監督:ジョージ・ミラー 声の出演:イライジャ・ウッド(マンブル) ブリタニー・マーフィー(グローリア) ロビン・ウィリアムズ(ラモン、ラブレイス)、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 南極に住む皇帝ペンギンにとって大切なのは「自分だけの心の歌」を見つけ、歌う事で生涯の伴侶と結ばれる事。ところが美声で鳴らした夫婦から生まれた「マンブル」は、音痴で歌が全く歌えなかったのだ。マンブルは歌えない代わりに得意の足技を駆使してダンスのステップを踏んで自己表現をしよう試みるものの、彼のダンスが長老ペンギンの怒りに触れ「南極が魚不足になったのはお前のダンスのせいだ」と、群れから追放されてしまったのだ。
【感想】 今年のアカデミー賞・長編アニメ映画賞受賞作品。 ハリウッドメイドのアニメーションは声の出演が本当に豪華!主人公のマンブルをLOTRシリーズのイライジャ君、マンブルの両親はその歌声の素晴らしさも定評の高いヒュー・ジャックマンとニコール・キッドマン。 マンブルの意中の彼女グローリアをブリちゃん、そして名優ロビン・ウィリアムスやらヒューゴ・ウィービング等、とにかく豪華ハリウッドセレブが総出演して映画を盛り上げて行きます。
予告編を見た段階で相当期待していましたが、とにかく映像が恐ろしい程美しい! 「なんだかんだでピクサースタジオのクオリティには遠く及ばないでしょー」とタカ括ってたんだけど、これは子供だけに楽しませるには余りに勿体無い・・・いや、子供にこの素晴らしい映像技術が判ってたまるかいっ!と鼻息が荒くなる、とにかく美しくてリアルを追求した、本当に素晴らしい映像でした。
映画中何度も(ってか映画の殆どと言ってもいいかも)登場する「ペンギン集団のダンスシーン」はスゴイ! しかも映画中に使用される楽曲が、ぴよには涙モノのダンサブルなヒットメドレーの数々。特に卒業式でグローリアが熱唱するクイーンの「Somebody To Love」には、思わず映画見ながら自分も歌っちゃったじゃんかよーう!←フレディ信者
この手のハリウッドアニメは「親子愛」「子供の成長物語」「そして主人公の心温まる恋愛」がお約束。 予告編を見る限りでは「映像はキレイだけど、内容はどーせいつも通りの『頑張れば報われるシリーズ』よね」と当たりをつけていたのですが・・・本作は勿論それもあるんですが、単なるお子向け一辺倒にはせずに一味違ったアプローチでグッと鑑賞年齢を大人向けに引き上げて来たなーという感じがしましたね。
簡単に言うと「ドリームガールズ」が「不都合な真実」を演じる、と言った感じ?←逆に判り難くなった件(苦笑)
まず大きな柱として、子供のマイノリティを大切に育てるという事。 更に子供自身も自分のマイノリティに自信を持って、それを天賦の才能だと自覚して精進する事。 ・・・ここまではまだ既存のハリウッドアニメで何度も語られているテーマなので驚きはありませんが、この作品は映画の前半と後半でテーマが大きく変わるのが特徴的です。 正直、映画を見ていて途中から意外な方向に進んで行ったので「え・・・マジ?」と、かなり驚きました。
このテーマの方向転換が「説教臭くて面白くない」「テーマに一貫性がない」と言う人もいるかと思います。 でもぴよは本作の後半の展開はなかなか面白い試みだったと思いますね。そしてこのテーマを子供にも判り易く、大人には納得させられるだけの説得力を持って、うまく消化出来ていたんじゃないかと思います。 子供にもこのテーマについて考えてもらいたい・・・いや、子供の頃からこの手のネタの話を身近に与えて考えさせ、常に意識して生きていけるように育てる事が今の時代に必要だろうと思いました。
この作品なら今年のアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞しても納得です。 何しろ長編ドキュメンタリー映画賞が「不都合な真実」でしたし、正に旬の話題を持って来たのが功を奏しましたネ。
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