ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年10月31日(水) 鳳凰 わが愛

監督:ジヌ・チェヌ
出演:中井貴一
    ミャオ・プゥ
    グォ・タォ、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
1920年代の中国。つまらない喧嘩が元で相手に重傷を負わせたホンは投獄され、懲役15年を言い渡される。投獄中に恋人が辱めを受けた末に自殺したと聞かされ、自暴自棄になり益々反抗的な態度を取るホンは、同じ刑務所で暴力夫を殺害したかどで服役中の女囚リュウと出会った。共に懲罰作業をする内にお互い心惹かれ合うようになるが、満州事変後日本の配下になると男女分離収監が決定し、2人は離れ離れになってしまうのだった。


【感想】
中井貴一氏が主演のみならず自らプロデューサーも買って製作にも意欲的に参加したという、日中合作映画。
中井氏は以前「ヘブン・アンド・アース」という作品で全編中国語セリフに臨んでいますが、本作はそのヘブン〜で自分が不完全燃焼だった事が心残りで、是非また中国と共同で作品を作りたい、その時は製作にも深く関わりたいという思いを強くして、今回のこの作品製作に到ったという経緯があるそうです。

そんな訳で、本作。
1920年代〜1945年以降までの30年に渡る激動の中国で、獄中という特殊な場所で出会い、時代に翻弄されながら満足に会う事も叶わない状況で愛を貫き通した一組の男女の実話を元に作られているそうです。

で、主人公のホンを演じているのが中井氏。
本作も全編中国語のセリフなんですが、映画冒頭から頷いたり笑ったりするだけでほとんどセリフ言わない(苦笑)
セリフ言わない、言っても1センテンス程度しか話さない主人公ってどーよ?と思っていたんだけど、話が進んでくると段々中国語のセリフも話すようになってちょっと安心。中国語って声調が多いから発音が凄く難しいと聞きますが、彼の中国語はかなり上手なんじゃないかな?という気がします。本当に上手なのか日本人のぴよには判らないんだけど、少なくとも他の中国人俳優のセリフと聞き比べても全く違和感は感じなかったです。

中井氏は本当にお上手だと思うんだけどー・・・別に彼がこの「ホン」という役を演じる意味はない気がする。
多分そういうツッコミが入るのを見越してか、はたまた本作に「日中友好35周年記念作品」というお題目が付いているせいだからなのか、実はホンは中国残留孤児の日本人だという設定になってるんですが、話の筋から考えてもコレも特に意味がない気がしたんですがね。

で、延々と獄中での大小の行事やホン達の様子をポツポツと羅列して見せて行く訳ですが・・・
撮影には相当苦労したんだろうなぁ〜というのが偲ばれる、なかなか作りこんだ映像になっているし、ロケ地にもかなり気を遣って厳選したのであろう「鄙びていて尚且つ美しい当時の中国らしい風景」をふんだんに取り入れていて非常に好感が持てる絵ではあるものの、映画を見ていて正直言うと


だから、何? ←あー、またやっちゃったよ(^-^;


本当に淡々と獄中生活を見せてるだけで、コレと言って話が展開しないんですよ。
確かに羅列されるエピソードの中にクライマックスの展開の伏線等も盛り込んでいますが、コレも勘のいい映画を見慣れている人だったら多分オチが予想付いちゃうし、基本的に「獄中の様子」なのでそんなにドラマティックな出来事ばかりが起こる訳でもないんですよね。

恋愛映画なのに「恋愛臭」というのはさほど感じませんし、「静かに密やかに」と言えば聞こえはいいですが、要するに淡々とし過ぎていて主人公2人の求め合う心や絆の深さというのをスクリーンから受け取る事が出来ませんでした。

映画の背景として「満州事変」「日中戦争終結」等の様子も説明されるのですが、コレが本作「日中友好35周年記念」で製作された作品のハズなんだけど、どう好意的に見ても「悪玉・大日本帝国」にしか見えないんですよね(苦笑)
日中合作とは言っても中国主導で製作されてる作品なんだから日本は悪玉でも仕方ないわな、それに本作はあくまでも事実に即した恋愛映画であってプロバカンダ作品でもないんだし・・・

と思っていたら、ラストのスタッフロールにデカデカと「宣伝協力:朝日新聞社」の文字が(苦笑)
え?まさか本作ってそーいう意図の作品な訳?恋愛映画と見せておいて実は〜♪っていうオチ?えぇ〜!?
・・・まあ、あまり意地悪な考えを持ってはいけませんね。朝日新聞さんは「たまたま」協力して下さったんでしょう。

そんな訳で、「恋愛映画」としては薄味過ぎてぴよにはイマイチでした。邪推しないでご鑑賞下さい(^-^;








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2007年10月30日(火) パンズ・ラビリンス

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ
    セルジ・ロペス
    マリベル・ベルドゥ、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1944年内戦終結後のスペイン。内戦で父を亡くしたオフェリアは、母が再婚した相手・ヴィダル大尉のいる山奥の駐屯地へ連れて来られた。不安と孤独と冷酷無比な大尉への不信感で押し潰されそうなオフェリアが森へ行くと、牧神「パン」が彼女の前に現れて「あなたは魔法の国の王女かもしれない。見極める為に3つの試練を受けなさい」と言うのだ。辛い境遇から逃れたかったオフェリアは2つ返事でこの3つの試練に臨むのだったが・・・


【感想】
今年のアカデミー賞で6部門ノミネート、内3部門(撮影賞・美術賞・メイクアップ賞)を受賞したファンタジー。
先に行われたカンヌ映画祭で上映された際には20分ものスタンディングオベーションという大絶賛を受け、他にも各国の数々の映画賞をイヤという程受賞しているという鳴り物入りの一作!
・・・のハズなんだけど、何故か日本では単館公開扱い。なんで?どーして???

と思っていたら、よくよく見ると本作「R-12」になってるじゃないですか。
ファンタジー映画でレイティングが付くってどーいう事よ?子供が見れないファンタジーなんて集客望める訳がない。
なるほどだから単館公開な訳ね・・・それにしても、どうしてファンタジーなのにR-12? ←堂々巡り(苦笑)

見れば納得!のすんげーダークな作品(^-^;
かなり残酷なシーンが多くて、コレは流石に子供に見せる訳にはいきませんな。
大人のぴよが見ても相当「うげぇ〜」というシーンが多かった。そもそもファンタジーに付き物の「妖精さん」が、全く可愛くないドコロかド気持ち悪い大型昆虫という風貌ですよ。昆虫嫌いが見たら間違いなく吐く!(笑)
しかも牧神パンも薄気味悪いクリーチャーにしか見えないし・・・まあ、パンは元々悪魔呼ばわりされる位、ギリシャ神話の中でも異質な存在だったから仕方ないのかもしれないけどね。それにしてもそのパンをキーマンに設定する事自体、この作品が見る人を選ぶ手合いだという事を物語っていますよね。

ファンタジー作品というと、普通は最初っから100%おとぎ話設定で「地球とは違う世界・時代・時間の出来事」みたいな完璧に在り得ない空想の世界というのがお約束だと思うのですが、本作が通常のファンタジーと大きく異にする部分は、あくまでも地球上のある実在した時間・場所が舞台として設定されていて、現実の裏でおとぎ話が進行しているという点。

コレは・・・物凄く脚本がよく出来てるなぁ〜と思いましたね。
現実とおとぎ話の部分が上手い具合に繋がるんですよ。とにかく現実はこれでもか!とオフェリアにとって過酷な状況が続いている。その裏でこの状況から逃げ出す為に「魔法の国」への切符を手に入れるべく遁走する主人公。
おとぎ話部分は現実の誰とも繋がりがなく、あくまでもオフェリアの中で秘密裏に行われているというのもミソ。

要するに、「パンは本当にいたのか?オフェリアは本当に魔法の国の王女だったのか?」
そうであって欲しい、そうでなければ余りにも悲し過ぎる。しかし映画の表で起こった事実だけを拾ってみると、どうやらコレは最後の最後まで何の救いもない「ある少女の残酷極まりない気の毒な一生の話」、転じて人の心の浅ましさや残酷さ、愚かさを見せる「大人の寓話」という風にも取れたりする。

その一方で、本当に全てがオフェリアの脳内妄想の世界で、表の世界(現実)で起こった事のみが真実なのか?と考えるとそれもまた違うかな(違っていて欲しいな)、という気もするんですよね。彼女が受けた試練とパンからのアドバイスで行った行為は表の世界に少なからず影響を与えていたようですし。
顕著な例は、マンドラゴラの根のエピソードですよね。ここら辺りを「たまたま偶然」なだけだと一刀両断するのもまた1つの考え方だと思うけど(苦笑)、これらの事象がただの偶然だったのかそれとも必然だったのか?どちらで解釈するかで本作への見方が随分変わりそうな気がします。

本作は本当にただの残酷な物語だったのか?それとも最期に微笑んだオフェリアは玉座に座る事が出来たのか?
・・・事実の表と裏は全て見せました。だから後は見た人の心情で想像・妄想を逞しくして解釈しましょう、という完全に大人向けの本気でダークなファンタジーでしたね。
まあR-12は妥当です。キモいキャラを見てビビっちゃうようなお子様にはムリです(苦笑)








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2007年10月29日(月) めがね

監督:荻上直子
出演:小林聡美
    光石研
    もたいまさこ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
春のまだ浅い季節、ある南の島にタエコは一人旅でやって来た。投宿した「民宿ハマダ」は変わった人揃いで、毎朝部屋に起こしに来る「サクラ」の存在や浜辺でみんな揃ってする「メルシー体操」、いつも宿周辺をブラブラしている高校教師、そして観光するものなど何もないと言い切る宿の主人。「たそがれる」事の意味が判らないタエコはこの空気に着いて行けず、島にあるもう一軒の宿「マリン・パレス」に宿替えしようとするのだが・・・


【感想】
昨年公開されて大ヒットした「かもめ食堂」のスタッフが再集結して作った新作。
本作も予告編を見る限り、かもめ食堂と同じような「スローライフのススメ」みたいな空気バリバリでしたね。
かもめ食堂はめっちゃくちゃツボに入った作品だったので、かなり期待しまくってました・・・期待してたクセに公開してもなかなか見に行かなかったってのはどういう了見なんだ?あぁ?(^-^;

いきなり結論書きますが、「本作はイマイチだった」 ←あー。また感想書き難くなっちゃったよぉ〜(苦笑)

与論島でロケをしていて、島の鄙びた田舎道や青い海、白い砂浜に建てられた小さな「サクラのカキ氷屋」、古びているけど清潔で気持ちのいい宿の厨房、色とりどりの体に優しいこだわりまくった食事。
映像は実に見る人を癒してくれて、誰が見ても「こんな【何もしない旅】ってステキよねぇ〜♪」と思わせてくれる。

でも、ちょっと「狙い過ぎ」という気がする。
現実味のない、どうやって飯食ってんだかさっぱり訳の判らない人々の、おとぎの国のスローライフ。
コレはコレで決して悪くはないんだろうけど、「かもめ食堂」が当たったから同じコンセプトで癒し度を上げれば観客は大喜びしてくれるだろう、そういう「あざとさ」が鼻に付いて、ぴよには正直言って今1つ乗れなかった。

サクラはどこから来て何をしている人なのか、タエコが何故「センセイ」と呼ばれているのか、そもそもどうして本作のタイトルは「めがね」なのか、ただ出演者が全員めがねを掛けているからというだけの理由なのか、そんな事は別に説明してもらわなくてもいいです。(いや、説明してもらいたい気持ちもあるにはあるんですが。苦笑)
でも映画全編何となく出演者達が島でのんびりしていて、ボーッとしていて、釣りしてオセロしてマンドリン弾いて「たそがれ」ていて、ただそれだけ。
「かもめ食堂」は色んな小ネタやエピソードを差し挟んでいて見せ場があったけど、本作はずーっと一本調子で映像にもほとんど動きがないので、見ていて眠たくて眠たくて目を開けているのにどれだけ苦労したか(苦笑)

「与論島PV」「スローライフ推進PV」としての機能は果たしていると思うけど、映画としてどうなの?という感じ。
もし「かもめ食堂」を見ていなければ、本作を見て「まったり癒されたぁ〜♪」という感想になったかもしれないけど、あれだけ世間で大絶賛された「かもめ食堂」の次作がコレでは「柳の下の2匹目のドジョウ」狙いがミエミエで正直白ける。

勿論本作だって悪くはないと思いますよ。
でも「かもめ食堂」のスタッフが再集結して「かもめ食堂」より質を落としていたのではダメだと思いますね。

癒し度は確かに高い。高過ぎて睡魔と格闘するのに神経をすり減らし、癒されるハズが疲れてしまいました(苦笑)







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2007年10月24日(水) ブレイブ ワン

監督:ニール・ジョーダン
出演:ジョディ・フォスター
    テレンス・ハワード
    ナビーン・アンドリュース、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
NYでラジオ番組のパーショナリティを務めるエリカは、もう直ぐ結婚を控えた婚約者デイビッドと夜の公園を散歩中に暴漢に襲われ重傷を負い、意識不明になった。3週間後にようやく意識を取り戻したエリカは、デイビッドが殺された事を知り悲しみに打ちひしがれる。心の傷が癒えずに引きこもっていたエリカだが、自らの身は自らで守るしかないと違法拳銃を手に入れて持ち歩くようになった。ところがある日コンビニで自分の命の危機に晒されてその銃を使用した事がきっかけで・・・


【感想】
ジョディ・フォスター主演最新作。
彼女の作品で似たような系統?で、以前「フライトプラン」という作品を見て大いに笑わせてもらったんですが(コラ)、本作はまずキャッチコピーに「パニックルーム(未見)」「フライトプラン」が併記されているので、正直「またやってくれるか」というある意味「クソおバカB級系」だろうと見越して鑑賞。根性悪いっすね(^-^;

本作は「フライトプラン」に比べれば全然良かったですよ!ホント!
随分シワっぽくなっちゃったけど、ジョディは老いてもなかなかお美しい人です。NYに住むキャリア女性っぽい芯の強さと恋人に甘える愛すべき女性としての2面性、コレを違和感なく上手に演じていたと思いますね。

だから自らが瀕死の重傷を負っただけでなく恋人を失ってしまった事でうちひしがれる様子は、誰が見ても彼女を心の底から気の毒に思えるし、また彼女も「同情すべき痛ましい気の毒な女性」という様子を本当に上手く演じていました。
例え彼女のエロいシーンの姿態が「もしこんな美乳と体のラインだったらなぁ〜♪」と、彼女が脳内で妄想していた姿そのままを映像化しただけだったとしてもネ。(回りくどい言い方だけど、要はヌードだけ別人だろ?ってな。苦笑)

そんな訳でー、
大いに主人公のエリカに観客を同情させておいて・・・実はコレは後の彼女の行為に対する言い訳を先にしていたと。

こんな目に遭った人なんだから、護身用に自分も拳銃を携帯したいと思って当たり前よネ(それが違法拳銃でも)
またしても自分の命が危機に晒されたけど、護身用に拳銃持ってたんだから使って当たり前よね?
例え正当防衛とは言え、違法拳銃で人殺しちゃったんだから警察に出頭なんて出来ないし、それによくよく見回してみると世の中ってバカなクソ野郎がうじゃうじゃいて、私と同じような被害に遭ってる人が沢山いるじゃない!
どうせ人1人殺しちゃってる私だもの、もう開き直って「世直しネーサン」として世の悪を成敗してくれちゃってよ〜♪

・・・ってな、あんた調子コキ過ぎですから!(笑)

ココがこの作品の上手いトコロで、エリカが最初は護身として、そしてそれがエスカレートして自ら街を徘徊して悪いヤツらを見つけ出しては殺して歩く「処刑人」となるまでを実にスマートに見せて、見ていて全然違和感がないんですよね。
そもそも「クズ犯罪者はみんな死ね!」と思っているぴよなので(をい)、彼女のやってる事のお手伝いをぴよにも少しでもやらせてはもらえないだろうか?くらい思っちゃってますから。

でもこの作品のスゴイ所は、何と言ってもクライマックスの展開ですわね。
上に「ぴよにも手伝わせろ」と書いておいて何ですが、一応真っ当な市民だと思っているつもりなので、腹では何を思っていたとしても実際に人を殺す事が正義だなんて(例え相手が極悪非道のクソ野郎だとしても)絶対に言いませんよ。
だから本作を見ながらずーっと「ああ、よくあるネタの話ね」「はいはい。刑事にマークされちゃったね」と、ずっと思った通りの展開が進んで行って・・・実はラストシーンまでキッチリ予想してましたよ。

ところがどっこい!最後の最後で「はぁ?」な展開。
「ま、マジかよ。コレってアリかよ!」と、思わず言っちゃった。この展開は流石にどーなのよ?(^-^;

このクライマックスの展開で、本作が「単なる凡庸なB級」から一気に「おバカB級」にランクアップ!←ランクアップ?
いや、すいませんねぇ。ぴよは「おバカB級」大好きなので。しかも本作はぴよが常々言っている「大真面目に作っていて超シリアスを気取っていて、なのにおバカ」という、正にツボ直球ど真ん中のB級オチだったんですよ(笑)
惜しむらくは、最初から「おバカB級臭」を匂わせてくれればもう少し楽しんだのに、あくまでもずーっと延々凡庸なB級を気取っていたクセに(気取ってねーよ)最後の最後でおバカオチにしちゃった事ね。惜しいなぁ〜

と、そんな訳で「おバカB級」が好きなぴよにはラスオチでかなり笑わせてもらえたのでOKなんですがー・・・
ラスオチで怒りに震える方も結構いるかもしれません。そこんとこは自己判断で楽しんで下さい(苦笑)







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2007年10月23日(火) サルバドールの朝

監督:マヌエル・ウエルガ
出演:ダニエル・ブリュール
    レオノール・ワトリング
    レオナルド・スバラグリア、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1973年フランコ独裁政権末期のスペインで、1人の反政府活動家「サルバドール・プッチ・アンティック」が逮捕された。逮捕の際の銃撃戦でサルバドールは瀕死の重傷、しかしサルバドールが放った銃弾により警察官が1人死亡し、彼は軍事裁判の末死刑判決を受ける。明るくユーモアもあり、誰からも愛された青年サルバドール。ただ自由と正義を信じて活動家として身を投じたサルバドールだったのだが・・・


【感想】
スペイン・フランコ独裁政権下末期の1970年代初頭に正義と自由を求めて反政府活動を行い、後に逮捕・投獄の末に軍事裁判によって死刑判決を受け、世界中の支持を得ながらも処刑された享年25歳の青年「サルバドール・プッチ・アンティック」の半生を映画化。実在人物のお話ってヤツです。最近多いですね。

スペインで40〜70年代まで30年余りに渡ってフランシスコ・フランコによって独裁政治が行われた事は、最低でも高校卒業まで通った人なら誰でも知っている事でしょう。(知らない人はちょっとググれば色々なサイトにヒットします)
・・・と、エラソーに書いてますが、ぴよも世界史の授業で「フランコ独裁政権が」ってサラサラーッと年代を覚えただけでロクにその内容なんて知りませんでしたから(薄涙)
だから当然だけど、本作の主人公「サルバドール・プッチ・アンティック」の存在も全く知りませんでした。

反政府活動家、しかも「自由と正義を求めた若き愛すべき活動家の半生」を映画化となると、それはそれは素晴らしい好人物で崇高にして高潔な麗しい人物として描かれているに違いないと思っていたのですが、本作は決してそういう太鼓持ちみたいな美談に仕立て上げないで、むしろ淡々と見せているトコロに好感が持てました。

映画の作りはまず冒頭でサルバドールが銃撃戦の末に逮捕されるという所から始まり、サルバドールが弁護士に自分が逮捕されるまでの人生を語るシーンを見せる事で観客に彼の今までの経緯を説明するという趣向を取っています。

サルバドールという青年は、確かに正義感の強い愛と自由を求める・・・言っちゃえば「当時の極普通の青年」だった、ただ生まれた時代と国が悪かっただけという人だったと思うのですが、運命の巡り合わせが絶妙だったが為に、自ら活動家の中心人物として生きて行く事になってしまった、という印象を受けました。

それだけならまだ「ああ、当時の青年のノリだったらねぇ」程度の話なんですが、彼は自由と正義を求める為の活動をするにはお金が掛かるからという理由で、何と銀行強盗を繰り返すようになる。コレはどう考えても頂けない(苦笑)
言ってる事は至極真っ当なんだけど、やってる事はただの犯罪。自覚があるんだかないんだか判らないけど、よくよく考えてみると彼らのやっている事と道理(言い訳?)というのは、世界中のテロリストの言い分に相通じますよね。

話はサルバドールの独白回想による彼の活動家としての半生が前半の見せ場、そして後半は逮捕後に自分を監視していた看守と心通わせる部分と、いよいよ処刑されるまでの様子を見せていくのがヤマになっています。
最初の頃は「恵まれた環境のボンボンがお遊び気分で活動家を気取りやがって」と、かなり批判的な目で見てバカにしていた看守が、自分の父親に宛てたサルバドールの手紙を読んで感銘を受け、そして心開いてサルバドールと友情を交わすまでに到る様子は、本当に見ていて心打たれましたね。

彼の死(処刑)が、その後のスペインを動かしたのか?
そうかもしれない。そうでないかもしれない。皮肉な事に彼の処刑後1年半余りで独裁者フランコは生涯を閉じた。もしかして上手く逃げおおせていれば、彼は死なずとも今のスペインの状態になっていたかもしれない。いやそうだろう。
では彼の死は単なる無駄死にだったのか?そうかもしれない。そうでないかもしれない。
でもこの世に「サルバドール」という若き活動家がいて、彼の処刑が今も世界中で語り継がれて、何がしかの影響力を与え続けているのは紛れもない事実でしょう。

・・・しかし、微妙〜に本作は何やらプロバガンダ臭を感じさせる気がします(^-^;
何がどうとはココに敢えては書きませんが、でも思想操作やらそういう難しい事は抜きにして、日本人にも多く彼の存在を知って欲しいと思うし、他国の過去話だと毛嫌いしないで見て・知って・興味を持って欲しい話でしたね。







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2007年10月22日(月) クワイエットルームにようこそ

監督:松尾スズキ
出演:内田有紀
    宮藤官九郎
    蒼井優、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
佐倉明日香は28歳のフリーライター。ようやく署名入りコラムが書けるチャンスが巡ってたものの、全く文章が書けずにイライラしている。しかも同棲している放送作家の彼とは最近すれ違いが多くイライラ度は更に加速気味・・・そんなある日、目覚めると真っ白な病室でベッドに拘束されていた。大量の睡眠薬をアルコールと一緒に摂取して昏睡状態になっていたと聞かされてもさっぱり記憶が定かにならない明日香だったのだが・・・


【感想】
「大人計画」を主宰する松尾スズキ氏の同名タイトル小説を、自らが脚本・監督をして映画化。
氏は俳優・演出家・劇作家・コラムニスト・エッセイスト、そして小説家としてマルチな才能を多岐に渡って発揮しているクリエイターですが、個人的に彼のキャラクターはかなり好きです♪でも本作の原作は読んでなーい!←いつもの事(^-^;

タイトルの「クワイエットルーム」とは精神科隔離病棟の更に隔離された部屋、ベッドに拘束具で縛り付けになって何も出来ない本当の「隔離部屋」の事を指しています。
主人公の明日香はある日目覚めるとこの「クワイエットルーム」で拘束されている。この部屋に到るまでの経緯を説明されてもそれが本当に自分の身に起きた事なのか、さっぱり記憶になくて困惑している・・・という設定。

明日香の受け答えの反応や様子は一見すると「極普通」に見える。
確かに睡眠薬を過剰摂取したのは事実だろうけど、睡眠薬も常服していると多少耐性が出来て徐々に摂取量が増えるという話は聴いた事があるし、今回はたまたまストレスが溜まって大量のアルコールと一緒に多めに摂取した為に睡眠薬が効き過ぎてしまったという「巡り合わせの悪い事故」だったんだろう・・・まあ、そんな印象を受けます。

ところで、精神科の隔離病棟が舞台という映画って余り見かけませんよね。
ぴよは幸いな事に精神科のお世話になった事がないので実際の精神科の隔離病棟がどんな様子なのかは知る由もないのですが、本作の隔離病棟内の患者の様子等は個人的に「うん。きっとこんな患者がいたりしそうだよな。きっとこんな様子なんだろうなーというイメージに近いな」という感じがしました。

本作はキャスティングが秀逸で、隔離病棟内にいる患者の皆さんは言うに及ばず、冷徹なナースを演じたりょうさんや天然系の明日香担当のナースを演じた平岩紙さんもナイス配役。でもやっぱ主人公・明日香を演じた内田有紀さんと彼氏役のクドカンの組合せはピカイチですな!
映画冒頭から2人の掛け合いには散々吹いたけど、どちらも実にこの役柄に合っていたし、本当に熱演でした。特に内田有紀さんは今までにない?(実は彼女の作品ってほとんど見た事ないかも。イメージ先行で)かなりダークサイドに入った難しい役どころだったんだけど、もしかしたらコレが彼女の素の姿なんじゃないか?と思わせる位のいい演技でしたね。

そんな訳で、映画始まってからずーっとかなりコメディっぽい進行で「カラリと明るい精神病棟話」みたいなお軽い気分で楽しんで見ていたのですが、話が進んで来ると意外な展開が待っていました。

いや、コレは脚本がいいんでしょうね。そもそも上にも書いたけど「この程度の『事故』で自殺未遂呼ばわりされて精神科の隔離病棟なんぞに入れられた日にゃ〜、たまったもんじゃないな」位の気持ちで見ていたのですが、要するに映画前半で見せていた「明日香のちょっぴり複雑な過去話と現在までの到って普通っぽい様子」に、実は後々の展開に対する微妙なヒントのような物が散りばめられていた、という感じですか。

映画を見始めた時に感じた「お軽いコメディ」とは結果的に随分異なる、実は結構ヘビーな内容なんですが、そんな重たいはずの話を透明感のある爽やかな感じに作り上げた松尾氏の手腕が光る作品でした。
何もかもを思い出して初めて自分の気持ちの奥底に触れた明日香の様子に、少なからずストレスや悩みを抱える大人の女性なら何がしか琴線に触れるものがあったんじゃないだろうか?と思いますね。

自分の心の奥に潜むどす黒いモノとようやく真正面から向き合えた明日香なら、きっともう大丈夫。いや大丈夫であって欲しいし大丈夫だと信じたい・・・多分自分も「鬱陶しい女」なんだろうなぁ〜と、多少は自覚のあるぴよにはそう思えた。
もう「鬱陶しい女」じゃないよ。これからはちゃんと生きていける・・・と前向きな気持ちにさせる、世の「鬱陶しい女」に捧げる気持ちの優しくなれる作品でした。コレはなかなかいいです。オススメ♪







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2007年10月19日(金) 自虐の詩

監督:堤幸彦
出演:中谷美紀
    阿部寛
    遠藤憲一、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
大阪の下町のボロアパートで暮らすイサオと幸江。元ヤクザのイサオは仕事もせずに酒とギャンブルに溺れる日々。内縁の妻である幸江がラーメン屋でバイトをして生活をしのいでいた。気に入らない事があると直ぐにちゃぶ台をひっくり返す粗暴なイサオに、隣に住むおばちゃんは「別れた方がいい」と言うが、幸江はそれでも彼を愛していたのだ。それは彼女の不幸な生い立ちにも起因していたのだが・・・


【感想】
85〜90年まで「週刊宝石」で連載された業田良家氏の同名タイトル4コマ漫画の映画化。
4コマ漫画の映画化って珍しい・・・「おじゃまんが山田くん」以来?でも山田くんはアニメだったしね。
主演の2人は共に堤監督ご用達俳優の阿部寛サンと中谷美紀サン。この2人はおいしいキャラの組合せですよネ♪

内容は、簡単に言えばヒモ男に尽くしまくる女の話。周囲からは「どうしてこんなクズ男に」と言われるものの、女にはそれでも男を愛さずにはいられない理由があって、それというのも彼女はずーっと不遇な人生で・・・
コレを中谷美紀が演じるって聞くと、多分ほとんどの人が「そりゃー嫌われ松子のパクリやろーっ!」って言いそう(笑)

確かに設定はかーなーりー似てる。
でも松子とはちょっと違うんだなぁ。←全部一緒だったらそれは本当にただのパクリなんだってば(^-^;
松子が「不幸のズンドコ編」で、本作は「裏バージョン」って感じか。裏バージョンって何?って聞かれると困る(をい)
本作は女側だけの一方的な視点ではなくて、あくまでも男・女・その周囲をまんべんなく見せて、一人称視点ではない普通のドラマっぽい仕上がりになってました。

4コマ漫画が元ネタだからなのか?映画冒頭から小ネタが延々と続いて、小ネタを繋げて見せる事で今現在のイサオと幸江の状況説明をしているという感じ。
ネタ同士は余り繋がりはなくて、ただオチが「ちゃぶ台ひっくり返し」で統一させているだけ。このちゃぶ台返しは毎回必ずスローモーションで流して(マトリックス風味)ちょっと笑いを誘う趣向。

って言うかね、本作の予告編を見た時には「これまた堤さんお得意のお寒いギャグ満載で大笑い必至ですネ?」と思っていたのに、蓋を開けると実はそれほど大笑いする程でもない。
もちろん小ネタの個々は結構面白いんだけど「大爆笑」という程でもない。でもネタ的には「にんまり♪」「ほのぼの」という系統でもないので、要するに「こ、これはギャグが滑っているのか・・・!?」という、本当に実に微妙〜な感じ。

正直言うと映画中盤までは「松子ネタが劣化した系統?」位に冷めた目で見てたんですがネ、
この映画は後半幸江が過去を回想するシーンから良くなる。だから途中退席しないように!(笑)

「嫌われ松子」は幸福だったハズの子供時代がどんどん転落するという過去回想だったけど、本作は生まれながらにして不幸でド貧乏のズンドコ状態で、そこから幸江が中学生の頃に出会った「生涯たった一人の親友」、そしてシャブ中の立ちんぼだった幸江と出会ったイサオ、幸江のズンドコ人生に光を与えた2人の存在のエピソードをクローズアップして行く。
「光から闇へ」の回想じゃなくて「闇から光へ」という回想。だから「松子の裏バージョン」と上に書いたんですが(苦笑)

今まで小ネタ繋ぎだったゆるゆるテンポが、ここで一気にドラマティックに変わる。
しかも話がいいんですよ。正直言うとかなりウルウル来ました。ぴよは泣く程じゃなかったけど周囲は泣いてましたね。
そして散々観客の目を充血させた所で優しい優しい大団円。この展開はなかなか良かったと思いましたネ。

でも、なぁ〜んか腑に落ちない。←今になって吠え出すかよ(^-^;

イサオと幸江が出会って大阪にやって来るまでの過去がこのエピソードで、じゃあ何故今イサオはこの状態な訳?
今現在の状態に到るまでに何かなければおかしいでしょ?どうしてそのエピソードは挿入されてないんですか?
映画前半と後半が全然別の話みたいな感じがするんですよ。作りも見せ方もトーンもまるで違うし、まるで同じ主人公の別の映画を繋げただけのような違和感があると言うのか・・・後半はシリアスONLYで笑いもありませんしね。

「小ネタ繋ぎ@笑い系の現在」と「ドラマティック@シリアスで感動的な過去」をもう少し上手に繋げてあれば、もっと見ていて気持ちよかったのになぁ〜と思うと残念なんですが、それでも本作のオチは見ていてとても気持ちがいいです。
「松子のパクリじゃん」と思っちゃった人には本作は向きませんが、ぴよは正直言うと松子より本作の方が好きです。









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2007年10月18日(木) 象の背中

監督:井坂聡
出演:役所広司
    今井美樹
    塩谷瞬、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
中堅不動産会社の部長としてバリバリと仕事をこなし、美しい妻と息子・娘にも恵まれて順風満帆の人生を送る48歳の藤山幸弘は、ある日末期の肺がんで余命半年と宣告されて愕然となる。悩んだ末に彼が下した決断は延命治療はせず、今ある命をまっとうするという事だった。幸弘は思いを告げられなかった初恋の人や喧嘩別れしてしまった親友の元を訪ね、自分なりに最後の別れを告げようとするのだが・・・


【感想】
秋元康氏著の初の長編小説を映画化。
実言うと秋元氏の企画ってあんまり好きじゃないんですよね・・・と思ったら、企画じゃなくて原作ですか。と書いている位なので原作未読というのはお約束です(苦笑)
余命半年の末期ガンになった男を今や堂々たるハリウッドスター・役所広司さん、そして彼の伴侶を久々の映画出演だという今井美樹さんが演じています。

この作品、正直言ってぴよにはちょっと評価がし難いですね。
ぴよのパパが正に肺がんで、判った時には医師に「余命半年」と告げられ、本当に半年後に亡くなっているので、何を見ても自分の父親の姿と重ね合わせて見てしまう・・・冷静には鑑賞出来ません。

ちょっと冷静になってこの映画の事を考えると、
「余命いくばく系」の作品は本当に星の数程作られているし、QOL(quality of life)をテーマにした作品も実に多い。
本作は過去数多作られたQOL関連の話と何ら変わらない、非常に平凡な作りの話・・・というのが正直な感想。

原作未読なので本作とどれくらい設定等が違うのか判らないのですが・・・
まず、愛人がいるという設定は必要なかったと思うんですよね。例え原作に登場していたとしても削るべきだった。
余命宣告をされてまず打ち明けに行くのが愛人の所。妻には「苦しめる時間はなるべく短い方がいい」という理由で長男にだけ告白して妻には内緒にする。コレはどう考えてもおかしい。
男の人が本作を鑑賞したらどう思うのか判らないけど、女性の立場からすると「自分の弱い部分(本音)を見せられるのは妻じゃなくて愛人の方な訳?」としか思えないんですよね。物凄く主人公がエゴイスティックに感じる。

それから夫婦の会話が余りにも上品過ぎて、まるでリアリティを感じない。
ぴよ家は普通にタメ口で「○○じゃん」「○○してよ」みたいに会話していますが、世間の夫婦は妻が夫に対して2人きりで会話しているにも関わらず本作のような丁寧語で話すんですか?
前述の愛人のくだり+夫婦の会話シーンを見て、益々「ああ、要するに仮面夫婦なんだな」と思ってしまった(苦笑)

だからホスピスに入ってからの様子もかなり冷えた気持ちで見ていましてね、愛人に「顔が見たい」なんて電話なんぞ掛けちゃったりしているのも「まあ妻にバレたからって所詮数ヶ月の命なんだしな。やりたい放題やっちゃった方が確かに後悔はないわな」ってな感じですよ(苦笑)
最後の最後で「生まれ変わっても・・・」なんて言われても「ウソつけー!」としか思えないじゃないですか(^-^;

凄くいいシーンだって沢山あるんです。
喧嘩別れした友達の所を訪ねるくだりや、絶縁していた兄に再会し、後に兄がホスピスにお見舞いに来てくれるシーン辺りなんて、役者の上手い演技も手伝って実にいい「見せ場」になっているんです。
それから長男にガンを告白するシーンも良かった。長男役の塩谷君のあの何とも言えない表情、アレは正にぴよが自分の父親のガンの余命宣告を聞いた時と全く同じ表情でしたよ。彼はとても上手でしたね。

でも何かしっくり来ない話でした。
実はこの作品を見て何度も何度も涙が頬を伝ったんですが、それはこの映画を見て泣いたのではなく、自分の父親の事を思い出して泣いていただけで・・・正直この主人公にはまるで共感出来なかったというのが本当のトコロ。

ぴよのパパは余命半年とは知らせなかったが、でも既に肝臓に転移していて手術も出来ないステージ4の末期ガンだというのは告知してあった。バカな人ではなかったから自分なりに調べて大体自分の余命は判っていただろうと思う。
パパは抗がん剤治療を積極的に受け、抗がん剤の副作用に苦しみながらも会社に通い、海外出張までして、そして家族と共に過ごす時間も大切にしてくれてよく会話もし、温泉旅行にも行った。
「例えステージ4でも、パパは絶対に諦めない。自分の為、家族の為に最後まで真正面から戦う」と言って頑張った。

今でも自分の父親の事を誇りに思っている。だから本作の主人公には共感が出来なかった。
(・・・って、結局冷静に本作は見れなかったという訳ですがね。苦笑)







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2007年10月17日(水) インベージョン

監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
出演:ニコール・キッドマン
    ダニエル・クレイグ
    ジェレミー・ノーサム、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
スペースシャトルが謎の事故を起こし墜落。墜落して来た機体には謎の地球外生命体が付着していたのだ。その後過去の記憶は持つものの全く感情がなくなるという謎の伝染病が蔓延。この病気の原因を調べていた精神科医のキャロルと友人の医師ベンは、これが病気ではなく例の地球外生命体が人間に寄生し、レム睡眠中に人間の体を乗っ取っているのだと突き止めた。離婚した夫に1人息子を預けていたキャロルは息子の安否が不安になり、急いで引き取りに行くのだが。


【感想】
アメリカ人作家ジャック・フィニィが1955年に発表した「盗まれた街(原題:The Body Snatchers)」の映画化。
映画化って言うか、既に本作は「ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956)」「SF/ボディ・スナッチャー(1978)」「ボディ・スナッチャーズ(1993)」と既に過去3度も映画化されているらしく、本作は4回目のリメイク作品という訳です。
4回もリメイクするなんてよっぽど過去3作品のウケが良かったんでしょうか・・・ぴよは1つも見ていないんですが(薄涙)

そんな訳で、原作も過去3作品も未見なのでどういう展開になるのかワクドキだったんですがー。←またか?(^-^;

まあ、原作が発表されたのが1955年ですからね、かなり古典的なSFスリラーという趣です。
面白いっちゃー面白いんだけど、既に手垢付きまくりのネタですから新鮮味には欠けますね。出演してる役者さんがこれだけ豪華じゃなかったら、もしかしたら劇場公開されてもスルーしてしまったかもしれません。

という事で、ニコール・キッドマンは余りに美しい!
彼女今年で40歳ですよー。どういう人生送ったら40歳でここまで美しくいられるんだろー???
クレバーで冷静沈着な精神科医の顔、息子を愛する母親の顔、そして憎からず思いを寄せているものの後一歩が踏み出せずにいる友人医師ベンといる時の女の顔、さまざまな顔を見事に使い分けていて素晴らしいです。

その美しいニコール演じるキャロルを思いつつも、やはり後一歩が踏み出せずにいる優男ベンを演じるダニエル・クレイグのカッコ良さはもう異常!彼の名前を初めて認識したのは確か「トゥームレイダー」辺りだったと思うんだけど、あの頃は全く眼中になかったんだけどな。
やっぱり「007/カジノ・ロワイヤル」だなぁ。アレ見てからすっかりダニエルファンですよーう♪ホントにカッコイイ!!

と、つい鼻息が荒くなってしまいましたが(苦笑)
話自体は本当に「小粒なB級SFスリラー」と言った感じです。最先端技術の映像なのに何故こんなに超古典なネタをぎっちり詰め込んでるのだろう?という違和感は拭えません。
だから設定等にツッコミ入れる人は結構多そうな気はします。そもそも感染方法がゲロゲロゲーですし、地球外生命体に関する考察もとんとん拍子につまびらかにされてちょっと拍子抜け。
更に「感染してるか・していないか」を見た目の様子で判断するってのは・・・コレはネタなんですか?(^-^;

派手なカーアクションやクライマックスの脱出劇も多少の見ドコロはあるものの、とりたてて誉めそやす程の緊迫感は感じなかったし「まあ、そこそこ上手に作ってあるな」と言った程度でしょうか。

でも結構含蓄深いネタだったりするんですよね。
人間としての感情がなくなって「同化」するという事は・・・まあ余り語ると映画が面白くなくなってしまうのでネタバレはこの程度にしておきますが、「人間らしく生きる」事の意味を考え直してみたくなるようなお話でしたね。
もしかしたら、今のこの地球はどこぞの地球外生命体に乗っ取られてしまった方が、いっそいいのかもしれません(笑)

だけど見終わった今もよく判らない事が・・・結局この地球外生命体の目的は何だったんだ?(^-^;







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2007年10月14日(日) 大統領暗殺

監督:ガブリエル・レイジ
出演:ジョージ・W・ブッシュ
    ディック・チェイニー
    ヘンド・アヨウブ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
2007年10月19日、演説の為にアメリカ大統領ブッシュはシカゴの地に降り立った。厳戒態勢を敷いているものの街には抗議団体のデモが溢れ返り、地元警察と一触即発の緊張状態の中ブッシュを載せたリムジンは演説会場へ向かう。無事演説を終えて車に乗り込もうとしたその瞬間、どこかかから発射された銃弾を浴びブッシュはその場に倒れた・・・


【感想】
2006年トロント国際映画祭国際批評家賞を受賞したものの、その余りにも過激なネタに世界中で上映拒否を食らったというなかなか面白そうな作品。日本でも邦題を「ブッシュ暗殺」にしようとしたトコロ、映倫から許可が下りずにやむなく「大統領暗殺」というタイトルになった事で話題になっていますよね。

近しい未来(ってか数日後だよ!)ブッシュが何者かによって暗殺されたという仮想設定で、ブッシュに関わった様々な人間へのインタビューと暗殺に到るまでの街の様子やブッシュの様子の映像を交互に見せ、更に暗殺後にどういう経緯で捜査や犯人逮捕に到るか等々を淡々と見せていくドキュメンタリータッチな作風。

ってか、コレは流石に悪乗りし過ぎ!?
よくこんな映画作って訴えられないなぁ〜と感心しちゃいますよ。あの訴訟王国アメリカが、実名・実像バンバンに使用しているのに上映拒否程度の扱いで済んでいるというのに驚きます。
言い方を返れば、本気で訴えられても仕方がないと思える程、余りにもリアルに作ってある。
映画冒頭で「2007年10月19日」とテロップが入るんだけど、見ていて過去の話、実際にあった話だとつい頭の中で変換して見てしまうんですよね。「アレ?今って200・・・9年?だっけ?」みたいな感じ(苦笑)

それからコレどうやって撮影したんだろう?
当然実際のニュース映像やデモ映像と映画用に撮影した映像を混ぜてCG処理してるんだろうけど、見ていて全然違和感がないというか、本当のニュース映像を見ているとしか思えないくらい「それらしい」作りになっているんですよ。
ブッシュの側近やFBI捜査官へのインタビューの様子も秀逸。ブッシュがいよいよ暗殺されるという核心に触れる部分を語る時などは目を潤ませて声をつまらせちゃったりして・・・もう本当に出来過ぎ!(笑)

と、ブッシュが暗殺されるまでの部分はかなり興味深く見ていたんですが、いよいよ暗殺された後がダルい。
実際にこんな事件が起こったら、どういう経緯を辿って容疑者を絞っていくのか。それから容疑者扱いされた家族の側の話などを盛り込んで見せるんだけど、ここら辺りから急速に興味を失ってきた。

結局「シュミレーション」を見せているだけで、ヒネリがなさ過ぎる・ストレート過ぎるんですよね。
犯人探しシュミレーションに徹して、この暗殺に対する本質的な部分や問題には全く触れようとしていない。だから見ていて段々飽きて来ちゃうんですよ。
ブッシュ死亡のニュースが読み上げられるシーン等も盛り込んでいるけど、淡々とし過ぎていて拍子抜けする程。
勿論インタビューシーンを繋げる事でアメリカの暗部をさりげなく見せてはくれるんだけど、正直パンチが弱いですね。

もう少し観客に「何故ブッシュが暗殺されなければならなかったのか?」「ムスリムとアメリカの関係」「9.11テロ後に噴出しているアメリカの暗部等の問題」を華々しくアピールしてくれれば、もっと最後まで興味を惹ける面白いエセ・ドキュメンタリーになったんじゃないかと思うんですが。ちょっと勿体無い作りだったなぁ〜。

いやぁ・・・でも、今年の10月19日(数日後ですね)に本当にブッシュがシカゴに行ってくれたら、世界中でこの映画が取り上げられて面白いニュースになると思うんですがね。
ブッシュさん、是非シカゴにお出掛け下さい。よろしくお願いします♪(笑)








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2007年10月09日(火) パーフェクトストレンジャー

監督:ジェームズ・フォーリー
出演:ハル・ベリー
    ジョヴァンニ・リビシ
    ブルース・ウィリス、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ある議員スキャンダル記事を潰された事で会社を辞めた元新聞記者のロウィーナは、ある夜幼馴染みのグレースから彼女が不倫していた大手広告会社社長「ハリソン」とのスキャンダルをネタにして欲しいと頼まれた。グレースはハリソンに捨てられた事を恨んでいたのだ。ところが後日グレースが無残な惨殺死体となって発見された。ハリソンが犯人だと目星を付けたロウィーナは、スクープをモノにしようと元同僚記者「マイルズ」と協力し、偽名を使ってハリソンに近付くのだが・・・


【感想】
ハル・ベリー×ブルース・ウィリスという「ラジー賞俳優、夢の共演!」が話題の作品。←話題じゃねーってか?(^-^;
ジャンルはサスペンス。サスペンス物って脚本考えるのが大変だと思うんですよね・・・このジャンルはほとんどが大ヒットした既存小説の映画化だと思うのですが、本作は珍しくオリジナル・ストーリーのようです。

ところで、本作の予告編を一度も見た事がなかったんですよね。(最近あんまり映画館行ってないし)
ポスターすらロクに見ずに鑑賞です。多分サスペンスだよね?程度の、ほぼ全く予備知識なしで鑑賞した訳です。
・・・何か言い訳に入ってるって自分でも判ってますが、とりあえず本作を鑑賞するのに「予備知識なし」というのがとても重要だったんだなぁ、というのが鑑賞後に本作の公式サイトを見てようやく判った訳で。

えーと。
言い訳した時は必ず叩きまくって吠えまくりなんですが・・・本作、ぴよは正直言って結構面白かったんす!
「じゃあ何故先に言い訳すんの?」とツッコミが入ると思うのですが、それは既に本作を見たという友達数人からのリサーチだと、「超クソ」「つまんね」「コレはダメ」「マジで寝る」のオンパレードだったからさ(苦笑)

いやね、ちゃんとしたサスペンスなんですよ。
映画始まってしばらくして事件が動き出してから、予備知識のないぴよは(←しつこいようだけどココ重要だからね)
「ああ、もしかしてぴよ大好きな【犯人当てモノ】だったりする?だよね?」みたいな感じで、ちょっと背筋伸ばしてあんまり本筋には関係なさそうなシーンやセリフ(でもこういうのが実は結構重要なのよネ♪)も細大漏らさず見てやろう!って、目をランランと輝かせて見入っていた訳ですよ。

まあ正直言っちゃうと、登場人物が余りに少ないので犯人の予想はミステリ好きさんには結構予想がつく。
でも必死にミスリードしようとしていて、そのミスリードもまあまあ上手に作ってあると思うんですよ。ホントに!!
だって登場人物が出揃った所で「コイツは絶対にない。コイツかコイツのどっちか」って絞って見てて、途中までは本当に的を絞ったターゲットのどっちが真犯人なのか、マジで判らなかったんだもんっ!
勿論途中で誰でも犯人は判りますよ。でも途中まででも楽しませてもらえたんだからいいじゃないですか(^-^;
・・・え?それはお前が「ミステリ好き」って言ってるけど、根本的に頭が悪いからだけだって?(薄涙)

何かね、キャラクターの作り方に問題があったんじゃないかと思うんですよね。
怪しそうなヤツが余りにも怪し過ぎるし、そもそも主人公のキャラが物凄く中途半端なんですよね。
ロウィーナは単なる「事件の真相を知りたい、正義感の強いちょっぴり野心家の新聞記者」という立ち位置でいいし、彼女をサポートするマイルズは「ロウィーナに片思いしてて、何とかして彼女の気を惹きたいから頑張る同僚」というだけの立ち位置で充分だったと思う。と言うか、そういう風に観客に見せて欲しかった。

余りにもロウィーナは根性悪そうだし(こら)、余りにもマイルズは陰湿過ぎる。
何もここまで怪しくしなくってもいい、むしろこんなに怪しくしちゃったら逆に見ていて寒くなっちゃう。
他にも細々した背景設定がやたらと杜撰だし、もうちょっと広告業界やIT業界をリサーチして作ってくれれば、ここまで妙に怪しいだけのネタにはならなかったんじゃないだろうか?と思うんですがね。

まーでもね、「とりあえず俺様英雄でガチ」なブルース・ウィリス様が「エロエロちょい悪おやじ」を演じてくれただけでも本作はめっけものだと思うんですよね(苦笑)
こういう役柄を演じた事って今まであったかしら?少なくともぴよはこういうキャラのブルース様は初見でしたよ。
それにハル・ベリー嬢は相変わらずスタイル抜群でお美しいしネ♪(オスカー取って脱がなくなったのが気に入らんが)

基本的な脚本の筋自体は、結構面白い・・・いや、かなり面白いと思うんです。
ラストシーンのあのワンショットなんて、なかなかニクイですよ。「ほほーう」と思いましたしね。
それにしても、演出というか背景設定というか何と言うか、とにかく「もうちょっと頑張って作り込めよ!」ですわ。
何かが絶対に欠如してる。その欠如したものがきっと一番重要なんだろうと思うんですよ(苦笑)

でもね、
本当に「本作に関して何の予備知識もない方」なら、結構楽しめますよ。予備知識のない方限定でどうぞ♪(^-^;







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2007年10月06日(土) オール・ザ・キングスメン

監督:スティーヴン・ゼイリアン
出演:ショーン・ペン
    ジュード・ロウ
    ケイト・ウィンスレット、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1949年ルイジアナ州。公共事業不正入札の取材をしていた新聞記者のジャックは、汚職を糾弾する出納官だったウィリーと出会う。その後知事選に立候補したウィリーに興味を持ち、彼の記事を次々と書いてウィリーにも助言。果たして彼は貧困層からの圧倒的支持により知事に当選、ジャックは記者を辞めてウィリーの片腕となった。それから5年後、当初はあれほど正義感に燃えていたウィリーだったハズが、今では汚職まみれで弾劾請求が議会から起こされていた・・・


【感想】
1946年にピュリッツァー賞を受賞したロバート・ペン・ウォーレン氏著の同名タイトル小説を映画化。
原作著書は既に1949年にR・ロッセン監督により映画化されているので、本作はそのリメイクという事になるのかな?ちなみに1949年に製作された作品は未見です。
本作、予告編見て楽しみにしてたんだけど、うっかり見落としてました。相方がレンタルして来たのでようやく鑑賞。

原作小説の方は実在するルイジアナ州知事「ヒューイ・P・ロング」という人をモデルにしているそうです。
州知事在任期間は1928〜32年、その後1935年まで上院議員。その後の結末は本作と同じ経緯を辿ったらしい。

で、本作はジュード・ロウ(相変わらずイケメン♪)演じる元新聞記者「ジャック」の視点で「ウィリー」という人物を見せていくという手法を取っています。
ジャックは上流階級出のボンボンで、本来はウィリーとは相容れない関係ではあるものの、汚職を許さないウィリーの真摯な正義感に心打たれて彼のアドバイザーのような関係になる。
それがそれが・・・いざ知事という権力を手にすると、あれ程正義に燃えてたハズの人物もこーなっちゃうんだよ、と。
どこの国もいつの時代も、政治家ってこんなんばっかりかよぉ〜と溜息が出ますよ。日本も似たり寄ったり?(^-^;

まあ、政治家に限らず人間というのはこういうモノなんでしょう。
理想に燃えている時(ド貧乏時代)はきっと心の底から正義と平等を願っているんでしょう。それがいざ権力と財力を手にして成功するや、今度は私利私欲に走って保身に走る。利用出来るものはなりふり構わず利用する。自分の地位を脅かす存在はどんな汚い手を使っても抹殺する。

本作では「貧民の味方」というスタイルで汚職まみれになったウィリーを、ウィリーの反対勢力であるべき上流階級出身のジャックからの視点で見せているという点がなかなか捻ってあって面白いと思いましたね。
ジャック自身の人間関係や思惑等も盛り込みながら、それが独立したエピソードではなくきちんと本筋のウィリーの生き様にリンクするように描かれているのも上手い。

それから逆光を多用したアングルが多く、映像がやや暗めではあるものの雰囲気が凄く出ていて好感持ちましたね。
ぴよが個人的に好きなシーンは、ケイト・ウィンスレット演じるアンとテーブル越しに会話するシーンと、アンがウィリーと不倫関係だと聞かされて彼女の家の近くに行ったジャックに対してアンが家に入ろうかとする時に人の気配に気付き、一瞬振り返った時にジャックが逆光(顔は陰になって見えない)で立ち尽くしているショット。
表情が全く見えないのに、人影だけで凄くジャックの心の動きが上手く表現されてるなーと思いましたね。

役者の演技も申し分なく(何しろ本作は出演キャストが豪華過ぎる!)非常に見応えのある作品なんですがー・・・

根本的に「面白い話」ではない、むしろすっごいイヤ〜な話なので(苦笑)、見ていて非常に疲れました。(^-^;
でも見て損はない。「善は悪から生まれる」「善は作り出すもの」等、なるほど人の心の暗部を見透かしたような含蓄のあるセリフが多くて関心させられます。
でもまあ、本当に見ていてドッと疲れました。こんなに疲れた映画は久し振りです。はぁ〜







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2007年10月05日(金) スターダスト

監督:マシュー・ヴォーン
出演:チャーリー・コックス
    クレア・デインズ
    ミシェル・ファイファー、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
イングランドの外れにあるウォール村に住む18歳の青年トリスタンは、村1番の美女ヴィクトリアを呼び出して求婚をしている時に流れ星が落ちるのを目撃した。愛する証拠として流れ星をプレゼントすると約束したトリスタンだったが、星は村外れにある「壁」のはるか彼方に落ちている。昔から壁の向こうの「外の世界」には行ってはならないという掟があったのだが・・・更にこの流れ星を巡り、外の世界でも邪悪な動きが起こっていたのだった。


【感想】
イギリス出身の大人気SFファンタジー作家ニール・ゲイマン氏著の同名タイトル作品を映画化。
主役のトリスタンには若手俳優チャーリー・コックスを大抜擢、脇をロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー等の大御所が固めて、スタッフもハリウッドの一流ドコロを集めまくり・・・何やら物々しい「大作」臭がプンプンです。

要するにロード・オブ・ザ・リングやハリポタのような近年量産されているSFファンタジー系なんですが、上に挙げた2作と大きく違う点は上2作は非常にシリアスに作られているけど、本作は結構ベタなコメディシーンを盛り込んでいる点とそれから話の柱になっているのが「恋愛」ネタだという点。
色んな要素を盛り盛りにした「ラブコメ冒険SFファンタジー」という感じでしょうか。

欲張ってアレコレ盛り込んでいると小ネタが多過ぎて収集着かずに話が空中分解しちゃうケースが多いのですが、本作はなかなか脚本が練れていて「結局何だったのか訳わかんねー」というストレスはありません。
空から降ってきた流れ星ちゃん(星なのに何故か人間の姿形をしている)が最初に主人公と出会って2人で移動を始めるんだけど、流れ星ちゃんを巡って魔女チーム、某国の跡目争いチームが争奪戦を繰り広げ、そこに気は荒いものの心優しい大空をフィールドにしている海賊(空賊?)達が主人公と流れ星ちゃんの助っ人として現れる。

・・・んー。こうやって書くとなんだか「天空の城ラピュタ」みたいだネ。ってか凄く似てる!
シータ(ラピュタのヒロイン)は「飛行石」を持ってたけど、本作の流れ星ちゃんは大粒ルビーを身に付けている。それが王家の跡目争いをしているチームにとっては「王位継承権の証」の一品になっているというのもラピュタに酷似。
と思ってちょっと調べたてみたら、本作には「この物語の感動は、まさしく宮崎映画の実写版を見ているようだ」というコピーが付いているそうだ。宮崎映画の実写版ってか、それはパクリ・・・(あわわ)

って、「ラピュタ似」は今映画感想を書きながら話の筋を書き出していて思い始めた事でして。
映画を見ている時には「ラピュタと同じじゃーん」とは気付かなかった。気付かなかったけど「どこかで見た事のあるような話の展開だよな。一昔前のファンタジー映画のネタを繋ぎ合せてるっぽい既視感があるな」という感じでした。

デ・ニーロが茶目っ気たっぷりにいいヤツキャラを演じていますが、個人的にはミシェル・ファイファーの魔女役の方がなかなかの怪演っぷりで好きですね。奇しくも先日見た「ヘアスプレー」でミシェル・ファイファーを久し振りに見たばかり、しかもヘアスプレーでもアクの強い悪役を演じていらっしゃいましたが、本作でもなかなかスゴイ悪役で・・・彼女、いつまでもお美しいけど本当に悪役がよく似合います♪(笑)

主人公トリスタンを演じたチャーリー・コックス君、最初の頃は「どーでもいいわ」って感じなんだけど、話が進んできて海賊達と出会った辺りから急に「この子、カッコイイじゃない♪」に変わる。実際映像が明らかに後半から急にカッコ良くなる。
惜しいのはヒロインの「流れ星ちゃん」かなー。彼女は正直ぴよには余り魅力的なヒロインに見えませんでしたね。

でも何て言うのかなぁ〜。
上手く言葉にするのが難しいんだけど・・・あんまり印象に残らない凡庸なファンタジーって感じがしたんですよね。(^-^;

見ていて不満は全くないけど、目新しさも感じない。
ストレスを感じる程の古臭さは全くないけど、かと言って目を見張る程の驚きや感動もない。
つまらない事はない。むしろ結構面白い。でも「心に残る一作」には絶対にならないという微妙な作品(苦笑)
「ラピュタ」は今も自分の中ではBEST作品に必ず挙げる名作だと思ってるんだけど、何故かラピュタに似ているハズの本作にはとりたてて心に残るシーンもセリフも印象もない。何が違うんだろう?うーん。不思議です。









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2007年10月02日(火) ヘアスプレー

監督:アダム・シャンクマン
出演:ニッキー・ブロンスキー
    ジョン・トラボルタ
    ミシェル・ファイファー、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
60年代のアメリカ・ボルチモア。歌とダンスが大好きなトレイシーの夢は憧れのダンス番組「コニー・コリンズ・ショー」に出演する事。でも唯一にして最大の問題はトレイシーがチビな上に超BIGサイズだという事だった。そんなある日、番組レギュラーのオーディションが開催された。差別と偏見の激しい番組を牛耳るベルマにけんもほろろの扱いを受けるものの、紆余曲折の末めでたくレギュラーの座を射止めた。とんとん拍子に人気者になったトレーシーだったが・・・


【感想】
1987年にオリジナルストーリーとして同名タイトルで映画製作され、2002年にブロードウェイ・ミュージカル化。それが翌年にはトニー賞に13部門ノミネート(8部門受賞)という高評価・大人気を博し、更に再映画化したという作品。
主人公のトレイシー役は1000人のオーディションから選ばれた新人ニッキー・ブロンスキー。
でもぶっ飛びなのは、トレイシーのママ役をジョン・トラボルタが演じているという事。パパ役じゃなくてママ役ね。
ちなみにパパ役はクリストファー・ウォーケン様です。(Mさん、感想読んでくれるぅ〜?ウォーケン様よぉ〜♪<私信)

映画が始まったと思ったら、いきなりトレイシーのBIGでCUTEなミュージカルがスタート!
本作、作りはかなり正統派なミュージカルだと思います。(ロクにミュージカルなんて見た事ないんすけど。苦笑)
基本的に歌とダンスありき。セリフや感情を表すのはほとんどミュージカルシーンで、その間を普通の演技で埋めていくという趣向になっています。かなりミュージカル部分多め。

正直言うとミュージカルって余り耐性がないので得意な部類ではないのですが・・・本作は楽しかったですねぇ♪
明るくPOPでカラフルでHAPPY。だけど話の筋はかなり真面目な題材を扱っているというのも個人的に好み。

要するに話のネタは「黒人差別と偏見」なんですが、そんなド暗いテーマを本作は実にカラリと楽しく見せてくれる。
実際のアメリカの差別と偏見に対する歴史と変遷はこんな生温いもんじゃないのは百も承知、でもそういう気の重たくなるようなテーマをここまで明るい「おとぎ話」にして見せてくれたのが逆にぴよには気持ちがよかった♪
トレイシーというキャラがまた、本気の巨デブなんだけど全くもって天真爛漫。「巨デブ」という社会的マイノリティを自らが乗り越えられた彼女だからこそ、「黒人差別」という壁を打ち破る原動力になれるというのもいい。
実際トレイシーを演じたニッキー・ブロンスキーの自信に満ちた愛らしさったらどうよ?誰もが彼女を愛せずにいられない!

トラボルタの怪演ママとウォーケン様の愛すべき親父っぷりの夫婦も絶妙でしたね。
自らも巨デブのママが娘を思い夫を愛する姿はとってもいじらしいし、娘を信じて応援するパパもステキ!
トラボルタがママ役ってどーよ?と思ってたんだけど、コレが全然違和感がない・・・むしろ、よくぞここまでやってくれましたと惜しみない拍手を贈りたい♪でも最初登場した時はやっぱり吹いちゃったけど(笑)

それからウォーケン様ファンは特に本作は必見ですね。彼のシーンはマジでオイシイ!ミシェル・ファイファーと絡むシーンなんて会場笑いっぱなしですよ。クソ真面目な顔してるクセにやってる事がアホ過ぎて吹きまくりですわ(笑)
トレイシーvsパパのシーンも、すげー大真面目でジーンと来るハズなのにアホ(笑)。でもトラボルタとのミュージカルシーンには大御所の絡み(でもこの絵面ってスゴ過ぎる!)を堪能させてもらえて大満足♪

当時の世相を風刺したシーン等も上手に盛り込みつつ(ex.タバコをガンガンに吸いまくってたり)トレイシーという誰もが愛さずにいられないCUTEなおデブが、世間に吹き荒れる様々な「壁」に対峙して周囲を巻き込んでHAPPYにする。
日本では余りウケない「差別と偏見」がテーマになっているので、予告編では話のネタを見せないように「楽しい映画」という部分だけをクローズアップして印象操作していますが、本作は非常に重たいテーマを非常に重たいキャストがお軽く楽しく見せるという、日本人では絶対に作れない「ハリウッドならでは」というザッツ・エンターテイメントなのがいいんです!

見た人誰もが勇気を得て元気になれる、そんなビタミン・ムービーでしたね。
映画を見て心の底から「ああ、楽しかったぁ〜♪」と言える作品って実は少ないと思いますよ。オススメの一作!








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