Sotto voce
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帰宅して、茶の間の障子を開けると 空気が澱んでいて息苦しく感じる。
父が帰宅していると、大概そう。 南国鹿児島とはいえ、この時期はとても寒い。 部屋を閉め切る⇒ファンヒーターを使う⇒ さらにその中で煙草を吸う…で、 乾いて澱んだ空気の一丁上がり。
息苦しくて息苦しくて仕方ない。 許されるなら部屋の窓という窓を開け放ちたい。 こんな部屋でよく平気だな、と、別な意味で父に感心する。 昔はそんなこと感じなかったのに。
喉が渇く 肌も乾く そして何より心が乾く。 澱んだ空気を吸い込んで、 息が出来ないほど咳き込んでも父は全く知らん顔だ。 だから私は暖房のない自室に篭るしかない。
父の金銭面のトラブルで 電話と車と来客にとても神経質になった。 誰かが家にいるとなると借金取りがやってきて 持ち帰る金などないとわかってるのに 延々おなじ話を繰り返しては居座る。 父が連絡を取らないばかりに、 同居人である私にまで電話が来る、それも職場に。 私の携帯を教えたら、それこそ電話が殺到するだろうから あえて教えてないのも悪いんだけども。
父に貸したお金が全て返ってくれば 独り暮らしの敷金ぐらいにはならないだろうか。 この安月給が我が家の生活費につぎ込まれてる間は 貯金はもちろん、家を出ることなんか出来やしない。 この暮らしに我慢すれば 少なくとも生活空間だけは確保できる そう自分に言い聞かせ続けてもう3年。
母は実にいいタイミングで父を見限ったものだ。 あの時はまだ、父は公務員だった。 退職金の何割かを慰謝料として受け取り、 おそらく私達よりははるかに裕福な生活をしているだろう。
でも母の場所へはいけない。 幼い頃から母に苦しめられたトラウマが 母への拒否反応として現れている間は。
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