監督:梶間俊一 出演:村上弘明 南野陽子 遠野凪子、他 オススメ度:☆+
【あらすじ】 昭和20年9月、特攻隊の生き残りとして復員して来た安藤昇は、新宿の闇市でかつての仲間と再会。更に特攻隊同期の藤原とも再会した安藤は、新宿でテキヤ一家相手に自動小銃乱射事件を起こし淀橋警察に連行。この一件で安藤は裏社会に名が知れ渡った。時代を読んだ安藤は拠点を渋谷に移し、この地で次々とライバルの組を屈服させて、ついには昭和27年青山通りに念願の「渋谷興業」を設立。安藤グループは渋谷の頂点に立ったのだが・・・
【感想】 戦後の混乱期に渋谷で名を上げた伝説のヤクザ「安藤昇」氏の、復員後から「中井襲撃事件」までの昭和20年〜33年までの隆盛を描いた作品。 彼は出所後自らの手で組を自主解散させ、更には自分の半生を小説「激動」として発表。これがきっかけで芸能界入りして役者としても活躍、彼の名前で次々に映画化し本作は安藤氏に関わる90本目の記念すべき作品なんだそーだ。
えーと。 物凄く有名な方だそうですネ・・・実はぴよは全くこの方を存じ上げませんでした(^-^; だってヤクザ映画って全く見ないし、アチラの世界にも全く興味ないから関連のTV番組すら見ませんし。
今年は第二次世界大戦終戦から60年という節目の年。 そんな訳で本作は単なる「ヤクザ映画」ではなく、この激動の戦後混乱期を生き抜いた熱き男達の軌跡を描く一大抒情詩みたいなもん?よく判りませんが、たぶんそんなモノだと思う ←映画見たクセにこのいい加減さはどーよ(苦笑)
たぶん彼の事を元々知ってて、彼の作品を何本もご覧になってる方には馴染みの事件ばかりなんでしょうけど、少なくとも今回初めて「安藤昇」という人物を知ったぴよにとっては、この作品はあまりにダイジェスト過ぎて事件を時系列に追っかけてるだけにしか見えなかったんだよね(^-^; 「安藤組」の組織の生い立ちを見せるという部分はドラマティックではあるものの、登場人物のキャラクターへの肉付けが弱過ぎて幹部達や安藤を巡る女達の描写がすごく上滑りな気がするの。
村上弘明氏がヤクザの親分さん役?ちょっとイメージ湧かないんだけど・・・と思って見始めたんだけど、これはこれでよかったよーな気がする。もっと言うと、わざわざ「ヤクザっぽくない役者」を起用したかったんだろうなぁ〜と思った。
そもそも安藤昇氏は既存のヤクザのような「着流しにドス」「背中に昇り龍」みたいなバタ臭い世界を嫌ったようで、服装は仕立てのいいスーツに中折帽、ドスは持たずにチャカ(拳銃)、指詰めや刺青・ヤクは禁止という、粋でオシャレなギャングスタイルを貫いている。 「ヤクザ役」としては村上氏は似合わないけど、スタイルのいい彼がダブルスーツに中折帽を頭に乗せて口元を少し吊り上げてニヤリ☆とする様子は、大層オシャレでカッコイイ♪少なくともこのスタイルの彼はハマってる。 ただし・・・48歳の村上氏が20〜33歳の安藤昇氏を演じるには、少々トウが立ち過ぎてますけどネ(^-^;
安藤昇氏の「特攻精神」や求心力、それによって栄華を極めた「安藤組」の成り立ちはよーく判ったけど、やっぱり人間模様の掘り下げをもう少し丁寧にして欲しかった。 ホントに「ダイジェスト!ザ・安藤昇」てな作品でしてネ、ぶっちゃけ言って映画を見終わって思った事は・・・
「で?何が言いたいんすか?」
ヤクザ映画としては大立ち回りシーンは地味だし、戦後の動乱期や人間ドラマを見せるには上滑りだし。 どこに視点を置けばいいのかわからなくて・・・正直言ってかったるかった(薄涙) ただ、元々「安藤昇ファン」の方ならきっと満足出来るんでしょうね。出来るんでしょう。たぶん(たぶんかよ。苦笑)
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