ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年09月29日(金) アントブリー(日本語吹替版)

監督:ジョン・A・デイビス
声の出演:千葉翔也
      江原正士
      田中敦子、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
いじめられっ子で友達のいないルーカスは、自宅の庭にあるアリの巣を壊す事で憂さ晴らししていた。ところがルーカスの気まぐれで巣を破壊されるアリ達はたまらない!魔法使いアリのゾックは不思議な薬を開発し、「破壊屋ルーカス」をこらしめようと、薬を使ってルーカスをアリと同じ大きさにして巣に連行したのだ。ルーカスの処刑を望む声の中、女王アリはルーカスにアリの世界を知ってもらって理解してもらおうと寝食を共にするように言い渡すのだった。


【感想】
トム・ハンクスがプロデュースする3DCGアニメーション。
しかも声の吹替えはジュリア・ロバーツ、ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ等の名優達がじゃんじゃん起用されて豪華絢爛なハズなのだが・・・何故か日本では吹替版しか公開されない。これじゃー全く意味がない。
しかも公開劇場はワーナーマイカルシネマズだけだそーだ。ちなみに名古屋市内にはワーナーマイカルはない。ぴよは試写会で見たけど、実は予告編すら一度も見た事がない。ワーナーマイカルに行かないと見れないんだから当たり前か。

プロデューサーと声の出演の豪華さが(唯一の?)売りのアニメなのに、どうして日本語吹替版しか公開しないのか。
それはこの映画の内容が余りにも子供向け過ぎて、声優の売りだけではとても大人の集客は望めないだろうと踏んだ事、それからそんな売れそうもない作品の為に「字幕版」「吹替版」で2館もスクリーンを使うのは勿体無いとワーナーマイカルが判断した・・・のではないかと推察されます(苦笑)

まあ要するに、大人が見てもなーんも面白くない(コラ)
当然だけど悪い話じゃないですよ。ってかかなりいいお話なんでしょうよ。でも大人が見て楽しい訳がない。

しかも・・・過去に昆虫がメインのアニメはいくらでもありましたが、本作はキャラが可愛くなさ過ぎる。
昆虫モノの代表的アニメ「バグズライフ」と比べても、余りにキャラに魅力がない。もっともピクサーのクオリティ以上のものを作れというのはそもそも無理があるのかもしれないけど、既にピクサーが手を出したキャラの後追いをするなら、それ以上の魅力を引き出せなければ観客を呼べないのは判り切っている。

本作は昆虫がメインではなく、あくまでも「昆虫大になった人間のガキ」がメインな訳だが、そのガキのルーカス自体にも魅力を感じないんだから話にならない。
ってか・・・このルーカスっていうガキがどーしよーもなくぴよがムカつくタイプのガキで困る(苦笑)
自分から努力しようという気力がない、直ぐにふてくされる、自分を庇ってくれたヤツでも平気で見捨てる、自己中心的で破壊衝動が抑えられない被害妄想のキレ易いイマドキの少年犯罪者のお手本みたいなガキ。←言い過ぎだろ(^-^;

まあそんなガキが改心するから映画として成立するんだろうけど、余りに判り切った話だから大人が見ても面白くない。
でもイマドキのキレ易く協調性のないニートなガキを持つご家庭のパパママだったら、ガキの首根っこ引っ掴んでこの映画を見せる分にはいいかもしれないですわね。
少なくともこの映画の主人公は、アリと過ごす事で親の有り難味も多少は学んだようで、自分から親とコミュニケーションを取ろうと努力するようにはなりますから。

ま、そんな訳で対象年齢は小学生低学年からいいとこ中学1年くらいまででしょうか?
多少世間ズレしてしまう中学3年辺りになると、もうこの手の映画では啓蒙出来そうにもありません。
我が子がニートだとお悩みのご父兄の皆様、我が子が対象年齢に入っていたら連れていってみて下さい。(^-^;








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2006年09月28日(木) レディ・イン・ザ・ウォーター

監督:M.ナイト・シャマラン
出演:ポール・ジアマッティ
    ブライス・ダラス・ハワード
    ボブ・バラバン、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
フィラデルフィア郊外のアパート「コープ荘」の住込み管理人クリーブランドは、日々アパート内の雑事に追われ、世間から身を隠すようにひっそりと暮らしていた。ある晩アパートのプールで謎の女性「ストーリー」に出会う。アパート住人の韓国人母子から東洋に伝わる「水の精」の伝説を聞いたクリーブランドは、ストーリーが正にその伝説の水の精「ナーフ」に合致すると確信した。ストーリーは自分の世界に帰らなければいけないのだが、謎の怪物に命を狙われていたのだ。


【感想】
毎回毎回期待させては腰が砕ける(←この書き方はマズいか・・・苦笑)シャマラン監督最新作。
なんでも本作のネタ元は、シャマラン監督が我が子を寝かしつける為に即興で作ったベットタイム・ストーリーだそうだ。

前々から書いてるけど、シャマラン監督の新作映画の予告編で「シックス・センス」という冠を使うのは、もういい加減にやめてあげた方がいいと思うんですよね。
彼の作品って、決して「どんでん返し」「意表をついたあっと驚くオチ」が売りじゃないですよ。たまたまシックス・センスがそういう展開の映画で、しかも売れに売れちゃったからって、いつまでも「シャマラン監督=どんでん返し王」みたいな煽り宣伝するのって、本当に映画会社の宣伝部の低脳を晒してるとしか思えませんって。

そんな訳で本作は「ベッドタイム・ストーリーが元ネタ」だと言っているだけあって、実にシンプルな御伽噺です。
設定が現代のアメリカのフツーの田舎のあるアパートが舞台なのが御伽噺っぽくないのですが、話のネタと展開は思いっきり御伽噺の王道を突っ走っています。
だからはっきり言いますが「シャマラン監督のあっと驚くどんでんオチ」を期待している方は見ない方がいい。

どうして現代の普通のアパートに「水の精」が現れるのか、そしてクリーブランドもアパートの住人もどうしてアッサリと彼女が水の精だと認めて守ろうとするのか・・・等という疑問を持つのはお門違いです。
何故ならこれは「おとぎばなし」だからです。誰も市原悦子サンが語る「日本昔ばなし」のキテレツな設定に疑問を投げ掛ける人はいませんよね?当たり前です。それは「おとぎばなし」だからです(笑)

さあ、こーやってシャマラン監督作品への過剰な期待と誤解から解き放たれて鑑賞してみると、コレはコレでなかなか味わいのあるファンタジーになっているんじゃないかと思います。

ブライス・ダラス・ハワード演じる「ストーリー」は正しく子供達が「水の精」だと思えるような透明感のある無垢な少女に見えますし、悪者として登場する荒唐無稽なクリーチャーの様子も御伽噺らしい滑稽さが微笑ましい。
アパートの住人達がそれぞれストーリーを手助けする為の駒になっていて、誰がどの役割を演じなければいけないのかを探し出すという展開は、かなり強引ではあるものの子供がハラハラドキドキするような演出になっていると思います。

クリーブランドの過去のトラウマ、他の住人達のキャラの掘り下げがもっと丁寧に描かれていれば、ストーリーを水の精としてすんなりと受け入れるに到った心情や「何故今ここに水の精がやって来たのか」という根本的な部分にも整合性が出たかもしれない・・・と思うと勿体無い気がしますが、子供達が楽しむ分には余りキャラクターの掘り下げに時間を使ってしまうとファンタジー部分が弱くなってしまうという配慮なのでしょうか?

要するに・・・子供が見る分には単純に楽しめるだろうけど、大人が見るにはちょっとな、程度の作りだと(笑)

彼の作品の絵作り、カット割り、音楽はかなり好きなんですが、本作も絵はとてもキレイだったと思います。
それからシャマラン作品は「ご本人のカメオ出演」が毎回お約束になっていますが、前作「ヴィレッジ」辺りから露出がグンと増えたなぁ〜と思っていたら、本作に到っては露出がグンと増えるどころかかなり重要な役どころを演じる「役者」としてバッチリ出ずっぱりでした。
もしかしたら「インドが生み出したウディ・アレン」よろしく、ご本人が主人公を演じる日も近いかもしれません(笑)

ま、そんなこんなで「シャマラン監督作品だから」という気負いを取っ払って見れば、充分B級ファンタジーとして微笑ましく楽しめる一本になっていたと思いますよ。過剰な期待を寄せるのは皆さんもうやめましょうネ♪(^-^;







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2006年09月27日(水) 狩人と犬、最後の旅

監督:ニコラス・ヴァニエ
出演:ノーマン・ウィンター
    メイ・ルー、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
ノーマン・ウィンターは半世紀の間ロッキー山脈で生きて来た「最後のトラッパー(罠猟師)」だ。彼はネイティブ・アメリカンの妻「ネブラスカ」と7頭の犬ぞり犬と共に大自然の中で生活していた。しかし森林伐採と道路敷設により森の生態系は崩れ、狩りが思うように出来なくなったノーマンは山を降りようか悩んでいた。そんな彼の元に生後10ヶ月のシベリアン・ハスキー「アパッシュ」がやって来た。他の犬と馴染まないダメ犬アパッシュに最初は手を焼くノーマンだったが・・・


【感想】
2006年3月に犬ぞりでシベリア横断8000km走破という偉業を成し遂げたフランス人冒険家ニコラス・ヴァニエ氏が、カナダ北極圏横断中にたまたま出合った「ロッキー山脈最後のトラッパー」ノーマン・ウィンター氏に深く感銘を受けて製作したドキュメンタリー風ヒューマンドラマ。
ドキュメンタリーっぽい作りですが、きちんと脚本があるドラマです。しかし映画中に語られるエピソードは、実際にノーマン氏が体験した事を下敷きにしてあるそうですので、全くのフィクションという訳でもないらしい。

よくこの手の「似非ドキュメンタリードラマ」だったり、「ドキュメンタリー」と銘打っている作品にも関わらず人為的な演出がされていると、必ず「こんなのドキュメンタリーじゃない」「飼育された動物を使って演出するなんて騙しだ」等とおっしゃる方がいますが、ぴよに言わせればそれは映画の訴えたいテーマを完全に見間違えてる気の毒な皮肉屋さんでしかない。

この映画に登場するノーマン氏は、役者ではなくご本人が出演して演技をされていますが、長年かの地で生きていたからこそ語れる厳しい現実や、彼の自然に対する畏敬の念と共存していく思いのたけを聞いて、何の感銘も受けずにいられる人がいるんだろうか?彼の一言一言の言葉の、何と重みのある事か!
彼はあの厳しい自然の中で必要な分だけ木を切り、獣を捕らえ、魚を釣り、そして自然を守り共存している。
「地球環境を守ろう!」と声高に訴えながら飽食と贅沢を享受する都会の似非セレブとは訳が違う。

映画はあるシベリアン・ハスキーとの出会いがドラマとしてクローズアップされています。
ノーマンも妻も犬達を愛しているけれど、決して犬と馴れ合いの関係は持たない。いわゆる「ペット」として愛玩している訳ではなく、厳しい自然を生き抜く為のパートナーとして犬を飼育し、犬達もノーマンを主人と認めて信頼する「主従関係」がきっちりと結ばれているのが見ていて気持ちいい。
時にダメ犬だと思っていた新米犬に命を助けられたり、時に狼に狙われた犬達を必死で守ったりしながら、犬も成長し人も改めて自然と野生動物への脅威と共存を実感していく様子が、とてもリアルに描かれていたと思う。

ノーマンの妻ネブラスカなんて、顔は日に焼けて髪はボサボサなんだけどカッコいい〜♪
この方は実際のノーマンの奥さんじゃないようですが、んなこたぁ〜どーだっていいですよ。ネイティブ・アメリカンの女性の懐の深さと情の厚さ、そして自然の中で生き抜く叡智と行動力には「漢(おとこ)らしさ」すら感じる清々しさがある。

そもそもね、この手の映画をぴよが悪く言う事ってないですヨ。
だって「大自然」「民族」「動物」という、ぴよが大好きネタの3点コンプですよ!
万人ウケするタイプの作品じゃないのは百も承知・・・でもお暇があったらたまにはこういう映画も見てやって下さい。








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2006年09月22日(金) ワールド・トレード・センター

監督:オリバー・ストーン
出演:ニコラス・ケイジ
    マイケル・ペーニャ
    マギー・ギレンホール、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
2001年9月11日。ニューヨーク港湾局警察官班長のジョン・マクローリンは、今日の勤務配置を発表しながら「お互い守りあい、事故のないように」と言葉を掛けて、全員配置に着いた。程なくして辺りがかつてない地響きに包み込まれる・・・世界貿易センター北棟に旅客機が激突したのだった。続いて南棟にも旅客機が突っ込んだという未確認情報も錯綜。マクローリン達港湾局警察も全員現場へ急行。部下のメヒコ以下数名を連れて救助の為にWTCビルに入るのだが・・・


【感想】
巨匠オリバー・ストーンが監督、主人公のマクローリンを名優ニコラス・ケイジが演じた、説明するまでもないあの未曾有の悲劇「アメリカ同時多発テロ」の中で奇跡的に生還した港湾局警察官2人の姿と彼らを助ける為に尽力した人々、彼らをとりまく家族模様等を描いた作品。言うまでもなく事実を元に製作されています。

まず・・・これは「映画感想」ではなくなってしまうのだが、今この映画を製作する意図が判らないんです。
たかだか5年前の出来事、とてもじゃないけど「この事件を風化させないように」なんてお題目が似合う年月じゃない。
このビルの崩壊で、実に3000人近い方がお亡くなりになっている。亡くなった方だけでこの人数、その1人1人には家族がいて恋人がいて大切な人が沢山いた事だろう。そういう遺族の数は数万にも数十万にも及ぶハズ。
そういう遺族の気持ちを考えたら、事件後たかだか5年でこの題材を取り上げるのはどうかと思うんですよ。せめて50年くらい経ってようやく「かつてこんな未曾有の悲劇があった」という事を取り上げるならまだしも、今はまだ早過ぎる気がする。

そんな事を見る前から思いながらの鑑賞だったので、とにかく映画を見ている間中ずっと体が震えていた。
TWCビルに旅客機が激突してもうもうと煙を上げる映像、上空から書類が紙ふぶきのように舞い散る映像、火災による熱さに耐えられなくなってビルから人が飛び降りていく映像、血まみれになりながら支えあって非難する映像。
何を見ても恐怖と怒りに体が震え、鳥肌が立ち、背筋がゾッとし、体が硬直する。見るに耐えない。

映画は、ビルの崩落により生き埋めになった警察官2人が救出を待つ間のリアルな描写、夫の安否に絶望する家族、1人でも多くの人を助けたいと立ち上がる人々の勇気等を描いているようだが、ぴよに言わせれば何もまだ生々しい悲劇として誰もが心に傷を持っている「同時多発テロ」を題材にしなくても、完全なフィクションでパニックムービー仕立てにしてヒューマンをクローズアップするとか、人災ではなく天災を題材に(例えばスマトラ沖地震やトルコ地震等)してもよかったんじゃなかろうかと思うんですよ。

映画を見ていると、周囲からすすり泣きの声が聞こえる。
確かにこの題材なら泣けるでしょう、泣けるに決まってるんです。それでもぴよは泣く気になれなかった。
遺族の方に、そしてこの事件で尊い命を喪った方々に何だか申し訳なくて泣いてはいけないような気がしてしまった。
こんな悲劇を映画にしてはいけない気がした。映画は文化だし、時に啓蒙もする。それでもまだあの事件から5年しか経っていないのに、遺族の方々だってまだ何も心の中で決着が着いていない事だろうに、「愛と勇気、そして生還」なんて軽々しく映画にしてはいけないような気がした。

腹が立つのは、この事件に関わった人物のその後がラストにテロップで流れるのだが、2人の警察官を救出するのに重要な役割を果たした元海兵隊員が、この事件後再び現役復帰し、志願してイラク戦線に行ったという事を流した事だ。
事実なんでしょう。でも知りたくなかった。テロに遭ったからイラクに攻撃ですか?違うでしょ?
本作の公式サイトには「人と人は支えあって生きている」という事が作品のキーワードになっていると書いてあるが、それが今のイラクの状況を生み出しているとしたら何たる皮肉か!

映画感想としては「面白かった」「映像が迫力あった」「役者の演技が」等と言う事を論じなければいけないんだろうけど、とてもそんな暢気な事を思えるような対象には成り得ない。だから上記の「オススメ度」も評価しようがなかった。
是非見るべきだとは言えないし、見てはいけないとも言えない。でも映画にするべき題材じゃない。それしか言えない。







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2006年09月21日(木) ドラゴン・プロジェクト

監督:スティーヴン・フォン
出演:スティーヴン・フォン
    アンソニー・ウォン
    ジリアン・チョン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
整体院を営むユー・シウボウは妻に先立たれ、兄・ニッキー、妹ナタリーの2児の父親。小さな頃から子供達にカンフーを教え込んだシウボウの自慢は、かつて自分が情報部のエージェントだった頃の武勇伝。小さな頃は父の話を喜んで聞いてくれた兄妹も、大きくなった今ではホラ話だとバカにしている。そんなある日、父が何者かに誘拐されたのだ。どうやら父の話が本当だったらしいと知った兄妹は、父救出の為に立ち上がるのだが・・・


【感想】
ジャッキー・チェン製作総指揮、アクション指導は「マトリックス」のアクションを手掛けたユエン・ウーピン。
こんな素晴らしい香港カンフー映画が、何とぴよが住む名古屋では単館映画館で1週間限定公開。しかも上映は1日2回。
ナメている・・・ぴよが大好きなカンフー映画を世の中ナメ過ぎているっ!(怒)

本作の監督「スティーブン・フォン」氏、自ら主人公のニッキーを熱演。ってか、この方すっごく若い頃のジャッキーに雰囲気が似ていると思うんですけど・・・今後「第二のジャッキー・チェン」になってくれるのかしら?うふ♪
妹ナタリー役は「ツインズ・エフェクト」シリーズの人気アイドル・ジリアン・チョンちゃん。ちなみにナタリーの彼氏役は、ぴよが今かなりお気に入りのダニエル・ウー君。もうこの映画たまらんよぅ〜!(萌)

そんな訳で、映画の内容は上記の「あらすじ」読めば判ると思うけど、丸々「スパイ・キッズ」のパクリ(苦笑)
「スパイ・キッズ」がスパイグッズ使わずに、代わりにカンフーで敵をなぎ倒すと思えば判りやすい。

でもこの映画は結構面白い設定にしてある。
この手のスパイ物は普通「絶対に自分がエージェントだと知られてはいけない」というのがセオリーのハズなのだが、この映画のおとっつぁんは「自分は情報部のエージェントだった」というのを誰彼なく吹きまくっているのだ(笑)
余りに自慢するから誰も信じない。それが逆に隠れ蓑になるという、なかなか手の込んだ設定です。

ユエン・ウーピンらしいアクション演出がふんだんに盛り込んであって、ワイヤーやフィルムの早回し&スロー等を駆使した見応えのあるアクションシーンを次から次へと提供してくれます。
でも、あくまでも本作は「本格アクションなのにコメディちっく」という路線を守って、ワイヤーの使い方やフィルムの早回しをわざと臭く安っぽく見せる事で、本格アクションファンにもB級コメディ好きにも楽しめるように計算して見せてくれます。
いや・・・本作のアクションはね、マジでかなりいいですヨ!アクション好きさんにはオススメ出来ますネ♪

確かに脚本にもたつきもあるし、ムダも多い。ダレる部分も多々ある。
それでも、エンターテイメント性やアクションシーンの質を考えれば、本作はハリウッドの大資本で作った鳴り物入りなのにまるで面白くない「フルCGアクション」なんかより、よっぽど見応えがあって楽しかったですよ。
B級コメディとカンフーアクションというのは、とても相性がいいんです♪

あぁ・・・それにしても、カンフーアクションにみんな飽きちゃったんでしょうかねぇ(溜息)
こんなに面白い作品なのに、きっと世間に知らずに埋もれて行くんだわ。本当にアクション好きのぴよは悲しい。
劇場公開しない地方も多いでしょうから、DVDレンタルになったらせめて見てやって下さいよ。







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2006年09月17日(日) スーパーマン リターンズ

監督:ブライアン・シンガー
出演:ブランドン・ラウス
    ケイト・ボスワース
    ケビン・スペイシー、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
忽然と姿を消したスーパーマンことクラーク・ケントは、自分の故郷を求め宇宙の果てを旅をしていた。しかし故郷のクリプトン星が完全に消失してしまった事を知った彼は、5年振りに第二の故郷・地球に戻って来る。ところが5年振りに地球に戻ってみると、恋人ロイスが1児の母となり婚約者と同棲している事を知り愕然とする。更に宿敵レックス・ルーサーは刑務所からまんまと出所して、新たな野望を秘め動き出していたのだ。


【感想】
子供の頃、1番のお気に入りTシャツは「S」マークの入ったスーパーマンのTシャツでした@ぴよです。
本作は一応1978年公開の「スーパーマン」と1980年公開の「スーパーマン・2」の5年後という設定らしいですが、前2作を見ていなくても本作だけでちゃんと話は判るように作られていると思います。

まずね、本作の予告編を見た時に「スーパーマン」を演じるブライアン・シンガーの姿を見て「この人の顔ってCG?」と思うくらいクリストファー・リーブに雰囲気が似てるなぁ!と思ったんですよ。
彼は元々TVには出ていたそうですが、本作でスクリーン・メジャーデビューらしい・・・それにしてもよくもこんなに雰囲気の似た美形を探して来たもんだと感心しましたねぇ。

更にいきなりジョン・ウィリアムズ氏の、あの伝説の名曲「スーパーマンのテーマ」が流れるんですよ。
こりゃー卑怯です。この段階でぴよも着てた服を脱ぎ捨てて空に飛び出そうかと思いましたヨ!←ちょっとウソ

で、本作ですが。
スーパーマンが突然姿を消して5年後、当時はみんなスーパーマンに助けてもらえて当たり前だったのが、いざスーパーマンがいなくなってみると・・・事故や犯罪の数は相変わらずだけど、何だかんだでちゃんとやって行けてる訳ですわ(苦笑)
しかも恋人・ロイスは自分の事を貞淑に待ってくれているかと思いきや、さっさと新しい恋人を見つけて子持ちになり、更には署名記事で「なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか」という記事を書いてピュリツァー賞まで受賞。
もう俺様って出る幕ない訳ぇ?と愕然とするスーパーマンは妙に可愛い(笑)

結局はレックス・ルーサーのお陰で(ん?)スーパーマンもその存在意義を世間的に再認識してもらえる訳ですが。
見せ場は前半の飛行機を止めるシーンと、後は後半の新大陸出現を阻止するシーン。正直言うと前半の飛行機シーンの方がクライマックスよりも絵的にハラハラドキドキして面白かった。
それより、本作のスーパーマンは案外弱い。ってか、こてんぱんにやられている。うーん。
スーパーマンってこんなに弱かったっけ?・・・ま、展開的には面白いのでコレも悪くはなかったんですが。

この手の作品は、映像技術が進めば進む程見応えが出てきますからネ、そういう意味では今この作品の続編を作るのは、古くからのスーパーマンファンには嬉しい映像の数々でしょう。
正直「続編」なのか「設定を少し変えたリメイク」なのか微妙なライン・・・例えば映画冒頭のテーマソング、ロイスとの夜のランデブー飛行シーン、そしてラストのカット等は、明らかに旧作の名シーンを再現する事で根強いスーパーマンファンのハートを掴もうという意図が見える訳です。

こういう数々の名シーンの再現を見せられると、思わず「どうして地球をグルグル回して時間を戻さんのぢゃよ」と、つい頭の中は「続編」ではなく「リメイク」を見ている気分になってしまうではないか(苦笑)
   ※ 意味の判らない方は「1987年版スーパーマン」をご覧になって頂ければ・・・

ま、でも「続編」としてはとても面白く作られていました。
次回作への布石も磐石ですし(コレって当然だけど次回作あるよね?)、レックス・ルーサーのキャラもジーン・ハックマンとは随分印象が変わったけど、コレはコレでケビン・スペイシーらしい独自のキャラを打ち立てていて好感が持てました。
もう少しブランドン・ラウス君に独自のオーラがあればいいのですが・・・何本かこのシリーズを撮っている内に、彼の中で何かが覚醒していつかしっくり来る日が来るかもしれません。

少なくともこのシリーズは、今後も温かく見守って行く事になるだろうと思いますネ。







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2006年09月15日(金) マッチポイント

監督:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リース・メイヤーズ
    スカーレット・ヨハンソン
    エミリー・モーティマー、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
貧しいアイルランド人・クリスは英国上流階級に憧れる野心家。ロンドンの高級会員制テニスクラブのコーチに職を得て、そこで大金持ちの息子・トムと親しくなる。トムの妹・クロエに気に入られたクリスは、とんとん拍子で結婚まで漕ぎ着けて義父の経営する会社の重役に収まって人生順風満帆。ところがトムの婚約者のアメリカ娘・ノラに惹かれたクリスは、トムとノラが婚約破棄をした後で再開し、ノラとの不倫関係にのめり込んで行くのだったが・・・


【感想】
かつて「NYの旗手」と呼ばれたウディ・アレンが、遂にアメリカに愛想を尽かしてロンドンに移住。
本作は英国移住後にロンドンを舞台にメガホンを取った第一作目。設定にとことんこだわったのか?役者も英国の役者さんを起用して、主人公クリスを魅了する「女優を目指して渡英して来たアメリカ娘」を、NY生まれのスカーレット・ヨハンソンに演じさせる辺り、ウディの手腕が光ります。

ウディの作品は何本か見ていますが、本作を見てまず思ったのは「随分作風が変わったなぁ」という事ですか。
シニカルな笑いと時代の風刺が魅力のウディ作品ですが、本作もすんごいシニカルな結末ではあるものの、全体的な印象としては彼独特のコメディセンスはなりを潜めて、ある意味「大衆向けに洗練された」という感じがしましたね。

多分昔からのウディファンには不満の残る作品じゃないかな?という気がしなくもないですが、特にウディ作品に思い入れのないぴよにとっては、本作はかなり面白かったし楽しめましたね。
むしろ、いつもの畳み掛けるような説教臭いセリフの応酬や思想の押し付け的嫌味な風刺が少ない分、すんなりと話に入り込んでスカーレット・ヨハンソン嬢のエッチな姿態を楽しむ事が出来ましたワ♪←ウディファンの方、読み飛ばしましょう

彼の作品を見ていていつも感心するのは、街角の何気ない風景の切り取り方や、室内装飾のさりげないようで徹底的なこだわりを感じさせる「センスの良さ」
本作もロンドンの古き良き街角、クラッシックなカフェの窓辺、一等地の洗練されたマンション、田舎の豪奢な別荘等、決して押し付けがましくなく、それでいて実に趣味のいい映像を堪能させてもらえました♪

映画のキモは冒頭のシーン・・・テニスボールがネットに引っ掛かった時に向こうに落ちれば相手の勝ち、こちらに落ちれば自分の負け、それは単なる運でしかないのだ、というくだり。
これは正に真理で、そしてこの映画の主題であり、更に巧みなミスリードにもなっている。相変わらずウマい!

今までのようなあからさまな嫌味っぽい風刺は放棄しているものの、でもきちんとクリスvsノラ&ノラの隣人の亡霊と会話するシーンでチクチクと語らせてみたり、ラストシーンでクリスに物憂げな表情をさせる辺り・・・本当にウディ・アレンという人はやる事にソツがないなぁ!と思わされましたね。
少々ウディの作風に食傷気味だったぴよには、本作は彼の作品の中ではかなりお気に入りになりましたよ。

音楽もNYジャズからクラッシックなオペラにリニューアル。
英国移住第一弾、作風をガラリと変えて心機一転。ウディはまずまず成功しているんじゃないですか?






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2006年09月12日(火) シュガー&スパイス 〜風味絶佳〜

監督:中江功
出演:柳楽優弥
    沢尻エリカ
    夏木マリ、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
東京・福生市に住む山下志郎は、高校を卒業して「とりあえず」ガソリン・スタンドで働き始めた。両親は大学進学しろと大反対するが、アメリカかぶれでBARを経営する「グランマ(祖母)」が後押ししてくれたのだ。志郎の働くスタンドにある日新人バイトの女子大生「乃里子」がやって来た。乃里子と過ごす内に今まで味わった事のない感情を抱くようになった志郎。そして乃里子もまた、恋に傷付いた心が志郎と過ごす内に癒されて、自然に惹かれ合うようになるのだが・・・


【感想】
山田詠美著、谷崎潤一郎賞を受賞した短編小説集「風味絶佳」に収録された同タイトル作品の映画化。
コレを「冷静と情熱のあいだ」の中江監督がメガホンを取り、主演は柳楽クン&江尻エリカちゃん、そしてフジテレビのヒットメーカー亀山氏が製作に名を連ねて、正に万全の体制でお届けする王道恋愛映画ってーヤツですねー!
えー。原作未読です。ってか山田詠美女史の作品を読んだ事がない。そんな事はどーでもいいですか。へへっ

まあ簡単に言ってしまえば、それまで恋らしい恋をして来なかったフツーの男の子が、初めてドキューン☆と効果音が付くような熱い恋に落ちて、そしてお約束通りの結末を迎える・・・という話な訳ですが。
あー。全部ネタバレしちゃったかも。でも先の見えた話だから罪は浅いよね?ね?(^-^;

話自体は至極当たり前でどこにでも転がってる話なので、ドラマティックでも何でもない。←いきなりコレかよ(苦笑)
コレは原作を読んでいないので何とも言えないけど、多分主要人物の感情の揺れや動きの情緒的な表現だったり、心象風景の描写が原作は相当巧みだったんじゃなかろうかと思うんですよ。
文章を読んででジーンとする話と、映像を見てジーンとする話(表現とも言うかな?)は微妙に違う気がする。
そこのトコロのギャップを・・・この作品は一体どのくらい近付ける事が出来ているんだろうか?

この作品を見て、柳楽クンの演技力というのは、どう評価すればいいのか益々判らなくなったぴよな訳ですが。
彼のセリフは明らかに棒読みだと思うんですよ。棒読みなのに、それが「初めて本気の恋?に落ちた男の実直さ」に見えるというのは、周囲が彼の棒読みキャラを理解して「棒読みだからこそ生きる役」を与えているのか、それとも彼は決して大根ではなくて「敢えて棒読みにする事で、朴訥でまだ恋のイロハが判らない青年」を作っているのか。
もしこの棒読みセリフが地じゃなくて完璧に計算された演技だったら、柳楽クンはマジで天才ですよ。

沢尻エリカちゃんは猛烈に可愛いんだけど、彼女の「心の揺れ」部分はもうちょっと掘り下げられなかったのかなぁ?
アレではただの「計算高い女」にしか見えないんだけどな。
ついでに言うと、志郎と乃里子ってほとんど半同棲状態だったんじゃないの?それにしては余りに2人の様子と言うか会話や雰囲気全体がよそよそしい感じがしたんだけどなぁ・・・

要するに、ファンタジーに作り過ぎてるんじゃないかな?と思ったんですけど。
一人暮らしの男の家に入り浸ってるんですよ。言っちゃ何だが、あの年齢のヤローが彼女と半同棲状態で、モジモジして信じて待つだけなんて有り得ないでしょ。ヤッてヤッてヤリまくってるクセにお前ら昭和40年代の昼メロでもあるまいし、そりゃー余りにファンタジー過ぎるだろうと。(^-^;
もうちょっと主要キャラの心の動きや揺れを掘り下げて見せてくれれば、ドラマとして深みが出ると思うのにな。

ま、結局「燃えるような初めての本気の恋」が大昔になっちゃったぴよに問題があるんでしょう。(涙)
決して悪くない話だと思うんだけど、コレと言って琴線に触れるものがなかったんですよ。夏木マリさんは相変わらずの存在感で随分頑張っていましたけど、肝心の主役2人の恋愛に肩入れ出来なきゃ話にならない。

少なくとも柳楽クンの演技がホンモノなのか地であの状態なのか・・・コレは今後注目したいポイントですなぁ。







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2006年09月08日(金) 太陽

監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:イッセー尾形
    ロバート・ドーソン
    佐野史郎、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1945年8月。既に宮殿は焼け落ち、僅かに空襲を免れた生物研究所と地下退避壕で生活する昭和天皇ヒロヒトは悪夢にうなされていた。もはや本土決戦もやむなしという戦局の中、ここまで戦争を止められなかった原因を思い、そして戦争をまた止めさせる為に自分が何を成すべきなのかを思うヒロヒト。彼は連合国占領軍総司令官・マッカーサーとの会見を前に、ある一つの決意を胸に秘めていたのだった。


【感想】
ロシア人監督の製作による、「終戦直前の昭和天皇」を描き出した問題作。
単館上映にも関わらず連日大入りの大反響で、既にマスコミでも取り上げられているのでご存知の方も多いでしょう。

昭和天皇に関しての資料は随分残されているので、戦後になってから当時の昭和天皇の様子等がいくらかは既に報道されていますが、少なくとも本作は「フィクション」であって、実際にこういう会話が交わされていたという証拠はないだろうと思います。本作も膨大な資料を下敷きに多少の事実と多くの脚色によって構成されているのだろうとは思います。
・・・まあ、でも「こんな感じだったのかもなー」くらいのリアリティは充分にありましたね。

ぴよが物心ついた頃には、既に昭和天皇はひょうきんな風貌のおっさん状態になっていたので(コラコラ)、かつてこのお方が「現人神」と呼ばれたというのは歴史の授業で習ったものの、TVに写る「元・現人神」を見てもピンと来なかった。
でも、1番ピンと来てなかったのは実は天皇ご本人だったんじゃなかろうか?と、この映画を見て思わされましたね。

映画自体は非常に淡々と、天皇の様子を描き出して行く。
昭和天皇は茶目っ気たっぷりに描かれていて、根本的にとても真面目で誠実なんだけど、その誠実な様子が時として観客の目にはユーモラスで奇異なモノに映る。
米兵に「チャップリンに似てる」と茶化されているのに、本人はどこ吹く風。周囲で見守る侍従が我が神を冒涜されていると憤慨しているのに、ご本人は「私はチャップリンに似ているかね?」と飄々とした表情で侍従に聞く姿は印象的。
余りにも純粋に、余りにも「悪」に触れずに育つと、他人の悪意が理解出来なくなるんじゃなかろうか?

東京が焼け野原になっていても、天皇の日常生活のスケジュールは正しく「浮世離れ」している。食事を取って御前会議に出席した後は、日課の海洋生物研究に身を投じる。それが終われば午睡をして体を休め、そして時に家族の写真を取り出して眺め、戦前に大好きだったハリウッドスターのプロマイドや絵画を眺めたりする。

「お前、世の中そんな場合じゃないんだよ」とはちょっと口に出来ない「浮世離れ度」なのだ。
余りに朴訥で余りに子供じみた昭和天皇の様子に、マッカーサーは随分拍子抜けしたものだろうと思う。

自分が「神」と呼ばれている事にずっと違和感を持ち続け、そして自身が「自分は人間だ」と宣言する事で、戦争を終結させる事が出来るだけではなく、ようやく「現人神」という長い呪縛から解き放たれるという安堵の気持ちが、当時の昭和天皇にはあったに違いないと思う。
自分が神ではなくなる事が、日本国民全ての幸せに繋がると信じたに違いないと思う。

でも、天皇を「現人神」だと思うからこそ「天皇陛下万歳」と叫びながら敵艦に我が身を投じていった多くの尊い国民の魂は、一体どこに行ってしまうのだろうか?と思わずにもいられない。
天皇が現人神だからこそ、我が身を滅ぼしても守りたいと散らした命は、どこに行ってしまうのだろうか?

映画のラスト、天皇の人間宣言を録音した若い技師が自決した事を告げられて愕然とする天皇の姿が悲しい。
これで国民を幸せに出来る、これで長年違和感を抱き続けた「現人神」という呪縛から逃れられると純粋に考えて決断した結果が、国民を絶望させる等とは天皇には想像もつかなかった事だろう。
昭和天皇は余りに純粋過ぎた。そして自分の名が軍部の思惑でどんな風に利用されていたのか、彼は知らなさ過ぎた。

事実はこの映画とは随分違うのかもしれない。
でも、子供の頃にTVで見た「昭和天皇」のお姿を思い出すと、この映画のような日常で、こんな展開があって人間宣言をするに到ったのかもしれないな・・・と思わされるだけの説得力がこの映画にはあった。
ぴよがTVで見た「昭和天皇」は、やっぱり浮世離れしていて掴みどころのない、無垢で純粋な人に見えた。

日本人には決して撮る事の出来ない、実に興味深い映画でした。
見終わった後、色々考えさせられましたね。本作を戦争体験者の方が見たら、どんな感想を持つのでしょう?







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