沢の螢

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贈られたオペラチケット
2003年06月18日(水)

先週初め、連れ合いの友人から行けなくなったオペラのチケットがあるので、良かったら行ってほしいと、夫に電話があった。
夫婦で行くつもりで2枚買ったけど、飼い犬が重病で、目が離せないからという。
新国立劇場で、「オテロ」だという。
私たちも、行きたいと思って、買い損なったので、譲って欲しいと言ったが、「あまり良い席でないので、もらって欲しい」というので、好意を受けることにした。
その人と夫は、同窓生で、同じ職場にいて、同じ市内に住んでおり、仕事を離れても、よい友人関係を続けている。
夫婦で、食事を共にしたことも何度かある。
最近は、パソコンについて、わからないことがあると、電話を掛けてきて、夫は、何度か自宅に行ったりしてサポートしていた。
私たちが、よくオペラに行くことを知っているので、そんなことも理由のうちだったのかもしれない。
友人は、しばらくしてから、チケットを届けに来た。
「本当にいい席ではないんですよ。」と念を押して帰っていった。
あとで確かめると、D席3階の右端、舞台が、少し切れるかも知れないところ、6000円ほどとある。
オペラの通は、天井桟敷のようなところで見るのが本当なので、愉しみに、出かけることにした。
6月17日夜開演。
ところが、夫も私も、すっかり忘れてしまったのである。
パソコンのそばにあるカレンダーに、私はいつも予定を書き込んでおくのだが、その件については、書いていなかった。
夫が受けた話なので、どこかに自分のことではないという頭があったのかも知れない。
また夫のほうも、急に入った予定なので、メモしておかなかったらしい。
チケットは夫が、引き出しに入れていて、日にちが迫っているので、わざわざ予定を書き込んでおくほどではないと思ったのかも知れない。
それに、私の予定を確かめての上で、オペラに行くことを返事しているので、私に話したことで安心していたのかも知れない。
昨日の当日、二人とも、いつもの日常を送り、夫は、夕食時に巨人戦を見て、終わると自室に入った。
私は、夕食の後片づけをしながら、ふと、虫の知らせというとヘンだが、引っかかるものがあり、食堂に掛けてあるカレンダーを見ると「オペラ」と書いてあるではないか。
さっと血が引く思いだった。
私は、先週受けた骨粗鬆症の検査結果を訊きに午後から保健所に行き、その帰りに買い物をして帰ってきた。
オペラは6時半開演だから、それから支度して家を出れば、十分間に合ったはずだった。
それなのに、私の頭からは、すっかりオペラのことが抜け落ちていたのであった。
また夫のほうも、パソコンのスケジュール表に入れていなかったので、やはり意識から欠落していたのだった。
気が付いたのは、9時近く。
オペラがそろそろ終わる頃である。
「どうしよう」と、二人とも呆然とした。
オペラを見損なったと言うことより、せっかくの友人の厚意を無にしたということが、ショックだった。
わざわざチケットを届けに来た友人がそれを知ったら、どんなにがっかりするだろう。
夫は、見たことにしてお礼を言うという。
調べてみたら、オペラは昨日が最終日ではなく、きょうの公演が最後である。
「助かった」と思った。
夫は知人の通夜と重なってダメだが、私は予定がない。
1枚ぐらい空席があるだろうから、何とかして見に行く。
そうすれば、友人の好意も全くの無駄とはならない。
何かで話題が出た時に、オペラの感想も、実感を持って話すことが出来る。
オペラが終わって家に帰ったくらいの時間に、夫は、友人にお礼のメールを入れた。
私は、きょう、ボックスオフィスが開いた時間に早速電話した。
幸い空席があるようだった。
友人からもらった席に近い距離で、2階席を1枚確保した。
B席、13000円くらい。
本当のことは言わずにおいた方がいい場合もある。
いずれその友人には、お詫びとお返しを兼ねて、こちらからオペラに招待することにした。
今夜の「オテロ」、友人からもらったチケットのつもりで、愉しみに行くことにする。
物忘れは、よくあることだが、夫婦の二人三脚も当てにならなくなってきた。
朝起きたら、きょう何があるか必ず見るようにしているのに、見ることも忘れてしまっては、もうダメである。
「口頭で聞いた話しは、ダメだねえ」と夫はしょんぼりしている。
昨日は、朝から夫は、私のパソコンの設定をあれこれいじっていて、忙しかったので、他のことは忘れても仕方がない。
私は、昨年やはり芝居の切符を一枚無駄にしている。
そのうち、家に帰ることも忘れるのかも知れない。



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