ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年12月26日(火) 幸福な食卓

監督:小松隆志
出演:北乃きい
    勝地涼
    平岡祐太、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
3年前、真面目な教師だった父親が自殺未遂した事で佐和子の家族は一変した。母親は家を出て一人暮らしを始め、成績優秀だった兄は大学受験を辞めて農業を始めた。そして父は佐和子が中学3年になる始業式の朝「父さんは、父さんを辞めようと思う」と言い、仕事を辞めて大学を受験すると宣言した。そんな佐和子に転校生の大浦が近付いてきた。天真爛漫で男らしい大浦に次第に惹かれて、いつしか大浦と同じ高校を受験しようと頑張る佐和子だった。


【感想】
瀬尾まいこ著のベストセラー同名タイトル小説の映画化。またしても未読です。本もっと読まなくちゃな(涙)
主人公の佐和子役を「ミス・マガジン2005」のグランプリを受賞した北乃きい、爽やか青年・大浦を「亡国のイージス」等でめきめきと頭角を現してきた若手役者の勝地涼が演じています。

んー・・・何が「幸福な食卓」なんだか全然判らなかった。←またいきなり何を言うか(苦笑)

いや、最終的には「結構いい話じゃねーか」と思えるんですが、まず家族が何故崩壊しているのか?どうしてこの状況なのかという説明が凄く判り難いんですよ。特に母親が何故わざわざ近所に一人暮らししているのか全然判らなかった。
映画を見ていく内になんとなーく「ああ、こういう事かな?」とは判るんですが、それにしてももう少し心情面を見せてくれないと状況だけでは今一つ納得がいかない。

原作がどういう表現をしているのか判らないのですが、そもそも父親が自殺するまでの心が崩壊していく様子等が会話からは全く見えてこないので(父親の遺書を兄が読むシーンがありますが、アレでは何が何だか判らん)どうして今この家庭がこういう謎の状況で生活が成り立っているのか?という部分に説得力を感じなかった。

佐和子の中学3年4月〜高校1年の12月までの生活を淡々と見せるのが中心ですが、それに微妙に兄貴の恋人が絡んで来たり父とのやりとりや母との交流等を見せて、全体として「家庭の再生」を描いているモノと思われます。
・・・多分そうなんだろうと思います。←またいい加減な事書いてるし(苦笑)

それにしても佐和子を演じた北乃きいちゃん、ぴよは彼女を全く知りませんでしたが絶望的に大根だ・・・(苦笑)
そうは言ってもネ、確かに演技は大根なんですが何故か妙に惹かれる女の子です。すっごく地味な顔してるんだけど何か凄く雰囲気のいい女の子なので、彼女の顔がアップになると何か心がホッとします。
それより勝地涼クンだなぁ♪彼は全然中3や高1には見えないんだけど(をい)、恐ろしく爽やかで可愛いゾ!
スクリーン見ながら「ああ、こんな息子が欲しいわぁ♪」・・・恋人じゃなくて息子かよ<自分

すっごく爽やかなんだけど、大浦が「新聞配達を始めた」って言った次点で「まさか・・・なオチじゃねーよな?まさかこの21世紀にそこまでベタな展開はあるまいな?」と危惧していたのですが・・・まさかの大当たりでした(笑)
悪くはないけど「もう少しヒネろうよ」って思っちゃダメですか?しかもこの事件が佐和子家の再生のきっかけになっちゃうだなんて、そりゃー大浦クンは佐和子ファミリーの「人柱」ってヤツでしょうか?←コラ

ひねくれモノの腐った大人(←ぴよの事だな)は見ちゃダメなんでしょうなぁ(溜息)
でもね、今思春期の真っ只中という学生さんが見たら、何かグッと胸に迫るものがあるかもしれません。
もう少し心情面の掘り下げと見せ方が丁寧だったら一般ウケしそうな気はするんですが・・・悪い話じゃないですから、お暇があったら見てやって下さい。






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2006年12月21日(木) エコール

監督:ルシール・アザリロヴィック
出演:マリオン・コティヤール
    エレーヌ・ドゥ・フジュロール
    ゾエ・オークレール、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
棺に裸で横たわる6歳の少女イリスが目覚めると、そこには7歳から12歳までの少女が6人立っていた。ここは深い森の中にある寄宿学校で、5つの寄宿舎にそれぞれ1〜6年までの6名が寄宿している。学校は高い塀に囲まれて外界からシャットアウトされ、そこでダンスと生物を教えられるのだった。イリスは最年長のビアンカに懐くが、ビアンカは夜になるとどこかにいなくなってしまう。一体彼女は毎晩どこで何をしているのか・・・?


【感想】
19世紀の小説家フランク・ヴェデキント氏の著書「ミネ・ハハ(笑う水、の意)」の映画化。
この「ミネ・ハハ」はかつてホラー映画「サスペリア」の原作としても取り上げられているそうですが、ぴよはホラー映画が苦手なのでサスペリアは見ていません。・・・ってか、少なくとも本作はホラーではないんですが?サスペリアってどんな話なんでしょうか?ちょっと興味が湧いてきました。

とにかく訳の判らない話です。←またしてもいきなりコレだ(涙)
映画冒頭は延々と流れる水や階段、扉や地下道のような映像が切れ切れに映し出され、この単調な映像が後1分続いたら確実に熟睡してしまうぅ〜!と思ったギリギリのトコロで、今度は少女の裸のオンパレードですよ。
何だよこの映画はよぉー!幼女性愛者ご用達(ってか限定)作品なのかよぉぉー!!

と、ブチキレそうになった所でようやく話が動き出しました。
話はとある謎の寄宿学校にいる少女達の様子(1年間)を淡々と追っているのですが、最初は新入生イリスの視点。その次は4年生のアリスの視点。最後が6年生でもう直ぐ卒業のビアンカの視点という3部構成にして、この学校で暮らす少女達の成長の変遷?それぞれの年代の葛藤や思惑等を見せています。

とにかく不思議がいっぱいで、まず観客の興味を引くのが「夜になるとビアンカはどこに行って何をしているのか?」だろうと思うのですが、映画ではこのネタだけは種明かしをしています。
逆に言うと、このネタだけしか種明かししてくれないので、その他の疑問・・・例えばこの学校に寄宿している少女達はどこからどういう事情でやって来て、最終的にどこに行くのか?この学校の設立(運営)目的は何なのか?4年生から1人だけ選ばれて学校の外に連れ出される子供がいるのだが、彼女はどこに行ってしまうのか?教師達は何か訳アリらしいが、どういう事情を抱えているのか?等々の疑問には一切答えを出してくれません。

学校から逃げようとして溺れ死ぬ子もいるし、まんまと逃げちゃった子もいる(が、逃げた子のその後は判らない)
男性を一切遮断した世界で、少女達は少女達だけの独自の世界を作って、ある意味「平和」に生きている。
映像も耽美的でやたら少女の裸や下着姿を見せ付けてくれるんだけど、演じている子役のお嬢ちゃん達がみんな恐ろしい程愛らしい顔と美しくスラリと長い足をしているので、見て損はありません(こらこら)

でも見ていて物凄く精神的に不安定になると言うのか・・・えも言えぬ恐怖感に襲われるんですよ。
特にビアンカが学校を卒業した後のラストシーン、無邪気に噴水で水と戯れるビアンカの様子には、何か胸がざわざわするような言葉に出来ない不安感でいっぱいになりました。

何がそんなに自分を不安にさせるんだろう?と考えても答えが見つからない。
それは、この作品が様々なネタの答えをほとんど何も明らかにしてくれない事に起因しているのかもしれません。
明確な答えがないと納得が出来ない、と思う一方で「こういう作りだからこそこんなに不安感が襲うのか?」もしかしたら作り手の意図にハマってしまっているのかもしれない・・・という不思議な感覚に襲われる作品でした。

ま、ぴよがノータリンだから訳が判らなかっただけかもしれません(苦笑)
でも少なくとも「スッキリしないと気が済まない」というタイプの方には決してオススメはしませんよ。






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2006年12月20日(水) エラゴン 遺志を継ぐ者

監督:シュテフェン・ファンマイアー
出演:エド・スペリーアス 
    ジェレミー・アイアンズ
    ジョン・マルコヴィッチ、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
かつて平和だった帝国アラゲイシアは、ガルバトリックスが王になり圧制を布いた事で混乱を来たしていた。17歳の農家の息子エラゴン少年は、ある日森で青く光る不思議な石を見つけた。ところが石だと思っていたのはドラゴンの卵だったのだ。「サフィア」と名乗るドラゴンの子供を密かに育てたエラゴンは、やがて自分がかつてこの国を守っていたドラゴンライダーに選ばれたのだと知る。


【感想】
超大型ファンタジー3部作(というフレコミ)の「エラゴンシリーズ」第一作目。
何でも原作者リストファー・パオリーニ氏は、15歳で執筆し始めて17歳で本作を出版したという天才少年作家。
親御さんは息子の印税でさぞかしいい生活を送っている事でしょうなぁ・・・羨ましい。

さて、いきなり脱線しましたが本作。
まずですね、この映画見た中でもあるシリーズのファンの方だったら「これって・・・のパクリ?」と思う人は多いと思う。
貧しい農民の子(でも実の親子ではなく叔父に育てられている)がある日ドラゴンに出会う。旅のナビゲーターを従えて拉致られてる可愛いおねーちゃんを助けに行く・・・ん?ん?ん?
そうですよ。コレはぴよが大・大・大好き!「スター・ウォーズ」にかなり似た設定ですよ!!

気になったので原作者のプロフィールを調べてみましたが、1983年生まれのようです。1983年はスター・ウォーズのEP6に当たる「ジェダイの復讐」が公開になった年です。スター・ウォーズを見るにはちと若過ぎるな(苦笑)
しかしもーちょっと調べてみると、1997年にスター・ウォーズのEP4(正に今作に被るネタ)が「特別編」として劇場公開されている訳ですよ。すると1983年生まれの彼が14歳の時に公開された事になる。
そして本作の執筆が始まったのが15歳ってー事は?・・・と勘繰られても仕方がない?

ま、一旦スター・ウォーズの事は忘れて本作に戻りますが。
とりあえず楽しめますよ。エラゴンを演じたエド・スペリーアス君は予告編を見た時は「華のない主人公だなぁ」と思ったものですが、確かに華はないんだけど(をい)なかなか生意気で向こう見ずで自信過剰なトコロが鼻に付くクソガキです。
状況考えて動けばいいのに、ブロムとサフィアにまで諭されているのにまるで無視して独断行動。挙句にエラゴンのせいでブロムを犠牲にしてしまうというオチが付く。コイツのワガママには手が付けられません。

・・・ん?全然誉めてない。おかしいなぁ。面白かったのに(^-^;

原作ファンにはきっと物足らないんだろうと推察しますが、少なくとも原作を知らずに映画だけを見るなら充分楽しめるレベルは維持していると思いますね。
まず映像がとってもキレイ。ドラゴンの画像処理も凄く丁寧でスクリーンを見る限り違和感は感じませんし、クライマックスの戦闘シーンはかなり見応えがあったと思いますね。
それに新人君してはエド・スペリーアス君の演技力はなかなかのモノです。脇を固める役者も大物揃いで磐石だし、サフィアの声を担当しているレイチェル・ワイズもメスドラゴンの声としてイメージぴったりですよ。

とにかく行け行けドンドン☆で話が流れるように進んでいくので、3部作なのにこの先話のネタが持つのかちょっと心配になっちゃうくらいですが、少なくとも見ていてダレる感じはありませんでした。
やっぱりファンタジー物は映像技術あってのシロモノですねぇ。少なくとも映画館で見るべき作品ですよ。
ま、そんな訳で今回は人物と背景紹介、それから話の導入部分だから・・・と割り切れば納得出来る作りです。






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2006年12月18日(月) 大奥

監督:林徹
出演:仲間由紀恵
    井川遥
    西島秀俊、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
時は7代将軍・家継の時代。幼い家継の代わりに摂政として権勢を振るう側用人・間部詮房と大老の権力争い、そして先の将軍の正室・天英院と家継の生母で側室の月光院との女の争いで大奥は揺れていた。月光院と間部詮房を失墜させたい天英院と大老は手を組み、月光院が最も信頼を寄せ大奥御年寄に抜擢した絵島を罠にはめようと画策する。


【感想】
フジTVの大人気ドラマシリーズ「大奥」の映画化。
既に3クールもドラマ化されているそうですが、実は大奥は1度も見た事がありません。めちゃいけの「山奥」なら見た事があるんだけど、肝心の上様が芸能界から彗星のごとく消え去ってしまったし(←この表現は変だな。苦笑)、少なくとも映画版の大奥に関する情報というのはほとんど何もないも同然です。
予告編見て「あれ?どーして小池栄子が出てないの?」って言ってる段階でダメダメらしいです(薄涙)

本作はドラマ版とは関係がなさそう?
何でも大奥最大のスキャンダルとして実際に起こった事件「絵島(江島と表記するケースもある)生島事件」をベースに大奥の愛憎劇を豪華絢爛にお見せしようという主旨のようです。

天英院を演じる高島礼子さんのド迫力は正に「極道の妻たち」のアレですよ。予告編で「おなごはおなごを裏切るものにございますのえぇ〜。おーっほっほっほっほ!」という高笑いを聞いて背筋がゾーッとなった方も多いでしょう。
もう高島礼子サンに清楚で貞淑な妻の役は二度と来ないであろうと確信させてくれる名演技です(苦笑)

それにしてもですネ、話がぜーんぜん面白くなかった。←いきなり何を言うか
TVドラマ版の大奥は面白いんですか?ホント?少なくとも本作の映画版はTVドラマ版のファンの人じゃなくちゃ見ても面白くないんだろうなぁ〜と思いながら見てたんですけど。

ドラマ版がどうなのか判らないけど、少なくとも江戸時代の話って感じがまるでしないんですよ。
確かに衣装は豪華だしセリフはちょっと小難しい言い回しもしてますが、顔も所作も現代人のソレにしか見えないし、登場人物の感情の揺れを表情や演技で観客に伝え切れているとはとても言えない。
及川ミッチーの側用人役もなんだかなぁ〜って感じだし、対する大老を演じた岸谷ゴローさんも意地クソ悪い顔してほくそ笑んではいるんだけど、大老らしい威風堂々とした感じがまるでないんだもんな。いいとこ悪徳呉服屋の番頭程度にしか見えないんですけどねぇ(溜息)

そもそも月光院のキャラ、あれはもーちょっと何とかならないんでしょうか?
アレじゃーただのインラン女ですよ。男とちょっと会えないからって狂って床に伏せた挙句に我が子が見舞いに来ているというのに愛人の名前を連呼。仕方なく男がエッチしに夜這いしたらいきなり元気になるって、そんなバカインラン女に誰が本気で仕えたいと思うものか。
こんなバカ女を我が身を捨てても守ろうとする絵島がアホに見えるじゃないか(苦笑)

絵島の恋がメインの話だから月光院はどうでもいいのかもしれないけど、それにしても絵島の恋愛模様自体が判り難いし伝わり難くて感情移入が全く出来ない。
生島の方もかなり微妙な感じだし、杉田かおるに到っては突然嫉妬に狂って訳が判りませんでしたよ(溜息)

「踊る大捜査線」でウケたから使い回しなのか?「スリーアミーゴズ」の大奥版も用意して、もしかしてまたしてもスピンオフ企画を狙ってるのかもしれないけど・・・亀山プロデューサーも1度ウケたからって延々同じパターンやってると、いい加減に観客だってナメられてるって気付きますヨ。

そんな訳でぜんっぜん面白くなかった。
映画序盤の陰湿なイジメっぽい部分はまだ見られたけど、肝心の「絵島生島事件」に話が進んでいくにつれてどんどん面白くなくなっちゃう。純愛に感情移入が出来ない純愛メインの話じゃーお話になりません。
豪華絢爛なお着物と仲間由紀恵ちゃんはとってもキレイだったけどね・・・なんだかなぁ〜な映画でした(涙)








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2006年12月12日(火) 硫黄島からの手紙

監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙
    二宮和也
    伊原剛志、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
1944年6月、硫黄島に陸軍中将・栗林が赴任して来た。米国留学経験があり米軍の物資・組織力を熟知していた彼は、本土防衛の最後の砦となるこの島を死守すべく、島の到るところにトンネルを張り巡らせて地下要塞を築く事を命じた。体罰を禁止して「自決する事なく最後まで生き抜いて戦え」という斬新な方針の栗林の姿に、硫黄島での生活に絶望していた西郷ら下級兵士達は希望を見出すのだが・・・


【感想】
先日鑑賞した「父親達の星条旗」と対で製作されたクリント・イーストウッド監督最新作。
父親達の〜がアメリカ兵から見た硫黄島の戦いで、本作は日本兵から見た硫黄島。だからなのか?父親達〜を見ても正直ピンと来なかったんだけど、本作は日本人側の話なので身につまされるものがありました。

物語の大部分は硫黄島で戦った一兵士「西郷」の視点で語られて行くのですが、西郷を演じた二宮君がなかなか面白い役柄を演じていたと思いますね。

そもそも彼がぜーんぜん妻子持ちに見えない(笑)
西郷は何歳という設定なんでしょうか?よく判らないけど、いいとこ20〜22歳くらいにしか見えないんですわ。
彼のセリフもとてもじゃないけどあの時代の人間の言葉とは思えない。言ってる事も、イマドキの若者がもし戦場に連れて行かれたらきっとこんな風に言うんだろう・思うんだろうな、という感じだし、周囲が天皇陛下万歳を叫ぶ中で1人冷めた目で違和感を感じながら嫌々周囲に合わせて万歳してるといった様子。

コレがね、むしろ妙にリアリティを感じましたね。
ぴよがこれまで見聞きしていた「戦争時代の若者達」というのは、軍事教育バリバリで国の為に命を捨てるのは美徳だとどいつもこいつも本気で思ってるヤツらばっかりというイメージだったけど、実際そんな訳ないよね?
誰だって命は惜しいし、家族を守る為に戦場にいるのは百も承知でも「肝心のオレが死んじゃったら意味ないし」くらい思ってて当然だと思うし、守りたい人がいればいる程自分の命が惜しくなるのが人間の当たり前の感情だと思う。

戦場で自分の持ち場が守れなかったから自決するなんてナンセンスだ。
自決する事でムダに兵力を減らすくらいなら、その場を放棄して他のチームと合流して新たな戦力になった方がよっぽど合理的だし理に適っている。どうしてそんな簡単な足し算引き算が当時の日本軍には判らなかったんだろう?

この映画は「大和魂」という名の自決が、決して美徳ではないのだという事を映像で上手く見せていたと思う。
同時に「戦争」という名の「殺し」の大義名分には、正義もなければ勝ち負けもないという事も教えてくれる。
衛生兵を狙えという卑怯な戦術の日本を描けば、一方で投降して来た日本兵を保護せずに撃ち殺す米兵も描く。そして日本兵が愛する家族へ向けた手紙をナレーションする一方で、母親が戦地に赴いた米兵の我が子に当てた「生きて帰って来て欲しい」と切望する手紙も朗読する。

留学時代の思い出を回想する栗林(もし日本とアメリカが戦ったら・・・のくだり)や負傷した米兵を手厚く看護しながらロス時代の思い出話を嬉しそうに語って米兵に握手を求めるバロン西の様子に、胸がしめつけられそうになった。
本作では様々な所で語られている栗林やバロン西の英雄譚は何も語られないけど、戦争がいかに愚かで、そしてあの硫黄島の英雄達がどれだけ生きたかったか、負けを判っていても日本の為・本土に残った家族の為にそれでも戦わなければいけなかった彼らの切なさと悲痛な叫びが淡々と描かれていた。

ドラマティックな展開ではないけど、逆にメロウなドラマにしなかった分、より一層戦争の悲劇が際立っていたと思う。
父親達の〜には余り感じ入るモノはなかったけど、本作は日本人必見ですね。
決して反戦を声高に訴える作品ではありませんが、これだけの悲劇を見せ付けられてそれでも戦争をしたいと思う人はまず世の中にいないでしょう・・・イラクにいる米兵の皆さんも是非ご覧下さい!






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2006年12月06日(水) 名犬ラッシー(2005年・日本語吹替版)

監督:チャールズ・スターリッジ
出演:ジョナサン・メイソン
    ピーター・オトゥール
    サマンサ・モートン、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
ヨークシャーの小さな炭鉱の街で両親と暮らす9歳の少年「ジョー」の親友は、「ラッシー(お嬢さんの意)」という名の美しい毛並みのコリー犬だった。ところが炭鉱が閉鎖されて生活に困窮した両親は、ラッシーを裕福なラドリング公爵に勝手に売ってしまった。ラッシーは何度も公爵家から脱走してジョーの元に戻って来るが、公爵が800キロも離れたスコットランドへラッシーを連れて行ってしまい、遂に離れ離れになってしまうのだが・・・


【感想】
1940年に原作小説が発表され、43年に映画化。更に何度もTVドラマやアニメ化されて「世界で最も有名な犬」の1頭に数え上げられる「名犬ラッシー」を、新たに原作に忠実に映画化したもの。
この犬の名前を知らない人は珍しいと思う。流石のぴよも知っている。名前を知ってるだけでなく大体のあらすじもほとんどの人が知っていると思う。勿論ぴよも知っている。

先日、ラッシーと共に「世界で最も有名な犬」の双璧と呼ばれる「ベンジー」の最新作も鑑賞しましたが、今何故これらの名犬シリーズが新たに映画化されるのかよく判りません。そういうニーズが多いんでしょうか?

ベンジーシリーズと違い、こちらは王道中の王道。
新たに話を作る訳ではなくて、原作通りに忠実に再現しています。時代設定も原作当時のままなので、両親の一ヶ月の給金が5ポンドだとか7ポンドだとか言ってます。今の物価ならタバコ1箱って程度です。
もっともイギリスの物価は恐ろしく高いので、タバコ1箱が日本円で1000円くらいしますけどネ(苦笑)

こういう映画って感想の書きようがありません。
話が全て判っていて、昔何度も見ていて、今新たにと言われても・・・何の新鮮味もありませんもの。
何をどういじくり回しても「懐かしい」「犬が可愛い」「風景がキレイ」「時代考証が忠実でよく再現している」程度しか言う事がないんですよ。

当時の映像がどういう表現だったか記憶にありませんが、動物愛護団体の発言力が絶大になった現代に撮影すると、犬を虐待するシーンにはかなり神経を使っているようです。
犬を打ち据えるシーンは直接映像化する事を避けて「ムチを振るう人間」と「怯えて吠える犬」のシーンを交互に切り貼りする事で、「虐待シーンの撮影はしていますが、決して犬を本当に殴ったりしてはいませんよ」というアピールをしているように感じます。ご丁寧に映画の最後には「本作の撮影で犬に虐待は行っていない」という注釈まで入ります。

ぴよは犬・猫大好きですが、こういう注釈が入るのって何だか白けますね。
いっそ「CG使ってでもいいから犬に直接ムチが入ってる映像くらい出せよ」くらい思っちゃう。鬼ですか?(^-^;
ま、最近は虐待シーン等の規制がうるさいから、犬殴っただけで「R-15指定」食らいそうですしね。完全子供向け映画なのにR指定になったんじゃーシャレにもならないわネ(逆にコレでR指定になったら面白いネタになりそうな気がしますが)

個人的には「悲劇の帰還劇」にしちゃった方が泣けたのになー・・・と思ってみたり。
学校前で倒れたシーンで映画が終わっていれば、映画館内は号泣の嵐間違いなしだなぁ〜、と思って見てました。
本作は原作に忠実だという事なので、原作もこのラストシーンと同じだという事でしょうか。全てが丸く収まる場所に収まっているので文句の垂れようもありませんが、大人が今更見ても特に感動はありません。

・・・何だか、王道の「いい話」映画を見てるのに、随分感想がひねくれちゃいました。
子供が見て感動する映画を汚れた大人が見てはいけないという事でしょう。「もうひとヒネリしろよ」と、つい考えてしまうような世間擦れした大人は門前払い確定の作品です。良い子の皆さん、是非鑑賞して下さい。







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2006年12月01日(金) 007/カジノ・ロワイヤル

監督:マーティン・キャンベル
出演:ダニエル・クレイグ
    エヴァ・グリーン
    マッツ・ミケルセン、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
暗殺ミッションを2度こなしたジェームズ・ボンドはようやく「00(ダブルオー)」に昇格した。ボンドの最初の任務はテロリストの資金源となっている“死の商人”ル・シッフルの存在を突き止めて、彼の資金を絶つ事。ル・シッフルの株価操作の阻止に成功し追い詰めたボンドは、高額掛金のポーカーで資金を稼ごうとするル・シッフルと勝負するためモンテネグロに向かう。そこへポーカーの掛け金の国家予算1500万ドルを携えてボンドの監視役として美女ヴェスパーが現れた。


【感想】
007シリーズも本作で21作目になったそーだ。
そして21作目にしてようやく原作の1作目「カジノ・ロワイヤル」に手を付けた。と言うのも、何故か007シリーズの中でもこのカジノ・ロワイヤルだけが映画化権が他社に買われていたらしいです。既に1967年に映画化もされてます。
が、67年製作の同名タイトル作品は「トンデモB級パロディ」として作られたらしい。ある意味コチラも興味あるな(笑)

本作からジェームズ・ボンド役がダニエル・クレイグにバトンタッチした事で、随分話題になりましたよね。
「全然ボンドのイメージと違う」「華がない」「ブサメン(←ココまで言ってねーよ。苦笑)」等と散々な叩かれようで、何ともお気の毒な製作スタートを切ったダニエル・クレイグ氏でしたが・・・実はぴよもダニエル・クレイグがボンドを演じるのは余りにムリがあるだろう、こりゃーダメ臭いな、と思っていました。

ところがどっこい!
映画冒頭、マダガスカルの工事現場でテロリストを追う、あの緊迫したシーン!スゴイ!これはスゴイ!!
誰だよ、ダニエル・クレイグはアクションが全然出来ないなんて噂流したヤツは!カッコ良過ぎるよ!
体がすげー美しい。キレがある。コクがある。←コーヒーじゃないんだから(苦笑)

本作が上手いと思ったのは、設定を現代にしている事。
全てリセットして今から新たに007シリーズを始める、という趣向にした事が成功の鍵を握っていたように思います。そうする事によってダニエル・クレイグがボンドを演じていても「時代設定も現代になってるし、新しいボンドって事でコレもありか!」と観客を納得させられるんじゃないでしょうか?←ってか勝手に納得した!

勿論旧作からの007シリーズに思い入れのある方にはダニエル・クレイグは絶対に受け入れられないだろうけどネ。
だからダニエル・クレイグのボンドを受け入れられるか・られないかで評価が分かれそうな気はします。でもこれだけの人気シリーズの過去を捨て去るのはとても勇気のいる決断だったと思う。この英断を評価したいですね。

だから新しく生まれ変わったボンドはパーフェクトでスマートな紳士ではない。
走って走って走り回り、ダブルオーに昇格した事でちょっと気負って自信過剰気味な未熟さがある。女性をサラリと落とすような手練手管にはまだ余り長けておらずに、時々女性に嫌味の1つもチクリと言ってしまう。失敗もする。
でもそんな荒削りな部分が妙に人間臭くて魅力がある。

緊迫するポーカーのシーンも見所満載だし、アクションと心理ゲームを組ませて観客の目を飽きさせない工夫にも長けていて脚本も非常に良く練れていたと思いますよ。それに・・・拷問シーンなんて萌えたわネ♪(笑)

毎回話題になる「ボンドカー」が今作非常に地味だったので「ありゃ?」って感じだったのですが・・・
そもそも今までのボンドカーが有り得ない仕様ばっかりだった訳だし、その他のスパイグッズも喜べばいいのか笑えばいいのかよく判らない仕様のモノばかりだったんだからー(苦笑)
要するに、本作はとことんリアル感を出して本来の「スパイ物」として原点回帰したという事でしょう。

それにね、何と言ってもラストシーンのカットの切り方がっ!
「My name is…」で、あの終わりですよ。もうあのカット割りにはシビれましたよぅっ!カッコ良過ぎるぅーっ!!

既に次回作もダニエル・クレイグがボンド続投で決定しているそうですネ!楽しみなシリーズになったぞー♪









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