a Day in Our Life


2005年07月12日(火) 今更exite祭り。(倉雛)


 「大倉は、安田が好きなん?」

 単刀直入にそう聞かれた大倉は、言った村上を見、答えた。
 「好きですよ」
 「どんなところが?」
 今ふたりしかいない楽屋の備え付けの机につき、頬杖をついて大倉を見上げる村上の目線が、まっすぐに大倉を捕まえた。立ったままの大倉は見下ろす形でその目線を捕え、睨み合うような形でしばらく見つめ合う。
 「やっさんは、真面目で一生懸命で優しくてかわいくて、同じ男ですけど、守ったらな思うんです」
 「小さいもんがみんな弱いとは限らんで?」
 疑問ばかりを繰り返す、村上の目線は逸らされることなく、大倉だけを見る。村上の言葉には含みがあって、それが何なのかは大倉には今直ぐには分かりかねたけれど。
 「やからそれが、俺の想いなんです」
 「告白はせぇへんの?」
 「しませんよ」
 即答でそう言った大倉は、答えが早かっただけ、本当はしたいのかも知れないと思った。
 「やってやっさんは今、村上くんが大好きで。村上くんに夢中やから」
 「ほな、」
 一旦言葉を切った村上の目線に、意味ありげな色が浮かぶ。先ほどからずっとその視線に晒されて、けれど決して不快ではない、と大倉は思った。
 「俺は大倉が好きやと言ったら?」
 本気なのか冗談なのか、目線以上に村上の言葉には裏が見えなくて、探るようにただ黙って、大倉は村上を見る。
 「困ります…っていうか、無理ですよ。俺はやっさんが好きなんやから」
 「その安田は俺を好きなんやろ?」
 「でも俺は、やっさんが好きなんですよ」
 繰り返される会話は、まるで堂堂巡りだと思った。まるでトライアングルのように一方通行な、漫画のような想いの連鎖。それを断ち切るのはいつだって。

 「やけど俺は、大倉を手に入れるで」
 
 疑問系ではなく、断定してそう言った。それに返す言葉がなかった大倉は、もう飲まれているのかも知れなかった。



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ややこしい。

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