Sotto voce
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あれから、結局眠れなかった。 父は、煙草を買ってくると出たまま戻ってこない。 多分、私が眠れなくてイライラしてるのを見かねて 外に出てまだあの女の電話に付き合ってるのだろう。
家にいたくない。 父はいないけどいたくない。
今日の仕事は10時から。 でも、家にいたくない。 父は仕事着を持たずに出たから いずれ帰ってくるだろう。 父の言い訳なんか、聞きたくもない。
父の出勤時間に合わせて4時にご飯が炊けたので、 自分の弁当を作り、父用に味噌汁を作った。
風呂に入って出かけよう どこかで時間をつぶせばいい。 早番の時だってこんな時間に出たことないのに(苦笑)
どこかで時間をつぶしながら 朝日が昇るのでも見てれば 少しは気が晴れないだろうか。
…1時間でも、眠れるといいな。 完徹で仕事ができるほどの体力はさすがにない。
一度眠ってしまえば、 よほどのことがない限り 朝まで目が覚めないのに。
今夜は眠れない。 何をしても眠れない。 それでもやっと眠れた…?と思ったとき 茶の間から聞こえてくる携帯の着信音。 父が、茶の間に放置したまんまらしい。
時計を見たら、3時前。 延々鳴らし、切れたと思ったらまた鳴り あきらめる気配もなく延々鳴らし続け これが繰り返されること5回、 さすがの私もキレた。
どこのバカが嫌がらせか!!と思いつつ 薄々相手はわかってるけど電話に出てみた。 一回目、無言。 その数秒後かかってきた電話の主は予想通りの相手。 父の同僚の女性。 父がこの女に手を出したおかげで、 うちの家族が崩壊した一因の女。 現時点で、私がこの世で最も嫌いな女。
父に代われという。 父は寝ている、夜中に何事か、と問うと 『私も眠れないんだ、代われ』の一点張り。 ふざけるな、自分が眠れないからって 眠れないほど父に何か言いたいことがあるからって 他人まで巻き込んでいいと思ってんのか。
大体、この女が父ともめて出勤拒否してるばかりに 父は一人で仕事をしているというのに。 出勤拒否の発端は父にあるにせよ、 相手との取引を反古にするわけにいかないから 出荷日ともなると日がのぼる前から仕事場に行って ノルマをこなしているのに。 そして、今日はその出荷日で、5時には家を出るから ぎりぎりまで寝かせてあげたかったのに。
電話に出なければよかったと思った。 黙って電源を切ってしまえばよかったんだ。 でも、そうすれば多分この女は家電を鳴らす。 それでも出なければ家まで来るだろう。
下手なストーカーより性質が悪い。 これが、夫も子供も孫もいる女のすることか。 うちの家庭をめちゃくちゃにしておいて ちょっと父とトラブったらそれか。 世間の噂に翻弄されて、 私が一人悪者にされてる、と私にまでぼやく女。 私から言わせてもらえば、 この女と一緒にいるおかげで ただでさえ悪い父の評価は ここ数年でがた落ちだというのに。
どうして父もこの女の愚痴に付き合うんだ こんな夜中に電話するな!と 一喝したりしないのか。
ささくれ立ってくる心、 もうきっとどんなにしたって眠れない。 仕事するには最悪のコンディションだろうけど 眠れないんだから仕方ない。
父の同僚が家に来た。
夜の9時過ぎなのにバッチリメイク。
とても孫がいるようには見えない。
私の目の前で父に媚びしなだれかかる。
とってつけたように私の機嫌をとる。
とてもとても不愉快で同じ空間にいたくなくて
ちょうど洗濯も終わったから洗濯物片手に外へ。
うちの家族を壊した一因の女。
うちの父は女の趣味が悪すぎるととことん思う。
父が気にいる女性は大概私が大嫌いなタイプ。
ああ、そうか。
だから父も私を敬遠するのか。
この女も、この女とへらへら楽しそうに笑ってる父も大嫌いだ。
このよどんだ空間ごと消えてなくなってしまえばいい。
まあ、一番手っ取り早いのは私が消えてなくなること、なんだけどね。
心も身体も凍えきっている。
どうにもならない冷え切った手足と
すさんだ心をもてあまして
誰もいない部屋の中にうずくまっている。
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