a Day in Our Life
2002年02月17日(日) |
木更津5話。本音と建前。(バンビ→アニ) |
こんな風になるなんて、思わなかったんだ。
モー子のことは、高校のときからずっと好きだった。笑ったり怒ったり、表情がくるくる変わるところとか。体全体でぶっさんが好き!と表現してるところとか。俺は確かにモー子が好きだった。好きだったのは本当だった。付き合いたい、と思ったことも本当だった。だけど。 本当に付き合うことになるなんて、夢にも思ってなかったんだ。
ほら、よく言うじゃん、初恋は実らないものだって。 俺にとっての初恋って、間違いなくモー子だったんだ。自慢じゃないけど21歳いまだ童貞の俺は、付き合うってことがどういうことなのかいまいち分かってなかったし(それはいまでもよく分からない)だから恋に恋するみたいに。ぶっさんを好きなモー子を見てるのが好きだったんだ。
それが、なんでこんなことになっちゃってるんだよ。
「バンビ、デートしようよ」 モー子が笑った。嬉しかった。きちんとしたデートをするなんて初めてだったから、浮かれてプレゼントも用意して。どこに行こうどんな話をしよう、ってそればかりぐるぐる。地に足がついてないってきっとああいうのを言うんだと思う。だから気付かなかった。そのときまで。
「今日…会うんだよね」 夢見心地で言った。自慢もあった。俺だってやるときゃやるんだ。モー子とデート。羨ましいだろう。それでふと、横を見た。アニが笑ってた。笑おうとしてた。 笑おうとしたその顔が、上手く笑えなくて、泣き笑いみたいになってた。
なんでアニが泣くの。
その曖昧な表情は一瞬のことで。 失敗しておかしな風になった顔をムリヤリ笑わせることに成功したアニが、今度こそはっきりと笑って、俺の目の前に置かれたプレゼント包みを取り上げた。 「はいこれ、プレゼント〜」 おどけてそれをマスターに放り投げる。その動きを止めようとして、思わずアニに抱きつく形になった。 手を触れた途端その体が一瞬びくりと跳ねたのは、俺の気のせいだっただろうか。 伝わった振動に驚いて、すぐ手を離してしまった。その間にも包みはあっさりとマスターの手に収まり、受け取ったマスターはあろうことか包装紙を剥がして、中身を取り出してしまった。 怒る俺と、笑うみんな。 きつい冗談でからかって、また笑う。マスターもぶっさんもうっちーも、アニも笑ってた。いつもの風景だった。だけど引っかかって取れない。 泣き笑いのアニの顔が、いつまでも残っていた。
次の日、いつもどおり店にやってきたアニは、いつもどおり笑ってた。それでも目が合わなくて、違和感を感じる。そうやってぼんやりとアニを見ていたら、同じようになんとなく見ていたらしいマスターとぶっさんの会話が耳に入る。 「あーなんか、、、またかな」 「まただな」 「またって、なにが?」 話が見えなくて思わず聞いてしまった。 「ん、バンビ知らねえの?ほら、アニがああやって肩ばっかりボキボキ鳴らしてる日は、」 言ってる側からうっちーと談笑してるアニがぐいぐいと肩を回していて。 「なんか凹むことがあったりさ、ブルー入った日はアニ、決まって純とこ行くんだよ。ちっせーベッドに一緒に寝るもんだから肩凝るみたいでさ(笑)」 「バカだよなー」 「分かりやすいよなー」 「つーか、分かりやすすぎだっつーの」 「つーか、ブラコン?」 ひそひそと声を顰めたふたりが顔を見合わせて吹き出すみたいに笑った。俺は笑えなくて、ぼんやりとアニを見る。
モー子のことはずっと見てて、好きだった。 好きだった。大好きだった。 じゃあアニはなんなんだろう。
少しの好奇心と、少しの計算があったんだ。 俺がモー子と付き合うことになったら、アニはどんな反応を示すのかなって。 アニが俺のこと好きかなんてそんなの知らないけど、もし、少しでも好きなら。 ちょっとは妬くかも知れないなんて。 俺はアニが好きだったから、妬いてくれたら嬉しいなんて。 アニの泣き笑いの顔が、頭を過ぎった。
バカだ。
ああ俺、どうしたらいいんだろう。
■■■「エンヤは10回以上セックスしてからだよなあ!?」
木更津5話捏造第二弾です(笑)(いつの間に)。 一夜明けまして(いや日記の日付は一日ずれてるんですが)バンビのアレはアニの気を引く作戦だったに違いない!と思い込むことに成功した私なのでした(うわ)。そうあれはアニにヤキモチを妬かせるためだったの!そう思うとモー子を抱きしめ返すことも出来なかった(バンザイがかわいかったー***)バンビがモー子とイチャイチャしてたのも納得が行くってものです。思い込みって素晴らしい。ビバおたく。おたくさいこう。そんな感じで。(どんな感じだ)
|