a Day in Our Life
2002年01月26日(土) |
佐々木兄弟。(純視点) |
兄貴がまた木更津に帰って来たって…また人づてに聞いた。この際もう細かいことは言わない。とにかく、帰って来たらしい。 3つ上の兄貴が木更津の家を出て行ったのは2ヶ月前だった。卒業と同時に家を飛び出した。そのときのことは正直、あまり思い出したくない。小さい頃から兄貴にくっついていた俺が、兄貴に倣って野球を始めて。その野球が俺たちを遠いものにした。それでも野球をやってる限り、俺たちはどこか繋がってると思ってたんだ。その兄貴が家を出ると言った。木更津を出て、どこか遠い土地に行く。バカなチームメイトとも離れて。それはつまり、俺と兄貴の距離にもなるんだろう。その事実は俺を混乱させたし、怒らせたし、悲しませた。兄貴の部屋に殴り込みの勢いで訪れて、俺から離れるのかよ、なんて今思えばずいぶん子供じみたことも言ったように思う。俺の剣幕に兄貴は一瞬目を丸くして、それから笑った。なに言ってるんだよ純、俺はいつでもお前の味方だぜ。その笑い顔があまりに無邪気だったので、俺は毒気を抜かれて(文字通り、毒気を抜かれた)、、、出て行く兄貴を見送ったんだ。 そこまで倣ったわけではなかったはずだけれども(でも結果的にはそうなったのか)、それで俺自身も無理矢理出て行った家に、無理矢理外泊許可を貰って帰って来た。たかが一泊二日の帰省だというのにそこそこ膨らんだ鞄を提げて玄関をくぐる。店はまだ営業中だったから両親がいないのはわかっていたけれど、予想(いやこの場合期待というべきか)に反して家の中はシンとしていて、兄貴が帰った気配はなかった。ちぇ、なんだよ。分かりやすくガクリと肩を落とした自分に半ば自嘲する。ああほんと、ろくでもない。なにしてるんだろうなあ、俺。 思いながらも、帰って来たものは仕方がない。久し振りの家は、予想以上に懐かしい感じがした。ちょうど2ヶ月前、兄貴が家を出て行ってからだ。あれから俺も、ほとんどこの家に帰ってない。 靴を脱いで鞄を抱えて、二階へと続く階段を上がった。重みに耐えかねて木がギシギシとしなる。その音を聞くのも久し振りだった。 少しだけ隙間の開いた自分の部屋のドアを開く。部屋は暗くかった。足を踏み入れかけて、なにかおかしい、と思った。薄明かりの中目を凝らしても、レイアウトが変わったわけでもない、じゃあなにがおかしいんだろう。なにって分からなかったけど、なにかが違う、と思った。泥棒でも入ったか、と恐る恐る電気をつけて。それから目を疑った。 「・・・兄貴!?」 一番会いたかったひとが、俺のベッドで寝ていた。
なんで兄貴が俺のベッドで寝てるわけ。 驚きと戸惑いと…それから喜びがないまぜになって、俺はしばらくポカンとしていた。俺の驚きをよそに、対象の人物は気持ちよさそうに眠ったままだ。クソ、気づけっつの。それでもそんな空気を感じ取ったのか、兄貴がうっすらと目を開けた。 「あれ…純、オカエリ〜。お前、寮に入ったんじゃなかったっけ…」 「外泊許可取ってきたんだよ」 会話は一応出来るらしい。自動書記かも知れなかったが。 「ああ…なんだ……」 「それよか兄貴、ここ俺の部屋だぜ。久し振りで間違えたのかよ」 呆れ半分に言うと、起きているのか寝ているのか半々みたいな言動で、ぐずぐずとまた返答が返る。 「だって俺の部屋、ベッドないんだもん…」 「だからって、」 俺のベッドで寝るか。 そんな兄貴らしさが変わってなくて、ふと笑みがこぼれた。 帰って来た、と思った。兄貴も、俺も。そのことが単純に嬉しかった。
「兄貴」
無造作に荷物を置きながら、ふと静かになった布団のふくらみに声を掛けた。寝入ってしまわれたらヤバい。 「兄貴。横、ちょっと詰めてよ」 なんだかどっ、と疲れた。着替えるのも面倒になって、上着だけ脱いで、Tシャツのままベッドに潜り込む。 「なんだよ…一緒に寝るの」 半分眠りに落ちながら、兄貴が呟く。 「だってここ、俺のベッドだもん」 一人用のベッドは二人分の体積でやっぱり狭かったけど、きっとよく眠れそうな気がした。
捏造率120%です。ブラコンな兄弟。 こんなアニラヴな純は不可ですか(不可だろう)。 うっかり読んでしまった方ごめんなさい。(そういうことは先に言え)
■■■ラヴ兄弟。
これまた表日記の空き日に素で載っけてた兄弟SSです。大真面目に書きました。 佐々木兄弟はふたりとも細っこいから、シングルでも抱き合って寝ればきっと落ちない(笑)。
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