午後1時から始まった、甲子園夏の高校野球決勝戦。 南北海道地区代表の駒沢大学付属苫小牧高校と、西東京地区代表の早稲田実業高校。 3時間半闘って、延長15回で1対1の引き分け。 決着は明日の再試合に持ち越された。 どちらも譲らず、事実上は投手戦だった。 最後は、全力を尽くした投げ合いに、どちらにも勝たせたいと思った程。 苫小牧高は、今年勝てば夏の大会三連勝となる。 高校三年最後の夏に、優勝旗を手にしたいエースの田中。 対する早実は、何度も甲子園に来ていながら、まだ夏の大会では優勝したことがなく、これで勝てば夏の大会で初めて、優勝旗を手にすることになる。 大先輩には、王監督。 癌の手術後の身で、テレビ観戦しているのではなかろうか。 また、一年生ピッチャーで決勝戦に臨み、横浜高校に破れはしたものの、荒木大輔の姿も、印象深い。 今までの高校野球夏の大会で、一番記憶に残っているのは、何と言っても、昭和44年の松山商業と、青森県出身の三沢高校の闘い。 当時は、延長戦も18回まで。 松山商の井上投手と、三沢の太田投手。 0対0のまま延長18回で、決勝戦が引き分け。 4時間以上に及ぶ死闘だった。 幼い息子を抱えて、テレビの前に釘付けになった。 翌日、松山商が継投で守り、4対2で三沢を下したが、負けた三沢の太田幸司投手は、ロシア人の母の血を引く端正な顔立ちの故もあって、「もっとも美しい甲子園の敗者」と言われる程の、人気と感動を呼んだ。 連戦に次ぐ連戦を、たったひとりで投げきった太田選手の姿は、今でも、よく覚えている。 時代は変わり、高校野球も、練習環境がよくなり、地域差も、あまり無くなった。 いまは、コンピュータなども使って、データ管理もしているのだろう。 しかし、いざ、甲子園の現場に立つ球児たちの顔は、やはり子どものあどけなさを残していて、ひたむきに走り込む良さを持っている。 明日の再試合はどうなるか。 早実には勝って貰いたいが、苫小牧の田中君のポーカーフェイスにも、笑顔を見たい気がする。 ここまで来たら、どちらも負けられない気持ちであろう。 今日の甲子園は、満員。 最後まで、気力とスピードを保ち続けた両投手に、拍手が湧いた。
|