a Day in Our Life
2002年02月16日(土) |
木更津5話。アメとムチ。(バンビ←アニ)(と見せかけて弟兄) |
「今日…会うんだよね」 照れくさそうに言ったバンビの頬を、つねりたいと思ったのは確かに本音だった。
「ただいま〜…」 絶好調丑三つ時に帰宅した手前、小声で呟きつつ家に入った。それでもただいま、と声に出してしまうのは躾がよかったからかな。なんてどうでもいいことを考えながら、出来るだけ音を立てないようにドアを閉める。靴を脱いで、スリッパに履き替える。そろりそろり、と抜き足差し足で階段を上がって、自分の部屋に引っ込もうとしたとき。
「兄貴、帰ったの」
隣りのドアが音もなく開いて、弟が顔を覗かせた。時計は3時。高校生男子は寝ているべき時間だった。
「あっ、悪い。起こした?」 気はつけてたんだけどな。安眠妨害を素直に詫びると、いや起きてた、と答えが返る。兄貴待ってたんだ。 「?なんで」 なんか用でもあったのか。それだって急ぎじゃなけりゃ、同じ屋根の下なんだから、明日だって顔合わすんじゃん。まあ朝は俺、寝てるかもしれないけど。 「ん〜正確には、寝れなかったっていうか?」 待ってるつもりじゃないんだけど、寝れないんだからしょーがないじゃん。 ああなんか、ぶっさんも同じこと言ってた。純の言葉に、ぶっさんの顔を思い出す。 俺が朝帰りするとさ、公助が起きて待ってんだよ。心配してくれるのはすげえ分かるんだけど、正直そうゆうの、すげえ重い。普通じゃねえだろ?普通寝るじゃん。 「俺は別に、、、嬉しいけどな」 「え、なにか言った」 「純の部屋行ってい?」 「・・・。別にいいけど」 自分ちの廊下で立ち話をするのもなんか、おかしな話だった。純が開きかけのドアを更に開いて、部屋に促すのに従った。深夜の冷気に当てられていたので、純の部屋のぬくもりが暖かい。どうせこんな時間じゃあ風呂にも入れないので、上着だけ脱いで、Tシャツにジーンズのまま純のベッドに潜り込んだ。 「なに、ここで寝るの」 その様子をじっと見ていた純が、口を開く。 「俺んとこベッドねえもん」 「兄貴はいつもそれだ」 それでもじゃあベッド買えよ、とは言わない。ほら冬とかが寝てても寒いから、てっとり早く暖かいし?そうゆうことでもないのか。咎めるでもなしに軽く息をついて同じようにベッドに入り込んできた純が、体勢を整えて布団に落ち着いてから、横目で俺を見遣ったのが分かった。 「・・・なんかあった」 「・・・・・別に」 「ふーん」 「・・・・・・・」 俺たちは普通の兄弟で。イチランセイとかいう双子でもないし、遺伝子も血液型ももちろん誕生日だって違うけど。不思議と互いのことが分かるときがあって。正にいまの純がそうなんだろう。きっと隠しても分かってしまう。誤魔化しても伝わってしまう。だからって純は(俺もそうだけど)無理に聞くことはしないから。言う言わないは完全に俺の自由だった。 「・・・。バンビがさ」 出た声は少し拗ねたような、子供っぽい声だと思った。 「モー子と付き合うんだって」 ただ、それだけのことなのだ。ずっと好きだったモー子に想いが通じたらしい。変わったのはバンビの横にモー子がいる、それだけのことで。 それだけなんだけど。 なんだろうなあ、なんかこう、モヤモヤしている。 「・・・・・」 純は黙って俺を見たままだった。それからごそりと寝返りを打って、うつ伏せの体勢になった。肘で上半身を支えながら、もう一度こちらに視線を送る。 「・・それで兄貴は、妬いてるんだ?」 「妬い・・・」 「違うの?」 「違う・・・と思うんだけど・・・」 「違わないと思うけどなあ」 妬くってことは、まるで俺がバンビを好きみたいじゃん。 それは違うと思うんだけど。別に俺、バンビと付き合いたいとか思ったことないし、つーかそれ以前に俺ホモじゃねーし。だけどなんだろうなあ、いままで散々からかってた対象を失って、拍子抜けした感じ? ・・・だと思うんだけど。 「でも結局、取られて悔しいに近いこと思ったんでしょ?」 「うーん・・・取られたとかそうゆうんじゃないと思うんだけど・・・」 「そういうことなんだよ」 「やけに自信ありげに断定するね」 「そりゃあね、同じだから」 同じ?なにが。 顔を上げると相変わらずこちらを見遣ったままの純と目があった。身内の俺が見ても整った顔してるよなあ、こいつ。 「俺もそうだからさ。兄貴にカノジョが出来たーつったらイチイチ妬いてさ。寂しい思いをしてたんだぜ。知らなかっただろ?」 「へえ、、、知らなかった」 「だって初めて言ったもん」 兄貴はなあ、手は早いし進んでるくせに、そうゆうとこ鈍いよなあ。そうゆうの、体に心が付いていってないっていうんだよ。 なんて。分かったようなことを言って純が笑う。 お見通しっていうか、実際。 純には分かっているのだろう。俺よりも俺のことが。たぶん。小さいときから嫌っていうほど一緒にいたのだ。俺のことを誰よりも知ってる。だから安心する。体を預けられるっていうか、どっちが兄貴だかたまに分かんないけど。 「いーじゃん、たまには頼れば」 俺も嬉しいしさ。言ってまた少し笑んだその顔は、たぶん自分に一番近くてやっぱり安心した。男ふたりで寝るにはやや狭いベッドの中で、僅かに身じろぐと肩と肩が当たって。同じ体温にほっと息をついた。 「おやすみ」 「ん」 それで会話は終って。ゆっくりと目を閉じた。
■■■「やべー!エンヤはやべー!」
おかしい・・・なんでこんな話に・・・。 いやね5話を見ていてしょーじきやっぱりねこの展開!つまらん!と素直に思いつつ(笑)私的にアニの表情が微妙だったりしたので、ここに来て妬くアニもありかい?!とか思ったり思わなかったりして(どっちだ)。いやバンビ的に押してダメなら引いてみろっていうか(笑)引いたら速攻アニ引っかかるみたいな。さんざんからかい倒したくせに、いざ付き合われた途端にあれなんかムカツク、えっ俺バンビ好きなのマジ?!みたいな。しかもうちは弟兄も大推進なのでそのへんを純に看破されてみたり。
いや、いや、いや。 こんなのもアリかなー程度ですので!ダメだ、好かれるバンビは面白くなかった(笑)。
|