a Day in Our Life


2002年06月05日(水) 心待ちごくせん9話。(ツカモトな潤翔潤)


 「俺、塚本くんと親友になるんだ」

 唐突に松本の口から発せられた言葉の意味を計りかねて一瞬、櫻井はぽかんとした顔をした。
 「…は?」
 眉を顰める。そもそも言葉の意味自体がおかしくね?親友って「なる」ものじゃねんじゃん。
 「うんでも、なるんだよ」
 ドラマでね。
 それで櫻井はやっと合点がいったような、すっきりした顔になった。ああ、高史がゲスト出演するって言ってたやつ。  
 「そ。塚本くんは退学になった、俺の元親友なんだ。俺は彼を守ったり助けたりするんだよ」
 それで櫻井はまた顔を歪めてみせた。大人げないと分かっていてもつい顔に出てしまった、だからそれは櫻井にとって、それだけ率直で絶対的な気持ちだった。
 前クールのドラマで仲間を演じた間柄ではあったけれど、親友にはなったことがない。もちろん、「親友みたいなもの」ではあったけれど、彼らの場合は「親友」よりやはり「仲間」だっただろうと思う。中込フトシは佐々木兆とバカをやったりバカにしたりバカにされたりはしたけれど、守ったり助けたりしたことはなかった。―――たぶん。バンビってキャラクターは――その辺も自分に近かっただろうと思うのだけれど――気が小さく、保守的であったのだ。ぶっさんみたいに罪も罰もなく、保身も見境もなく、アニを助けに行ってみたかった。ぶっさんに付いて行くだけでなく。
 「今ちょっと羨ましいと思ったでしょ」
 あっさりと見抜かれて、バツが悪いと思う。彼に対するどちらかというと知的な周囲の評価をよそに、櫻井にはわりと子供っぽいところがあった。思ったことが顔や声に出てしまう。だから松本は今、櫻井は機嫌が悪いのだとかそういうのをあらかじめ察知して、これ以上彼の機嫌を損ねないように気を使ったりするのだ。
 「…おまえ最近、扱いづらくなったよな」
 早口で呟いた櫻井の機嫌のバロメータがみるみる下降していくのが見える。だから「翔くんはいつも扱いづらいけどね」とは思っても言わなかった。そんなことを言って、怒らせたいわけじゃない。そう、いつだって怒らせようと思ってるわけじゃない。出来るなら笑っていて欲しいし、そんな顔を見ていたい。松本はちょっと笑って、そうかな?と分からないふりをしながら、代わりに言った。
 「でもさ、翔くんは塚本くんの親友にはなれないわけじゃん。だから俺がなってあげるよ」
 「…おまえと高史がじゃねえだろ。沢田と黒崎がだろ」
 「同じことだよ」
 だって、バンビはアニが好きだったし翔くんは塚本くんが好きじゃん。
 「詭弁みたいだ」
 「詭弁だけどね」
 松本が笑う。
 自分でも不思議だなあと思う。松本は櫻井が好きだったし、塚本を好きな櫻井も嫌いじゃなかった。だから自分なりに精一杯、塚本のことも大事にしようと思うのだ。たとえそれが余計なお節介だったとしても、そうしたいと思うのだ。それで櫻井が喜ぶかどうかは兎も角。
 「所詮、自己満足なのかな」
 「え、なんか言った」
 「ううん。なんにも」
 子供みたいに、今度は不思議そうな顔をして小首を傾げた櫻井に、慌てて誤魔化してみせた。
 「翔くん、今度撮影所に遊びに来るといいよ」
 そしたら堂々と塚本くんに会えるじゃん。
 松本の提案に、櫻井は素直に嬉しいと思う気持ちを憮然とした表情に隠したような、複雑な顔をした。





■■■ふたりとひとり。

9話のツカモトが沢田(&内山)の親友役と知って、朝から色めきたって速攻送ったポエムです。愛モメール250字×4通分に多少の加筆をしたんですが、会社で内職をしていたので(…)途中アップをしたらそれ以上書けなくなりました。なんとも中途半端な感じですがまあ、こんなのはノリと雰囲気で。沢田が黒崎(=塚本)を守ったり助けたりするかは知りませんがまあ、そこらへんも願望と妄想でカバー(笑)。本人サクツカのつもりで書いているんですが、どこをどう見ても潤&翔しか出て来てないよ…。どうも私の中のこのふたりは、潤翔なのか翔潤なのか判断に困って、卑怯気味に潤翔潤と呼んでしまいます。気持ち潤翔寄りっていう(笑)。私の思うところの松本さんは「歪」をそのまま体現したような人みたいです(うわ)。本人の意識しないところで結構歪んでる、感じ方が。ある意味本能の人です。ある意味相葉ちゃんに似てる。たくさんいろいろ考える相葉ちゃんという感じです、いまのところ。それにしてもごくせんの9話は楽しみだー。楽しみすぎて振り切れちゃったらどうしよう、私。とりあえず今日の予告を正座して見ようと思います。どんな姿で現れるのか。やや不安ではある。

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