a Day in Our Life


2002年04月18日(木) わた鬼感想SS。(世にも奇妙なジミー×ハセジュン)


 『 Don't say that it dies! 』


 携帯を耳に押し当てた瞬間、理解不能な言語が飛び込んできた。
 ・・・・・は?
 ナニコレ。やっべー着信見ずに取っちゃったよ。なに言ってるかわかんねーっつの。そこまで考えてふと気付く。俺の知ってる範囲内で、こんな言葉を器用に操る奴は、一人しかいない。
 「…ジミー…?」
 『 Please…do not say that it dies…! I am sad when you dies. If Hasegawa dies…, It is sad when those who love die. I will cry. It is disagreeable! 』
 「いや、だから何言ってっかわかんねーって。日本語で言えよ。おーい、ジミ〜?…」
 『 I…It is since I am. It will live together and will go. I want to live together. I want to bein a side. Are in a side and it needs. therefore… 』 
 「あ〜もう!だから何言ってるかわかんねんだって!」
 俺の頭の中でプチッと小気味いい音がした。
 携帯を耳から離して、通話終了ボタンを押す。二つ折りのそれをパタン、と畳んだところで、横から声がした。
 「なに?どうかしたの?」
 「斗真」
 軽く小首を傾げて、切っちゃったの?と聞いてくる。
 「なんかさあ〜ジミーからみたいなんだけど、えっらい興奮してて英語でまくしたてるから、ハラたって切っちゃった」
 言ったそばからまた、携帯が鳴り出す。今度は慎重に着信画面を確認すると、予想に違わない文字を見つけた。無言のまま、今度は電源ボタンをつよく押した。画面から光が失われて、沈黙する。
 「わっ、何してんだよかわいそうじゃん!」
 隣で斗真が慌てた声をあげた。
 「だってさぁ〜話通じないし、うざいんだもん。何か怒ってるみたいだったし」
 「わかったよ、じゃあ俺がかけてみる」
 言って斗真はポケットから自分の携帯を取りだした。慣れた手つきでボタンを操作して、耳に当てる。
 「…あ、もしもし?ジミー?俺、斗真」
 言いながら少し歩いて俺から離れた。横目で様子を見ていると、なにかうんうんと頷いている。それから不意に笑い顔になった。
 「ハセジュン」
 呼ばれた声に顔を向けると、おいで、と手招きをされた。
 「ジミーね、お前のドラマ見たんだって」
 「ドラマ…?」
 ああそうか、今日は俺がメインで頑張ったドラマの放映日だった。うっかりしてた。母さんビデオ録ってくれてるかな。と、考えが逸れそうになるのを慌てて押し留めた。
 …で?それがどうしたってゆうの。
 「ドラマの中のハセジュンを見てたら感情移入しちゃったんだって」
 斗真が笑う。しっかりしててもあいつまだ14才だもんな。受話口に手を当てて、片目を瞑った。
 ドラマの中の俺が死にたいって嘆いたから。
 ブラウン管の向こうで、親友の言葉にも声を貸さないで疲れた風に、さよなら、と言ったから。
 なんだかその横顔がとても遠くて。届かなくなる気がして。いても立ってもいられなくて。
 だから。
 「はい」
 「え?」
 「ジミーと話すでしょ?もう落ち着いてるよ」
 「あ…うん」
 斗真の携帯を受け取って、耳に当てた。
 「もしもし?」
 『…長谷川くん?』
 ごめんね、とジミーが言った。今度はきちんと、理解出来る言葉で。
 「つい、興奮しちゃった」
 電波の向こうに照れ笑いの気配がした。
 『なんかものすごく切なくなっちゃったんだよ。びっくりさせてごめん。さっき言ったのはこう。長谷川くんが…好きなひとが死んだら悲しい。俺はきっと泣く。だから一緒に生きようよ。俺は一緒に生きたいし、側にいたい。側にいようよ。だから…死なないで』
 「…死なないよ。死ぬわけないじゃん」
 それだけ言った。俺の声にジミーが笑う。
 『そうだった』
 誰よりも死なないタイプだもんね。殺しても死なないかも。その言葉に反論しながら、俺も笑って。それから少しだけ他愛のない話をして、電話を切った。ゆっくりと耳から離して、斗真に返す。
 「かわいいねー、ジミーは」
 電話を受け取りながら、斗真が言った。
 「うん」
 ほんとに。
 ジミーの言葉を思いだした。好きな人が死んだら悲しい。俺はきっと泣くよ。
 そうだね、たぶん。
 俺だってジミーが死んだらきっと泣く。泣いて暴れる。それはたぶん、間違いなく。そう言ってやればよかったかな。
 俺だってきっと、そんな風に、お前が死ぬのを見たら取り乱した電話をしちゃうのかも。死ぬとか言うなって、怒鳴っちゃうかも。しないかな、しないか。俺、年上だもん。大人だから。そうゆうことはしない(はずだ)。
 だけど。
 それでも気持ちはたぶん本当だから。 
 「まあいいか…」
 「え?なんか言った?」
 「んん、なんにも」
 斗真が覗き込んでくるのを軽くかわして、そろそろ帰ろうよ、と歩き出した。

 まあいいさ。そんなのはこれから先、いつだって言えるからね。





■■■森山壮太とジミーとハセジュン。

わ〜…。書いちゃったよいいのかな…;;;
ここしばらくずっとジミハセが書きたいーと思ってはいましたが、本当に書くとは思わなかった(笑)。しかもこゆ展開好きね私…みたいな。ハイ、大好きです(開き直り)。好きなひとのドラマとか見てると、うっかり感情移入したり本物を重ねたりしちゃうことありませんか?私はよくあります。だから身近にいる人だったら余計、不思議な感じがしたりするんじゃないかなーって、私は近しいゲイノウジンを持ってないので(当たり前だ)そうゆう感覚は分からないんですけども。ふたりともの性格はイマイチ分かってないので、ノリと展開に任せました(おい)。ジミーはゆうてもアメリカンなので、好意とか感情にはストレートなところがあるんじゃないかなと、そしてハセジュンはハセジュンでやっぱり結構あけすけなんじゃないかなと。そういうイメージで。

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