ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年01月29日(月) 世界最速のインディアン

監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス
    ダイアン・ラッド
    ポール・ロドリゲス、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
ニュージーランド南部の田舎町インバカーギルに住むバート・マンローは、40年以上も前に買ったバイク「インディアン」をコツコツと改造し、ひたすら「速く走る事」に人生を捧げて来た。彼の夢は世界最速を目指すライダーの聖地、アメリカ・ユタ州ボンヌヴィルで世界記録に挑戦する事。年金暮らしで渡航費すらままならないバートだが、60歳を過ぎて体にガタの来た彼は夢が諦めずに一念発起、自宅を抵当に入れて単身アメリカを目指すのだが・・・


【感想】
1967年に68歳で1000cc以下のクラスで世界最速の記録を作った(しかもその記録は今も破られていない)、実在する伝説のライダー「バート・マンロー」の心温まるサクセスストーリーを映画化。
これを、バート氏が存命中に本人と出会って彼に感銘を受けたロジャー・ドナルドソン監督が、当時は駆け出しの若手監督で映画化が出来ずにずーっとネタを暖め続け、「13デイズ」「リクルート」等を手掛けて名を馳せた事で、バート氏と出会って34年の歳月を経てようやく映画化に漕ぎ着けた・・・という、「大器晩成スペシャル祭り映画」

実在する人物の映画化だと、どれくらい事実に即しているかが勝負になるケースが多いのですが、多分本作のエピソードはもちろん事実もあるだろうけど、印象としてかなり「演出先行」になっているだろうと思います。
通常なら「有り得ない歪曲演出にはヘドが出る」と吐き散らすトコロですが、本作にはそういうストレスが全くない。

何故なら、本作には悪人が1人も出て来ない。
誰かを貶める事で主人公を「いいヤツ」に仕立て上げるのは簡単だけど、この映画に登場する全てのキャラが、誰が見ても心が温かくなるような気持ちのいいヤツらに彩られている。
最初は「なんじゃ、コイツら」と思わせるキャラも、主人公と絡む事で最終的に誰も彼もが「ステキなヤツら」になる。

監督がそれだけ「バート・マンロー」という人物に惚れ込んだのだ、という気持ちがひしひしと観客に伝わるんですよ。
「バート・マンロー」という人物が、飄々とした、カラリと明るく、一途で一生懸命で、真っ直ぐで愛嬌があって、彼と1度でも接した人なら彼を愛さずにはいられない、憎み切れないステキなオヤジ・・・そんな風に描かれていた。

ぴよはこういう映画が大好き♪
監督の思いの深さが真っ直ぐ伝わってくる話。愛し尊敬する人を描くのに、そこに悪人はいらない。
誰もが優しい気持ちになれて、誰もがその人を愛さずにはいられない。本人の努力が報われて誰もが幸せになれる話。
そこに悪意はない。そこにあるのは善意と優しい気持ちと応援したくなるような努力と、そして溢れる愛。

だから、この映画中に登場するエピソードの中でいくつが事実でいくつが捏造か?なんて関係ない。
「バート・マンロー」という人物に、観客がどれだけ惚れ込めるか、どれだけ監督の思い入れが伝わるか、だけが必要。
そして本作は、その両方が観客に伝わる秀作だったと思います。
更にキャスティングも実に良かった。サー・アンソニー・ホプキンスは何故か気難しいシリアスな役柄が多いけど、本作のような老境に入って頑張る「愛すべきオヤジ」というキャラがここまで似合うとは嬉しい誤算でした。

正直言って、地味で一般ウケしない手合いの作品だろうと思います。
美男美女が登場する訳でもなく、アクションもなければ金の掛かった作りでもない。
それでも本作が訴える力に何の衰えもありません。これは「見た人勝ち」ですよ!是非時間作って見てやって下さい!







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2007年01月28日(日) どろろ

監督:塩田明彦
出演:妻夫木聡
    柴咲コウ
    中井貴一、他
おすすめ度:☆☆☆


【あらすじ】
賢帝歴3048年、東の果てにある国。戦乱の世で国は荒れる中、武将・醍醐景光は国を我が力で統一し治める事を望み、我が子の体48ヶ所を魔物に差し出す代わりに力を得るという約束をする。かくして48ヶ所を魔物に取られた子は川に流され、それをたまたま拾った男の術によって仮の体を得て「百鬼丸」と名乗るようになった。20年後、魔物を倒して我が体を取り戻す旅を続ける百鬼丸は、ケチな盗賊「どろろ」と出会う。


【感想】
手塚治氏の名作コミック「どろろ」を映画化。
既にアニメ化もされていて、ご覧になった記憶がある方も多いでしょう。ぴよはアニメを見た記憶はないけど、兄貴が原作のコミックを持っていたので子供の頃に読んだ・・・ハズ。実はほとんど内容なんて覚えちゃーいなかった(苦笑)

で、映画を見ていて「結構原作に忠実なんじゃないか?」という気はしたんですよ。
気がするだけね。実際はワカリマセンよ。何しろ小学生の頃に読んだっきりですもん。ほとんど忘れてるって(^-^;

まあ、とりあえずぴよは妻夫木クン目当てで言ったので満足ですよ♪
彼って舞台挨拶なんかでトークさせるととてつもなくおバカっぽいんだけど(コラ)、少なくとも目で見て充分婦女子を楽しませてくれる可愛い風貌だし、それに若手役者さんの中では結構演技も上手だと思うんだけどな。
雰囲気あるし「売れる役者」さんが持ってる独特のオーラを感じますよ。

それにしても・・・柴咲コウちゃんの「どろろ」、これはいいんですか?
ぴよが元々柴咲コウちゃんが嫌いだからってのを差し引いても、コミックのどろろとは余りに違い過ぎる。
実はコミックのラストを覚えてなくて、コミック(アニメ版も)では最後の最後に「どろろは実は女だった」という種明かしがあるそうなんですが、少なくとも本作のどろろは最初っから誰がどう見ても「乱暴なおねーちゃん」にしか見えない。

ぴよが記憶している「どろろ」の風貌は明らかに「少年」だった。少なくとも「青年」でもない。
妻夫木クンだけでは観客が呼べないから「人気女優さんにやっていただこう」という趣旨かもしれないけど、だったらせめてもう少し小柄で「少年に見えない事もない」程度の風貌の女優さんを起用しても良かったんじゃないだろうか?
いくら少年ぽさを出そうと苦労しても、あのキンキンの高音でまくしたてられたら違和感はぬぐえない。結構頑張って演技はしていたと評価はしますが、柴咲コウちゃんの見た目と「どろろ」のイメージがぴよには余りにギャップがあり過ぎた。

それから魔物のCGや着ぐるみが・・・ショボ過ぎるって。いくら何でも(苦笑)
ワイヤーアクション等は結構気合入ってて楽しませてもらいましたが、いくら何でもこの魔物はヒド過ぎるわよ。

散々吠えてますけど、内容自体はなかなか良かった。
戦乱の世で荒む人の心の浅ましさ、それから孤児のくだりはとても良く描けてたと思いますね。
それにしてもどうして長男や妻に対しては情け容赦なかった醍醐景光が、次男には急に「父ゴコロ」を発揮してしまうのかがよく判らなかったんだけど・・・これは「天下統一しても跡取りがいないとシャレになんねーしな」というだけなのかしら?そうでもなさそうに見えただけに、もう少し次男と景光の関係を見せてくれればいいのにな、とは思いましたが。

まあ、「邦画にしてはなかなか面白いエンターテイメントになってたんじゃないの?」程度のクオリティは維持していたんじゃないかと思いますよ。あの魔物のCGと着ぐるみをもうちょっとどうにかしてくれれば、他のアジア各国に出しても恥ずかしくないレベルだと思いましたね。

結局、原作が素晴らしかった・・・という事なんだろうと思いますよ。手塚氏はやっぱり天才だったんだなぁ〜







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2007年01月25日(木) 墨攻

監督:ジェイコブ・チャン
出演:アンディ・ラウ
    アン・ソンギ
    ワン・チーウェン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
紀元前370年頃の中国。趙と燕の国境にあった梁城は危機に瀕していた。燕に侵攻しようという趙が、手始めに梁城を陥落させるべく軍隊を差し向けていたのだ。趙の10万の軍隊に対し梁城の住人はわずか4千人。いよいよ降伏かという所に頼みの綱の「墨家」よりたった1人「革離」がやって来た。10万の軍勢を相手に革離1人が立ち向かうのだが・・・


【感想】
小学館ビッグコミックで連載され、アジアでも高い評価を受けている同名タイトルコミックの映画化。
これを日・中・香港・韓の3カ国4地域が寄り集まって製作したそうだ。ここ数年日本+中韓の合作映画が多く作られるようになっていると思うのは錯覚ではあるまい。ちなみに原作のコミック(小説もあるそうだ)は小説と併せて未読。

正直言って、予告編見た段階では「映像は壮大っぽいけどダメ臭いなぁ。コレは」と思っていたのですが、予想以上に良く出来た作品だったな、という感じがしましたね。
ま、ぴよはアンディ・ラウが好きなのでかなり贔屓目に見てるかもしれません。アンディ・ラウも随分お歳をお召しになられましたよね・・・でも歳は取っても尚ステキ!ホントにカッコイイわぁ〜♪

「墨家」というのは歴史上実在した思想集団だったそうで(恥ずかしながら知りませんでした)、墨家の10の教えの中でも特に特徴的な2つの教え「兼愛」と「非攻」を映画中では取り上げています。
ちなみに「兼愛」とは「自分を愛するように他者も愛せよ」という事、「非攻」とは「侵略・併合は人類の罪。侵略戦争の否定」を意味しているそうです。

役者の演技もなかなかいいし(でもヒロインのあの甲高い声は何とかならんだろうか?)展開もテンポが良くてダレないし映像もなかなかよく出来てる。音楽も映像にマッチしていて壮大な感じ♪

しかーし!←また難癖攻撃か?あぁ?
中韓の方には墨家の思想と歴史というのは折込済みの常識なんですか?それとも知らなかったぴよが問題外なのか?
映画中で「墨家」の歴史背景・思想背景がほとんど何も語られずにいきなり革離が登場して、あれよあれよと言う間に梁城の指揮官に納まって次々と攻防戦を繰り広げて行ってしまうので、肝心の「墨家の思想」部分にまるで説得力がないと言うのか、正直言って「よく判らない」と言うのか。作品の核が「墨家の思想」に絡んでいるだけに、コレは痛い。

まあそうは言っても、映画見ていて最後までさっぱり判らないという訳ではないから問題はないのかもしれないけど、それにしてももう少し映画冒頭で墨家についての歴史・思想背景を説明してくれない事には、革離の取った作戦がいかに優れているのか、いかに奇抜で卓越した作戦なのかというのが観客に伝わり難いと思う。
そもそもどうして墨家は梁城の援護要請を受け入れなかったのか?という説明も一切ないので、革離が何故親方の決定に不服で単身梁城を守りにやって来たのか?という理由すら判らない。判らない事だらけ(苦笑)

ま、でも・・・戦争の無意味さ、人間の愚行・浅ましさ、因果応報、等の普遍テーマに関しては誰が見ても理解出来るようにきちんと作られていますし、単純に「中国の壮大な歴史戦争映画(反戦モノ)」としてはなかなか良く出来た作品なんじゃないかなー?と思いましたね。
人がジャンジャン死ぬので、映像的に婦女子はちょっと苦手な部類に入るかもしれませんが・・・

でもさー、最近この手の「中韓壮大歴史ドラマ」にちょっと飽きてませんか?<日本の映画ファン
「なかなかいいけど、すっごくいい程でもないかな?」程度の作品では、日本で大ヒットは難しいかもしれませんね(涙)







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2007年01月22日(月) 悪夢探偵

監督:塚本晋也
出演:松田龍平
    hitomi
    安藤政信、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
ある日、少女と中年男性の惨殺死体がそれぞれの自室で相次いで発見された。事件を担当するエリート刑事・霧島慶子と部下の若宮は、2人が共に殺害される直前「0」と表示される謎の人物と携帯で話していた事、そして事件の鍵を握るのが「夢」らしいと突き止めた。霧島は「他人の悪夢に入り込める」という特殊能力を持つ「悪魔探偵」と呼ばれている男・影沼京一を突き止めて、事件捜査の協力を仰ぐのだが・・・


【感想】
塚本監督の最新作・・・実は塚本氏の作品は余り得意じゃない(好みじゃない)んだが、意外に見てるんだな。
何でも塚本氏、以前から探偵モノが撮りたかったそうです。念願叶って良かったですね♪しかも本作は既にシリーズ化も決定しているらしいという噂?意欲満々ですねぇ〜

実は本作、タイトルと松田龍平君が出演しているという事だけに惹かれて、何の予備知識もなく鑑賞したのですよ。だから本作が塚本作品だと全く知らなかった。
映画が始まってしばらく映像やカメラワーク、独特の色調を見ていて「なぁんか塚本監督作品っぽいなぁ。この映画撮った監督さん、多分相当塚本氏にインスパイアされてるタイプねー」なんて思いながら見ていた訳です。
塚本氏ご本人が登場したのでようやく塚本作品だと気付いた・・・アホですね。えぇ。全くのアホです。

塚本氏の作品にしては、そこそこ一般ウケするんじゃないか?ってのが正直な感想ですね。
役者さんも松田龍平君や人気アーティストのhitomiちゃん等を起用してるし、探偵モノとして一応体を為していたんじゃなかろうか?とは思うんですよ。

ま、でもそこは流石の塚本ワールド。←ココ、ファンの方には誉めドコロらしい?ですから!
明瞭簡潔な探偵サスペンスという訳には参りません。そもそもかーなーりー映像がグロい。これは予想外。
そして途中までは「割と真っ当なサスペンスっぽい」空気を醸し出しているものの、中盤以降はやっぱり塚本映画らしい謎の空気感に包まれて「ああ。やっぱり塚本映画なのだなぁ」という不可思議で滑稽な世界観になったな、という感じか。

松田龍平君の「悪夢探偵」っぷり、キャラクターはかなり面白かったしハマってましたね。
でもhitomi嬢はどうなんだろう?コレ・・・本作で役者デビューらしいのであんまりいじめちゃダメだろうけど、ずーっと溜息交じりっぽい息の抜けた喋り方が気になって仕方なかったんだけど。もしかして監督からわざと息が抜けるような喋り方をして下さいって頼まれて、わざわざああいう喋り方をしてたという事なのかしら?

映画冒頭、悪夢探偵とは何ぞや?という説明の為だろう、原田芳雄サンの悪夢に入り込むシーンがあるんだけど、肝心の話の本筋の事件云々よりもコッチのネタを膨らませて見せて欲しいかも・・・という感じがしましたよ。
何も惨殺事件にムリヤリ引っ張って来なくても、コッチのネタの方が話の流れとして自然だと思うし、これ程エグい映像を何度も何度も見せられる事もなかっただろうと。

まあ、でもネ。
本作の一番オイシイ?部分はやっぱり「塚本氏ご本人登場」でしょうなぁ。
コレは気の毒がってやればいいのか、それとも素直に笑っちゃっていいのか、処置に困りましたヨ(苦笑)
少なくとも塚本信者は大喜びなんだろうなぁ・・・え?そーでもないの?(^-^;

塚本作品にしては、信者意外でも(ホラーファンなんて特に)結構楽しめるんじゃないかな?と思いますね。
しかーし!決して「これはオススメですよぉ〜♪」とまでは言いません。次回作は見るかどうか微妙な線ですなぁ。







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2007年01月18日(木) それでもボクはやってない

監督:周防正行
出演:加瀬 亮
    瀬戸朝香
    山本耕史、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
就職面接の為に朝の満員電車に乗り込んだ青年・金子徹平は、電車を降りた途端にある女子高生から「痴漢したでしょ」と訴えられて現行犯逮捕された。身に覚えのない徹平は警察署で容疑を否認し拘留され、更に検事にも無罪を主張し続けて結局起訴されてしまう。最初は孤立無援だった徹平だが、無実を信じる母や親友、更には徹平と同じく痴漢の冤罪を訴えている支援グループと知り合って、真実を求めて裁判に臨むのだったが・・・


【感想】
「Shall we ダンス?」以降、ファンに期待されながらもちぃーっともメガホンを撮らなかった周防監督が、11年振りにようやく手塩に掛けて送り出す新作。待ってましたよぅ〜!楽しみにしてましたよぅ〜!

アメリカと違って、日本はまだ「訴訟王国」とはとても呼べない国なので、自分が裁判の原告・被告になった人というのは少ないんじゃないかと思います。もちろんぴよもそのどちらに該当した事もありません。
しかしながら、昨今「セクハラ訴訟」「痴漢冤罪事件」等がニュースを賑わす回数も増えてきた日本。さて日本の裁判制度の実態というのは如何なものなんだろうか?と内心興味のある方も多いと思います。

そんな訳で本作は、痴漢冤罪を晴らそうという主人公の涙ぐましい努力と人間ドラマを見せるコメディ・・・ではなくて、かなりストイックにドキュメンタリータッチで「日本の裁判制度の仕組み」を教えてくれる「手引書エンターテイメント」という全く新しいジャンルの作品に仕上がっていたと思います。
本作の逮捕→裁判に到るまでの過程から結審・判決までの様子はかなり綿密に取材をして脚本を構築したそうで、今の日本の司法制度の闇を体験した事のない日本人に、実際はどうなのか?という部分を赤裸々に晒して考えさせてくれ、しかも説教臭くなく「エンターテイメント」として楽しめるように構築されている、非常に良質な作品でした。

映画は事件発覚から裁判の様子を第一回法廷から時系列に追っていくのですが、この手の法廷・司法モノが苦手な方には結構キツい上映時間だったのかもしれません(本作は邦画にしては長尺で2時間半弱あります)
でもぴよは全く上映時間の長さを感じませんでしたね。むしろあっと言う間に結審まで行ってしまったという感じ。
法廷内・外の人間ドラマや、警察・検察庁や裁判官や弁護士等の司法に携わるそれぞれの立場の人間の実情をうまく盛り込ませて見せてくれる事で、より日本の裁判制度の「?」を判り易く観客に伝えていたと思います。

役者のチョイスも良かったですね。
先日見た「愛ルケ」の検事役をやったハセキョーに脱力していたので(苦笑)、本作に登場する新人女弁護士を瀬戸朝香嬢が演じると知って軽く不安になったのですが、彼女はなかなかハマっていたと思いますね。
加瀬亮クンの主人公キャラもリアリティがあって良かったし、徹平の友人を演じた山本耕史クンはもっと良かった。
でも一番のダークホースは、何と言っても登場した時は「ミスキャストなんちゃうん?」と思ったのに、最終的に呪いたくなる程ハマっていた・・・裁判の途中で変わった裁判官を演じた小日向文世サンですよ。

内容等、詳しい事はスクリーンで楽しんで欲しいので敢えてここには書きませんが、日本の司法の仕組みを学校で試験の為にちょこっと習った程度(という人が大半だろう)だという方に、是非「明日は我が身」だと思って鑑賞して欲しい・鑑賞するに値する作品だと思いますよ。

まだ年も改まったばかりなのに、いきなり「今年ベスト1か?」という作品に出会えてラッキーでした♪








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2007年01月17日(水) 幸せのちから

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス
    ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス
    タンディ・ニュートン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1981年サンフランシスコ。5歳になる息子の良き父親であるクリスは、自営で高額な骨密度測定器を医療機関に売り込むのを生業としていたが、サッパリ売れずに一家は家賃も払えない状態になっていた。一攫千金を狙って証券会社の養成コースを受講しようと決意するものの、養成期間の半年間は無給で、更に20人の受講者の中から半年後に本採用になるのはたった1人だと聞き思い悩む。そんな折、貧乏な生活に耐えられなくなった妻がクリスの元を去ってしまう。


【感想】
シカゴで優良企業を経営している実在する億万長者(←イマドキこんな言い方しないか?)クリス・ガードナー氏の半生を描いた作品。当然だけど実在する人物の半生なので実話からインスパイアされています。
更に日本でもファンの多いハリウッド大物俳優ウィル・スミスが実の息子と親子役で共演というのも話題の一作。

何でも製作者はたまたま見ていた番組で、人生の勝ち組筆頭株「クリス・ガードナー氏」が実はホームレス状態から今の地位を築いたのだという「アメリカン・ドリーム」を地で行く半生のドキュメンタリーを見て、「コレは絶対に映画ネタに最高!」とクリス氏に熱烈アプローチして映画化が実現したそうだ。
更に映画化の話を聞いたウィル・スミスは主演だけでなく製作者としても名を連ね、そして息子役は公正なオーディションをしたにも関わらず、たまたま製作者サイドの目に留まったのがウィルの実の息子だったという・・・テメーの息子が自分が出演する映画のオーディション受ける事知らないってどーなんだよ?って感じのツッコミどころ満載なネタな訳ですが。

意外な事に息子が可愛い♪
本物のパパが相手なんだから親子役としてしっくりハマって当然っちゃー当然なんですが、あくまでも台本のある映画の演技として評価しても息子クンはなかなかお上手だったと思いますね。
アパートを追い出されて地下鉄の駅で夜明かしする「タイムマシン」のシーン、あれは特に良かった。

もうね、ウィルの演技については特に文句はありませんよ。この方生粋の役者さんじゃない割りにお上手ですよね。
それに脇を固める役者も地味ながら芸達者を揃えていて違和感を感じませんし、1980年代という微妙な時代設定をかなり苦労して再現しているようです。街を走る車やキャラが着る衣装・小物等まで細部に渡りこだわりを感じさせてくれて、なかなか地味に金が掛かってます。

と、さっきから「地味」「地味」を連発しているので恐縮ですが、展開も非常に地味なんですよね。
冷静に考えると驚天動地のサクセス・ストーリーなんだけど、見せ方が余りに地味過ぎる。もっともっと煽ってドラマティックに演出したって良さそうなものなのに(普通のハリウッド映画なら絶対にそうするだろう)、この映画は敢えてなのか?ドラマティックな展開を放棄して、淡々と親子愛とクリス氏の遁走する姿を見せる事に終始している。

それが悪い訳ではないけど、どうしても「もう1つパンチが足りない」という印象を受けるのが惜しいんですよ。
いわゆる単館ロードショーにありがちな「地味な良作」という感じ。ハリウッドでなく東欧辺りの、日本では余り馴染みのない国が作って「本国では観客動員数の記録を更新した名作!」なんてキャッチコピーが付くような類。
「ウィル・スミス」というビッグネームを起用した割りに、想像以上に地味で肩透かしを食らった気分と言うのか。

でもね、確かに話はとてもいい。
コレがフィクションじゃなくて実話からインスパイアされている、しかも映画製作に辺りクリス氏ご本人がかなり入り込んで撮影や演出に影響を与えているという点を考えると、本当に驚異的なお話です。
映画のクライマックス、上司にクリスが呼び付けられるシーン以降は本当にジーンとしましたよ。

実際はこの映画よりもずっと地味な努力の積み重ねだったんでしょう。
深く結びついている父子関係だって、毎日ドラマティックなイベントに彩られている訳ではない事も重々承知してる。
でもやっぱり「ウィルの新作」だと期待して見たぴよには「ウソでいいからもっと華々しくやれよ」になっちゃう訳ですよ。







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2007年01月16日(火) 魂萌え!

監督:阪本順治
出演:風吹ジュン
    三田佳子
    豊川悦司、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
定年を迎えた夫と穏やかな生活を送っていた敏子だが、定年からわずか3年で夫が心臓麻痺で急死してしまう。茫然自失の敏子だったが、夫の死後人生がガラリと変わる。夫の携帯に電話して来た女は、何と夫と10年も不倫関係だったと告白。更にはアメリカに行ったきりだった長男が妻子を連れて日本に戻り、勝手に敏子と同居する話を進めようとする。そこへ長女も巻き込んで遺産相続の泥仕合になりそうな状態。次から次へと災難の降りかかる敏子だったが・・・


【感想】
2004年に毎日新聞で連載され、出版後はベストセラーとなった桐野夏生著の同名小説を映画化。
ぴよは新聞を取ってないし文庫化された本しか読まないし、桐野夏生さんの著書って「OUT」くらいしか読んだ事がないんですよね・・・という訳で本作も原作未読です。

ぴよも父親を65歳で亡くしているので、敏子の動揺する様子をママの当時の様子と重ね合わせて見ていました。
夫を喪った当初のアタフタした様子、一息ついて自分の今後に目を向けていくプロセス、山積みの問題の前でどうしようもなく途方に暮れてみたり、時にヒステリックになったりする様子等、とてもよく描けているなぁ〜と思いましたね。
・・・ただし、ぴよ家はパパの死後に「お宅のご主人と不倫関係だった」と申し出る女性はいませんでしたが(苦笑)

話は夫に急死されて支えを失って茫然自失になった、老境に差し掛かった女性が独り立ちして再生していく様子を見せるのが主題ですが、深刻になりそうなネタをコミカルに見せて観客を楽しませようと工夫されてます。
出演している役者も超豪華で、上記の役者以外にも加藤治子、常盤貴子、寺尾聰や、敏子の学生時代からの親友グループとして由紀さおり、藤田弓子、今陽子らが熱演。加藤治子サンなんてすっごく味のあるキャラだったし、トヨエツは先日鑑賞した「愛の流刑地」よりも本作の方がぴよは断然好みのキャラクターでしたね。

とてもいいお話なんだけど、まだぴよが敏子の年齢の女性の本当のトコロが理解出来ない年代だった事もあってか?展開のぬるさが余り肌に合わずに、やたら長い映画のような気がしました(実際は2時間程度の上映時間)
色んなエピソードがあって、それぞれでプッと笑わせるようなネタを仕込んでいて好感は持てるものの、どうもテンポが個人的に合わなかったと言うのか・・・こればかりは好みの問題ですしね。

でも敏子の学生時代の仲良しグループ、コレはいいなぁ〜と思いましたよ。
老境に差し掛かる年齢になって、お互いを支え合い励まし合える関係。時として(ってか、しょっちゅう?)相手の欠点をシビアに指摘してケンカになったり、でもケンカしてもお互い非は認めているからサクッと謝って元の鞘に収まってズブズブと仲良しグループを続けている辺り、この年齢まで何だかんだで仲良しでいられた事をリアルに感じさせてくれたし、結局お互い人生で必要不可欠な親友なんだろうなぁ〜と思わされましたね。

若いお嬢さんには余り面白くない話かもしれませんが、本当に大切な人を喪った事がある人なら、何かしら本作の敏子に同調出来る部分があるんじゃないか?という気がしましたね。
ぴよは余り好みのテンポではなかったので評価は低めにしてしまいましたが、とても興味深い内容でした。
こういう地味なテーマが邦画で取り上げられるのは、とてもいい事だと思いますね。







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2007年01月10日(水) ディパーテッド

監督:マーティン・スコッセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ
    マット・デイモン
    ジャック・ニコルソン
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ボストン南部の貧困街で育った2人の青年。犯罪にまみれた親族と決別し、自分の人生を切り開こうと警察官を目指すビリーと、幼い頃からマフィアのボス・コステロに育てられ、警察の内通者となるべく警察学校に入ったコリン。共に優秀な成績で学校を卒業した2人だったが、ビリーはマフィアの極秘潜入捜査官となって身分を偽ってコステロの手下になり、そしてコリンは自分のボス・コステロを撲滅するチームに配属されたのだった。


【感想】
2002年に公開され、日本でも大ブレイクした香港映画「インファナル・アフェア」のハリウッド・リメイク。
当時は「ブラピが出演する事が決定したらしい!」等の噂が飛び交ったものの、蓋を開ければスコッセッシ監督のお気に入り俳優ディカプリオとマット・デイモンという組み合わせになってました。
インファナル・アフェアは見てますが、コレ3部作でしたよね。1作目しか見てません。

基本的に「インファナル・アフェア」を地域や人種の設定を変えただけで、かなり忠実にリメイクしています。
・・・とエラソーな事をいきなり書きましたが、実は元ネタの内容をちょっと忘れ始めてました(苦笑)
でも本作を見て「ああー、そうそう。こんな話だったよねー」ってな感じですか。

多分元ネタファンには大ブーイングになりそうな予感なんですが、元ネタ自体にそれほど興味のなかったぴよには「まあそこそこ上手にリメイクしてるんじゃねーの?」って感じがしましたけどね。
アンディ・ラウとトニー・レオンの方が圧倒的にステキだけど(うふ)、ディカプリオとマット・デイモンも決してミソクソ言う程悪いとは思わない・・・いや、ディカプリオなんて「小デブのアイドル俳優」だとしか思ってなかったけど(コラ)随分しっかりした演技をするようになりましたよネ。

それに元ネタの時は「ケリー・チャンは全くいらねー」と思ったけど、本作の女医さんはそれなりに出番がある。
ディカプリオとムダにエッチする理由は今一つ判らないけど(マット・デイモンに何か秘密がある事でストレス感じてて勢いでヤっちゃったって感じなのか?)終盤のネタに持って行くストーリー・テラーの役割は一応果たしてるからOKかな?

でも何だろーなー。
前々から思ってるんだけど、スコセッシ監督って自己愛と言うか自分の作品に対する愛が深過ぎて、思い切りのいい演出や大胆なカットが出来ない人なんでしょうかね?
アレもコレもとエピソードをてんこ盛りにしてくれる気前のいい監督さんなんですが、どれもこれも見せまくるとムダに上映時間が延びるだけでダレますってば(苦笑)
ビリーが女医に「俺にもしもの事があったら開けてくれ」と言って封筒を渡すシーンがあるのですが、このネタなんて最後の最後まで完全に放置ですよ。結局種明かししないネタの前振りはきちんとカットして下さいよ。全くぅ〜

全体的に残虐シーンは丁寧に作っているものの、絵が丁寧なだけで緊張感が足らない。
ビリーとコリンの緊迫する心理状態を上手に見せているとは決して言えませんし、麻薬取引シーンの後が長過ぎる。
長過ぎると言うよりもほとんど蛇足の域ですな。ここまで何もかも見せなくてもいいですよ。ってかここまで見せちゃうと逆に余韻もクソもあったもんじゃないって感じですわ(苦笑)

結局ボロカス言ってるんですがー・・・でも「インファナル・アフェア」を見ていない人だったら、結構楽しめるんじゃないかなーと思うんですけどね。
役者の演技は決して悪くないし、「リメイクだ」という意識を捨ててこの作品単体で新しい気持ちで見れば、結構良く出来た作品なんじゃないかな?という気がするんですが。

それにしても・・・あの「オレンジの封筒」の中身が何だったのか、誰か教えて下さいよぅ〜!(^-^;







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2007年01月09日(火) 愛の流刑地

監督:鶴橋康夫
出演:豊川悦司
    寺島しのぶ
    長谷川京子、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
かつてベストセラー作家だったものの、何年も本が書けずにスランプに陥っていた村尾菊治は、京都に住む雑誌記者の紹介で村尾の大ファンだという冬香と出合った。冬香に惹かれた村尾は、その後冬香と連絡を取り逢瀬を重ねるようになった。既婚で3人の子持ちの冬香は村尾への愛と家庭の間で揺れ動き、やがて「私を愛しているなら殺して」と言うようになる。果たしてある花火大会の夜、村尾の部屋にやって来た冬香の懇願を聞いて殺害してしまう村尾だったが・・・


【感想】
日経紙上で連載されて、賛否両論の物議を醸したという渡辺淳一氏の同名タイトル小説の映画化。
・・・と言うと、かつて社会現象にもなった「失楽園」を思い出しますね。柳の下の二匹目のドジョウを狙ったのか?失楽園連載当時は日経を取っていたので毎朝読んでましたが、その後日経を取るのを止めたので本作の事は知りませんでした。勿論本も買ってないので原作は未読。

そもそも、昔は渡辺淳一氏の作品は必ず読んでいたものですが・・・もうすっかり飽きてしまったのだ(苦笑)
彼はデビュー当時は「元・医師」だった事もあり、医療関係のサスペンスや社会派小説を書いていたのですが、その後医療絡みの恋愛モノにシフトして、更に単なる不倫エロ小説に移行するに当たり、ぴよの興味は完全に失せた。
渡辺氏の小説に登場する女性が、余りに男性の妄想が激し過ぎて「こんなオンナいねーよ」と白けてしまうのだよ。

そんな訳で本作ですが、
やっぱりこんなオンナはイマドキ絶対にいませんね(きっぱり)
コレって現代の話だよね?携帯でメールとかしてるし「平成17年8月1日」に冬香は殺害されている訳ですし(笑)
それにしても平成17年に32歳だか33歳の3人の子持ちオンナにしては、余りにウェット過ぎるし言葉遣いも有り得ないくらい情緒めいて美し過ぎるし、いくら何でもこんなオンナは見つけようったってーなかなか見つかるもんでもあるまいて。
・・・富山県出身者の女性はコレがスタンダードですか?だとしたら、世の男性は富山美人を嫁にするべきですな。

元々この手のジャンルはホラーよりも苦手なので、全然入り込めなくて困っちゃいました。
映画冒頭からかなり濃厚なエロシーンが炸裂するのですが、流石脱ぎっぷりのいい寺島しのぶ嬢!その後も映画の中で延々と脱いではセックスし、セックスしてはあえぎ、内容が何だったか忘れるくらいヤってヤってヤリまくっています。

基本的に男性作家が書いた小説だし、本作も男性の視点で描かれているので、冬香の心情が非常に判り難い。
でも普通なら、例え男性視点で男性作家が書いた作品とは言え、見ているぴよは女性なんですから、2人のエロいシーンを見ながら冬香の心情に何か共感せねばいけないハズ。
ところが冬香が「ああ、もう死んでもいいくらい幸せ♪」と言っていてもさーっぱり訳が判らないってのは?
それって「死んでもいいくらい好き」になった人がぴよにはいないからなのか?それともネット上で「小さなおっさん」と呼ばれているぴよの、正に「おっさんスピリッツ」が冬香に同調出来なかっただけなのか?

それからハセキョーの検事役って、アレはどうなんでしょう?
ムダにエロい服装でネットリ喋ってるんだけど、検事らしい知性を全く感じません。自分も上司と不倫しているので冬香に何となく同調しているらしいのですが、もし自分が犯罪を犯して担当検事がこんなキャバ嬢のようなおねーさんだったら、明らかにハズレクジを引いたのだとガックリ肩が落ちると思いますよ。

この映画の面白いのは、ラスト数秒の冬香の手紙部分くらいでしょうか。
周囲で散々冬香の真意を憶測しているのですが、最後で冬香自身が種明かしをしてくれます。コレが何とも自己中の極みと言うか何と言うか・・・こんなオンナに惚れた俺は甘んじてこの人生を受け入れるしかないのだー!と開き直るのか、それともこの映画の主人公のように達観出来る程オンナに思い入れが出来れば「男冥利に尽きる」と思えるのか。

そのどちらでもないぴよには「エロいシーンがいっぱい見れたし、たまにゃーアダルト映画もいいな♪」程度か。←をい
この映画は男性・女性のどちらにウケるんでしょうか?少なくとも「失楽園」にすらハマれなかったぴよは負け組です。






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2007年01月02日(火) 武士の一分

監督:山田洋次
出演:木村拓哉
    檀れい
    笹野高史、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
三村新之丞は30石の下級武士。城にお勤めとは言え「お毒見役」という仕事に嫌気がさして妻に愚痴を言うものの、美しく慎ましい妻「加世」と父の代から三村家に仕える「徳平」の3人で貧しいながらも幸せに暮らしていた。ところが毒見で食べた貝毒に当たって新之丞が失明してしまう。一時は自殺を考えた新之丞だったが、加世の為に思い留まった。しかし番頭の島田と加世が密通しているという噂を聞いた新之丞は徳平に加世を尾行させ、密通が事実だと知ってしまうのだ。


【感想】
藤沢周平原作・山田洋次監督のコラボレーション時代劇企画第三弾。
前作の「隠し剣・鬼の爪」は見たけど一番評判の良かった「たそがれ清兵衛」は見てない。そして三部作のラストがアイドル俳優キムタクが主演と聞いて、実はさっぱり見る気がなかったんだけど・・・たまたま映画館に行ったらこの映画しか見るものがなかったのだな(苦笑)

そんな訳で、巷でイヤという程語られている「何を演じてもキムタクはキムタク」なんですが、
確かに映画冒頭のキムタクの様子を見て「全然武士っぽくないし。てかやっぱりキムタクだし」とは思ったものの、話が進んできて失明した以降はグッと良くなりましたね。結果的にはなかなかいいキャスティングだったんじゃないでしょうか?
でも個人的にはキムタクよりも加世を演じた檀れい嬢が当たり役でしたねー。彼女、本当に愛らしくて美しい!

話の筋は簡単に言えば「妻を手篭めにされた男の復讐劇」なんですが、コレは復讐劇が主題ではなく、あくまでも貧しくもつつましく、そして心の奥底でしっかりと結ばれた麗しい夫婦愛を描いたホームドラマというヤツですね。

だからなのか?盲目になってから島田を討つ為に特訓するシーンやクライマックスの決闘シーンが、かなりおざなりな展開のような気がする・・・もう少し時間を割いて島田への恨みを募らせて剣術に精進する様子を見せるか、それとも決闘シーンをもう少し丁寧に描いてくれないと、島田が免許皆伝の剣豪だというフレコミにまるで説得力が出ない。
とにかく島田があまりにあっけなくやられてしまうので「コレで免許皆伝かよ。マジで?」と唖然としてしまう。
ま、夫婦愛が主題なんだから剣術シーンにアレコレ言うのはお門違いなんですけどね。判ってますよ。えぇ(苦笑)

でも「夫婦愛」自体はとても丁寧に描かれていたと思いますね。
新之丞・加世の夫婦に徳平が絡む事で、ちょっとコミカルで心がほっこりするホームドラマとしてうまく成立してます。
それから新之丞が盲目になるという設定を生かす為なのか?季節を感じさせる音や色(虫の声や舞い散る落ち葉等)を丁寧に効果的に挿入させている点はとても好感が持てます。

個人的には盲目になった新之丞が「そろそろ蛍が出る頃だけど」と加世に語り、縁側から蛍がチラホラと光を明滅させる様子を目にしながら加世が「まだ出ていません」と答えるシーンにはジーンと来ました。
季節の彩りを語る何気ない会話の中で、夫の気持ちを慮る夫婦愛の深さを見せる技は、流石に人間模様を撮る事に長けた山田監督の真骨頂を感じさせずにはいられませんでしたね。

そんな訳で、穏やかで麗しい夫婦愛の情景を描いている作品なので、全体的にぬるくてメリハリには欠ける気はする。
「時代物」で「復讐劇」だと思って見に行くと、かなりの確立で肩透かしを食らう感じ。ただ、期待していた部分が肩透かしだったとしても「夫婦愛」を見せるドラマなのだと割り切れれば、なかなかいい作品なんじゃないかなーと思います。

ま、でも個人的には「悪くはないけど、すっごく感動したという程でもないかな?」程度でした。
優しく温かい気持ちになれるいい終わり方なので、見て損はないですよ。邦画らしい優しい人間ドラマでしたね。







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2007年01月01日(月) ファイナル・デッドコースター

監督:ジェームズ・ウォン
出演:メリー・エリザベス・ウィンステッド
    ライアン・メリマン
    クリス・レムシュ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
高校卒業を控えたウェンディ達同級生は遊園地に遊びに来ていた。ジェットコースターに乗る直前、不吉な予知夢を見たウェンディが「このジェットコースターは落ちる!」と警告して数人が降りるものの、コースターに乗った人は予知夢通りの事故に遭い死んでしまった。ところが助かったハズの生徒も、後日コースターに乗った順番に不可解な死を遂げる。事故当日に撮影したデジカメ画像に死のヒントが隠されていると気付いた彼女と友人ケヴィンは遁走するが・・・


【感想】
あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします!
てな訳で新春第一弾は「ファイナル・デスティネーション」シリーズの第3弾。2作目に何故か「デッドコースター」という邦題を付けたので今更原題に戻す訳にも行かないと判断したのか?前作の前に「ファイナル」を付ける事で「一応このネタはこれでお終いネ」というアピールなんでしょうか?

1作目は見てないんだけど2作目の「デッドコースター」がかなり面白かったので期待していたんですが・・・いつの間に公開されていつの間に公開終了したんでしょうか?全然気付かない内にレンタルDVDになってましたよ(コラ)

このシリーズは3作通じて一貫したテーマ
「予知夢によって一旦は死を回避したものの、結局死ぬ運命というのは変えられない」
というネタを、設定を変えて見せているだけのシロモノです。
だからこのネタが好きで気に入ってる人なら間違いなく楽しめる仕様になっていると思います。

そうは言ってもネ、やっぱり設定や脚本や演出が変わればそれなりに評価も変わる。
少なくともぴよは前作の「デッドコースター」の方が段違いに面白いと思いましたね。どうやら調べてみると1作目と本作は同じ監督さんがメガホンを取ってて、2作目だけを別の監督さんが手掛けているみたいです。どうせなら2作目の監督さんが本作も撮った方が面白かったんじゃないの?って思っちゃいますわね(苦笑)

今回、映画冒頭からやたらとデジカメでパチパチ撮影するシーンが登場するから「何かあるな」とは思ったけど、思った通りこの時に撮影したデジカメ画像に写っている「死ぬリスト」の生徒の様子が、その後の死に様のヒントになっているという新しい設定を加えている。
要するにこのデジカメ画像を解析すれば死を回避する方法も見つかる訳で・・・と、なかなか面白くなりそうなネタを思い付いたまでは良かったのですが、どうも釈然としない。

死に方が強引過ぎると言うのか・・・何か「ドミノ倒し@ギネスに挑戦!」の大仕掛けみたいな展開が延々と続くのってどうなんでしょうかね?最初の1人2人程度なら笑って見れるんですが、ほぼ全員が「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなロジックの死に方されると流石に「もうええっちゅーねん」って気になりますよ。
あのホームセンターのくだりに「そこまでしつこくやったらあきまへんわ」と思った人、多いでしょ?(^-^;

前作の「観客をホッとさせて肩の力が抜けた瞬間に・・・」という展開、かなり好きだったんだけど、コレは前作と監督さんが変わったから使えなかったネタなのかな?ちょっぴり残念な気がしましたよ。
でも、映画冒頭のジェットコースターに乗る前までのくだりね、アレは結構面白かったですよ。別にまだ予知夢も見てる訳じゃないし何も起こってない、ただジェットコースターに乗るというだけの事なのに「ココ、絶対に何か起こりますから!めっちゃ怖いですから!」と音やカット割りで必死に「溜め」が入ってて笑いました。この演出、結構好きですね(笑)

エグい映像もあるにはあるんだけど、それ程怖いとは思いませんでしたね。
「死ぬな」と思った人が思った通りのタイミングで逝ってくれるので、特に心臓に悪い事もないです。
ペースメーカーの入ったジーチャンと一緒に、正月に実家でレンタルしてご家族・ご親族一同でお楽しみ下さい(笑)







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