2008年01月31日(木) |
エリザベス:ゴールデン・エイジ |
監督:シェカール・カプール 出演:ケイト・ブランシェット クライヴ・オーウェン ジェフリー・ラッシュ、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 若くして英国女王に即位したエリザベス。プロテスタント女王だった為にスペインからの圧力は凄まじく、また幽閉中のスコットランド女王がカトリックだった為に国内のカトリック勢力からの弾圧も激しかった。ある日海賊まがいの冒険家・ローリー卿と出会い、彼の自由奔放で豪放磊落な人柄に興味を抱く。立場上彼と恋に落ちてはいけないと自分を抑えたエリザベスは、自分の侍女を彼に近付けて擬似恋愛を楽しむのだが・・・
【感想】 生涯独身を通し「処女王」と呼ばれた英国女王・エリザベス一世の半生を映画化。 同じ監督、同じキャストがエリザベス一世を演じた「エリザベス」という作品が1998年に製作している事は記憶にそう古くないだろうと思いますが、この監督さんはよほどエリザベス女王に心酔しているのでしょうか?前作はオスカーレースでサクッと「恋におちたシェイクスピア」に持ってかれたのがよほど悔しかったのか、全く同じテーマで自主リメイク?
前作も見てるハズなんですが、正直言うともうあんまり覚えてない(をい) そして「恋におちたシェイクスピア」の方はよーく覚えてますよ。要するにぴよの中で98年製作のエリザベスはそんな程度の印象しか残らなかったんだろうという事でして・・・さて本作は?という訳なんですが、
98年のエリザベスから10年、当時もエリザベス一世を演じたケイト・ブランシェットも10歳年を取り、ますます演技に磨きがかかって堂々たるエリザベス女王を演じていたと思います。 これはもしかしたら今年のオスカー、主演女優賞取っちゃうか?・・・まあとにかく圧倒的な存在感・威圧感で周囲を一喝する様はお見事。ケイト嬢は素晴らしい女優さんになりましたね。眉毛がなくて顔が怖いけど(こら)
今作ではエリザベスの愛人の1人「ローリー卿」との恋にスポットを当てて、彼との恋愛を通して何故彼女が「処女王」という立場を貫き通したのか・・・彼女の並々ならぬ英国に対する愛と決意、そして一人の女としての葛藤を、スペイン無敵艦隊を相手に大勝利を収めた「アルマダ海戦」に絡めて描いていきます。 要するに、本作「歴史大作モノ」じゃなくて「恋愛映画」の色が強いですね。
そんな訳で、実は歴史大作モノを期待していたぴよにはちょっと肩透かしな感はありましたが(^-^; これはこれでとても見応えはありましたよ。まず衣装が凄いしね!超豪華絢爛!何?あのヅラ!←こらこら いやそれにしても凄い迫力って言うか・・・絵的に本来はアルマダ海戦の部分が一番迫力があってもよさそうなモノなんだけど、アルマダ海戦の様子は「フーン」って感じで、とにかくエリザベスの様子に圧倒されっぱなしでしたね。
ローリー卿がエリザベスの侍女に手を出して極秘結婚した事で幽閉されたのは史実通りだけど、ローリー卿の見せ方をもう少し工夫しても良かったかな?という気がしなくもないです。 事実はどうだか知りませんが、本作ではローリー卿はエリザベスの心の拠り所のような、1人の女として生きられないエリザベスの葛藤を代弁するヒーロー的な役回りなのに、エリザベスに敬愛を評しつつちゃっかり侍女とねんごろになってしまう単なるジゴロにしか見えない。
ま、誰が見てもエリザベスより侍女の方が可愛いもんなー。仕方ないかもね〜(^-^;
立場上、常に毅然とした振る舞いで威風堂々としていなければいけない。その反面不安と恐怖に苛まれて、星読みに頼ってはウソでもいいから英国にとって有利な予言をして欲しいと懇願する。 自分の結婚が政治に利用されているのは承知しているから、表立って誰かと恋愛を楽しむ事は出来ない。だから侍女をけしかけて男と楽しそうにしている様を見ては侍女に自分の姿を重ね合わせるしかない。でもいざその侍女が自分の愛しい人と本当にねんごろになると嫉妬の炎を抑える事が出来ずに激昂する。
誰も本当の女王の葛藤を知る術はないけど、この映画の解釈もまた真実の一部分なんだろうと、そう思わされるだけの説得力は充分持った作りだったと思いましたね。 個人的には、恋愛部分から女王の葛藤を描き出すならもう少しドラマティックに作っても良かったのでは?少し真面目に作り過ぎていて面白味に欠けるな・・・とは思いましたが、これはこれで本当に良く出来ていると思います。
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