a Day in Our Life


2002年02月19日(火) 松本潤くん・卒業おめでとう。


 2月18日。相変わらず木更津でロケ中に、不意に携帯が鳴った。

 『あっ、もしもし翔くん?』

 少し早口気味な特徴のある声は、二宮からだった。俺がロケだって知っててかけてくるなんて珍しい。丁度今が空き時間でよかった。まあ別に撮影中は携帯を携帯(シャレ?)してないし、電源も切っちゃうんだけど。
 「なに、どしたの」
 『うん、ちょっといい?』
 いいから出てるんだけどさ。いつにも増して殊勝な様子のニノを不審に思って、思わず声が構えてしまう。ニノは油断出来ない(笑)。
 「大丈夫。だからなに」
 『うん、あのさあ。空き時間でいいんだけど、松潤に電話してやってくれません?』
 「松潤に?」
 いいけど。別に用ないよ。
 用もないのに電話なんか出来ない。っつか、用があるならお前がしてやればいいじゃん。なんかあるわけ?
 『うーん、、、用はあるっちゃーあるような。ないっちゃーないような』
 ニノが口篭もる。なんなの、なんなの一体。
 「ニノ俺さあ、あんま暇じゃないんだけど」
 『あ、ゴメン』
 悪いんだけど、どっちつかない電話に付き合う余裕はあんまりない。次の撮影の確認もしなきゃなんないし、なにより折角隣りに。
 携帯を持ちながらちらりと隣りを盗み見た。少しの間、電話に集中していたので、隣りに座る高史も電話していたのに気付いてなかった。俺の視線に気が付いたのか、電話しながら一瞬目が合った。少し笑った?なに、なんかあるの。
 『あのね今日、松潤、卒業式なんですよ』
 卒業式?
 「ああ、、、」
 そうか、今日は堀越学園の卒業式だった。ロケロケで忘れてたけど、そんなことを先週会ったとき、松潤が言ってた。翔くん俺もう、卒業だよ!スゴイよね〜高校生活も終っちゃうんだ。オトナの仲間入りだよ。
 そう言って笑う顔は、まだまだ中学生の延長みたいに子供っぽくて。バーカ高校を卒業したからって即・大人じゃないんだよ。なんてからかって頭を撫でた。
 うんでも、嬉しい。きちんと卒業出来た、、、出来る自分が嬉しい。頑張れたって思うから。
 頭を撫でる俺の手を軽く握って、それは嬉しそうに微笑んだ。
 うん。
 アイドルという仕事をする俺らが、堀越という特殊な学校でさえ、きちんと通うのは難しい。撮影はあるし取材はあるし、TV撮りだってある。生もあるし録画もある。そうやって通えない日が増えて、受けられない授業が増える。それでも出来るだけ時間を作って、学校に行った。それは有り体に言って、努力というものに支えられて出来ることで。
 だから松潤は、頑張ったのだろう。
 そう自分で、思うのだろう。
 だから。
 『俺らよりも翔くんに、なにか言って貰った方がいいと思って』
 今日はこっちには帰って来ないんでしょ?だから電話してやってよ。
 そういうことなら、
 「俺からも」
 言おうとした言葉を発する前に、横から声がした。え、高史なんか言った。
 「俺からも頼むよ。電話してあげて?」
 って言ってって、アイバちゃんに言われた(笑)。高史がペロリと舌を出した。
 アイバちゃん。アイバちゃんってナニ。
 「高史いまそれ、アイバちゃんと電話してるの?」
 『あっバカ、名前出さないでって言ったのに』
 思わず洩れた言葉に、間髪入れずニノが反応する。話が見えない。ていうかバカってなんだ(怒)。
 『アイバちゃん、ツカモトくんあっさりバラしてるよぉ』
 小声で言ってるつもりらしいけどニノ、聞こえてるんだよ(更に怒)。
 「ニノ、どうゆうこと」
 声が怒り口調だったらしい。ニノがちょっと怯えたように、だけど相変わらず楽しそうな色を含んだまま(ぜってー面白がってる)答えるには。
 『えっと、いまボクの隣りにはふみくんがいるんですが、、、その携帯は、翔くんの隣りにいるであろうツカモトくんと繋がってまーす』
 ちょっとしたダブル電話だね!と笑ったニノはどう見ても面白がっていた。
 『俺が頼んでも翔くん、ひょっとして忙しいとか言って聞いてくれないかも知れなかったから、だったらツカモトくんにも頼んで貰おうかなあ〜なんて思ってですね、』
 「つか、なんでアイバちゃんが高史の携帯知ってるわけ」
 『それは企業秘密です』
 「あのなあ…(疲)」
 ふと横を見ると高史が面白そうに笑っていた。あ、ゴメンなんか、仲いいなあ〜と思って。言ってまだ笑う。
 ・・・・・まあ、いいか。
 高史が笑うから。
 それだけじゃないけど(でもそれも大有りだ、どうしようもないことに)。
 半ベソをかいた松潤の情けない声を思い浮かべた。社会人の仲間入りの前にオマエはその、感激屋さんなところから直すべきだよな。(まあ、俺も人のこと言えないけど)
 「分かったよ、あとで電話しとく」
 『ホント?』
 「本当。ちゃんとしておくよ」
 『うん、ありがとー翔くん!忙しいとこゴメンね?』
 「いいよ」
 『じゃあもう切るね』
 「うん」
 『ロケ頑張って』
 「ん、サンキュ」
 プツ、と無機質な音を立てて電波が途絶えた。同時に隣りの高史とアイバちゃんを繋ぐ電波も切れたらしい。
 「ゴメンななんか、ウチのメンバーが」
 苦笑気味に言うと、ううん全然?と明るく返って来た。迷惑なんてとんでもない、という顔をする。
 「なんかいいなーって思ったよ。翔も松本くんも、愛されてるんだーと思った」
 「ああそうね、そうかも知れない(笑)」
 本当そうかも。愛されている自覚はあるよ。
 なんだかんだ言いながら松潤のことを思って動いたニノもアイバちゃんも。
 もう、松潤にかける言葉を考えている俺も。
 そんな俺の電話に、泣き出すであろう松潤も。
 「愛してるんだよなあ…」
 ぽつりと呟いた。なんとなく照れた。
 隣りの高史はそんな俺を、笑みをたたえたまま目を細めて見ていて。
 「俺からもオメデトウって言っておいて」
 そう言って立ち上がる。電話はひとりの方がいいでしょ。そして撮りを終えた岡田くんの方に歩いて行った。

 その後ろ姿を見遣りながら、俺はゆっくりと携帯の通話ボタンを押した。





■■■ハッピーグラデュエイション。

今日のワイドショウはマツジュンの卒業式の話題でいっぱいだったよ?見た?とメルを貰ったのですが、今日の起床は2時だったのでまるで見逃しました。堀越の卒業式って早いのですね…!と驚きつつ、折角教えて貰ったのでネタにしてみました(笑)。見上げるべきオタク精神です。自画自賛です。マツジュンが七之助と大親友だったと知って喜んだ彼女(歌舞伎スキー)になんかネタにして!と言われたんですがあたしは勘九郎ですら知らないのでいかんともしがたく。許せ。そんなマツジュンが学校を辞めずに通えたのは七之助のお陰だったらしい。いいなあ。いいなあ親友って!と思えるホンワカエピソードで御座いました。あなたのそんなピュアなところがいつまでも損なわれませんように。それにしてもこう最近、モリモリと捏造率が増すのも素晴らしいですな。今回なんか真実はひとつもなし!(笑) 卒業式だって、月曜朝のニュースになるんだから、式自体は金曜か土曜だったんじゃん。と書き終えてから気付きました。そして大野くん・・・どこ?(苦)

あ、今日がロケだったとゆうのは唯一・本当です。横浜だったけど(笑)。


>>追記。2/15だったようです。卒業式。

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