a Day in Our Life


2002年05月14日(火) バナナと飛行機と携帯電話。(しょぼくれサクツカ)


 久し振りに高史と電話をした。

 ドラマが終わって、当たり前だけど会える日が少なくなって。少ないっていうか、ほとんど会えなくなった。高史はすぐに別の仕事で海外に飛んでしまったし、俺は俺で嵐の仕事があったし。タイミングが合わなくて、電話もままならなくなった。顔も見てない、声すら聞いてない。その分高史のことを考える時間が増えた。遠距離恋愛は続かないってウソだ。会えないなら会えないだけ、高史のことを考える。どんどんハマっていく気がする。そのうち俺の中、高史でいっぱいになっちゃうんじゃないかって。そんな時、携帯が鳴った。
 着信音だけで分かるそれに、慌てて電話に飛びついた。周りにいたメンバーが怪訝な顔をしたけど、そんなの気にしていられない。

 「もしもし?」

 一瞬の空白の後に、一番聞きたかった声がした。
 『あ、翔?俺おれ』
 男にしては少し高い声色が、耳に届く。
 「うん。元気?」
 どうしたの、なんて聞かない。そんなの声が聞きたかったからで、そんなこと言わなくても分かる。今日エクアドルから帰国だっていうのは知ってて、だから時間を見計らってメールしようかな、なんて思ってた。
 『元気元気。翔も元気そうだね。よかった』 
 元気そうでよかったなんて。言おうとした言葉をそのまま先に言われる。高史は知らない、小さなシンクロ。
 「いま、空港?」
 『うん、やっと帰って来たから、翔の声が聞きたくなって』
 そんな言葉がどれだけ俺を喜ばすとか、きっと高史は分かってないんだろうなあ。嬉しいけど、ちょっと呆然とする。
 それからしばらくの間、土産話を聞いた。農園の仕事は予想以上にキツかっただとか、でも周りの人たちはみんな優しくて、別れるのが少しつらかったとか。本場のバナナは本当に美味しかったとか。翔にも食べさせてあげたかったよ、と言われて、俺も食べたかった、と答えた。
 たった一週間の旅の間に、それだけの出来事があって。それは高史の周りにも、俺の周りにも。
 ぼんやりと思う。
 高史が高史としてバナナと格闘してる間に、俺は『櫻井翔』と『中込フトシ』の間でもがいてたんだ。ドラマが終ってだいぶん経つのに、いまだ俺の中からバンビが消えない。いつまでも俺の中に居座って、まるで櫻井翔に戻るのを拒んでるみたいに。こんなにも俺の中からバンビが抜けないのは、きっと高史のせいだ。こんなにもあのドラマをいとおしむ気持ちは。
 なんとなく、黙ってしまった。いつの間にこんなに好きになってしまったんだろう。まるで始末に終えない。ドラマが終わったらすぐに変えようと思ってた髪型も、いまいち変えるタイミングを失って。そんなのも全部、全部。
 『翔?』
 高史の声がする。耳に直接届くその声が、好きだと思った。
 俺さ、ほんとダメみたいだよ、高史。
 「高史」

 どうしようもなく、あなたが好きなんです。

 電話の向こうの高史は、きっと彼がよくするみたいに弾けるようにして笑った。
 『俺も』
 澄んだ声が、はっきりとそう言った。
 俺だって金髪の自分を見るたびにアニを思い出してバンビを思い出してぶっさんをマスターをうっちーをみんなを思い出して。随分振り回されてるなあと思うんだよ。だからさ。

 『今度一緒にさ、髪を切りに行こうよ』




 高史のその妙案に、俺はふたつ返事でうなづいた。





■■■金髪ふたり。

エー。薫さんのお誕生日をお祝いして送ったポエムを多少書き直してみました。
アップするつもりはなかったんだけど、あながち妄想でもないんじゃ…みたいな展開になってきたので(笑)。髪を切るウンヌンはまあ、捏造120%なんですが、それでもちょっと色を変えた(でも髪型はほとんど変えてないのね)翔くんと、こちらも若干変えた(ような気がする)タカシの髪の色が、あたしの欲目だとは思うんだけど同じ色な気がしてですね(笑)。一緒に美容院行ってたらどうしよう!と先走った結果なのでございます。や、いいともに出てた翔くんと、今月のWUのツカモトを見比べてみたんだけど、同じような感じに…見えるのよね…あたしの目、すっかりフィルターかぶってしまってるので、そう見たいみたいです。しょうがないね。(ため息)

過去 未来 目次 マイエンピツに追加