ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年11月25日(土) レッド・オクトーバーを追え!

監督:ジョン・マクティアナン
出演:ショーン・コネリー
    アレック・ボールドウィン
    スコット・グレン、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
ソビエト最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーの艦長ラミウスは、ある決意を胸に艦を出航させた。ラミウスは軍部の命令書を密かに破棄し、この艦の特殊なある機能を駆使してソ連軍にも知られずに忽然と姿を消したのだ。同じ頃、CIAのアナリスト「ジャック・ライアン」はレッド・オクトーバーの写真を見ながらこの艦の謎の解明に遁走していた。レッド・オクトーバーの不審な動きが次々報告される中、ライアンはラミウスの真意についてある仮説を立てるのだったが・・・


【感想】
関空−ミラノ間の機内上映の第3弾。
何故か古い作品をやってました。1990年公開になった「ジャック・ライアンシリーズ」の1作目です。
実は本作を見ていませんでした。もしかしたらTV放映で見たかもしれないけどさっぱり記憶にない。本シリーズの2作目以降の作品は全て見ているのに、どうして一番最初の作品を見落としていたのか・・・ま、今回見れてラッキーでしたネ。

話は、ある最新特殊機能を搭載した潜水艦の行方、ラミウス艦長の心理戦、ジャック・ライアンの叡智、米ソの緊張状態等を盛り込みつつ政治的背景を駆使して見せる軍事サスペンス。

本シリーズは、ハリソンおじさんがジャック・ライアンを演じた「パトリオット・ゲーム」からしか見ていなかったので、ぴよの中でジャック・ライアンと言ったら「=ハリソン・フォード」という記号が出来上がっていた訳です。
だから映画冒頭でアレック・ボールドウィン演じるジャック・ライアンが登場して来た時には激しい違和感があった。
「何だか弱っちくて頼り甲斐のないジャック・ライアンだよなぁ〜」てな感じですか。

コレは間違いですね。
本来「ジャック・ライアン」ってのは正義のスーパーヒーローじゃなくてCIAのアナリスト。
肉弾戦で敵をバッタバッタとなぎ倒すのがお仕事じゃなくて、様々なデータを比較分析する頭脳派デスクワークが彼のお仕事な訳ですし、娘は可愛い盛りで「娘・激LOVE」なマイホーム・パパという設定。
アレック・ボールドウィンの方が明らかにジャック・ライアンのキャラクターにハマる役者さんです。むしろ今までイメージぴったりだと思い込んできたハリソン・フォードの方が実はキャラが違ってたんですね。

このシリーズの原作を全く読んでないので、映画だけではちと人物相関図が掴み難い。
どうやらラミウス艦長の独断には奥様の死が何か大きな影響を与えているっぽい?のですが、そこら辺りの心理描写等がほとんど描かれておらず、かなりストイックな丁々発止に終始しています。
人物関係が見え難いのは確かに難点ですが、少なくとも話の筋が判らない程の混乱はありません・・・が、もう少し心理面の掘り下げを見せてくれればラミウス艦長に思い入れが出来たかも?と思うとちょっと勿体無い気がしましたね。

そうは言っても本作を「名作だ」と多くの人が絶賛するのはよく判ります。
今だったらこれくらいの映像は当たり前?もっと簡単に作れるんじゃないか?と思いますが、少なくとも1990年に製作したと思えないくらい本作の映像には迫力がありました。
潜水艦内の様子、ヘリから潜水艦に乗り移るシーン、追尾魚雷から逃げる緊迫したシーン、どれを取っても2006年の現代に作られた新作だと言われても納得出来てしまえる程の素晴らしいカメラワークと絵作りでした。

サスペンスとしても秀逸でしたね。ソ連艦とアメリカ艦の双方に挟まれた状態でどうやってレッド・オクトーバーから艦員を無事に脱出させるのか、そしてどうやって彼らは本来の目的を達成させるのか・・・見ててもどうなるかさっぱり予想も付きませんでしたよ。コレは原作が素晴らしいんだろうなぁ。いい脚本ですよ。

それにしても、ラミラス艦長の行動理由が「のんびり釣りをしたいから」ってのは余りにも弱いよな(苦笑)
もちろんそれが本当の理由ではないだろうけど(まあコレも理由の一つと言った所か)、きっとそこには映画では語られなかった心情が隠されていたハズ。やっぱり心理描写がもう1つ欲しかったという所か。
川を渡る最後のシーンはとてもいい絵なんですが、何か今ヒトツすっきりしないような・・・うーん。

でも今回この作品が見れて良かったです。軍事サスペンス物として本作は確かに名作ですね。
少なくとも「亡国のイージス」の100倍はいいです。ってか、比べる事がそもそも失礼ですか(苦笑)







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2006年11月24日(金) ファイヤーウォール

監督:リチャード・ロンクレイン
出演:ハリソン・フォード
    ポール・ベタニー
    ヴァージニア・マドセン、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
コンピューター・セキュリティーの専門家ジャック・スタンフォードは、自分の勤める銀行のセキュリティシステムを開発して今や最高幹部の1人となり、豪邸に住み一男一女に恵まれてセレブな生活を謳歌している。ところがそんなジャック一家に目を付けたビル・コックス率いる強盗集団がジャックファミリーを拉致。家族を人質にしたビルは、ジャックに自ら開発したセキュリティをかいくぐり、銀行から1億ドルを騙し取るように要求するのだった。


【感想】
関空−ミラノ間の機内上映の感想第2弾。
昨日の「ザ・センチネル」は歳を取ってもまだまだ頑張るエロおやじ!マイケル・ダグラスでしたが、コチラも歳を取ってもまだまだ頑張るアクションヒーロー!ハリソンおじさん大活躍映画です。
2本連続で似たよーな主旨の似たよーな系統の作品・・・かなり辛いゾ(苦笑)

そんな訳で、もう感想は書かなくてもいいですよね?←コラコラ
だって昨日の感想とほとんど同じですよ。ハリソン・フォードは歳を食ってもアクションヒーロー。家族を愛し、仕事に誇りを持ち、そして悪の軍団と対峙して最後はバッタバッタなぎ倒してハッピー♪ラッキー♪大団円〜♪
・・・判ったヨ。アンタはやっぱりヒーローなんだね。うん。知ってる。もういいよ(涙)

ま、本作の見ドコロは「ポール・ベタニー」ですね。
彼は好きな役者さんなので、彼が見られただけで満足ですよ。彼のちょっと冷たい感じのする美貌は冷徹無比な悪役がとても良くお似合いで、笑顔で子供に話し掛ける様子なんてちょっとゾッとするほど雰囲気があります。

それにしても、そんな冷徹無比な強盗集団ですが、何とも穴ぼこだらけで統制の取れないバカチームです。
穴ぼこだらけなのはバカチームだけじゃなくて、ハリソンおじさん開発のご自慢セキュリティシステムにまで到る。鉄壁を誇るハズの銀行のセキュリティシステムですが、i-podとファックスを分解した部品で作った「子供の科学」の付録みたいな子供騙しのおもちゃのようなモノで、いとも簡単に銀行の重要顧客データが読み取られてしまいます。
これでは世界の大手銀行はいつまで経っても枕を高くして眠れないでしょう。お気の毒な事です(苦笑)

ぴよはセキュリティシステムの専門家ではないので詳しい事は判りませんが、少なくとも全くこの分野に無知なぴよが見てもハリソンおじさんが「ほーら、もうお前の口座から10万ドルが消えちゃったよーん♪」とほくそ笑むシーンでは脱力するしかありませんでした。携帯画像1つでコレだけの事が出来るなら、セキュリティなんて全くザルですな(笑)

散々頭脳戦(って言ってもアホみたいな展開なんだけど)を駆使しておいて、やっぱりアクションヒーローじゃなきゃハリソンおじさんは我慢出来ないらしいので、とりあえずクライマックスは肉弾戦に持ち込む訳ですが・・・このアクションシーンはなかなかハラハラさせられます。
もっともハラハラするのはアクションが派手でカッコイイからじゃなくて、「おいおい、そんなに体張って大丈夫かぁー!?」と老体に鞭打つハリソンおじさんの頑張りにハラハラさせられるという感じ。痛いですなぁ〜

とにかくツッコミどころ満載なので、ある程度は楽しめます。
マジメにサスペンスやアクションを楽しみたいと思ってる方には脱力の数々でしょうが、ハリソンおじさんの歳を取っても尚健在を誇示するヒーローっぷりを生温い気持ちで見守ってやりたいという往年のファンだったら、とりあえずツッコミながら楽しめるといったレベルでしょうか。

個人的にはチュニジア旅行に行く機内でハリソンおじさんの映画が見れたのは嬉しかったです。
何しろこれからチュニジアに行ったら、スター・ウォーズのロケ地を見に行く予定ですからネ!やっぱりスター・ウォーズはハリソンおじさんなくしては語れませんもの♪・・・あの頃のハリソン・フォードは本当にカッコ良かったよなぁ。







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2006年11月23日(木) ザ・センチネル 陰謀の星条旗

監督:クラーク・ジョンソン
出演:マイケル・ダグラス
    キーファー・サザーランド
    キム・ベイシンガー、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
強固な体制でアメリカ大統領護衛をするシークレット・サービスの中でも、かつてレーガン大統領暗殺を防いだ事で最も優秀だと言われるピートは、ファーストレディのサラと密かに愛し合う関係。ところがピートの同僚が何者かに殺され、ピートお抱えの情報屋から大統領暗殺計画がある事とその暗殺にシークレット・サービスの高官が内通しているという情報が入る。内偵を進める内に、何者かにハメられたピートが容疑者として追われる事になってしまうのだが・・・


【感想】
チュニジアから帰国しました!・・・てな訳で、しばらく機内上映で鑑賞した映画の感想を。

アリタリア航空で関空−ミラノ経由チュニス行きだったので「関空−ミラノ間」で上映していた作品ですが、期待を裏切り機内上映は全て日本で既に公開した作品ばかりでした(涙)
でも、たまたま見逃していた作品がいくつか上映してたので、コレはコレでラッキーだったな、と。
で、本作も見ようと思ってる間に公開終了してしまった作品。タダで見てるんだから吹替版でも文句は言うまい。

さて本作について。
まあ良くも悪くも「マイケル・ダグラス」の映画です。キーファー・サザーランドが「24シリーズ」でブレイクしているので、24を見てキーファー・サザーランドファンになった方と抱き合わせで楽しんでもらおうという主旨なのはよーく判ります。

それにしても、141年間ただの1度も裏切り者を出した事がないというのが誇りのシークレット・サービスなのに、いきなりそのトップエージェントがファーストレディと不倫状態になってるってのはどーなんでしょう?(苦笑)
いくらマイケル・ダグラスがセレブマダム御用達のお色気オヤジだからって、有り得ない設定でしょ。
しかもファーストレディを食う前は、何と最も信頼し合っていた同僚の妻に手を掛けていた疑いまであるらしい。いくらフェロモンおやじだからって、据え膳全部食らっていてはいけません。

ところで下のムスコのコントロールが全く出来ないこのエロおやじ、仕事はデキるので周囲の信頼は絶大です。
妻を寝取られた同僚に容疑者扱いされているものの、実のところ誰も彼を本気で疑ってはいません。容疑者扱いしてる寝取られ同僚ですら、ピートに面と向かって発砲するのは躊躇します。

だったらそもそも最初に自宅に捜査官がやって来た時に逃げる必要がないじゃないか・・・と思わなくもないのですが、そこで理路整然と説明してしまっては話が終わってしまうので、ここは逃げるしか仕方がない。
一応逃げた言い訳としては「ファーストレディとの不倫関係を隠したい」という事がありますので、結局最後はバレバレでもとりあえずここは逃げた方が面白いゾ!てな具合なんでしょう。

まあそんな感じで、全てが予定調和な話なので特にハラハラする事もない。
適当に楽しめる展開があって、適当にロマンティックシーンがあって、適当に話が収束して行くヒーロー映画です。

・・・そう。ファーストレディを食い散らかしたクセに、何故かピートはヒーローなのです。
当然不倫関係がバレたらクビなのですが、クビになってもやっぱり彼はヒーロー。そして不思議な事に、映画を見ていて観客も彼がヒーローである事を何の疑いもなく受け入れてしまっているのです。これは一体どういう事なのか!?

コレがマイケル・ダグラスの映画なんですねー。
「ダグラス・クオリティ」とでも呼ぶべきなんでしょうか?本当に不思議なんですが、マイケル・ダグラスなら下のムスコにまるで節操がなくてもヒーロー足り得てしまうという、物凄いマジックなのです。
話は凡庸だけど、歳を取ってもムスコは健在!なマイケル・ダグラスを楽しむには事欠かない作品でしょうね(苦笑)








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2006年11月22日(水) トゥモロー・ワールド

監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:クライヴ・オーウェン
    ジュリアン・ムーア
    マイケル・ケイン、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
西暦2027年。人類が完全な不妊状態になり子供が全く生まれなくなって18年が経っていた。世界の都市はテロ、様々な疫病や内戦等により次々と崩壊、軍隊の強いイギリスだけが何とかその秩序を保っていたものの、不法移民が後を絶たず街は混乱していた。国家的事業に従事するセオはある日ジュリアン率いる地下組織「FISH」に拉致される。彼女の目的は官僚に顔が利くセオに頼んで通行証を手に入れて、ある少女を「ヒューマン・プロジェクト」に引き渡す事だった。


【感想】
英国の女流ミステリー作家P.D.ジェイムズの著書「The Children of Men(人類の子供たち)」を映画化。
監督は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のメガホンを取ったアルフォンソ・キュアロン氏。キュアロン監督の作品が好きなので、かなり期待して見に行きました♪

この作品、予告編を見ると「近未来SFなんだな。キャストを見ると+恋愛も絡めてヒューマン風味ってヤツか」と想像する訳ですが、これは明らかに配給会社が間違った方向に誘導して観客を集めようと必死になっているという事が本編を見ると明らかになります(苦笑)
設定が2027年ですから確かに「近未来モノ」ではありますが、明らかにSFではありません。多分単なる「近未来モノ」というフレコミでは客の入りが悪くなりそうだと不安になった配給元が、人気の「SFモノ@CGバリバリですっげーハイテクよん♪」という誤解をさせて観客動員数を稼ごうとした、いつもの予告編詐欺テクです。

じゃあつまらなかったのか?と聞かれると、ぴよは本作かなり面白い映画だと思いましたね。
映像なんて凄かったですよ。何でもクライマックスの8分間長回し戦闘シーンが特に話題になっているそうですが、確かにこの戦闘シーンはちょっとやそっとじゃーお目にかかれないクオリティの高さです。
ロンドン市内の細かい描写、ジャスパーの何か懐かしい匂いのする隠れ家の様子も非常に丁寧で好感が持てる。

ところで、映画を見ていても設定がよく判らなかったりします(苦笑)
そもそも何故人類が完全不妊状態になったのか、そしてどうしてその状態になって18年も経ってキーが現れたのかという説明は全くありませんし、どうして他の都市が崩壊してしまったのかもよく判らない。
「FISH」のメンバーがどうしてキーを必要とするのか。不法移民は国外追放にすれば済む事だと思うのだが、どうしてわざわざ強制収容所のような街を作ってそこに隔離するのか。
「ヒューマン・プロジェクト」とは何か。具体的にどういう活動をしているのか。そもそも本当に存在するのか。

判らない事だらけなんだけど、コレは観客に主人公セオと同じ目線でこの話を見てもらおうという趣向に違いない、と勝手にいいように解釈した訳です。単なる説明不足かもしれません。真相は判りません(苦笑)

でも、上記の事が何も判らなくても作品の訴えるパワーに衰えが出る訳ではありません。
常々「子供が大嫌い」「子供の泣き声を聞くとイライラする」と公言して憚らないぴよですが、本作の赤ちゃんの泣き声ほど胸にグッと迫った事はありませんでした。
「子供は人類の宝だとぉ?フザけんな!このクソガキめ!」と思っているこの鬼畜ぴよが、赤ちゃんの泣き声に何か神聖なモノを見つけたような、心の底から「あぁ、子供は本当に人類の宝なのだ。平和と秩序の象徴なのだ」と思わずにいられなくなりましたよ。フザけてるのはクソガキじゃなくてぴよの方ですか?ははは、そーかもしれません(苦笑)

確かに話が見え難いし、設定も結局謎のまま放置ですし、破綻してると言われたらその通りかもしれません。
でも戦場に差す一条の光のように、キー達の姿に体が震える程感動してしまったぴよには、もう破綻していようが設定説明放置だろうがどうでもよくなってしまいました。

好き・嫌いがはっきり分かれそうな作品なので万人にはオススメしませんが、少なくともぴよのツボには入りましたよ。








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2006年11月20日(月) プラダを着た悪魔

監督:デビッド・フランケル
出演:アン・ハサウェイ
    メリル・ストリープ
    スタンリー・トゥッチ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
ジャーナリストを目指してNYにやって来たアンディは、ひょんな事から一流ファッション誌「RUNWAY」の名物編集長ミランダのアシスタントの職を得た。ところがミランダの横暴な命令の数々、更にオシャレに全く興味のないアンディを「デブでセンスがない」とけんもほろろの扱いに「私を認めてくれない」と腐る彼女だったが・・・


【感想】
2003年に出版されるやたちまち大ベストセラーになった同名タイトル小説の映画化。
原作は半自伝小説のようで、原作者はかつてヴォーグ誌の編集長アシスタントをしていたそうです。で、その主人公のアシスタント役を「プリティ・プリンセス」のアン・ハサウェイ、そしてカリスマ女性編集長役をメリル・ストリープが好演。

簡単に言っちゃえば、真面目なダサダサ女が編集長に何とか認められようとオシャレにも仕事にも前向きに取り組んでどんどん頭角を現すものの、プライベートとの板ばさみに悩んで・・・という「働くオネーチャンの頑張るサクセスラブコメディ」
まあ、半ば結末の見えたよーなシンデレラ&サクセスストーリーなので安心して楽しめます。
しかも舞台は一流ファッション誌の編集部とあって、女性なら誰もが身悶えしちゃう世界の一流ブランドファッション目白押しで目の保養も充分♪

それにしても、アン・ハサウェイ嬢は何だかいい感じに大人の女優に脱皮して来てますネ。
正直言って「プリティ・プリンセス」の頃は「まあ可愛いんだけど、イマイチ垢抜けないお人形ちゃんアイドル女優ネ」程度にしか見えなかったんだけど、「ブロークバック・マウンテン」でいきなりおっぱいポロリまで見せて仰天し、更に本作の彼女の演技を見て「この子、随分女優らしい貫禄が出てきたなぁ」と感心させられましたよ。

ま、でも観客の視線をメリル・ストリープが全部持ってっちゃいましたね(苦笑)
この方、余り好きな女優さんじゃないんですが、好き・嫌いを抜きにしてもやっぱり上手過ぎますわ。アカデミー賞ノミネート最多を誇る名女優だけはありますよね。とにかく圧倒的なカリスマ性、圧倒的な演技力、そして圧倒的な存在感を観客にこれでもかと見せ付けてくれます。
本作はアカデミー賞の審査員が余りお好みのジャンルじゃないので受賞は難しいかもしれませんが、かなりの確立で助演女優賞(あ、このタイトルからすると本来主役はメリルなんでしょうか?だとしたら主演女優賞?)にノミネートされるんじゃないかと・・・いや、是非ノミネートして欲しいと思いますね。

演技は文句なしだったけど、内容は凡庸でコレと言って特筆するべき点は見当たりません。
アンディはたかだか1年未満でアシスタントの職を辞するのですが、もしぴよだったら、ここまで育ててもらえた編集長には一生着いて行きます!私の足を引っ張るようなアホ男なんぞサクサク捨ててこの仕事を極めてみせるわよぉーーー!くらいは思いますけどねぇ。自分を育ててくれた編集長に対してちょっと身勝手過ぎやしないか?

まあ、要するに「オシャレでデキるキャリア・ウーマンは仕事も恋も両立してナンボ」なんですね。
そして出来る女はどんなフィールドでも一流の仕事が出来るので、自分のご都合で恋を優先しつつも自分の本来の目標に向かってどんな条件下でも邁進出来るのだぁ〜♪という、働く独身女性全てをウットリさせるお話な訳です。
男性の共感度は低そうだけど、働く独身女性なら誰もが勇気と元気を貰えるんじゃないでしょうか?

ちなみにアタクシ、一応秘書の真似事のような仕事をしているのですが・・・
自分のボスも「アンタなあ、ええ加減にせぇや」という無理難題を言う事が時々ありますけど、この編集長のような上司だったら間違いなく3日で仕事辞めてますよ(苦笑)

スキルの低いぴよのような女は所詮この程度でしかない→だから今の環境で満足しておけ、という話でしたネ(^-^;








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2006年11月14日(火) ソウ3 SAW3

監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:トビン・ベル
    アンガス・マクファーデン
    ディナ・メイヤー、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
殺害現場に呼び出されれた女刑事ケリーは、死体が行方不明のエリック刑事ではないと知りホッとする。しかしこれらの殺害の仕掛けは身動きの取れないジグソウでは無理なハズ。しかもジグソウのやり方とは明らかに違う点もある。一体誰が仕掛けたのか?一方、救命救急医のリンが誘拐され、瀕死の状態のジグソウの延命を言い渡される。「あるゲーム」が終わる前にジグソウが死んだら、リンの首に巻きついた爆弾が爆発すると言うのだ。


【感想】
2004年から毎年1本ずつ公開になっている「ソウ」シリーズの3作目。
本シリーズの1作目は鑑賞したのですが(かなり面白いと思った♪)、2作目は余り周囲の評判が芳しくないので、所詮は続編モノというのは前作を超えられないのだなーと思ってスルー。本作は試写会が当たったので鑑賞しました。

さてそんな訳で、1作目は見ているが2作目は見ていない状態で本作鑑賞ですが。
映画序盤のケリー刑事のくだりと、リンが誘拐されて新たなゲームが始まってからのくだり、コレ全く繋がりないよね?
要するにケリーのシーンは「ジグソウは動けないハズだし、やり方もジグソウとは微妙に違う。じゃあ誰がやってんの?」というクエスチョンを提示しているだけの役割なんだよね?←誰に聞いてんだか(苦笑)

映画が進んでかなり経った時点で「あ、コレは1作目から全部繋がった話だったのか」とようやく気付いたぴよって、やっぱり頭悪いんですかね。悪いですね。すいません(涙)
そんな訳で、本作を見たい方は出来れば1作目から順番に見る事をオススメします。映画冒頭のケリー刑事云々のくだりもどうやら2作目のエピソードの続きだったらしいと気付いたのは、かなり話が進んでからでした。要するに1作目の邂逅シーンが出てきたのでようやく気付いたんですよ。もーどうしようもないですね。はははっ

2作目を鑑賞していないので、本当は本作の評価はしようがないんでしょうけど・・・
少なくとも1作目だけを鑑賞していても話はちゃんと繋がりますし、それに1作目を見た時の最大の疑問「どうしてあの体の状態のジグソウがここまで動き回れたのか?」という件に対する明確な答えが本作で明らかになるので、その点に関してはなるほどねー♪とスッキリ出来て満足です。

それにしても、1作目は心理的にはゾクゾクしても本作ほどエグい映像はなかったと思う。
2作目でこのシリーズは「グログロエグエグ殺人シーンてんこ盛りホラー系」に宗旨替えしたんでしょうか?

本作はかなりエグいシーンが多いです。ジグソウの脳圧を下げる手術シーンなんて相当時間掛けて見せるのですが、はっきり言ってあそこまで執拗に見せる必要なんて全然ありません。
それからジグソウは「人を殺すのは嫌いだ」とか何とかエラソーに説教垂れてますが、やってる事は明らかに人の命を弄んで楽しんでいるだけの変態愉快殺人犯です。ジェフに復讐に囚われる空しさや復讐の是非を本気で問いたいと思っている心優しいおじさんなら(んな訳ねーだろ。苦笑)何も無意味に関係者の命を奪う設定をこしらえる必要はないですよね。
アマンダのイカレ具合も頭が痛くなりそうです。これは2作目を見ていないと彼女に感情移入出来ないのかも?

とは言え、本作のどんでんネタもなかなか上手に作ってあったと思いますよ。
登場人物の人物相関図をうまい具合に隠してあったのは秀逸です。そしてそれがオチにキレイにまとまっている点も、充分脚本が練れているからだろうと評価出来ますね。

・・・でも、やっぱり1作目程のインパクトがないのは痛いですね。
続き物で毎回「どんでんオチ」がお約束のシリーズとなると、どうしても前作を超える驚きがなければ観客というのは満足しなくなるものです。脚本は練れていてもインパクトが薄いと評価には繋がり難いと思いますよ。

今から2作目を見るのはマヌケだろうなぁ〜・・・本作を鑑賞される方は、くれぐれも前2作を先に鑑賞しておいて下さい。






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2006年11月12日(日) サッド・ムービー Sad Movie

監督:クォン・ジョングァン
出演:チョン・ウソン
    チャ・テヒョン
    イム・スジュン、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
消防士の彼と、彼の危険な仕事にいつも心を悩ませつつ彼からのプロポーズを心待ちにしているアナウンサー。聴覚障害を持ち顔に傷のある彼女と、彼女のアルバイト先の遊園地に毎日やって来る絵描き志望のハンサムな青年。仕事もしないでフラフラと遊んでばかりの彼に嫌気が差して、遂に別れる決心をしたスーパーでレジ打ちの仕事をする女性。病気になってしまったキャリアウーマンの母と息子。4組の男女が織り成す様々な「別れ」が交錯する。


【感想】
韓国トップスター達が勢揃いして作り上げた「別れ」をテーマに織り成すオムニバス形式の作品。
こりゃもう韓流スター好きさんにはたまらないキャスティングでしょう。大して韓流には興味のないぴよでも、出演している役者さんの殆どの顔が判るくらいに「売れ売れ役者」揃い踏みの豪華さです。

以前「もう韓流にはすっかり飽きた」って書いたのに、懲りずにまた見に行ってるじゃないですか<自分
いや、昨日の「ナチョ・リブレ」が目的でTOHOシネマズに行ったら、何でもTOHOシネマズ名古屋が7周年記念で1本1000円で映画が見れたので、たまたま時間が合った本作もついでに見ただけなんですよ。特に本作に期待もしてなかったし、本当にたまたま上映時間が合致しただけなんだってば(^-^;

と、誰に言い訳してるんだか謎なんですが(苦笑)
少なくとも期待値ゼロで鑑賞して、本当に期待しなかった通りのつまんない映画だったな、と。←コラコラ

上には「オムニバス形式」と書いたけど、いわゆるオムニバスではなくて4組の男女の話が同時進行で交錯しながら進んで行って、ラストで4組のクライマックスを全部詰め込んで「怒涛の泣かせ映画にしよう!」という趣向。
かつて大ヒットした「ラブ・アクチュアリー」と全く同じやり方で、ラブ・アクチュアリーの方は全てがクリスマスに向かって愛する人と過ごすというポジティブなラブストーリーだったのに対し、本作はそれを裏バージョンにして全てが別れに向かっていくというネガティブな内容になっています。

もーはっきり言っちゃうけど、「ラブ・アクチュアリーの劣化コピー」ですよ。コレは。
どれもこれもぜーんぜん面白くない。「泣かせ映画」なんだから面白くないのは当たり前って言われそうだけど、だったら泣けるのか?と聞かれると全く泣けないから始末が悪い。

映画が始まって30分。4組のカップルの背景が一通り展開されたトコロで、全ての話の結末が完全に予想が付く。
何か1つくらい予想外のサプライズな展開のネタがあってもよさそうなモノなのに、どれ1つとして予想を裏切らずにベタベタに話が進んで、本当にそのまま終わっちゃうんだから溜息しか出ません。
この映画を見て「涙が止まりませんでした」って言う人の多くは、多分親子ネタと消防士ネタで泣いているんだろうと想像するのですが、少なくともぴよはこの2組の話を見ても全く泣けませんでしたよ。だって思った通り過ぎるんだもん。
え?そうじゃなくてぴよが鬼畜だから泣けなかったんだろうってか?ああソーデスカ(溜息)

「別れさせ屋」の話なんて絶望的でしたね。泣けないドコロか笑う事も出来ない。痛過ぎる。
更にラブ・アクチュアリーの構成をかなり忠実になぞってて(まあコレは最近よくあるパターン?)、4組のカップルが人間関係的に微妙に繋がってたりするんですが、親子ネタに別れさせ屋が絡む事で、それでなくてもお寒いネタが唯一泣けそうな予感の親子ネタを台無しにしてしまうという相乗効果まで生むというオマケまで付いている。

唯一まだまともだと思ったのは聴覚障害の彼女のエピソードか。でもコレも今一つ感情移入出来ない臭さがなぁ・・・
とにかく全てのエピソードが中途半端で面白くない。楽しめない。そして泣けない。どうしようもない。
出演している役者さんの熱烈ファン、もしくは「TVドラマは水戸黄門、映画は寅さんしか認めない」という、展開ミエミエじゃないと楽しめないというポリシーの人じゃなければオススメしませんね。

この映画見て泣ける人って、よっぽど心が広くて優しい人なんだろうと思いますよ。
内容や展開度外視して泣けるなんて、本当にピュアな人なんでしょう。そういう人にぴよもなりたかった(溜息)







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2006年11月11日(土) ナチョ・リブレ 覆面の神様

監督:ジャレッド・ヘス
出演:ジャック・ブラック
    ヘクター・ヒメネス
    アナ・デ・ラ・レグエラ、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
貧しい教会の孤児院で料理番をするイグナシオは子供達に新鮮な野菜を食べさせたいと思い、子供の頃から憧れていたルチャ・リブレ(メキシコで人気のプロレス)に出場してファイトマネーを稼ごうと画策。しかし教会ではプロレスが禁忌な為に素性がバレないように覆面をして「ナチョ」という名で出場した。こてんぱんにやられたものの、その負けっぷりが観客にウケて人気を博し、更に負けてもファイトマネーが貰える為に次々と試合に出場するナチョだったが・・・


【感想】
ジャック・ブラック主演の新作B級コメディ。
本作の主人公「ナチョ」は、メキシコに実在するプロレスラー「フライ・トルメンタ」が下敷きになっている。
話の内容が「タイガーマスク」と被っているので、ネット等で検索すると「フライ・トルメンタはタイガーマスクのモデルと言われている」等と説明されているモノもありますが、実際はフライ・トルメンタのデビューよりもタイガー・マスクの原作コミックの発表の方が早いので、メキシコにタイガーマスクを地で行く人がたまたま偶然現れたというだけの事のようです。

ま、出自の順番説明なんてどーでもいいです。
まず前置きをしておかなければいけないが、本作の「オススメ度」はジャック・ブラックファンだけに対するモノです。
B級おバカ映画ファンにもウケが良さそうな予感ですが、正直B級おバカ映画好きさんでもダメな人はダメでしょう。

とにかく下らなくてギャグもゆるゆるの「超脱力系」
コメディ度も「ぎゃはははは!」じゃなくて「プッ!アホかこいつら(苦笑)」程度のゆるさなので、コメディのクオリティに厳しい人には余り向かないタイプの作りだと思います。
プロレスネタですが所詮素人役者のプロレスなので、頑張ってはいるもののアクションとしてのクオリティも低い。

それでもハマった人には最強な手合いですよ!
ぴよは元々ジャック・ブラックが大好きなのでハマって当たり前なんですが、この映画を見てジャック・ブラック好きさんが更に増えてくれると尚嬉しい・・・何とも味のあるジャック・ブラックの魅力全開の作品です♪
バカでマヌケでお調子者で、だけど心は無垢で憎めないいいヤツ。そんなジャック・ブラックを見たいファンの気持ちを十二分に満足させてくれる「ゆるゆるほっこりコメディ」です。

アホみたいな特訓、ラムセスのパーティーに潜入して繰り広げるドタバタ等の小ネタは、笑えると言うよりも思わず苦笑するという感じの「どうしようもない感」が漂う寒さなんだけど(こらこら)、街で見かけた憧れのプロレスラー・ラムセスが孤児達を冷たくあしらう様を見て失望するナチョの様子の見せ方等、人情話への持って行き方はウマイ。

ナチョの相棒「ヤセ」が科学崇拝者なのに、どうして鷲の卵を飲むと強くなれると信じているのか?散々ラムセスにやられている最中に試合を見に来た彼女は、あの緊迫した状況で何故暢気に手なんぞ振ってられるのか?
・・・そんな瑣末な事(え?)にツッコミを入れてはいけません。
何もかも破綻しまくってどうしようもないのに、最後はうんと気持ちがいい♪ただそれだけの映画なんです!

と、散々持ち上げていますが、やっぱり万人ウケしない作品なのは間違いないです(苦笑)
「つまんねー」「金返せ」等の怒号が渦巻きそうですが、ハマった人だけが楽しめばそれでいいんですよ。えぇ。
そしてハマったぴよには最強の作品でした♪あぁ・・・同じ感性で楽しんでくれる人が沢山いてくれるといいんだけど(^-^;







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2006年11月09日(木) 木更津キャッツアイ ワールドシリーズ

監督:金子文紀
出演:岡田准一
    櫻井翔
    塚本高史、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
ぶっさんが死んで早3年。残ったキャッツメンバーはそれぞれバラバラになっていた。唯一木更津に残って市役所で働くバンビは、ある日自分に英語で語りかける謎の言葉を聴いて、それがぶっさんからのメッセージだと解釈する。ぶっさんにきちんと「バイバイ」が言えなかった事を今も引きずっていたバンビは、東京に行ったアニ、大阪に行ったマスターを呼び戻してぶっさんを蘇らせようと提案するのだった。


【感想】
TBSの人気TVドラマ「木更津キャッツアイ」の劇場版完結編。
以前劇場版の「木更津キャッツアイ 日本シリーズ(2003.11.26鑑賞)」がウケた(のか?)らしく、劇場版で完結編を作ろうという事なんでしょうね。キャストもスタッフもずーっとTV版から同じメンバーを引き継いでいて、本作では更に新キャラも登場させて完結編らしく上手にまとめています。

「日本シリーズ」を見た時に「TVドラマ版をDVDレンタルして見なくちゃ話にならんな、こりゃ」と思ったものの、未だにTVドラマ版は未見な訳ですが(苦笑)、少なくとも劇場版の前作「日本シリーズ」を見ていればキャラの背景や木更津キャッツアイのあらましが判らない事はないでしょう。

ま、そんな訳で本作は「ぶっさんの死後3年」が舞台な訳ですが。
一番木更津に残ってなさそうなバンビが意外な事に市役所職員になっていて、絶対に木更津から離れないだろうと思っていたマスターが大阪に移住してたり、うっちーがすんげーまともになっちゃってたりしてびっくり仰天。
彼らはそれぞれ22歳(うっちーは23歳)→25歳(26歳)になっているんだけど、この年齢の若者にとって3年という月日は正に人生の激変期なんだろうなぁ、というのを感じさせずにはいられない。

22歳で死んでしまった「ぶっさん」という存在が、残されたキャッツのメンバーにとって「青春」という記号に置き換えられているように感じましたね。
ぶっさんを喪った事である意味「青春」と決別してそれぞれが大人への道を歩み出した訳だけど、最期にきちんとぶっさんにお別れを言えなかったという気持ちが、いつまでも取り戻せない「青春」を引きずる亡霊のように心にしこりを残す。
「ぶっさんにお別れを言う=青春ときちんと決別して自分を見つめて大人になる」という比喩のように思いましたね。

と、何か辛気臭い事ばかり書いてますが、内容自体は相変わらずおバカな小ネタ連続のドタバタ劇。
ぶっさんが復活するまでがちょっと引きずり過ぎてて「まだかよ・・・」と思ったんだけど、フィルム巻き戻し技を今作も効果的に使っているし、前半部分の一見何でもなさそうな小さなセリフが、後に「その裏」を見せた時に「ほー!そーいう事かぁー」と種明かしに使われるというニクい演出。

みんなには復活したぶっさんの姿が見えるのに、何故か父親だけにはぶっさんの姿が見えない。
どうして父親だけはぶっさんが見えないのか?というネタが、結構笑わせておいて実はこの映画の一番のテーマになっている辺りは「クドカン、本当にあんたは脚本がウマイ!」と膝を打ちたくなりましたよ。
まさかこんなおバカ映画でホロリとさせられるなんて思ってもみなかっただけに、嬉しいサプライズでしたね。

栗山千明ちゃんが「キルビル」を彷彿させるオイシイ役で登場するし(相変わらず可愛いわー♪)キャッツメンバーを演じていた若手役者さんが、それぞれここ数年でうんとメジャーになった事もあって、演技も板に付いて安心して楽しめる。
バカネタ連発(でも今作それ程は笑えなかったんだけどサ)でありながらもドラマとしての脚本もよく練れてる。
「日本シリーズ」よりも本作の方が「よく出来た映画」だったなぁと思いましたね。

・・・でも、いきなり本作だけ見ても絶対に判らないだろうから、少なくとも「日本シリーズ」は先に見てから鑑賞してネ!







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2006年11月04日(土) 16ブロック

監督:リチャード・ドナー
出演:ブルース・ウィリス
    モス・デフ
    デビッド・モース、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
夜勤明けで署に戻った酒浸りの中年刑事ジャックは、帰る所を上司に呼び止められて16ブロック先の裁判所に今日の法廷で証人として出廷する予定の囚人エディを護送するように言い渡された。渋々引き受けて車にエディを乗せて走り出すも、おしゃべりなエディに辟易して車を途中で止めて酒屋で酒を買うジャック。ところが酒屋から出てみると、何者かがエディを殺そうとしている。慌てて相手を射殺して逃走するジャック達だったが・・・


【感想】
リーサル・ウェポンシリーズのリチャード・ドナー監督×ブルース・ウィリス主演の新作。
エディ役をヒップ・ホップ界のカリスマ、モス・デフが演じ、ジャックとかつて仕事の相棒だったフランク刑事役を様々な作品でキラリと光る演技を見せる印象的な名脇役デビッド・モースが演じています。

今回のブルースはいつものヒーローっぷりとはまるで違う。
酒ばっかり飲んで腹はたるみ、年下の上司に顎で使われるような典型的「署内のお荷物刑事」を演じている。
最初に登場した時、余りにだらしない様子に一瞬ブルースだと気付かなかった・・・あの特徴のあるおでこのハゲ上がり方でようやく彼だと気付いたというくらい、かつての精悍なヒーローを演じたブルース・ウィルスとこのオッサンは本当に同一人物なのか?と疑いたくなるくらいビジュアルにギャップがある。

それが護送中の囚人エディが何者かに命を狙われて、狙撃一発で敵を仕留めた瞬間に「シャキーン☆」といつものブルースらしい精悍な目付きに早変わり。ドびっくり。
どうやらジャックはかつては敏腕刑事として腕を鳴らしたものの、何かがあって今は落ちぶれてしまったらしい・・・という事をセリフじゃなくてジャックの様子でうまい具合に観客に説明している訳です。

この作品、ジャックとエディのキャラクターの肉付けとキャラが持っている背景の見せ方が実に巧みでした。
最初は全くキャラの背景が判らないのですが、見ている内に2人の会話や態度からさりげなく観客に「こういう事か」と悟らせるように誘導している。
更にジャックとエディの関係も、単なる任務で護送している刑事と鬱陶しいお調子者囚人というだけの関係から、そのウザいエディとの会話を延々見せる内に少しずつお互いが信頼関係を結ぶ様子を実に上手く見せて行きます。

それにしてもエディのマシンガントークはちょっとウザ過ぎるな。
自分の命が狙われてると判っているクセに余りに能天気にド喋り過ぎて、見ててイライラしちゃいますヨ(苦笑)
・・・まあ、彼のド喋りが後のいい伏線になってるので致し方ないんですがネ。

かなり緊迫するシーンもあって、ハラハラドキドキさせてくれて見せ場も多く、しかもいいテンポで話も進むのでソツなく見られる「お約束バディムービー」として楽しめるのですが・・・ちょっとご都合主義に走り過ぎる感は否めません。
どんなに絶体絶命のピンチも、行き当たりばったりで動くと何もかもが上手い具合に展開する。展開し過ぎる(苦笑)
最終的にはジャックチームの勝ちなのは判り切ってるからいいんだけどサ、逆に言えば判り切ってる結末なんだから、せめて逃走手段の展開くらい多少頭脳戦を見せて観客を驚かせてくれたって良さそうなモノなのになぁ〜

そんな訳で「ま、ありがちなタイプだよな。昔よく似た展開の映画見たよな〜」と白々とした気分で見てたんですが・・・

この映画は「ラスト」が一番良かった!
「ありきたりな追いかけっこドラマ」が終わり、後はお軽い締めネタでお茶濁してスタッフロールか・・・と思っていたら、最後の最後でお前らオイシ過ぎるからー!って感じですよ。
逃げまくりながらエディがどーでもいい話をやたら延々ド喋ってんなぁと思ってたら、まさかこー来ましたかと。

ま、確かに半年もすればタイトルも忘れちゃいそうなありきたりな話なんですが(をい)
ラストシーンが良かったので一気にこの作品は高評価になったな。正に「終わり良ければ全て良し」ですよ。






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