a Day in Our Life


2005年07月16日(土) 7・17。


 「すみませんでした」

 深く頭を下げた錦戸に、その場の三人はそれぞれに心外だという顔をした。
 「何が?」
 代表して村上がそう問うてくるのを、頭を上げたそのままの動作で見つめる。
 「内のこと、俺の監督不行き届きでした」
 つい数ヵ月前に突然の入院で新聞を沸かせたグループの最年少が、今度は飲酒で新聞沙汰になった。その時はもう一つ抱える別ユニットで仕事をしている時で、唯一そのどちらでも行動を共にする錦戸は、他のメンバーの目が届かない時だからこそ、自分一人の非を責めた。
 「何で亮が謝るん」
 おまえは何も悪くないよ、と言った村上が、なぁ?と同じ最年長の二人を振り返る。普段はおちゃらけるばかりでも、黙って頷いた二人は、こんな時ばかり余計な事は何一つ言わない。まるで役割分担のように、一人声を出す村上は、慈悲深い母親のように、優しく錦戸の頭に手を置いた。
 「な?やからおまえが自分を責めることは何ひとつないねん」
 優しく許す村上の、横山の、渋谷の気持ちが嬉しい反面、でも、と錦戸は思った。それはつまり最年長たる自分達の罪で。内を教育しきれなかった自分達の落ち度で。そこで既に、あからさまに線を引かれてしまっているのではないか?去年やっと成人して、追い付いたと思っていた。自分ももう彼らの仲間だと思っていたのは、自分ひとりの思い込みに過ぎなかったのだろうか。
 「そんな顔すんな」
 村上の大きな手が多少荒っぽく頭を撫でていく。
 彼にしても。恋人気取りで近づいた、手に入れた、と思っていたのは気のせいだったのかもしれない。錦戸は思う。片思いでずっと好きだった村上を思い切ることは出来なかったから、卑屈に傍観者を気取るよりは当たって砕ける方がましだと、錦戸にしては随分な努力をして彼に近づいた。距離は縮まった、と思っていたのは自分の独り相撲だったのか。
 こんな時に、思い知らされる。
 優しい村上の笑い顔は何より嘘臭くて。偽りの色が濃いだけ彼から離れていくと思う。反比例するように、村上が遠い、と思った。



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オタクとして受け止めてみました。

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