a Day in Our Life
2006年07月20日(木) |
お別れにむけて。(丸雛) |
久々に会った村上くんは、村上くん通りの笑い方をしていたので、僕は嬉しくなった。
「そうや、一週間振りやなぁ。何や心配してくれとったん?」
してましたよ。村上くんがタフなんは知ってるけど、それにしたって仕事が詰まっていたし、内容が内容やったし。高い所も深い所も苦手な村上くんに海に飛び込む役なんて、過酷やと思ったから。 けれど、その「よりによって」の仕事を村上くんは、持ち前の向上心でしっかりこなしたらしい。「やり遂げたった」感が気持ちよかったと、また笑う。
「ポジティブってな、要は気の持ちようや思うねん。マルも昔に比べて随分前向きになったやろ?」
確かに昔は事あるごとに凹んでいた俺は、よく村上くんに面倒を見て貰っていた気がする。ゴハン連れて貰ったり、遊んで貰ったり。何か特別な事をしていた訳やないねんけど、そうやって一緒にいるうちに、村上くんの元気に引っ張られて気持ちが楽になっていた。だから文字通り、村上くんの「元気を貰っていた」んやと思う。
「あの頃に比べたら、最近は家にも来んようになったなー」
言った村上くんの顔が、ほんの僅か残念そうにも見えたのは…気のせいだろうか。 それはもう、ホモ説まで出た当時に比べたら、今は殆ど行かなくなったに等しい。プライベートで会う事も減ったし、いわゆる「別れた」ようなもん。でも、誓って言うけどそれは飽きたとか嫌いになったとかでは決してなくて。 上手く言われへんねんけど、側にいなくても大丈夫になった、というか。 お互い元気なんは分かるし、頑張っているのも知ってる。俺が頑張れば頑張るほど、村上くんも頑張ってる。そういうのを、側にいてわざわざ確かめなくても顔を見るだけで分かるようになった、のは大きな変化だと思うのだ。 何やろう、横山くんと村上くんの関係ほどスゴイもんやないけども、それでも俺にも少しずつ、「言わなくても分かる何か」が分かるようになってきた。だから過度に一緒にいる必要を感じないし、仕事で会う多くの時間が濃くて、大事なんだと思う。それを大切だと思えるようになったのは、俺にとっての成長なんやと思う。 今になって、少しだけ分かる。村上くんと横山くんが、仕事場で互いに交わす言葉少なである事。 その必要がない、のだ。たぶん。 きっとそこまで行くには、俺にはまだまだ時間がかかるだろうけども。 それでも今、何となく嬉しいと思った。目の前の村上くんと、交わす他愛のない会話。その端々に、無事終了した仕事の達成感や充実感を感じ取れる事。そんな村上くんに負けないように、自分の仕事も今以上に頑張ろうと思う事。 思いのほかにこにこ見ていたかも知れない。ふと、村上くんがじっと俺の顔を見て。
「マル、ちょう顔変わったなぁ。男前なったわ」
体の方は、2割増し気味やけどな、とすぐについたオチは聞こえなかった事にしておく。
***** シカオリスペクト。
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