沢の螢

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「約束」
2003年06月14日(土)

いい映画を見た。
フランス映画「約束」である。
小児ガンで入院中の少年がいる。元気に見えるが、実は、病状はあまりよくないらしい。
老人病棟には、脳梗塞で、体の自由が利かなくなった老人がいて、耳は聞こえるが、喋ることが出来ない。
目の動きで、かすかにイエスノーを伝えるくらいである。
映画では、心の声を音声で表していて、この老人が、まだ頭はしっかりしていることがわかる。
時々妻が見舞いに来て、そばで編み物をしたり、話しかけたりする。
10歳の少年は、病院内でもなかなか活発に動き回り、医者や看護婦の目を盗んで、患者の部屋から物をかすめたり、動けない老人に悪さを仕掛けたりする。
しかし大変利発で、病院内の子どもたちを集めてサッカーをしたり、すぐれたリーダーシップも発揮する。
この少年が、老人の部屋に忍び込んだのがきっかけで、二人の間に妙な交流が生まれる。
少年は老人の部屋に寝泊まりして、ゲームをしたり、車椅子を押してやったりする。
老人の妻が急病で亡くなり、残された老人の手をそっと撫でてやる。
絵に描いたようないい子ではないが、本当は、この少年が優しい心の持ち主であることがわかる。
そのうちに、少年の姿が急に病室から消える。
心配しながら、老人にはどうすることも出来ない。
それを察した看護婦が、老人を少年の処に連れて行く。
廊下から垣間見えたのは、白衣で、点滴を受けている少年の姿だった。
実は、少年の母は、医者から絶望的な宣告を受けていたのである。
それから何日かした日、元の元気な様子をした少年が現れる。
少年は、老人に外出の支度をさせて、車椅子に乗せ、病院から外に連れ出す。
行った先は、老人のかつての仕事仲間が、集まっている酒場だった。
海が見たいという老人の心を汲んで、砂浜に車椅子を押してやる少年。
その少年に向かって、老人は心の中で語りかける。
「いつまでも生きるんだよ。約束だよ」
日没の砂浜で、車椅子の老人と、それに寄り添う少年のシルエット。
映画はそこで終わっている。
暗くなりがちなテーマを、さらっと描き、老人の目の表情を、少年のよく動く表情と対比させて、丁寧な映像を作っている。
そして、ラストシーン。
しばらく席を立てなかった。



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