妄想日記 

2002年03月14日(木) 今だから出来るごくせん9話捏造(沢黒)

いつものように街中を歩いていると、前方に見慣れないグループがいた。

「ああいうヤツラって徒党組まないとなんも出来ないんだよな〜」
「そうそう」

野田と南の言う事に曖昧に聞き流していたけれど。

「あ!一人だけすっげ不似合いなヤツがいる〜!」
「どれ・・・ホント、掃き溜めに鶴って感じ?」
「ほら、慎も見てみろよ!」

無理やり顔を反らされて、仕方なしに前方を向くと。


その輪の中心人物には、見覚えがあった。
忘れるはずがない。


俺と内山の共通のダチで。
・・・・俺にとってはそれ以上で。
後にも先にも、アイツ以上のヤツなんていない。
そう思えるくらい、俺の中ではもうずっとアイツがいて。



退学になってから、家にいってもいなくて。
いつもいた場所にもいなくて。
俺の隣から、突然消えてしまった。


ずっと探してた相手が。
今目の前にいる。


「慎・・・あれって・・・・」
「ああ」

内山が気付いたと同時に、アイツも俺の存在に気づいたらしく。
今度はハッキリと目があった。
サングラス越しだけれど、その目は真っ直ぐ俺を見て驚きの表情を浮かべていた。
俺は視線を外さずに、真っ直ぐとアイツに近づいた。

「黒崎」

久しぶり名前を呼んだ。
もうずっと、相手のいない呼びかけをしてきたから。
こうやって黒崎を目の前にして呼ぶのは、あのとき以来だ。

「黒崎。何やってんだよ」
「なにって関係ねーだろ」

そのまま去っていこうとする肩を無理やり引き寄せる。
関係ないだって?
そんなこと言われて、黙ってるわけがない。

「黒崎!」
「なんだよ!ほっといてくれよ!」
「黒・・・」
「はい、ストップ〜」

俺と黒崎の間に、黒崎の仲間が数人割りこんできた。

「あんまりしつこくすると嫌われるよ〜」

ニヤニヤ笑いながら言われて、カチンときた。

「どけよ!」

そのまま殴ろうかと思ったが。

「行こう」

黒崎が去っていく姿が見えたので、慌てて引き止める。

「待てよ!」
「もう・・・・俺のことはほっといてくれ」

一瞬だけ真っ直ぐに俺を見て告げると、そのまま仲間と共に去っていった。
キッパリと拒絶するような態度に、俺は黒崎の後を追う事が出来なかった。





「アイツ、あんなヤツラと・・・・なにやってんだろーな」
内山の言葉が、重く圧し掛かる。





久しぶりに見た黒崎は、あの頃と違って1度も笑わなかった。
いつも俺の隣でキレイな笑顔を浮かべていたのに、今は暗く曇っていた。
一瞬だけ向けた表情は、どこか傷ついたような・・・・そんな気がした。



あんな顔されて、ほっとけるわけがない。
『関係ない』なんて言わせない。
黒崎をあいつらから取り戻してみせる。
あの頃のように。
黒崎の笑顔を取り戻してみせる。

  


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薫 [MAIL]

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