a Day in Our Life


2005年10月10日(月) あいしてる。(横雛)


 「愛してんで」

 たまたま一人、その部屋にいた村上を意識してか、それとも意味はなかったのかもしれない。部屋に入って来た途端にぼそぼそと発せられたその言葉を村上は咄嗟に聞き逃した。
 「え?」
 顔を上げて問えば、「…何もない」とこちらを見向きもしない横山の、頬と耳が瞬間的に仄赤く染まる。少し考えた村上は、断片的に聞こえたその呟きが、たぶんとても珍しい言葉だったらしいと当たりをつけて、
 「ヨコ、」
 意地でもこちらを向かない横山をじっと見る。振り向かなくても横山が意識をこちらに向けていることは分かっていたから。
 「ありがとぅ」
 言えばふぅっ、と息を吐いた横山が、早口で「聞こえとったんやんけ」とぼやくから、珍しい横山のその言葉を、きちんと聞き取れなかったことをとても悔しいと思った。



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RABU横雛。

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