a Day in Our Life
2002年04月15日(月) |
ハンドク感想SS。(にのあい) |
『なんで死んじゃうわけ!?』
開口一番に怒鳴り声。珍しい相手からの珍しい声に、俺はポカンとして一瞬、返す言葉をなくした。 「なに…なんの話だよ、相葉ちゃん」 言いながらテレビの音を絞ろうとリモコンに手を伸ばして、ああこれか、と思った。 画面の中で俺が死んでる。正確には俺がじゃなくて、俺が演じた俺が。 坂口ノブはバイクと衝突して、至極あっさりと死んだ。あまりにあっけない、あまりになにもない死に様に、台本を読んだ時、どうしようもなくいたたまれない気持ちになったのを覚えている。こんな死に方あんまりだ。これじゃあ生まれて来なかった方がましだ。 ノブが言う。人間には優劣があるんだ。 罪を犯した人間だったから、どこの病院にも、どの医者にも相手にされなかった。人間は平等じゃないんだ。もっと金持ちに生まれていれば、いま死ぬことはなかった。それはどうしようもない現実だった。 現実は、想いを越えない。 いくら一番がノブを死なせたくないと思っても。いくら道子が死なないでと願っても。それでもノブは死んだから。 それはあまりに寂しく、理不尽な死だった。そういうテーマだった。 「見てくれてたんだ?」 言うと無言のままズズッ、と音だけが返った。鼻をすする音。泣いたの?相葉ちゃん。 『だってさ…』 電波のせいで分かりづらいけど、そういえば少し声がへんかも。 『だって本当に、ニノが死んじゃった気がしたんだよ』 シンクロっていうのかな、そうゆうの。 本当に俺があんな死に方をしたら悲しい。世界に見放されて、あんなにあっさりと、死ぬなんていやだ。 でも。 思った。 「…ありがと」 『なんだよお…なんでありがとうなんだよー』 死んじゃやだって言ってんの。いよいよ涙声になった。 ごめんね。泣かしちゃったね。だけど俺にはそうやって、泣いてくれる相葉ちゃんがいるから。 誰からも惜しまれなかったとしても、相葉ちゃんが泣いてくれるなら。 だったら俺、今すぐ死んでもいいかなって。それぐらい幸せになっちゃったんだよ。 それだけで生まれてきた意味があったような、そんな神々しい気持ちになっちゃったんだよ。すごいことだと思わない?相葉ちゃん。 気持ちは現実を越えないし、きっと俺だって死ぬときは死ぬんだろうけど。それでも俺が死ぬときには相葉ちゃんが側にいればいいのにって。 それはきっと、人生最大の我がままなんだろうなと思った。
叶うかなあ?ねえ、相葉ちゃん。
■■■にのあい上等!!!(笑)
今更のように「ハンドク!!!」を見たので、感想SS。やな感想だなー。 ぶっちゃけ即興ポエムです。ガソスタで洗車待ち中、暇だったので送った。ノブの死に関しては、ドラマっていう虚構と現実との境目が私には見つからなくて、無力感とか、無常感とか。そういうのをたくさん感じました。好きな人があんな死に方をしたら悲しい。切ない。空しい。生まれて来なきゃよかったなんて言われたら、言わせてしまったなら、自分こそが死にたくなってしまうだろうと思う。せめてノブの死を惜しんで泣いた人たちの涙の分だけ、ノブがしあわせだったならいいのにな、と思いました。
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