを飛ばしたそうです。

「児童小説の映画化って事はお子向けファンタジーね(軽く溜息)」という気持ちで鑑賞していたのですが、この作品の作りは子供よりもむしろ「かつて子供だった人」を対象にしているな、という感じがしました。
逆に今現役のお子様が見ても、本作の素晴らしさは判らないんじゃないだろうか?という気がします。

微妙〜に安い作りで(予算があまりなかった?)CG等も正直言ってショボいし、レスリーがジェスに向かって大真面目な顔をして「心を開いて、心の目で見るのよ!」なんて言ってるシーンを見ながら「11歳になって心の目もクソもないだろ。見えねーもんは見えねーよ」なんて、ちょっぴり毒づきながら見ていたんですが、←今日も相変わらず辛らつ(^-^;

そうじゃないんだなぁ。
人生を楽しむ術を知るのは、きっとこの時代なんだろうと。人付き合いのノウハウも、相手の心を思い遣る気持ちも、親友と呼べる友達に出会って友情を確かめ合うのも、そして生まれた環境によって生活の質が変わってしまうのは自分の力だけではどうしようもない事なのだ、という「大人の事情」を知ってしまうのも、全てこの時代なんだろうと。

子供社会の人間関係の縮図の見せ方も秀逸で、様々なエピソードを見せながら時に反撃に出てみたり、時に勝ち目のない戦はすまいと引き下がったり、そしていじめっ子が実は虚勢を張ってる弱い人間なのだ(いじめっ子にならざるを得なかった理由)等を上手く配置して、ただの子供から1つずつ「大人」への階段を上っていく心理を見せて行きます。

で、「ああ、こんな事が自分の子供の頃にもあったよな・・・」と思いながら見ていると、話が急展開する。
もうここからは怒涛の泣きモード。いきなり降って沸いたようなネタに「はぁ!?」と思いながら見ていたのですが、ジェスの後悔がよく分かるだけに本当に切なかった。
「あの時ああしておけばこんな事にならなかったのに」という思いは、何度経験しても性懲りなく大人になった今でもやらかしてしまうのですが、本作のジェスと似たような経験があるぴよは、もう涙なくして見れなかったです。

自分でも意外だった?のですが、涙腺が決壊したのは担任のちょっぴり意地悪っぽい先生がジェスを廊下に呼び出して語りを入れるシーン。彼女の言葉は同じ思いを味わった人にしか語れない言葉だった。
それから、まるで自分の事は歯牙にもかけていないと思っていた父親がジェスを抱きしめるシーンは、普段はそっけなくてもここぞという時にはしっかりと息子を見つめているという父親の情を感じさせてくれて・・・ってかもう泣きっぱなし(^-^;

正直、途中までは「まーなんだな、子供向けファンタジーってのはかったるいもんだな」みたいな気分だったのに、映画が終わってみると「泣きまくって化粧全落ち状態」じゃないですか(苦笑)

多分にぴよ自身が子供時代に似たような経験があったから、という事もあると思うのですが、そうでなくてもとても懐かしい気持ちになれる「子供向けと見せかけて、実は大人向け」のファンタジーではなくて「ヒューマンドラマ」でしたね。
お子様向けなのかは正直判りませんが、少なくとも大人が感動出来る秀作です。地味〜な作りですけどネ(^-^;







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2008年01月13日(日) 銀色のシーズン

監督:羽住英一郎
出演:瑛太
    田中麗奈
    玉山鉄二、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
町営スキー場で生計を立てる桃山町は、スキー場内に雪の教会を作り結婚式を挙げてもらうというプランを考えて町の観光再生に賭けていた。だが彼らの目下の悩みは「城山銀」を筆頭とする3人組。ゲレンデにビラをまいたり他のスキーヤーに当たり屋行為を繰り返す手に負えない連中だった。そこへ雪の教会で結婚式をする第一号の客「七海」がやって来た。七海がいい金儲けのネタになると思った銀は七海に近付くのだが・・・


【感想】
「海猿」「LIMIT OF LOVE 海猿」でフジTVをウハウハ儲けさせた羽住監督の最新作。
海で儲けたから今度は山ですか・・・ユーミンの「SURF & SNOW」を地で行ってます。もう好きにやって下さい。
個人的にはスキー映画は嬉しい♪この三連休もスキーの予定だったのに、相方は風邪引くは三連休初日は雨降るわでゲレンデが遠退いてしまい腐っていたトコロなので、こういう映画はウェルカム!です。

そんな訳で映画冒頭の山岳【本気】スキーシーンには萌える!!
勿論役者さん達の滑りなんぞに興味はない。もうノッケから言っちゃうが、主人公「城山銀」演じる瑛太クンがスキー猛特訓してクライマックスシーンのモーグルコースを吹替えなしで滑ってますが、膝の入りが甘いので動きがカクカクです。
いいです、そんな事はどーでも!!とにかく吹替えで滑ってくれる方々の滑りの素晴らしさはたまらーん!

はい、終了〜。 ←今回終わるの早過ぎ(^-^;

いやぁ・・・だって話の大筋はほとんど丸々「想像通り」の平々凡々とした作りですもん。
七海が1人でやって来て「新郎は後から来ます」って言った瞬間にオチ見えたじゃん。更に杉本哲太さん演じるスキーパトロールの隊長さんに「お前は自分で自分の過去を汚している」みたいな事を主人公が言われるんだけど、このセリフ聞いただけで主人公の隠された過去ネタの想像が付いちゃったもんね(しかもほぼ完璧に予想通りだったし)
ダメよぅ〜。こんな安直な脚本じゃ〜(苦笑)

スキーやスノボをしない人、それから「海猿」のファンの方だったらドラマ部分も楽しめるんだろうと思いますが、あいにくぴよはスキーヤーにして「海猿」には全く興味がないので、本当にドラマ部分はグダグダでした。
「温泉を掘る」とか言って水道管破裂させたりするシーン、果ては山頂部から滑る為に人為的に雪崩を起こさせるシーンなんて、見ていて溜息付きまくりでしたよ。あり得ないし下らなさ過ぎる。
「こんなどーでもいいシーンはザックリぶった斬って、とっとと吹替えさん達のスキーを見せておくれよーう」てな調子でどうしようもなかったですよ(をい)

本作、クライマックスのモーグルシーンを邦画初の「スパイダーカム」という特殊なカメラを使って撮影しているんですが、確かにカメラがスキーヤー視点で上から下へゲレンデを舐めて行くアングルは「おぉ♪」と思うものの、この視点が嬉しいのはスキーヤー(ボーダー)だけじゃないか?スキーをやらない人が見ても特別臨場感を感じるとは思えないですよ。
そもそもこの視点でスキー場を見た事がある人でなければ、このカメラで撮影した良さが判らない気がしますね。

しかし田中麗奈ちゃんは可愛いネ♪
正直言って「なっちゃん」の頃の彼女には「かっぺ臭いけどまあまあ可愛いな」程度にしか思わなかったけど、大人の女性になってから彼女はどんどん美しくなるなぁ。本作の麗奈ちゃんも本当にお美しかったです♪

そんな訳で「内容なんてどーでもいい」状態なのですが、ちょっと気になる点・・・
バカ3人組のスキー場での傍若無人な振舞いにはかなりイラつきました。キャラの設定上仕方のない事なんですが、こういうバカげた事を楽しげにやるシーンを煽りまくってスクリーンで見せると、どこかのバカスキーヤーが「俺も今度スキー場行ったらチャレンジしてみよー♪」なんて思ったりするんじゃないかとヒヤヒヤしましたよ。
ま、こんな事出来る人はそうそういませんがね。骨折するのがヤマなので本当にマネしないで下さい(^-^;

映画に関してコレといって何も書けなかった(書く気すらなかった?)のが申し訳ないですが、海猿が好きな方ならギリギリ楽しめる仕様?なんじゃないかと。スキーヤーならスキーシーンだけは楽しめます!そんな微妙な作品です!(笑)








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2008年01月11日(金) シルク

監督:フランソワ・ジラール
出演:マイケル・ピット
    キーラ・ナイトレイ
    役所広司、他
オススメ度:☆+


【あらすじ】
19世紀フランス。戦地から故郷の村に戻った青年エルヴェは、村を支える製糸業を営むヴァルタヴューから蚕が疫病で全滅した為に、良質な蚕を求めて遠き東方の国「日本」へ蚕の買い付けに行って欲しいと頼まれる。新妻エレーヌを残し命の危険と引き換えに日本にやって来たエルヴェは、そこで美しい日本の少女と出会い魅了される。帰国後も彼女を忘れられないエルヴェは周囲の反対を押し切り何度も日本に足を運ぶのだが・・・


【感想】
アレッサンドロ・バリッコ氏著の小説「絹」を、カナダ・イタリア・日本の合作で映画化。
フランスと日本が舞台になっているので、上記の役所さん以外にも中谷美紀さん、國村隼さん等も出演。更にエルヴェが恋をする少女を演じた芦名星さんは、本作出演でマスコミ露出が増えて一気に知名度が上がりましたね。
ってかぴよも本作の予告編を見て彼女を初めて知りました。へへへっ

ま、そんな訳で日本では多少話題にもなるでしょうが、多分他の国ではほとんど知られずに終わるだろうと(をい)

だって物凄くかったるいんですよーう。
ぴよは映画見て居眠りする・眠たくなるなんて事はよっぽどないんですけどね、本作は本当に眠たくて眠たくて退屈で退屈でどうしようもありませんでした。ここまで上映時間が長く感じる作品は久し振りです。

まず、この映画は何が言いたいのかさっぱり判らない。
話の大まかな筋としては、愛妻がいるものの日本で出会ったアジアン・ビューティーにコロリと惚れちゃって、でも愛妻の事だって本当に大好きなんだよー。だけど日本のおねーちゃんの事も忘れられないしー。悶々・・・みたいな感じ。
勝手に主人公が悶々としてるだけなのかと思いきや、日本人のねーちゃんもまんざらではなさそう?こっそり付文なんて渡して来たりして意味深なんだけど。

ところで本作に登場するキャラクターの誰1人にも感情移入が出来ません。勿論共感も出来ません。
エルヴェとエレーヌがそれ程深く愛し合っているようにも見えず、エルヴェがどうして日本人のねーちゃん、しかも自分が蚕の取引きをしている男の嫁さん?に横恋慕したのかも判らない。
更にその女の方もエルヴェとほとんど接触する機会なんてなかったのに、いきなり日本語の付文渡すのが理解不能。
少なくとも日本人女の側がエルヴェに好意を持つ理由もきっかけも全くない。

この話の誰の、どの部分に共感したり感動すればいいのやら・・・(溜息)

日本のシーンは「江戸時代後期の山奥の温泉の沸いてる寒村」が舞台らしいんですが、相変わらず日本の描写は微妙に外人さん視点のフィルターが掛かっていて「この村でこの着物を着てるってのは解せんな」「ってか枕営業とかどんだけー」みたいな香ばしさ漂う状態ですし、そもそも役所さんが演じてたおじちゃんって、どういう位置付けの人なんだろう?村長さんなのかしら?パッと見「この村は山賊集落なのか?」とも思えるんですが、そうでもなさそうですし(苦笑)

キーラ嬢が演じたエレーヌという女も、コレといって特徴のあるキャラではなく、正直言ってキーラがこの役を演じたのは間違いだと思いますね。彼女の魅力は全く引き出されていません。おっぱい出してくれたからいいけどさー♪(をい)
それから話題になってる?芦名星さん、確かに「アジアン・クールビューティ」という雰囲気モリモリで、きっと彼女の様子に西洋の皆様は「OH〜!ジャパニーズガールはミステリアスで美しいデスネー♪」と萌え萌えになるんでしょうが、ぴよが見てる分には動きののろい何考えてるか判らない不思議ちゃんでしかなかった。
・・・ま、おっぱい出してくれたからいいけどさー♪ ←コレばっかりかよ(^-^;

そんなこんなで、とにかく退屈でかったるくて仕方なかったです。
映像は(特に湯煙から芦名星ちゃんが現れるシーン等)幻想的で雰囲気もあってなかなか良かったですがね。
でもそれだけって感じ。内容なんてほとんど何もなかったです。あったのかもしれないけど記憶に残らない。
キーラ嬢と芦名星ちゃんのおっぱい鑑賞が目的なら耐えられるでしょう。おっぱいに興味のない方は自己責任で(笑)







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2008年01月08日(火) 椿三十郎

監督:森田芳光
出演:織田裕二
    豊川悦司
    松山ケンイチ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
上司の汚職を暴く為に密談をしていた伊織達若侍9人だったが、それをたまたまある浪人に盗み聞きされていた。粗末な身なりでクチも悪い男だが洞察力もあり言う事はしっかりしているし、何より伊織達が信頼していた大目付の菊井が実は汚職の黒幕で、危うく菊井の罠にハマりそうになった所を助けてもらった事が縁で、反対する仲間もいたが「椿三十郎」と名乗るその素浪人に魅力を感じた伊織は、仲間に入ってもらうように懇願するのだった・・・


【感想】
遅まきながら、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく。
新春第一作目はやっぱり邦画かなぁ〜?と思い、今頃になって鑑賞。森田監督×織田ユージ君主演で黒澤明氏の名作を完全リメイクしたというのが話題の作品。

黒澤作品って、たぶん一作も見た事がないと思う。勿論本作のオリジナルも未見。
もしかしたら後にTV地上波で見た作品もあるのかもしれないけど、少なくとも自分で「黒澤作品を見るぞー」と思って意識して見たものは1つもないです。
だって、黒澤全盛時代の作品って間違いなく全部ぴよが生まれる前に公開になってますよね?(^-^;
しかも時代劇モノって元から余り興味がなかったから(若い世代なら尚更だろう)見てなくて当然かな?と。

そんな訳で、オリジナルを全く知らずに本作だけの感想、という事になりますが、

結構面白いじゃん♪普通に面白いですよ。
「椿三十郎」の飄々としていてちょっと荒くれ者なんだけど、人情派で弱い者を見過ごしに出来ないという正義感の持ち主だというキャラクター、織田ユージ君にぴったりハマってるじゃないですか♪←実は織田ファンです(うひひ)
松山ケンイチ君率いる「バカ侍若侍チーム」もバランスが取れてるし、「押入れ侍」の佐々木サンもいい。
三悪人チームはベテランを揃えて磐石だしさ。でも正直中村玉緒さんの演技はちょっと鼻に付いたけど・・・(^-^;

もっと殺伐とした話なのかと思ってたら、意外にコミカル進行でテンポもいいし、なかなかいい脚本作って来たじゃないの〜と思っていたら、何と本作ってオリジナルの脚本をそのまま使用しているらしいですね。
って事は、黒澤オリジナル版もこんなコミカルなお話だったという事?へぇ〜。ちょっと意外だぁ〜

オリジナル版はモノクロだったハズだけど本作は当然カラーだから、椿の花の色の対比やら三十郎の臙脂(海老茶?)の衣装の色等が鮮やかで視覚効果も充分だし、時代物に初挑戦だという織田ユージ君の殺陣もなかなかキマっていてカッコ良かったし、話の流れもスムーズで年代を問わず楽しめるエンターテイメントになってる。

きっと黒澤ファンの方々には本作は酷評なんでしょうね。
「既に完璧な作品を今更リメイクする必要なんてない!」とおっしゃる方も多いんだろうと思いますよ。
でも、たとえ巨匠の名作でも実際目にする事のない若い人の方が圧倒的に多い。織田クンを主演に据えて今風にアレンジされているのかもしれないけど、オリジナルの脚本をそのまま利用して製作しているなら、少なくともオリジナルを汚すような出来ではないんじゃないか?むしろ今織田クンが主演を演じて本作を公開した事で、今まで黒澤作品に興味のなかった世代にも広く「オリジナルも見てみたいな」とアピール出来たんじゃないか?と思いますよ。

ぴよは本作を見て「オリジナルも機会があったら見比べてみたいな」と思いましたもの。
そういう意味では本作はその役割を充分に果たしている良作の部類に入るんじゃないですかね?








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