便蛇民の裏庭
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2003年03月31日(月) どこか遠くへ

冬の間ずっと
母上様の自転車と一緒に
ロープでグルグル巻きにされていたぼくのラヴィ。

雪が溶けたのでようやく解放された。

まるで
普段母上様に縛り付けられているぼくのようだ。

「だって誰かに盗られたら困るでしょ!」

それは自転車の事なのかぼくのコトなのか。

とにかく久しぶりにラヴィに乗ってお買い物。

まだ雪は残っているけれど
そして風は冷たいけれど
解放されたぼくとラヴィは気持ちよく走る。

帰りの事を考えなかったら
いったいどこまで行けるかなぁ。

ぼくはどこまで行けるのかなぁ。


2003年03月24日(月) ないに等しい

相方はまた借金を作りそうな勢いで負けている。

「お前の引きの強さを分けてくれ」

しかしぼくが座る台の隣の台ばかり大爆発。
遠くに座っていた相方にご利益なし。

今までは隣に相方が座っていないとできなかった。
今では隣に相方がいなくてもできる。
今までは相方が選んでくれた台に座ってたぼくが
今じゃ自分で台を選んで移動する始末。



疲れたしもう帰るかという時間。
最後の千円札。

で。

闘魂チャンス。

ってなんですか。
もう帰りたいんですけど。

いきなり台がにぎやかになり、
すっ飛んで着て喜ぶ相方。

「この台おれやっていい?」

いいですよぼくどうせ帰る時間だから。
とりあえず家に送ってくださいな。

「いやなんだよ、本当は人が出した台横取りなんて」

いいってば、ぼくは帰りたいんだから。

「オレの運はあんたと結婚できたことで使い果たしたんだよ」

ぼくを家の近所で降ろし
そんな言葉を残して去っていく相方の車。

あんたの運はその程度か。


2003年03月22日(土) 馬鹿になれ

相方に連れられて猪木と戦いに行く。
ぼくが隣に座ると勝つ、というジンクスも今日は無理。
混んでて並んで空いてる席がない。

どうやったって出そうにない
人が全然いないお店にいって
のんびり練習させられる。

アンタは素質があるんだから覚えなさい。

相方はいつのまにかぼくを名前で呼ばなくなっている。

「ねぇねぇ、ココいつも赤いのに白くなってるよ」
「それは高確率なんだよ、オレも初めて見た」

ぼくたちの会話は、いまやスロットのことしかない。
普段からは考えられないくらいに楽しそうな相方。
ぼくは相方と繋がっていたいからスロットを始めたのだろうか?

「ほら、今なら並ぶから、赤7揃えてみろ」
「無理だよ、全然見えないもん」

そういいながら頑張ってみたら、7が揃った。

「よかったなぁ、初めて揃ったな!
 来年の今日は7揃えた記念でケーキだな!」

来年の今日。

ぼくはいったいドコにいる?
今と変わらず、相方と暮らしているんだろうか。

猪木を睨みながらそっと泣いた。


2003年03月21日(金) 遠い過去

ぼくの写真を見ていた。

「ねぇ、コレ便蛇民?」

その写真に写るぼくは、今とかなり違っている。
9年前、パーマをかけモップのような頭をしていた。

「この人見たことある!絶対見たことある!」
「それはー、某お店にいた時の写真だなぁ」
「え!あそこにいたの?」
「オープンの時から働かせてもらってた」
「オレそこよく行ったよ!」

当時キミ、中学生?

男の子がくるようなお店でもなかったので
男の子に接客するようなことは珍しかった。
そういう場合はたいてい
『プレゼントなんだけど何がイイかなぁ』
と。

たったひとつやたら記憶にあるのは
自分用を買いにきた男の子がいた事。
ネックのコーナーでいろいろつけてみて
一緒に選んであげた。

あぁ、でも顔とか記憶にないや。

…まさかキミ、あの時の少年じゃぁあるまいなぁ。


2003年03月16日(日) 赤いストラップ

今まで何もついていなかったオトコノコの携帯電話。
今日はプーさんが二個ぶら下がっている。

そのストラップを一本外してぼくにくれるオトコノコ。

「おそろいのもの欲しいでしょ」

屈託なくにっこり笑う。


どうしよう、めちゃくちゃ嬉しい。
ねぇ、どうしちゃったの。
どうしちゃったのぼく。


熱しにくくて、熱してもあっという間に冷めていく。
なのにオトコノコに対しては
コトコトコトコトじっくりじっくり煮込まれてる。

手の平でオトコノコをコロコロ遊ばせておくことだってきっとできたのに
いつの間にぼくは彼の手の平に乗ってしまったんだろう?


2003年03月13日(木) その瞬間ぼくは

オトコノコの部屋でオトコノコの写真を見せてもらう。
訳あって写真はほとんどないらしい。

小学生のオトコノコ。
中学生のオトコノコ。
高校生のオトコノコ。

え、これ昨日撮ったの?
という程度しか変わっていない。
小学生の頃の写真ですら古さがない。



ぼくの手元には今
オトコノコの詰襟写真がある。
詰襟フェチなので貰ってきたのだ。

じゃなくって。

ビックリしたような笑顔。
その写真の彼の顔がまるで
ぼく達の出逢った瞬間そのものだったから。


2003年03月12日(水) これでいいのだ

相方がスロットで借金を作るのは
一緒にスロットに行ってあげたりしなかったあんたが悪い、と。
もしくは、
一緒に行ってぼくがガンガン負ければやる気も無くすのではないか、と。
とにかく一緒にやってみろといわれることしきり。

やったことだってあるんです。
でもサッパリわからないし。

で、あまりにそういわれたので、
それもそうなのか?
ぼくの理解が足りなかったからなのか?
と、思ったかどうなのか。

相方にくっついてスロットへ行きました。

わからないまま座り、わからないまま進む。
横ではいろいろはしゃぐ相方。
どうしてイイのかわからないまま出て来るコイン。

「自分でサバチャン引き当てるなんてすげーな!」

そうですか、すごいですか。
サッパリわからんですが。
なんか台がうるさくなったので代わってください。
コンナトコにいたら耳壊れます。

1箱にいっぱいになったコイン。
それを持って猪木と闘うことに。
猪木と闘ってるうちに1箱だったコインはいつのまにか4箱に。

とにかく、それでなくても以前から
ぼくが一緒に行くと出るからと喜んでた相方。
何度か行ってみて毎回4箱5箱出すのでほくほく上機嫌。

でも。
見た目常連客なくせにぎこちないぼく。
煙たくて目を擦りつつ。
お茶をぐびぐび飲みつつ。
自分が何をするんだったかわからなくなり。
人差し指でボタンをぷちぷち押す。
手押し信号ですか。

「やー、毎回勝ち続けだな!楽しいべ?」
「んー、こんな事続けてたら働く気力なくすねぇ」
「今さぁ、お前が一人で朝からスロット行くようになんねぇかなって期待してるんだけど」
「あー、そりゃぁ無理でしょ」

コッソリ覗いた貯玉、12000。
とにかく、今は借金だけは作らなくて済みそうです。

いいのかこれで。


2003年03月06日(木) ふところ

子供のコトとか今までの生活のコトとか相方のコトとか

オトコノコにしてあげたくてもできないコト
オトコノコが背負おうとしてくれてるもの

我慢させたり不安にさせたり淋しくさせたり

ぼくが今までどおり家にいて
相方と普通に今までどおり生活して
自分の気持ちおさえていろんなコト諦めれば

オトコノコをふり回さずに済むし
子供たちを振り回さずに済むし
オトコノコを普通の男の子に戻してあげられる…


そんな思いにとらわれて
ふと哀しくなった。

「便蛇〜民っ?泣かないでねっ?」

ってオトコノコにいわれた途端
目の蛇口がぶっ壊れた。

「便蛇民!目から汗がふきだしてきたよ!」

って笑いながら

「泣き虫ー。
 便蛇民は時々急に子供になっちゃうからなー。
 おいでおいでー」

って抱っこしてずっと頭イイコイイコしててくれて。

チビッコのくせにチビッコのくせにチビッコのくせに!
なんでそんなに大きいんだよーぅ。


ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい。
ぼくにはこのコを諦めるなんてコトできないです。
弱いぼくでゴメンなさい。


2003年03月05日(水) 中身だよ中身

「おかーさん、マヨネーズちょうだい」

…マヨネーズ?なにに使うんだ?
と娘に差し出すと

「これマヨネーズじゃん!こんなのではにつまったのとれないよ!」

は?歯?
あぁ、爪楊枝?



町内会の役員に決まりそうな気配。
で、学校でも役員をやらされそうな気配。
んで、ボランティアの方は来年度も広報代表決定なので
にわかに忙しそう。

という状況のせいで母上様に
「あんた最近調子こいてるでしょ」といわれました。
「誰のおかげでそんなことしてられると思ってんの」と。

…えーと。

調子、こいてないですし。
なんだったら代わってくれ。



学校の廊下とか玄関とかで子供たちにすれ違った時
「見てみて、金髪だよ」と騒ぐコは
普段図書室に顔を出さないコなんだなとわかる。
よくきてるコだともうぼくのコト見なれてるから騒ぎもしない。
図書館系のイベントにもきてないんだねキミたちは、と。

んで。
先日学校へ行く途中、
下校途中の生徒がぼくを見てすれ違ったあと
一人は「かっこいーい」といい、
一人は「キモチワルーイ」といった。

「えーなんで?かっこいいじゃん金髪だったよ?」
「えーだって日本人なのに金髪なんて気持ち悪いよ。
 おかーさんが『そういう人は不良だ』っていってたし」

いまどき金髪で不良かーい。
なんだったらスキンヘッドにしようかー?

息子の幼稚園からの友達なんぞは

「おーいSのおかーさん、今日は金髪かよ、もうピンクやめたのか?」
「んー、そうだねー最近は金だよー」
「幼稚園の頃は赤とかオレンジだったのにもうしないのー?」

こんな怖そうなオバちゃんにタメグチの小学生。
それをちょこっと羨望の眼差しで見るその友人たち。

髪が金だからとか黒だからとか関係ないんだってば。
見かけで人を判断するような人間になっちゃダメだよーん。


2003年03月01日(土) お気に入り?

眠っていた。
電話が鳴って、留守電に切り替わった。

『お母さんだけど。
 知り合いのところでミニチュアダックスと
 普通のダックスフントが生まれたの。
 ミニダックスは1万、普通のはタダだって。
 もし欲しいんだったら連絡ちょうだい』

…犬かぁ。
愛犬が死んだ時、あと10年は犬を飼わないと誓ったぼく。
あれからまだ5年しか経ってない。

留守電を聞いた子供たち、犬を飼えると勘違い。
朝っぱらから大喜び。

愛犬が死んだ時に
『もうイキモノ飼うんでないよ』
って自分でいってたのに、何でそういう情報をくれるかな。

「もしもし?ぼくだけど」
『あー、犬かい?どうする?』
「欲しいけど、マーが死んでからまだ5年だし、うちは今は飼えないから諦めるわぁ」
『あんたんところネズミたくさんいるし、やめときなさい』
「んじゃなんで教えてくれるん!」
『ミニチュアダックス欲しいかと思ってさ』

あぁ便母、相変わらず訳がわからない。
最近ナマモノ食い物で釣ってもダメだから
イキモノで釣るですか?

『みんな変わらず元気なの?』
「元気だよ。子供たちも急激に大きくなったし。相方は円形脱毛症になったけど」
『で、あのコは元気?』

見事に却下される相方の話。

「あー、オトコノコ?元気だよ」
『そう?ちゃんと会えてるの?』
「んー、週に一回くらいは会えてる」
『うまく行ってるの?』
「うん。子供ごと来いって勢いで。いいコだよ」
『あ、そういえばお母さんのお休み金曜土曜に変わったからぁ』

対訳:お母さんお休みの日にまたオトコノコ連れて遊びにおいで。



今日こんな電話がきてさ〜ぁ、とオトコノコにメール。

『母、おいらの事なんかいってた?嫌われてなかった?』

…あんたたちっていったい…


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