2004年09月05日(日) |
『これも一つの恋でしょう?』(亮雛) |
突然だが、俺はかわええ子が好きや。 一般の男ならば誰もが思うことだろうけど。例に漏れず、俺も、かわええ子が好きや。 そら、かわええと言っても人それぞれ基準は違う。いかにも女の子ーっつうのが好きなんもいれば、ちょっと生意気な子が好きってのもおる。
けれど、決して。 自分よりもたくましくて、ウザくてうるさいやつを、かわええなんて思うやつはおらんはずや。
そもそも。 俺やって、好みっつーのがある。 自分よりも小さくて(やっと身長抜いたわ) 笑顔が似合ってて(唯一自慢出来るものちゃう?) いつもはしっかりしてて(リーダー的なんて言われてるしな) でも天然なとこもあって(抜けてるとこあんねんな) そんときに、素に戻って、照れ笑いする、その顔はかなり好きやったりして
って、なんやねん。 ()はなんや。 誰が浮かんでるんや、俺は。
あんな、もっさいおっさん。好きなわけない。 うっさいしウザいし。すぐにベタベタしてくるくせに、奥深くまで入ってこようとしない。 上辺だけの笑顔で世渡り上手で。 誰にでも尻尾ふって。気付けば誰かが隣におって。 それ見るたびに腹立って。
・・・・アカンわ。
腹立つって、なんやねん。 あーホンマ。アカン。決定的やん。 気付けば、あのおっさんの顔浮かぶし。 こんなん、今更やん。なんで今、気付くねん。何年一緒におんねん。 今更、や。
認めたくはない。認めるわけにはいかない。 けど、ああ、困ったことに。
「亮?」 見上げてくる視線。小首を傾げる仕草は、計算された動きなのか、天然なのか。見分けるには、俺はまだまだ修行が足りなくて。 騙されるなと思いながら、騙されてしまう。
なにがどう、騙されたのか。なんて。 答えは、一つ。
「困ったことになったんやけど」 「なにが?どないしたん?」
「村上くんのこと、好きみたいやわ」
言ってしまえば、認めてしまえば。案外楽で。 悩んだ日々が、馬鹿らしくなった。
「え・・・・ええ?!」
すっきりした俺と。対照的に、驚いた表情を浮かべる村上くん。 「ホンマに・・・?」 それに、何も言わずににっこり笑顔で返すと。見る見るうちに、困ったかのような、複雑な表情にかわっていった。 「え・・・やって・・・・ええ?」 滅多に見られない顔。今、頭のなかは俺のことでいっぱいなんやろって思ったら、かなり嬉しなった。 気分よくなって。呆然と見つめる視線を受け止めながら、顔を近づけた。 かなりの至近距離になったのに、いまだ反応が返って来ない。 相当、驚いてる? ほんなら、もっと困ってもらいましょうか? なんていたずらに笑って。頬に唇を近づけた。
「え?なに!?」 頬を押さえる仕草が、真っ赤になる顔がかわええと、今なら素直に認められる。
「これからよろしくっていう、約束代わり」
ニっと笑って、離れた。 一人にさせたほうが、おもろいやろから。遠くのほうでビクビクしながら見ている丸とヤスの輪のなかへ歩いていく。
「なにが!?なにがよろしくなん?!」
後ろから、叫びに近い声が聞こえてきた。 かなり混乱して悩んでる。 ザマーミロ。俺が今まで悩んだ分、今度は悩んでいただきましょう。
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