ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2005年02月28日(月) タイムトラベラー きのうから来た恋人

監督:ヒュー・ウィルソン
出演:ブレンダン・フレイザー
    アリシア・シルヴァーストーン
    クリストファー・ウォーケン、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
1962年ロスに住む天才発明家カルヴィンと臨月を迎えた妻ヘレンは、キューバ危機のニュースを見て危険を感じ、カルヴィンが作った広大な地下シェルターに逃げ込んだ。直後たまたま自宅に飛行機が墜落、核爆弾が落ちたと勘違いしたカルヴィンはシェルターを35年開けられないようにロックし、シェルター内で生まれた息子アダムと3人で暮らしてきた。35年後シェルターロックが解除されて外に出たカルヴィンは、オカマや銃を持った若者を見てショックで寝込んでしまう。食料調達の為に息子のアダムが生まれて初めて外に出たのだが迷子になってしまい・・・


【感想】
1999年製作のロマンティック・コメディー。
本作、クリストファー・ウォーケンの熱烈ファンの方から「布教活動(謎)」として強く勧められましてネ、レンタル屋さんに速攻で走っていって店員に探してもらって借りて来た次第。DVD発売もされてます。

設定が1962年に始まるってのがウマいです。
当時アメリカはキューバ危機で上へ下への大騒ぎをしていた時期。確かに当時は「家庭用シェルター」の販売ニュースなどが世間を賑わしていて、一部の金持ちは購入したりしていたでしょう。
で、ウォーケン様の役ドコロはキチと紙一重状態の天才発明家(どちらかと言うとキチ寄り。笑)
彼は自分の発明で得た巨額を投じて自宅地下に巨大シェルターを作っていて、3人が35年間暮らして行けるだけの充分な食料や生活必需品を備えているという設定。

もう最初っからハチャメチャな話なんですが、これがちゃんと筋が通ってるからスゴいんですわ!(笑)

で、35年間地下シェルターで息子に英才教育を施す訳ですが、全く外界を知らない息子のアダムにとって、パパとママの教えは彼の世界の全てな訳です。超ウルトラ純粋培養されたアダム35歳@童貞(爆)
上にも書いたけど、1962年というとまだアメリカでは「古き良き時代」の真っ只中。ウーマンリブ運動もベトナム戦争もないし、妻は花柄のフリフリスカートを履いて夫に仕えるのがステイタスの時代。
先日観た「ステップフォード・ワイフ(2005.2.17鑑賞)」とまるまる時代が被ってます。

そんな古き良き時代からパパもママもその後のアメリカに染まらずに生きて来たから、当然だけどそんな両親に育てられた息子のアダムも「古き良きアメリカ男児」に育つという訳でして。
これが現代(劇場公開時の90年代)の「ヨゴレなアメリカ娘」の目に、もっと言えば2005年の今鑑賞したぴよの目にも奇異でありながら羨ましく微笑ましく映るという構造。しかもすんごくコミカルで面白い!

過去の遺物が現代にタイムスリップして来るラブコメと言うと「ニューヨークの恋人(2002.5.14鑑賞)」とネタが似ているなーと思いながら鑑賞していたんですが、この作品の方がずっと前に作られてるんですよね。
そして言わせてもらうと「ニューヨークの恋人」よりも本作の方がずっと出来がいい。

エピソードも時代に即しているし、映画の見せ場エピソードであるアダムのダンスシーンも、ネタの前振りとしてシェルター内できっちりダンスを習うシーンが登場しますし(ウォーケンとシシー・スペイセクのダンスシーンは必見!笑)
その他の小ネタも魅力的だし、前振りとオチの落としドコロが判り易くてナチュラルで好感度高いです♪

惜しむらくは、日本人ウケするミーハーなメジャー俳優が出演していない為に、きっと劇場公開時もそれ程話題にもならずに闇に埋もれてしまったんではないか・・・という事でしょうか。
(ウォーケンファンのM様、この部分はお気になさらないで下さい!苦笑)

今からでも遅くはないです!
ここんとこ当たりラブコメ映画も少ない事ですし、この作品未見のラブコメ&ロマコメファンの皆様は今直ぐレンタル屋に直行して本作を借りて来るorビデオかDVD購入に走りましょう!損はさせませんヨ♪







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2005年02月27日(日) シザーハンズ

監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ
    ウィノナ・ライダー
    ダイアン・ウィースト、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
とあるのどかな町の奥、山の上に佇む古城住んでいた老発明家が人造人間エドワードを作った。ひとまず手をハサミで作って後は人間の手を付けるだけの段階で老発明家は死んでしまう。取り残されたエドワードは一人で城に住んでいた。ある日化粧品セールスにやって来たペグがエドワードを見つけ、彼の手を気の毒に思い我が家に連れ帰る。ペグの娘で高校生のキムの写真を見て一目惚れしたエドワードだったが・・・


【感想】
1990年(日本劇場公開1991年)のバートン監督作品。
実は劇場公開時に映画館で見ている作品なので感想に取り上げるかかなり迷ったんだけど、細かい部分も結構忘れちゃってたし、久し振りに再見したので新たな気持ちで見れたってー事で感想UP決定♪
この作品で初めて「ジョニー・デップ」という役者の名前を知ったんだよなぁ〜・・いやぁー、懐かしいっ!!

ある意味ティム・バートンの原点とも言える作品なんじゃないかと思う。
そしてジョニー・デップにとってもやはりこの作品は彼の演技、彼の持つキャラクターの原点のように思う。
とにかく「はぁ〜!?」なメイクと髪型、そして手が何故かハサミで出来てる・・・何故ハサミなのヨ(笑)

ここら辺りの「ファンタジーなんだけどどこかアングラ」な空気感というのはいかにもバートンらしい。
どこか滑稽で魅力的なキャラクター、明るいカラフルな色調の町並みなのに薄ら寒いモノを感じさせる背景、コメディタッチなエピソードを繋いでる割にはかなり辛らつに人間の醜い姿を見せる作り、どれを取っても本当に「バートンらしい」作品だと今回再度鑑賞して改めて思う。

この映画に登場して来る町のおばちゃん達は決して悪人ではない。
おせっかいで噂好きだけど陽気で明るい、本当にどこにでもいそうな田舎の普通のおばちゃん達だ。エドワードを最初に見た時は好奇心丸出しで「退屈な日常に飛び込んできたオモチャ」エドワードをチヤホヤする。
次に彼の意外な芸術的才能を見つけたおばちゃん達は、自分もそのセンスで得をしようと群がりまくる。
でも何か自分達にとって不都合な事態が起こると、内輪に悪者を出すのが好ましくないと思ったおばちゃん達は自然によそ者でしかも異形のエドワードに罪をなすり付ける事でコミュニティーの団結を図る。

やってる事は相当感じ悪い(映画見てても確かに相当イヤなババア達だ。苦笑)けど、やっぱりぴよにはおばちゃん達が悪人には見えなかったね。映画ではかなり感じ悪くディフォルメして表現しているけど、こういう身内同士の結束と保身の為の愚かな間違いを人は往々にして犯すと思う。自分も含めて。

バートンはこのファンタジーに勧善懲悪を最後まで取り入れてはくれなかった。でもそれが良かった。
子供向けディズニーファンタジー系なら、きっとラストはエドワードの冤罪が晴れて町の人は彼を誤解していた事を悔い、そしていつまでもエドワードは幸せに町の人達と暮らすのでした。ちゃんちゃん♪というシメだろう。
でも現実はこの映画の示す通りでしょう。人は悪意なくとんでもない間違いを犯す。エドワードと心通わせたキムですら、彼の冤罪を最後まで晴らそうとはしなかった。

切ない恋愛ファンタジーの様相を呈していながら、実は痛烈に人間の愚かな「悪意なき悪事」を見せつける大人向けの寓話になっていると思う。

今になって見直すと随分チャチな映像だなぁと思うけど、伝わるメッセージは劇場公開時と随分違ってました。
当時はただただエドワードとキムのやりとりに涙、涙・・・なんてピュアで切ない恋愛なのかしら!町のおばちゃん達ったらヒドいわ!サイテーよっ!という印象しかなかったんだけど、今は恋愛部分自体よりももっとその奥の「何故この話が切ない恋愛話になってしまったのか」という部分について深く考えさせられました。
それだけぴよも大人になって、汚い世の中と人の心に触れて、そして自分もまた汚れたという事なんでしょうね・・・

何にしろ、この作品はやっぱり今でもぴよのお気に入りですネ。
それにジョニー・デップの演技は秀逸ですヨ。ウィノナ・ライダーもめっちゃくちゃ若いわぁ〜!







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2005年02月26日(土) ヴィタール

監督:塚本晋也
出演:浅野忠信
    柄本奈美
    KIKI、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
医大生の博史は交通事故に遭い、一命を取り留めたものの記憶を全て失ってしまう。両親の顔すら判らない博史だったが自室に置いてあった医学書だけには強く反応し、医大に入学し直した。2年に進学して解剖実習が始まり、博史は腕に刺青のある若い女性の献体を解剖する事になったのだが、解剖を進める内にこの献体が博史と共に事故に遭い死亡した恋人・涼子である事が判ったのだ。


【感想】
日本映画界の奇才・塚本晋也監督最新作。
本作は第61回ベネチア国際映画祭特別招待作品になっています。しかもエンディングソングは沖縄に隠遁して音楽活動休止中のCoccoが本作の為に曲を書き下ろし。CDリリースする予定はないそうなので、彼女の新曲が聞きたい人はこの映画を見るっきゃないという訳だ・・・この曲かなりいいです。何でCDリリースしないんだろ?勿体無いなァ

塚本作品ってのは、物凄くクセがあると思うんですよね。
ハマる人はめっちゃくちゃハマる。シュールな映像の見せ方が「通好み」な熱狂的ファンを生み出す土壌だと思うのですが、ぶっちゃけ言って一般ウケする作品はあまりないと思う。
多分塚本氏ご本人がメジャーになりたいと思ってないんでしょう。「判る人には判る」というのがカッコイイスタイルだと思ってらっしゃるんだろーし、彼の作品を熱烈に支持するファンの方々もきっと「彼のシュールな世界を理解出来ない凡人は気の毒だよネ」みたいな特権階級的意識をお持ちなんじゃないかと思う。

そんな訳で、凡人でアホのぴよは塚本作品が苦手です(爆)

苦手ではあるけど映像は確かにスゴイ。
塚本氏独特の世界観がふんだんに散りばめられて、青みがかった映像や単視点から広角に一気に引くカメラワーク、手前ボケと奥ボケを巧みに絡ませて不安定感を匂わせたり独特の透明感のある映像は、他の作品ではちょっとお目にかかれないこだわりを感じさせてくれます。

話の筋自体は結構シンプルなんですよね。
記憶喪失の男が解剖実習を通して自分の過去を取り戻していく。その過程で亡くなった彼女との魂の呼応というのか?いわゆる「夢と現」を行ったり来たりしてアイデンティティーを取り戻して行くってトコロでしょうか。

要はその「見せ方」が好きか嫌いか?というだけの事でして。
シュールで官能的と言えばそーなんでしょうけど、判りにくいっちゃー判りにくい(^-^;
そんな訳で脳味噌の作りがシンプルで感受性の乏しいぴよには「とっつきにくい」としか思えないんですが、一見何が言いたいんだか訳わかんないよーなシュールな塚本ワールドにハマる方の気持ちはまんざら判らなくもないです。

決して万人ウケする作品ではないですが、塚本作品は一貫して「精神(魂)の解放」を映像で体現させるというテーマが潜んでいるように思いますネ。少なくとも前作「六月の蛇(2003.6.6鑑賞)」もそんな作品でした。
ハマった人勝ちですね。今回はハマれなかったぴよの負けです。はい。(笑)







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2005年02月25日(金) シャーク・テイル

監督:ヴィッキー・ジェンソン
声の出演:ウィル・スミス(オスカー)
      ロバート・デ・ニーロ(ドン・リノ)
      レネー・ゼルウィガー(アンジー)、他
オススメ度:☆☆+


【あらすじ】
海の底に広がる大都会リーフシティ。洗鯨場で働くオスカーはいつか一発当てて大金持ちになりたいお調子者。一方海を仕切るサメのドン・リノは末息子レニーが心優し過ぎるのが悩みの種。ある日オスカーがレニーと共にいた乱暴者の兄フランキーに襲われるものの、たまたま落ちてきたイカリに当たってフランキーが死んでしまう。これをチャンスと見たオスカーは、リーフシティに戻って自分がサメをやっつけたんだと吹聴。一躍「シャーク・キラー」として人気者になるのだが・・・


【感想】
「シュレック」でオスカーを手にしたドリームワークスが送り出す最新CGアニメーション。
吹替えをやってる役者が大物揃いなのも話題ですよね。上記以外にもアンジー姐さんやジャック・ブラック、そして何故かマーティン・スコセッシ監督までご登場。スコセッシはよっぽどアカデミー賞に食らい付きたいんでしょうか?(笑)

海の中でお魚が主人公と言うと、誰もがピクサースタジオの「ファインディング・ニモ」と比較するでしょう。
でも映画の作りとしてはやはり「シュレック」と比較したいトコロ。
「シュレック」は散々パロって皮肉って笑わせてくれた作品でしたが、本作もそのテイストはそのまま、CG技術がより進化した上にキャラクターが熱帯魚さん達という事もあって、シュレック以上に色鮮やかで楽しい映像になってます。

てな訳で、楽しめたのは映画前半で散々笑わせてくれたパロディと、映画中に使われている楽曲くらい(アレ?)
話は磐石と言ったら聞こえはいいけど、先の見えたありきたりでワンパターンな展開ですし、コレと言って特筆したいようなモノは何もありませんでした。←今日も吠え(苦笑)

パロディ精神がキャラクター作りにも反映されてるのか、それとも豪華な俳優陣に吹替えてもらっている事をより強調して話題性を持たせたいのか、キャラクターは魚だけど顔は吹替えてる役者そのままになってるんだよね。デ・ニーロが吹替えてるドン・リノなんてちゃんと同じ場所にホクロがあるし、ウィルもレネー嬢もアンジー姐さんもホントに見たまんまのキャラ。
スコセッシに至ってはスコセッシ以外に見えない。膨らまないとハリセンボンにすら見えない(爆)

コレが「面白い!」と楽しめる人にはいいんだけど、ぴよは見てて「魚にする意味あんのか?」としか思えなくて(^-^;
逆に魚の話にしちゃうとどーしても「ニモ」と比較したくなる。ニモに比べるとやっぱり話の展開も見せ方も稚拙だという評価にならざるを得ないし、同社作品の「シュレック」に比べても、キャラを魚にしてしまった事で「ガキ向けで幼稚だよな」という印象にしかならない。

だったらキャラクターの顔を役者そのままでパロらないで、独自キャラにすれば良かったのか?・・・やっぱりニモと比べてしまうし、今更また童話キャラ引っ張って来る訳にも行かず。
じゃあ陸上の動物にしたらどーだろう?・・・あ。もうすぐ公開の「レーシング・ストライプス」と被りますか。
・・・困りましたねぇ。奥さん。 ←誰に言ってんだヨ(笑)

ネタや展開は明らかにお子様向けなんだけど、散々パロって皮肉る辺りは明らかに大人向けの作り。
だからと言って「親子で楽しめる」という万人ウケ系なのか?と言われると、大人が鑑賞するには余りに物足らないし子供にはこの映画で一番楽しめるハズのパロディがほとんど判らないだろう。

見て胸糞悪くなるような作品じゃありませんから、親子でホドホドに楽しんで頂ければいいんじゃないですか?
まあ、家族で見たい映画の意見が割れた時の代替案として・・・そんな感じですかネ(^-^;








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2005年02月24日(木) ローレライ

監督:樋口真嗣
出演:役所広司
    妻夫木聡
    香椎由宇、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1945年8月、広島に原爆が投下され大戦は終局へ向かっていた。海軍軍令部の浅倉大佐は更なる原爆投下を阻止すべく長らく現場を離れていた絹見少佐を艦長に抜擢、ドイツ軍から接収した潜水艦「伊507」で原爆搭載された戦闘機が離陸するテニアン島爆撃の命令を下した。余りに無謀な作戦に見えたが、実は伊507には「ローレライ」と呼ばれる特殊な敵艦探知システムが搭載されていたのだ。


【感想】
福井晴敏氏著のベストセラー小説「終戦のローレライ」の映画化・・・だとばっかり思ってたら、そうではなくて最初から映画と小説を連動させて発表しようという企画で立ち上げて書かれた作品だったんですネ。全然知りませんでした。
小説の方は先に2002年12月に発表されて、吉川英治文学新人賞や日本冒険小説協会大賞を受賞しています。
ちなみにぴよは小説未読です。だから小説を先に読んでる方とは感想がかなり違うんじゃないかと思う。

小説は結構な長編作品なようなので、きっと映画ではかなりエピソードや説明を端折っているであろうと推察。
たぶん最も端折られてる部分は「ローレライ・システム」の設定に関する説明なんじゃないかと思う。
だって・・・ちょっとびっくりするくらいお粗末過ぎるシステムなんだもん。←いきなり吠え(笑)

小説版も「ローレライのウィッチ(魔女)」は日本語ベラベラのクウォータードイツ人カワイコちゃんなんでしょうか?
とてもじゃないけどたかだか1/4しか日本人の血が入ってない子には見えませんがネ・・・まー余り意地悪言うのもな。

それにしても余りにリアリティのない話です。←また吠え
リアリティがなさ過ぎるので、それが返って幸いしたのか?ツッコミ入れる事も忘れて、このマンガちっくな話を意外とすんなり自分の中で受け入れて楽しめちゃったというのが正直なトコロか。
何より妻夫木クンは相変わらず可愛いからネ♪どーしてこの時代の下士官達に一人も坊主頭のヤツがいないのか?なんてつまんない事考えちゃ〜ダメ。だって誰も妻夫木クンの坊主姿なんて見たくないんだもーん(笑)

設定とか展開諸々がむっちゃくちゃなので、そこんとこザックリ自分の中でぶった斬って人間ドラマ部分だけを楽しんでいたのですが、さすが「踊る大走査線」を作った亀山プロデューサーが製作しただけはありますヨ、魅力的なキャラクター作りをしていてきっちり泣かせシーンも盛り込んで磐石ですわ。

上に「マンガちっく」と書きましたが、監督の樋口氏は元々「ゴジラ」シリーズの特撮監督や「エヴァンゲリオン」の絵コンテと脚本、他にも「ドラゴンヘッド」の視覚効果デザインや「CASSHERN」のバトルシーン絵コンテ等を担当して来た映像専門畑の方でして、本作が実写長編映画の初監督作品のようです。
そのせいもあるのか?潜水艦内の様子等の映像視覚効果には非常にこだわりを感じさせてくれて、ぶっちゃけCG部分はちょっとお粗末かなぁ〜とも思えますが、「宇宙戦艦ヤマト」世代の方だったら何か懐かしいよーなお楽しみ感は充分に味わえるんじゃないかと思いますネ。

ツッコミ出したらキリがないですが、ドラマとしてはきちんと楽しめるように作られていると思いますよ。
いかにもフジテレビが作った映画だなぁ〜という、正にフジテレビらしい作品と言えるでしょう。

フジテレビの月9ドラマは欠かさず見る!という方には間違いなくオススメ出来ますネ(笑)






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2005年02月23日(水) 銀幕のメモワール

監督:ピエール・グランブラ
出演:ジャンヌ・モロー
    ブノワ・マジメル
    マリオン・コティヤール、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
若き映画監督サムは、第二次世界大戦時に消息不明になった伝説の銀幕スター「シルヴァン・マルソー」を追うという企画映画を製作しようと思い立ち、戦前彼の恋人だった老婦人リザの居場所を突き止めて彼女の元を訪ねて行った。始めは過去を語りたがらなかったリザだが、サムの熱意に押されて少しずつシルヴァンとの出会いを語り出したのだが・・・


【感想】
フランス大物女優ジャンヌ・モロー、そして「スズメバチ」等で女性ファンを一気に増やしたナイスガイ♪ブノワ・マジメル君や「TAXIシリーズ」でおなじみのマリオン・コティヤール嬢等、人気フランス人俳優てんこ盛り出演の一作。
製作は2001年、当然だけどフランス映画。

若き映画監督が老婦人を訪ね、彼女の語る過去の出来事を映像で見せるというよくありがちな見せ方と展開な訳ですが、途中で映画監督サムと彼の両親とのどーでもいい会話シーンが映画の流れをブチブチと寸断しましてネ、どうしてこんなまどろっこしい作りをしてんだろうなぁ〜と思ってたんですヨ。
で、途中まで見てるとどーやらぴよが勘違いしていたらしい事に気付きました。

映画が始まってしばらくは、てっきりこの作品の主題は「戦争によって引き裂かれた若き恋人達の悲恋」なんだとばっかり思っていたのですが、そう見せかけておいて実は「恋人達の悲恋を聞いた事をきっかけに、サムが自分と親のユダヤ人としてのアイデンティティーについて考える」というのを見せるのが主題だったようです。

ユダヤ人でありながらカトリック教徒になっていてユダヤ人である事をひた隠して生きてるサムの両親。
サム自身も「フランス人」として育てられたけど「ユダヤ人」として育てられた記憶がない。
どうして両親はユダヤ人としての誇りを持って生きようとしないんだろう?・・ってのをサムが考えるのがキモなんだというのは最終的に何となく判ったんですが、でもどー見ても「悲恋物語」が中心になってるとしか思えない作りな訳でして。

要するに判りにくいんですわ(^-^;
ぴよがおバカだからヨーロッパのこの時代の歴史に疎い、というのを差し引いたとしてもキモ部分の描写が薄過ぎて判りにくいんですわ。もっと言うとキモ部分を引き出す為の「悲恋物語」のインパクトの方が強過ぎて、サムと両親との家族の繋がりに目が行かないっつーか。
ブノワ・マジメル君はとっても可愛いんだけどねー・・・ジャンヌおばちゃんとマリオン嬢に完全に食われちゃった(笑)

単なる悲恋物語だけで通しちゃっても「反戦映画」として収拾は充分ついたと思う。
でもきっと監督さんは「ユダヤ人としてのアイデンティティー」部分にこだわりたかったんでしょう。
だったらサムの両親ネタをエピソードの中心に据えるべき。中途半端過ぎたのが最大の欠点だと思うね。







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2005年02月22日(火) ホワイト・ライズ

監督:ポール・マクギガン
出演:ジョシュ・ハートネット
    ダイアン・クルーガー
    ローズ・バーン、他
オススメ度:☆☆−


【あらすじ】
広告会社に勤めるマシューは、彼女との結婚を控えてNYから故郷のシカゴに戻って来た。とあるレストランでマシューは思いがけない人物を見かけた。それは2年前に出会いたちまち恋に落ちたものの、ある日突然姿を消した元恋人リサだった。リサへの思いが断ち切れないでいたマシューは、翌日の中国出張をキャンセルしてリサの足跡を辿り、ようやくアパートを探し出したと喜んだのも束の間、そこにいたのは同名の全く別人の女性だったのだが・・・


【感想】
「パールハーバー」「プラックホーク・ダウン」等に出演して固定ファンも多いジョシュ・ハーネット主演最新作。
個人的にはジョシュは「ブラックホーク・ダウン」以降パッとした作品に出てないなぁ〜って気がするんですが、気のせいなんでしょうか?(ファンの方、ここは読み飛ばしましょう。苦笑)
マシューの元恋人リサ役をダイアン・クルーガー、謎多き女性アレックスを演じるのはローズ・バーン・・・って、余りメジャーな役者さんが出てませんネ。ちなみにマシューの親友ルークを演じているのは「スクービー・ドゥー」シリーズのシャギー役で御馴染みのマシュー・リラードです。
実は「どっかで見た顔だけど何に出てたっけなぁ?」と思ってたんだよね。公式サイト見てよーやく判ったワ(^-^;

前振りが長くなりましたが、本作。

簡単に言えば「ちょっとサスペンスちっくな純愛ストーリー」とでも言うんでしょうかね?
非常に手の込んだ作りをしていましてネ。映画が始まってしばらくは誰がどーいう役回りで、何が起こってんだかさっぱりわかんなくて非常に戸惑ったんですが、話が進んで来ると次第にエピソードの時系列や人間関係が判ってくる。だから最終的にはどんなアホでも理解出来るようには作られています。

個人的にはトリッキーな脚本というのはかなり大歓迎なクチなんですが、本作に関して言わせてもらうと・・・

イライラするんぢゃ!(怒)

あー。赤太文字使うの久し振りかもー♪ ←喜んでる場合ぢゃないでしょーが(^-^;

トリッキーな展開は決して悪い訳じゃないんですよ。
映画前半の何気ないシーンが、話が佳境に入ってから次々と「あのシーンがココに来るんだぁー!」「へぇ〜!」みたいなお楽しみ種明かしシーンとして効果的に使われていたと思いますしネ。

ただ、根本的にかったるくて面白くないんだ。←吠え
演出?脚本?に問題があると思うんだけど、映画導入部のキャラと背景の見せ方が余りにも説明不足と言うか、観客に提示するネタの見せ方が稚拙過ぎて、観客が導入部分で退屈して飽きちゃうんですヨ(苦笑)
更に本来なら観客を唸らせる、観客の共感を得なければいけないハズのこの作品のキーマンに魅力がなさ過ぎる。
キーマンのキャラに魅力を感じない作品は、観客が納得出来ないし見ても楽しめない。

見せ方やキャラクターの作り方によってはかなり面白くなるハズのネタだと思うのに、どーしてこんなにつまんないB級作品になっちゃったんだか・・・

ジョシュ、結構いい役者だと思うんだけどなぁ〜・・・出演作品をもーちょっと選びましょうヨ(^-^;







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2005年02月21日(月) Ray レイ

監督:テイラー・ハックフォード
出演: ジェイミー・フォックス
    ケリー・ワシントン
    シャロン・ウォレン、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
8歳の時に弟を自分の不注意で亡くし、そしてその9ヵ月後に失明したレイ・チャールズ・ロビンソン。彼は1948年17歳の時に単身シアトルに渡り才能が開花、「盲目の天才」と呼ばれ一躍有名になった。レイはゴスペルとR&Bの融合させて「ソウル」を確立、ロックやカントリー等も彼によって新しい命を吹き込まれて行った。だが成功するレイの裏には複数の愛人との愛憎劇、そして麻薬に溺れる荒んだ生活があったのだ。


【感想】
2004年6月に73歳でこの世を去った「ソウルの神様」レイ・チャールズの自伝映画。
今年のアカデミー賞では「アビエイター」と話題を二分している大物映画だから、みんな言われなくても知ってるよネ。
主演は存命中のレイ・チャールズ自らが指名をしたジェイミー・フォックス。

本作はレイ・チャールズがシアトルに出て来た1948年から麻薬中毒を克服する1965年までを中心に見せています。
その後の活躍も勿論周知の事実ですが、やはり一番レイが輝いていた時代、そしてレイが最も苦しんだ時代はこの時期だと思うので、ザクッとダイジェストにレイの人生を追うだけよりも、この時代を中心に見せているのは正解でしょう。

普通の伝記映画だと(特に製作していたのが本人存命中の場合)どうしても闇の部分にはスポットを当てにくいものだと思うんだけど、この作品は逆に成功部分よりも「成功の裏にあったレイの苦悩と闇」というダークな部分をクローズアップして、敢えてその闇部分を中心に見せているトコロがスゴイと思う。
存命中レイも勿論この作品には自ら精力的に参加していたようですが、自分の「負の歴史」をよくもここまで赤裸々に表現する事を認めたよなぁ〜、本当に心の強い「ソウルの神様」という言葉そのままの人だったんだろうなぁ〜、と思わずにはいられませんね。

内容については敢えて触れるのはやめましょう。
彼のゴシップ記事はネットで調べればいくらでも載っている事なので、調べれば済む事ですから。

ゴシップ記事には載っていないであろう「彼の幼少時代のトラウマ」が、この映画のキモでしょう。
「弟の死」がレイの心に影を落とした原点であり、そして終生彼の心を支えた「母親」という存在の偉大さを、この映画は実に瑞々しく表現していたと思う。
「盲目だと呼ばせない」「盲目だけどバカではない」――レイが成功後も何度も口にするそれらの言葉は、幼い頃にレイの為を思って厳しくも愛情深く見守った母親の言葉そのままだった。
視力を失ったレイ少年が耳を目にしてコオロギを捕らえるシーンは、涙なくしては見られない名シーンだったと思う。

アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジェイミー・フォックスの演技も本当に素晴らしい!
映画評論家のみなさんがこぞって「レイ・チャールズの魂が乗り移ったかのようだ」と大絶賛するのもさもありなん、見ていてついジェイミーじゃなくてレイ本人を見ていると錯覚しそうになるくらいの熱演でしたネ。
「アビエイター」を見ていないから早計かもしれませんが、この作品を見る限りジェイミーがオスカー像を手にするのは間違いないんじゃないかしら!?

さて、大絶賛ですが惜しいと思ったのはラスト。
この映画が企画された段階ではレイ本人が生きていたから、きっと当初の予定ではジョージア州で復権した後に、レイが大ホールで熱狂的な観衆を魅了しているライブシーンを流して「そしてソウルの神様は今もなお人々の心を揺さぶり感動させ続けているのだ。ビバ!レイ・チャールズ!!」ってな終わり方だったんじゃないかなー?と思うんだけど、残念な事にレイは映画制作途中でこの世を去ってしまった。

そのせいだと思う?けど、ジョージア州で復権したシーンの後がペロペローッとナレーションで彼の偉業を称えて亡くなった事を語ってハイ、お終い・・・これはちょっと味気ないんじゃないですか?(^-^;
どーせなら、やっぱりラストはレイがピアノを前にして観客を魅了する姿で締めて欲しかった。
誰もが知ってる彼の死を今更スクリーンで淡々とナレーションされるよりも、彼の最も輝いてる姿で幕を閉じてもらった方がずっと話が締まると思うのに。それを望むファンはきっと多いと思うのに。

そんな訳で、映画の作りとしてはもう一歩という感じはします。
でも・・ジェイミー・フォックスは素晴らしかった!音楽も最高だヨ!!
是非是非、音響効果の良い映画館で鑑賞して下さい。帰りにはレイのアルバムを買って帰りたくなりますヨ♪






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2005年02月20日(日) フル・モンティ

監督:ピーター・カッタネオ
出演:ロバート・カーライル
    トム・ウィルキンソン
    マーク・アディ、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
イギリス北部の町シェフィールド。かつて鉄鋼業で湧いたこの町も今は廃れ、工場閉鎖によって半年前にクビになったガズ達は失業してジリ貧生活中。離婚した妻が「息子の養育費700ポンドを払わないと親権を奪う」と言って来てガズは一念発起、失業仲間と共に男性ストリップをやろうと思い付くのだが・・・


【感想】
20世紀フォックス配給だけど製作はイギリス。1977年の作品です。
今作は1977年アカデミー賞に4部門ノミネートされ、更に英国アカデミー賞では9部門ノミネート(内4部門受賞)というすんごい作品なんですよ。って言うか前からずーっと見たくってなかなか機会がなかったんだな。
今回よーやく鑑賞にあり付けましたワ♪

話は、離婚して息子を取られた上に失業して養育費も払えないダメ親父が、息子の共同親権を奪われないように養育費稼ぎの為に男性ストリップをやって大金を稼ごう!・・・まー何ともB級なネタな訳ですが、コメディに高尚なネタなんてあり得ませんから全然OKですヨ。
しかもストリップやる仲間ってのが、50過ぎた親父やデブや自殺志願の根暗野郎と、粒揃いの(謎)おっさんばかり。
こんなオヤジのストリップ見たかーねーよ!と誰もが最初は思うんだけど、それがちゃーんとコイツらのストリップショーが見たくて見たくて仕方なくなるよーに作られてるからスゴい!!(笑)

エピソードも小気味良くて秀逸!
ほとんどの人が「お気に入りシーン」に挙げると思うけど、職安で並んでる人がドナ・サマーの「Hot Stuff」に合わせて知らず知らず体を動かしてるシーンはサイコー!ちゃんとみんなの動きが合ってるトコロも笑える♪それからジェラルドの家に差し押さえに来たヤツらを「パンツ一丁軍団」が無言で追い返すシーン!ステキー!(笑)
主人公ガズのダメっぷりも板に付いてるし、周囲のメンバーのキャラがきちんと描かれてるのも好感持てるネ♪

単に「オヤジのストリップショー」を見せるだけの映画じゃー面白いネタではあるけど闇に埋もれるただのB級映画。
この映画の素晴らしいトコロは、おバカネタなのにちゃんと彼らの葛藤や苦悩、親子の絆、夫婦愛、迷走、確執、そして団結と、人の心の機微をさりげなく余すところなく、しかも笑いの中に見た人を「癒す」パワーがある事だと思う。

特に手の込んだ脚本でもない、金のかかった映像でもない、あっと驚く展開もない。
それでもたった1時間半程度の短い上映時間で、これだけ笑わせてくれていい気持ちにさせてもらえる作品にはそうそう巡り会えないんじゃないかなぁ〜と思う。

ラストシーンの終わり方も潔くて気持ちいい♪
非常に完成度の高いお気楽極楽コメディーですヨ。ご覧になってない方は是非鑑賞リストに加えて下さい♪








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2005年02月17日(木) ステップフォード・ワイフ

監督:フランク・オズ
出演:ニコール・キッドマン
    マシュー・ブロデリック
    ベット・ミドラー、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
EBSテレビの敏腕プロデューサー・ジョアンナは、自分が企画した新番組で傷害事件が発生し、その責任を取らされ解雇されてしまった。失意のどん底にいるジョアンナを心配した心優しい夫は、人生をやり直そうと郊外の閑静な住宅街ステップフォードに引越してきた。町の空気にたちまち馴染んだ夫だったが、ジョアンナは余りに美しく装い余りに完璧な妻達の様子に違和感を感じるのだった。


【感想】
ニコール・キッドマン主演最新作。「ローズマリーの赤ちゃん」等で知られるアイラ・レヴィン氏の原作を映画化。1975年にキャサリン・ロス主演で映画化されていて、本作はリメイクという事です。
出演してる役者が芸達者揃いで、ニコール演じるジョアンナを支える優しい夫役にマシュー・ブロデリック、ステップフォードを仕切るウェリントン夫妻をクリストファー・ウォーケンとグレン・クローズ、そしてジョアンナと共にステップフォードの謎を探る隣人ボビー役にベット・ミドラー・・・一癖ありそうな錚々たる顔ぶれってヤツですね。

予告編を見た段階ではハードなサスペンス?と思ったんだけど、蓋を開けるとブラック・コメディなB級サスペンスといったトコロでしょうか。意外と言ったら意外だけど、ぴよはこーいうの大好きですねー♪

まずその町並み、家の中の様子、調度品、ステップフォードの妻達の衣装や髪型の可愛らしさと言ったら!
1960〜70年代風って感じかな?設定は現代のハズなのに、何故かこの町の中だけタイムスリップしたみたいに家も人も何もかもがわざとらしいくらい「古き良き」モードになってる。

この「古き良き」ってのがキーワードだあね。
「男は家長然としてゆったり構え」「妻は常に美しく装い完璧に家事をこなして夫に絶対服従する」・・・これがあるべき夫婦の姿だと思ってた時代が日本にもあったぢゃないですか。
世の男性の「理想の妻像」ってきっと世界共通なんだろうなぁーと思わされるよね。女側から見るとすげーキモいんだけど、かつては女もこういう妻に憧れ頑張った時代があったんだよなー・・・ってネ。

要するに「女はこうあるべき」という理想を掲げて縛りを作っているのは、男ではなくて実は同性である女だ、というのがキモというかこの映画のブラック・ユーモアたる部分なんですよ。
バカ男達の逆襲劇に見せておいて、実は手のひらの上で転がしてるのは女。逆に「男ってこーいう女が好きだよねー」と鼻で笑っているようで、実際には鼻で笑ってる男達に気に入られようとせっせと髪の毛カーラーで巻いたり爪磨きして「理想の女」を作り上げてるのは同性の女。
フェミニストを擁護しているように見せかけて、実はチクチク嫌味言ってるみたいな感じだよネ(笑)

他にも「ゲイの共和党候補」とかブラックユーモアてんこ盛りですが、それ程難しいネタはないし日本人にも判り易いお軽い笑いで終始していますので、なぁーんにも考えないで楽しむのにうってつけのバカ映画になってます。

それにしてもニコール嬢の美しさったらどーなんでしょう!
すっぴんにボサボサ頭でジャージ姿でも誰よりも美しいですわよ。それが「ステップフォード式」に染まろうと努力する辺りから更に磨きがかかり、プラチナブロンドのパーフェクトスタイルになるに至っては溜息しか出ませんって!
ニコールファンはこの映画見逃したら人生3割損する!マジで余りの美しさに卒倒しそーになっちゃったわヨ!

ぶっちゃけ言ってDVDレンタルで充分な内容のお軽いB級バカコメディですけど(無茶苦茶言ってる?)、暇潰しに楽しむ娯楽映画の王道みたいなこんなアホ映画に、よくもこれだけ芸達者を揃えて豪華絢爛にやって下さいました!みたいな映画好きさんならではのお楽しみに溢れてますヨ。
ぴよはこーいう映画がだーい好き♪バカ映画のクセに妙に洗練されてるのもステキです♪







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2005年02月16日(水) MAKOTO

監督:君塚良一
出演:東山紀之
    和久井映見
    哀川 翔、他
オススメ度:☆☆


【あらすじ】
法医学監察医の白川真言は特殊な能力を持っていた。彼は思いを残して死んだ人間の霊が見えるのだ。様々な霊が伝えたい思いを持って佇む姿を見て、彼らの伝えたい言葉を捜しながら司法解剖をする真言。だが半年前に不慮の事故で亡くなった妻・絵梨が何を伝えたくていつまでも自分の目の前に佇んでいるのか判らなくて悩んでいた。


【感想】
TVドラマ化した「きらきらひかる」等、ヒットを飛ばす郷田マモラ氏の同名コミックの映画化。監督は「踊る大走査線」の脚本等を手掛けたヒットメーカー君塚良一氏が初メガホンを取り、主演の真言役を14年振りの映画出演という東山紀之、妻・絵梨役を和久井映見、他にも映画やTVドラマでお馴染みの錚々たる顔ぶれを揃えてます。

映画冒頭は「ホラーサスペンスか?」と思ったんだけど、ヒューマン・ラブストーリーって感じですかね。
公式HPには『ゴースト』『シックス・センス』を超える泣けるホラー、と書いてありましたけど、ホラーじゃないっす。
だって全然怖くないもん。怖かったっつーかビビったシーンは一ヶ所だけ。どのシーンだったか書くと面白くないろだうからここには書かないけどサ(笑)

確かに「へぇ〜!」というちょっと意外なオチだったんだけど(まあ、途中で読めるけど)、見せ方は決して悪くないような気がするんだよね。
じゃあ何が良くなかったんだろう・・・って考えると、そりゃー1番マズかったのは東山クンと和久井映見ちゃんが全然夫婦らしくないっつーか、恋愛関係のある2人に見えないって事でしょうねぇ(苦笑)

どちらかのキャストミスなんだろうと思うのよ。東山クンの監察医は決して悪くなかったけど映見ちゃんが妻ってのはしっくり来ないし、幽霊姿で切なく佇む映見ちゃんはかなりハマってるんだけど東山クンが夫ってのはしっくり来ない。
どちらかの役者を変えた方が良かったよーな気がするなぁ。
ついでに言うとベッキーは全く必要ないね。つーか彼女の存在が著しくリアリティに欠けてて話がウソ臭く見える(笑)

いくつかの霊との対話エピソードを挟みながら主軸の「妻の伝えたい言葉を探す」というネタに持っていくんだけど、映画前半から中盤までのエピソードは「こーやって真言が霊の言葉に耳を傾けてるんだヨ」というプロセスを見せる役割と、後は「他の霊の言葉は判るのに、肝心の自分の妻が伝えたがってる言葉が判らない」という真言のやるせない思いを観客に提示しているんだろーなー・・・というのは判るんですが、個々のエピソードが独立し過ぎてるって言うのか、それぞれのエピソードが妻ネタに上手に絡んでないし伏線としても生かされてないって言うのか。

それぞれのエピソードが、それ1つでちゃんとした話としてまとまり過ぎてるのよね。
だから1本の映画を見てるというよりも「世にも奇妙な物語・霊ネタ特集」を見てるよーな気になっちゃう(笑)
君塚氏は「踊る大走査線」を長年手掛けて来ただけあって、室井滋女史の使い方もソツがないし(要するに笑いネタだね)、ゲスト俳優(という訳でもないのか?)の武田鉄也氏の起用もウマい。
話もダレないし、ちょっぴり泣かせなシーンも盛り込んで(ぴよは全く泣けなかったけど)キレイにまとまってる。

でも「TVの2時間ドラマ特番で充分ちゃう?」くらい。(^-^;
もう少し全体の流れが1本にまとまってるといいのに・・・監察医や刑事のやりとりにリアリティがなかろーが(をい)少なくともドラマとしては面白味は充分にあったし、花火のシーンもスゴくキレイだったしさー・・・

そーは言ってもやっぱり「TV2時間特番」の枠を出ない感じだよなぁ。うーむ。







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2005年02月11日(金) アレキサンダー

監督:オリバー・ストーン
出演:コリン・ファレル
    アンジェリーナ・ジョリー
    ヴァル・キルマー、他
オススメ度:☆


【あらすじ】
紀元前356年、時のマケドニア王フィリッポスとオリンピアスの間に生まれたアレキサンダーは、文武に長けた青年へと成長していった。彼が20歳の時に父王が暗殺され、若き王が誕生した。その類稀な戦術とカリスマによって次々と周辺諸国を制圧、ついには宿敵ペルシアを制してエジプトから西アジアの広大な領土を有するようになる。ところが故郷へ思いを馳せる家臣達を顧みず、アレキサンダーは更に東のインドまで遠征を強行するのだ・・・


【感想】
ラジー賞(ラズベリー賞)にノミネートされまくり、しかも受賞は確実視されているという「ある意味話題」の作品。
そーは言ってもすんげー豪華キャストですし、逆にここまで米国でコケ下ろされると一体どれくらいクソ映画なんだろー?って興味が湧くぢゃないですか♪←悪趣味ですか?(苦笑)

アレキサンダー大王については基本的な歴史は知ってるつもり。それよりも一緒に見に行った相方が猛烈なアレキサンダー大王ファンでしてネ、もう心酔してると言ってもいいくらいのラブラブ度なんですヨ。
だから見に行く前に相方に言っておいた。「かなりヤバいらしいから、覚悟して見なさいヨ!」ってネ。
・・・映画見て震えてましたネ。怒りの余り体中ブルブル震わせてましたネ(苦笑)

日本では「アレキサンダー大王」と言うと、歴史の教科書の数行に記載があるだけの「すごく強い王様だったらしい」程度の触れ方ですが、彼は「アレキサンダー王」ではなくて「大王」なんですよ。
歴史上で「大王」と呼ばれるのはそう何人もいない。それだけ素晴らしい王様だったという事です。
彼が「大王」と呼ばれるのは、強くて情け容赦なくて惨殺して回った恐ろしい人だったからではなく、その圧倒的なカリスマと英知に長けた戦術、民衆を愛し民衆に愛された人だったからに他ならないのです。
世界中に今も彼の名を冠する町が数多くあり、そして21世紀の現在も「いつか必ずアレキサンダー大王が降臨する」と本気で信じて待ち続けている人達が数多くいる、本当の歴史上の英雄なんです。

その大王が、ただのマザコンのゲイでワガママで、家臣達みんなから総スカンくらった上に家臣みんなの協力で暗殺されたトンデモ野郎になっちゃってますがな。これってどーなんだヨ!?
オリバー・ストーンはアレキサンダーの事が嫌いなんですか?そーとしか思えないくらい悪意に満ちた作品ですわ。

そもそも「イッソスの戦い」をすっ飛ばして「ガウガメラの戦い」をクローズアップするのもおかしな話。
映画ではいとも簡単にペルシアを下しているように見えちゃいますよね。ペルシア王ダレイオス3世の描き方もさ、悪趣味で能無しで逃げ回るだけのオッサンになっちゃってるし・・・どーなんだヨ!この映画ったらヨ!!(怒)

幼少時代〜ガウガメラまでの展開はそれでも良しとしよう。
ガウガメラの戦闘シーンは確かによく描けてたと思うし、この映画最大の見せ場だと断言出来る迫力ですし。
しかしながらその後のダラダラと続く間の悪い展開、しつこいくらいに登場する「ホモネタ」、更に東方遠征を諦めてインドから撤収するきっかけは「家臣から総スカン」食らって、更に「自分が怪我して気弱になっちゃった」からですか?それって全然史実と違うぢゃないですかぁーっ!!

挙句の果てにプトレマイオスに「みんなアノ人の夢に着いて行けなかったんだ」と言わせるに至って、相方は怒りの頂点に達しておりました。
さもありなんでしょう。何故オリバー・ストーンはアレキサンダーを俗人に貶めるのか?
プトレマイオスに白々しく「彼の栄光が」「彼は真の英雄」と語らせても、この映画を見て誰が一体アレキサンダーを素晴らしい歴史上数奇な真の英雄と納得出来るだろうか?

確かにコリン・ファレルはミス・キャストではあるけど(全然マケドニア人に見えねーし)、彼の演技自体はぴよはそんなに悪くなかったと思う。アンジー姐さんだって妖怪めいてて面白いオリンピアスだったし(笑)
ただただコリン君が気の毒でしたね・・・こんなクソ映画に何故キミは出演してしまったのか、と。
色男を見つけると途端に艶っぽい視線をくれる様子なんて、ウマ過ぎて感じ悪いですからぁぁぁーっ!!(爆)

アレキサンダー大王の栄光の歴史について知識のない方、お願いだからこの映画は見ないで下さい(^-^;
これ見て「アレキサンダーってこーいう人だったんだぁ」なんて思われたらたまったもんぢゃありません。







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2005年02月10日(木) イブラヒムおじさんとコーランの花たち

監督:フランソワ・デュペイロン
出演:オマー・シャリフ
    ピエール・ブーランジェ
    ジルベール・メルキ、他
オススメ度:☆☆☆−


【あらすじ】
60年代のパリ、裏通りの貧しいユダヤ人街に住むモモは、母の顔も知らず父には愛されず育った13歳の少年。ある日家の向かいにある雑貨屋で万引きしたトコロを見咎められたモモ。ところが店主のトルコ人商人イブラヒムは笑顔で「もし今後も盗むならうちでやってくれ」と言う。これがきっかけでイブラヒムの元へ通うようになり、彼から生きる知恵や愛、そして笑う喜びを教えられて段々心を開くようになったモモだったが・・・


【感想】
自ら引退を表明していた「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバコ」で知られる名優オマー・シャリフを、スクリーンに引きずり出して第一線に復帰させたという作品。シャリフ氏は本作出演後に「オーシャン・オブ・ファイヤー(2004.5.8鑑賞)」でハリウッド復帰も果たしています。
本作はエリック=エマニュエル・シュミット氏著のベストセラー小説の映画化だそーだ。

親からの愛情を受けずに育ち、頑なに心を閉ざしている貧しいユダヤ人少年モモと、彼の心を氷解させて人生の素晴らしさを説く優しいトルコ人老人の心の交流を描くぷちロードムービー系。
「ぷちロードムービー」という言い方も変だけど・・・父親を失ったモモと2人でイブラヒムの故郷トルコにドライブ旅行するから確かにロードムービーなんだろうけど、でもなぁ〜んか違うよーな気がするんだよなぁ。

映画前半〜中盤までのイブラヒムとモモのやりとりはとっても面白いんだよね。
モモ少年がまた・・・13歳にして娼婦を買い漁るというとんでもねーマセたガキなんだけど(笑)、生まれて直ぐに母親は家出していなくなってるし、父親は母親が連れて行ったらしい兄の事ばかり引き合いに出して疎ましく扱われていて、家族の愛に飢えているという事から「娼婦遊び」に走っているのかな?と。

そんなモモを無条件で愛してコーランの教えを説くイブラヒムおじさん。
彼の信仰してるのはイスラム教でもちょっと特殊な「スーフィー」とか「スーフィズム」と呼ばれる神秘主義なんだけど、トルコに着いてからイブラヒムの故郷近くだと言われる場所で見かけた白いスカート履いてグルグル回ってるおっさん達・・・これ、トルコのコンヤという地方に残る「メヴレヴィー教団」という神秘主義派の独特の舞いです。
去年7月にトルコに旅行した時にコンヤで見たかったけど見れなかったんだ。この映画で見れてよかったワ♪

と、話が脱線しましたが(^-^;

「イスラム教の教え」だからと言って敬遠しないで欲しい。
イブラヒムがモモに語る話は、人として誰もが知るべき・守るべき教えばかり。優しい目でにこやかにモモに語りかけるイブラヒムおじさんはとぉーってもステキだ♪オマー・シャリフ、ハマってるなぁ〜!

パリの裏町の様子もすごく雰囲気があるし、トルコのイスタンブールのモスクや名物のサバサンド、カッパドギア、コンヤの様子もとぉーってもステキだし懐かしい♪文句なしだぜぇー!・・・と言いたいトコロなんだけど

どーもまとまりがないと言うのか、シメが唐突過ぎると言うのか。
突然取って付けたよーにバタバタと話が展開して、あれよあれよと話をまとめ上げて行ってしまうのは何故なんだか。
かなりいい話が聞けたハズなのに、映画見終わってもなぁーんにも心に残ってないんだなぁ←言い過ぎ?(^-^;
ものすごーく静かな話(つーか、かったるい展開)なので、眠たくなる方も多々いるかと・・・

でもね、誰が聞いてもイブラヒムおじさんの話はホントにいい話なんだけどねぇ。何がいけないんだか(をい)







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2005年02月09日(水) ビヨンド the シー 〜夢見るように歌えば〜

監督:ケヴィン・スペイシー
出演:ケヴィン・スペイシー
    ケイト・ボスワース
    ジョン・グッドマン、他
オススメ度:☆☆☆☆+


【あらすじ】
リウマチ熱による心臓病で15歳まで生きられないと宣告された7歳のボビー。彼は音楽と出会いその才能を開花、青年に成長したボビーはNYで歌手としてデビューしてたちまちスターダムにのし上がった。映画に出演したボビーは共演した16歳の女優サンドラ・ディーと恋に落ち、1960年に結婚。その後遂に憧れのコパカバーナへの出演も果たし、正に頂点に立ったかに見えたのだが・・・


【感想】
37歳の若さでこの世を去った伝説のエンターティナー、ボビー・ダーリンの生涯を描く伝記映画。
製作・脚本・監督・主演、更には劇中の歌と踊りも全てケヴィン・スペイシー自身がこなすという、正にケヴィン渾身の一作というトコロでしょうか。
ところで最近「伝記モノ」がすっごく多くないですか?「レイ」もそーだし「アビエイター」「五線譜のラブレター」それからこの映画見に行ったら「ライフ・イズ・コメディ」という、ピーター・セラーズの伝記映画の予告編までやってたぞよ(^-^;

と、いきなり話が脱線したトコロで。

さてボビー・ダーリン氏、「目指せ!シナトラ」「追い越せ!シナトラ」をスローガンにその短い生涯を駆け抜けた人だったよーですが、やっぱり早死にしちゃうと損ですネ。
そもそもぴよはこの方の名前を知りませんでしたもの。だけど映画が始まって彼のナンバーが流れるや、どれもこれも聞いた事のある曲ばかり・・・こりゃーぴよんちの実家にレコードが何枚もあったぞ!(笑)
曲は誰もが1度は聞いた事のあるモノばかり。特にタイトルにもなっている「Beyond the Sea」を知らないという人は、少なくともぴよの世代以上の人にはいないでしょう。

映画はボビーが自分の伝記映画を作るというシーンから始まる。
これが、たぶん死後の自分(もしくは死に行く自分)が最期に見る夢・・・「人生が走馬灯のように」ってヤツを、自分の伝記映画を作るという事柄になぞらえて表現しているんだろうと思われ。
先日鑑賞した「五線譜のラブレター(2005.1.27鑑賞)」と非常に被った構成になっていますが、「五線譜〜」は様々なスターに楽曲を歌って頂いてググッとミュージカル仕立てになっていますが、コチラは歌と踊りはあくまでも彼の舞台でのシーンとして再現されていて、ミュージカルという訳ではないです。

この歌と踊りのシーンがスゴイ!
「歌手の伝記」の場合、当然だけど本来歌ってる方の声に馴染みがあるから、パフォーマンスだけ演じて声はご本人様の歌を後から当てるのが当然だと思うんだけど、ケヴィン氏は敢えて歌まで自分の生声で挑戦してる。
これが・・・めっちゃくちゃ上手いんだ!上手いだけじゃなくてボビー・ダーリンの声音にとても雰囲気が似てるし、歌い方もすっごく似てる。最初に聞いた時てっきりボビー本人の声が当ててあるんだとばっかり思っちゃったくらい!
ま、これはボビーの熱烈ファンから言わせれば似てないのかもしんないけどネ(苦笑)

更に、事実に反する・・・とまでは言わないけれど、事実にあった事を敢えて描いていない部分もある。
例えば1番判り易い部分だと、映画ではボビーの死の床まで妻のサンドラ・ディーが寄り添っているけど、事実は67年に彼女とは離婚しているという点。

コパカバーナのステージに立つという夢を実現した後、時代はコンサートの大ホールが主流になり、彼のような上質なライブ感覚というのはウケなくなる。政治に手を出してベトナム戦争に対する反戦歌を歌っては観客を白けさせたボビー。
それでも本来の彼の才能が枯れる事はなく不死鳥のように蘇り、そして愛に溢れたままこの世を去る。
去っても尚、彼の華々しく輝くステージと彼の魂は衰える事なく、燦然と光を放ち続けて行くのよ・・・

事実はこうじゃなかったかもしれない。
一生を添い遂げると決めた妻とは離婚していたし、失意も充分に味わっていただろう。でも、誰だって自分の人生の終末に思い描く「自分の人生の走馬灯」は美しく輝いていたい。
ましてや伝説のエンターティナー「ボビー・ダーリン」が一人寂しくこの世を去るなんて許せない。ボビーは生きて輝き、そして死しても尚輝き続ける永遠の天才エンターティナーでなければ・・・!

そういう、作り手の「愛」がスクリーンから溢れ出ていました。
「作り手」と言うか、ケヴィン・スペイシーの放つボビーに対する愛で満ち溢れていました。
ボビー・ダーリンという偉大なる人物をどれほど愛しているか、どれほどみんなに知って欲しいかという熱意が痛いほど伝わる、とっても愛の溢れた作品になっていました。

ケヴィンが25歳ソコソコの若者を演じるには余りにムリがあるだろーよ!というツッコミはほぼ100%あるでしょう。
当然だけどぴよだって見始めた時は「おまへ、それはムリがあるさ(ふっ)」と思いましたもの(^-^;
でもね、映画を見終わる頃には全く気にならなかった。どうしてもケヴィンがボビー役をやりたかったんだ!という熱意と愛がひしひしと伝わってきて、そして本当に素晴らしい演技だったからね。

万人ウケする作品じゃないし、ぴよがケヴィン好きだからという贔屓目が入ってるのも百も承知。
でも、この映画は本当にステキでした。作り手の愛を感じる作品って見てて気持ちがいいんだよネ♪








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2005年02月08日(火) ビフォア・サンセット

監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク
    ジュリー・デルピー、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
9年前にユーロトレインの車内で出会い、ウィーンで一夜を過ごしたアメリカ人青年ジェシーとフランス人美女セリーヌ。半年後に再会する約束は果たされる事がなく9年の月日が流れ、ジェシーはセリーヌとの経験を小説に発表した事でパリの書店で朗読会が行われた。そこに現れたセリーヌと再会を喜び合う2人だったが、残された時間はジェシーがNY便に乗るまでのたった85分しかなかったのだ。


【感想】
1995年に発表された「恋人までの距離(ディスタンス)」の続編。
監督も主演の男女俳優も9年前のキャストのままで、しかも前作からの時間と同じ「9年後の2人」という設定で映画化するというのは面白いと思う。思うものの・・・前作未見ですぅ〜(^-^;←このパターン多いっすな
しかも2人が再会して別れなきゃいけないタイムリミットが85分。そして映画上映時間も85分。要するに2人の再会をそのままライブで見せようという趣向・・・最近では「24シリーズ」のようなライブドラマ流行りですが、本作もそんな「ライブ好き」さんを刺激する一作!?

実はこの作品が続編だと知らなくてネ。
ぶっちゃけ言うと、前作のファンだった方とそーじゃない方では結構評価が分かれるんじゃないかと思うんですよ。
前作ファンの方はたぶんこの2人のウィットに富んだ会話のやりとりに惚れ込んだんだろうし、前作を見ても大して興味をそそられなかった方はたぶん本作は見ないだろう(コラ)、そして前作未見のぴよの場合は・・・

いや、正直言って結構楽しかったですね。
前作未見というハンデはあるものの、2人が会話をしていく様子を見てる内に「確信」まではいかないまでも「たぶんこんな事だったんだろーなー」くらいには前作までの展開が理解出来るように脚本が練られていました。
更に前作の映像(だよね?)も所々会話に被せて見せてくれましてね、これは前作ファンはたまらんでしょう!

9年経ってお互いその後人生経験も豊富に積んで大人になった。
そんな2人が空白の時間を埋めるかのように、政治・地球環境・恋愛感・セックス、様々な話を延々としていくんだけど、人生経験を積んだこの年齢だからこそ言える「等身大の今のアタシ・オレの人生観」をお互いがまくしたて続けるプロセスが・・・最初は再会出来た喜びと興奮、それから9年間のブランクもあって多少遠慮がちに語り出し、興が乗り始めると熱くなり、皮肉を交え、自虐的になり、そしてようやく本当に伝えたかった言葉を交し合うという展開は、たった85分の中にまるで人生を凝縮したような面白さがありました。

彼らが語る言葉のいくつかは、多少人生の辛酸を舐めて来た人には大いにうなずける名言だったろうし、過去を悔やんだり懐かしんだりする気持ちもこの年齢(どの年齢だよ。苦笑)になればすごくよく判る。

しかしながら、ぴよは見ていてこの2人がかつて愛を確かめ合った恋人達にどーしても見えなかったんだな。
もっとも9年振りに再会していきなり「愛に飢えて燃え燃えです!モード」なんてあり得ないし(苦笑)、実際にもし昔たった一晩だけ愛を語り合った人に再会したら、やっぱりこの映画みたいに「ちょっとぎこちないけど親密」という微妙な状態になるんだろうなぁ・・・とは思うのですが。

でもネ、「実際」だったらいいんですが、コレは「映画」な訳でして。
ぶっちゃけ言って恋愛映画に必要不可欠な「色気」が余りに足りないんですよ。
「9年間くすぶっていた思いを言葉で綴る」と文章で書くとすごくロマンティックな感じがしますが、半年後の再会の約束を果たせなかったが為に人生の歯車が狂った2人の「恨み節」を延々とぶつけ合ってるだけみたいな感じがして・・・コレって少なくとも「恋愛映画」というカテゴリには当てはまらないよなぁ。すごく微妙だよなぁ〜って感じでして。

ラストがこれまたねぇ・・・ぴよは正直言ってこのラストは悪くないと思うんだけどサ、エンディングのスタッフテロップが流れ始めた瞬間、会場がどよめきましたヨ(笑)
「えぇっ!?コレで終わりなの?マジで!?」・・・だって。

コレでいいと思うけどナ。次回はまた9年後かなー?ってネ(爆)







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2005年02月04日(金) キッチン・ストーリー

監督:ベント・ハーメル
出演:ヨアキム・カルメイヤー
    トーマス・ノールストローム
    レイネ・ブリノルフソン、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
1950年代初頭、スウェーデンでは国内外の主婦の台所での動線を調査し、製品企画等に役立てるようになっていた。新たに独身男性の台所動線調査をする事になり、スウェーデン人のフォルケはノルウェーの被験者イザックのトコロへやって来た。自宅横にトレーラーで横付けし、キッチンを見下ろすような監視台に座って1日イザックの行動を見守るフォルケ。最初は非協力的だったイザックだったが、とあるきっかけで禁止されていたのに2人は会話を交わしてしまう。


【感想】
スウェーデンとノルウェーの合作映画。2003年の作品。
ノルウェーの偏屈な独居老人イザックと、彼の家に「台所動線調査」に来た調査員フォルケとの心温まる交流。
・・・って、物凄く地味ですよ。おっさんとジジイの心の交流〜♪華やかな展開があったら逆に怖いです(笑)

心の交流がどーのこーのと言うよりも、映画見ながら思ったのは「ここら辺りの国の歴史を勉強しときゃよかった(涙)」
1950年代初頭という時代設定がどーやらこの映画の重要なキーのようです。

第二次世界大戦終戦後間もないこの時代、先の大戦中にナチスドイツに散々な目に遭わされたノルウェー人達は、お隣の国なのに中立をさっさと宣言して知らん振りを決め込み、自分達を助けてくれなかったスウェーデンという国も国民にも不信感をバリバリに持っていたよーです。
もしかしたらそれ以前から元々この両国には溝があったのかも?よく判りませんが、とにかくノルウェー人のイザックはとにかくスウェーデンという国も国民も嫌ってる様子。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ってなもんで、スウェーデン製のタバコすら嫌ってるらしい。

ここらの時代背景が判っていないと、2人が交流し始めてぐんと距離が縮まるきっかけになった会話の重要性がわかりづらくて辛いな・・・全く知らなくても両国の関係をさりげなく映画中で紹介してくれますけど、それだけではちょっと背景が掴みにくいし2人が急速に仲良くなるのが唐突に映るかもしれないな、と。

この調査では決まり事が色々あって、調査員は絶対に被験者と会話をしたり交流を持ってはいけない・調査に徹してまるで透明人間にでもなれ!とでも調査機関は言いたいのでしょう。
んな事ムリに決まってますわね。誰だって長い時間一緒にいれば会話したくなって当たり前。
てな訳で、イザックとフォルケもひょんな事から会話を交わし、そして急速に仲良くなってついにはイザックのお誕生日会を開くまでの親密度にまで発展。会社にバレたら即刻クビですよー(^-^;

はい。クビになりました(笑)
しかもイザックの唯一?の友人だったハズのグラントが調査会社にチクってやんの(^-^;
このグラントというおっさんのヤキモチ、尋常じゃありません。ほとんど犯罪スレスレの事やってくれます。

と、ちょっとびっくりするよーな事件(謎)もあるのですが、映画全体として非常〜にまったりしたペースで淡々と話が動いて行って・・・これが不思議な事に全くダレませんでしたね。
もっとも映画に出てくるのはぜーんぶ地味な面したおっさん達。劇的な展開なんてある訳ないですよ。でも劇的な展開はない代わりにジワジワと観客の心に訴えかけてくる、そんな癒し系(?)の人間ドラマでした。

そもそもイザックとフォルケはお互いの事を個人的に嫌ってる訳じゃない。
特にイザック、ただ単に「戦争の時に助けてくれなかったスウェーデン人」という国民感情的な部分でスウェーデン人のフォルケを避けていたという事ですから、フォルケ個人の意見を聞いてみて納得すれば後は「個人的な心の繋がりが持てるかどうか」という事になる訳で。

この映画の「国民感情的に隔たりのある国家間の草の根交流」はとても気持ちのいいものでしたが、日本人もこのネタは考えさせられますよね・・・日本が嫌われてるのは「助けてやったか否か」なんて可愛い話ではありませんが(苦笑)








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2005年02月03日(木) アンナとロッテ

監督:ベン・ソムボハールト
出演:ナディヤ・ウール
    テクラ・ルーテン
    フドゥルン・オクラス、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
1926年ドイツ・ケルン、双子の姉妹アンナとロッテは両親の死によってアンナはドイツの貧しい農家へ、病弱だったロッテはオランダの裕福な家庭に引き取られる。幼い2人は恋しがって手紙を書くものの、養父母によって手紙は出されずにお互い死んだものと思っていた。それから10年後、消息が判った2人は再会する。時はドイツでナチス党率いるヒトラーが台頭、忌まわしい戦争が2人の運命に暗い影を落とすのだった。


【感想】
2004年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
オランダの文豪テッサ・デ・ロー氏のベストセラー小説を映画化したもので、本国オランダでは公開されるや「この10年で最も優れたオランダ映画10作品」の1本に選ばれて大絶賛された作品だそーです。

映画冒頭から登場する双子の姉妹が猛烈に可愛くて、目の感じはちょっと違うけど雰囲気は充分双子っぽい。
この双子が成長すると、あんなに似てるよーに見えた双子がまるで赤の他人のように違っちゃってます。もっとも演じてる役者同士に縁戚関係はないんだからホントに赤の他人なんですが(笑)

いや、これは「もーちょと雰囲気の似た役者を使え」とか、そういうクレームが言いたいんじゃなくてネ、
育った環境や育てられ方で、人というのはこんなに容姿も変われば思想も生き方も変わるんだ・・・というのを象徴する為に役者の雰囲気をわざわざ変えたんだろーな、と。
その違いは歳を重ねれば重ねるほど顕著になって、老婆になったアンナとロッテなんて恐ろしい程違う。ユダヤ人の比較的裕福な家庭に嫁いだロッテは歳食っても品のいいマダム風ですし、一方苦労しっぱなしだったアンナは顔に刻まれたシワも深く顔もよく日に焼けて労働者を思わせる風貌。よく「人生は顔に出る」って言いますよね。

風貌もさることながら、時代と国がここまで双子を隔ててしまうという皮肉。
アンナはドイツで育ってナチス党に感化されて当たり前のようにナチス親衛隊の妻になる。別にユダヤ人に恨みはないけど国を挙げてユダヤ人を糾弾してるから「そーいうもんかな」くらいに悪意なく思ってる。
一方ロッテにはそういう政治的・思想的差別感を持たずに育っているから、ナチス党の考え方を嫌っているし、更に恋人のユダヤ人がナチス党によって捕らえられて殺された事で、ドイツもナチスも無差別に忌み嫌うようになる。
それがたとえ実の姉のアンナであっても、「親衛隊の妻だった」というだけで恋人の仇に見えてしまう。

国は違うけど、日本人だって中国や朝鮮の方に嫌われてるでしょ。アレと同じ感じだよね。
自分の身内が殺された恨みが、特定の個人ではなくてその国・その国民に向けられる。戦時下で身内を殺されると仕方ないのかもしれないよな・・・誰に殺されたかなんて特定出来る訳ないし、要するにどの国のどの国民がやったのか?という事が問題になるんだろーな、と。

話は脱線しましたが、
アンナとロッテもそんな隔たりを経て歳食った訳だけど、ただの姉妹じゃなくてわざわざ「双子」という設定だったというのもキモだと思うんですよね。
映画中でもアンナがロッテに向かって言う。「もしアタシとアンタの貰われた先が逆だったら」
本当にぴよもそう思いながら見てた。もしロッテが農家に貰われていたら、もしかしたら病弱なロッテは虐待に耐えられずに成人する事無く死んでいたかもしれないし、仮に成人したとしてもやっぱりアンナが取った行動と同じ選択をしていたに違いない。そしてアンナもやっぱり親衛隊の妻になったロッテを憎み恨んだだろうと。

色々考えさせられる話でしたが、救いは老婆になった2人が・・・アンナがロッテに自分の話を聞いて欲しいとすがりつき、ロッテがそれを振り切って逃げながらもちょっと飛び越えなきゃいけない溝を渡る時に、少し足が難儀そうなアンナの為に当たり前のようにロッテが手を貸してあげるトコロ。
仰々しくセリフを連ねて和解を見せるんじゃなくて、こういう小さなシーンで「それでもやっぱりたった2人きりの姉妹」というお互いの思い(特にアンナを拒否し続けたロッテの思い)を上手に見せているなぁと思ったね。

最後はちょっぴり切ない・・・
これを「2人は最終的に和解が出来てよかった」と受け止めるべきなのか、それとも「和解するには時間が経ち過ぎた」と見るべきなのか・・・日本も似たような状況を抱えてますしネ、本当に色々考えさせられました。







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