沢の螢

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女友達
2003年06月26日(木)

先週の土曜日、連句の帰りの飲み屋で、私は数人の人たちから、集中砲火を浴びた。
どういういきさつでそんなことになったのか忘れたが、いつも親しく呑んでいる人たちの間のことである。
私は、気の合わぬ人たちとは、あまり付き合わないし、ましてや呑む時は、男女もなく話が出来る人たちでないと面白くない。
その席にはちょっと先輩格で気を遣う人たちも2,3いたが、私の近くには、いつもの仲間が集まっていて、話が弾んでいた。
そのうち、誰かが「あなたは正直で、深くひとと付き合おうとするから、相手には負担になるのよね」といい、それに同調したひとが「もう少し広い気持ちで、ひとを赦さなければダメです」といい、さらにもうひとりが、「トゲに射されたくないから近づくまいとするひとと、とげに刺さってもいいから近づきたいというひとと、あなたを見る人は極端ですね」と、私を評したのであった。
彼らが、悪意で言っているのでないことは充分わかった。
なにか思い当たる事実があって、それぞれに、私に忠告、あるいは、気遣っているのだった。
前にも、「あなたはナイーブだから・・」と言った人がいて、多分、人付き合いの下手な私を、心配しているのであろうと、善意に解釈した。
しかし幾ら善意であっても、3対1はちょっとこたえる。
その時は、ケンカにならないように、引き下がったものの、内心穏やかではなかった。
特に、私より若手の男が言った「ひとを赦さなければ・・」という言葉に引っかかった。
店を出る時、「さっきあなたが言ったことだけど、誰を私が赦すというの」と訊いた。
すると彼は、困って、「イヤ、世の中には、いろいろな人がいるという意味です」と、はぐらかしてしまった。
ははあ、なるほど、「天敵」から何か聞いた話しがあるのだなとわかった。
この2年ほどの間に、私に大変非礼なことを言った男、私の人間性を貶めることを言った女、私を正当な理由なくグループから閉め出す策略をした女、その3人を「天敵」として位置づけている。
男のほうは、私だけでなく、特定の女性をターゲットにして、非礼なことを言う癖があり、だんだん顰蹙を買って、みんなから爪弾きされているので、この頃は、「天敵」のカテゴリーから外している。
弱い立場になった人を攻撃するのは、私の望むところではない。
しかし、残りの二人の女性は別である。
いずれも、庇護する男が沢山いて、強気だし、私より、優位にある。
何かをカサにきてものを言う人は、私の最も嫌いとするところであり、同性より、異性を大事にする人は、あまり信用出来ない。
私が「赦す」理由はないのである。
そんなことを私に「忠告」した人は、どんな事実を差して言っているのか判然としないが、どこでも誰とでもうまく付き合いたいタイプなので、どこかで、私に対する悪口でも、耳に挟んだのであろう。
呑み仲間であり、私に悪意がないことはわかるが、それだけの人と思うことにした。
もうひとり、「トゲ」の話をした人は、年上の男性だが、私を批判すると言うより、日ごろから兄貴意識でものを言う人なので、それも好意の表れと解釈した。
それはいいとしても、私と仲のよい人が言った「人と深く付き合おうとするから相手に負担になる」といった言葉が、心に残った。
二晩考えて、月曜日の朝、彼女に電話した。
「私は、あなたを友達だと思ってるし、今後もそのように付き合いたいと思ってるから、土曜日にあなたが私に言ったことに付いて、ちゃんと話しをしたいんだけど」といった。
彼女は、ちょっとビックリしたようだった。
社交的で、誰とでも付き合い、人気のある彼女は、私とは正反対、誰とでも仲良くするが、逆に誰とも仲良くないのである。
そんな風に、突き詰めて言われたことはあまりないのかも知れない。
でも、私の気迫に押されるように、その日、共通に出ている講座のあとで、時間を取って、話しをすることを約束してくれた。
そして、講座の終わったあとに向かい合った喫茶店で、彼女と、小一時間に渡って、話しをした。
「人の人格に関わることを言う以上は、具体的なことじゃないとダメよ。私が誰と、深く付き合っていて、誰が負担に思っているの」と聞いた。
彼女が答えた言葉から、ひとつのことが浮かび上がったが、それはかなり第三者の憶測の範囲を出ないものだった。
「勝手に、想像して、言ってもらっては困るわ」と私はいい、それに関して、事実だけを話した。
ほんのわずかな事実から、憶測が生まれ、話だけが一人歩きしていることがわかった。
「私は、浅く広く人と付き合うタイプだから、傷つかない代わりに、それだけのものしか得られないけど、あなたは、その逆だから、傷も深いのよね」と彼女は言った。
「それは生き方の違い、人との関わり方の差だから、お互いの生き方を認めるのが、友達じゃないの。私が、どんな付き合い方をして、どんなに傷つこうが、それは私が負うことであって、人から心配してもらうことではないでしょう」と私は言った。
店を出て、途中まで帰ってきたが、もうその話には触れなかった。
彼女が、私に善意で接してくれていることは確かだから、小さな裏切りはあったとしても、それを解った上で、付き合っていこうと思った。
何よりも、私は彼女の、天性の詩的感覚や、頭の良さを認めている。
昨日の会でも一緒だった。
終わってまた八人ほどで呑み、いい気分で帰ってきた。



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