妄想日記 

2002年03月10日(日) 三村生まれ変わりネタ(キャッツアイぶつアニ編)


いつものようにマスターんとこで集まって。
キャッツアイとしての次なる活動を求めて、この前から導入されたパソコンで探してたりして。
そんな、いつも通りの光景。



だけど、その日は違っていた。



どこでどうして知ったのか。
うっちーはちょっとヤバめの機間に立ち入っていたけれど。
俺達も「すげ〜」とか言いながら見てたけど。
「ど、どうしよ」
その時、うっちーがパソコンでつまったとこがあって。
何をどーすればいいのかわからなくて。
このままじゃばれて捕まるかもしれない!ってピンチに陥ったらしく。
俺達はどうすることも出来なくてかなり慌てていた。
「どーすんだよ!」
「ど、どうしよ」
「どうしよ、じゃねーよ!どーにかしろよ!」
とにかくパニクってた俺達。
どーにかしないとと思いながら、下手に触ったらヤバイことになりそうで。
ただパソコンの前で騒ぐだけだった。
「うっちー、ちょっといい?」
「アニ・・・?」
こんなときに一番に騒ぐはずのアニが、ずっと黙ってるのが変だと思ったら。
イキナリうっちーを退かすと、そのままパソコンの前に座った。
その顔つきは、いつものアニと違う気がした。
どこか、何かが違う・・・・・なんか、そんな気がした。
「おい!何してんだよ!」
いつもと違うアニの雰囲気に気を取られていて、アニが何したのか一瞬わからなかった。
アニは、パソコンのキーボードをひたすら打っていた。
しかも、慣れた手つきで。
誰も触れることの出来なかったものを。
迷うことなく打ち続けるアニ。



「あ、も、戻った」
アニの行動を呆然と見ていた俺は、うっちーの言葉にはっと我に帰った。
「戻ったって・・・・大丈夫だってことかよ?」
「う、うん。見つかることなく、だ、脱出出来たよ」
「マジかよ・・・・・・」
危機を脱出したことに安心したけど。
落ちついてみると、さっきのアニの行動が気になった。
アニは、まだパソコンを見つめていた。 
「なんだよ、アニもパソコン使えるのかよ!」
「そんなの一言も言わなかったじゃねーか」
「つかいつの間にだよ」 
そもそも。
いつ。どこで覚えたんだか不思議だよな。
アニの部屋にパソコンなんてねーし。
高校んときの授業でなんてねーし。
バンビのとこにはあるけど、バンビもアニが使えるの知らなかったくらいだから。
触らせてるわけじゃねーみたいだし。
だけど、なんか慣れてる感じだったよな・・・・?



「・・・・あれ?」
やっと顔をあげたアニは、何故か、不思議そうな顔をしてた。
自分がやったことが信じられないような・・・・そんな顔。
「アニ・・・・・?」
なんか、変だよな。
俺達もアニがパソコン使えるの知らなかったし。
なにより本人がそれが知らなかったような感じで・・・・・
つーことは、アニ自身もパソコンを覚えた覚えがないってことか?
でも、今の手つきはちょっと知ってるくらいのレベルじゃなかったぞ。
うっちーなんかよりすげえ感じで。
パソコンなんて知らない俺から見たってさっきのアニはすげえレベルだってわかるくらいだ。



それって、変じゃねー?


「なんか・・・・なんだろ?」
「なんだろ?じゃねーよ。わけわかんねーよ」
バンビはちょっとムッとしてる。
アニの行動に面食らって、混乱してる感じか?
それとアニがパソコン出来るの知らなかったのが悔しい感じか?
・・・アニのことで知らないことがあったのがショックなのか。
コイツはアニのことになるとホントわかりやすいよな。
「俺・・・パソコンなんて触ったことないんだけど・・」
「はあ?」
なんじゃそりゃ。
思わず三人ハモっちまったじゃねーか。
「触ったことないやつが、スラスラと出来るわけねーだろ!」
「だ〜か〜ら〜!それが不思議なんだろ!」
「不思議って・・・オマエ、自分のことだろ」
「そうだけど!けど・・・・・」
戸惑いながら、自信なさげな表情を浮かべるアニ。
その、らしさに少し苦笑しながら、アニが言いやすいように少しトーンを下げて声かける。
それでやっと、ぽつりと呟いた。
「画面見てたら、なんか・・・わかるんだよ」
「なにが?」
「全部!今何やってるとか、次何するとか。で、うっちーがつまったとこもわかって、どうやるのか頭に浮かんでて・・・・」
「で、やってみたら思った通りになったと?」
コクンと小さく頷くアニ。
その様子から、アニが嘘ついてるわけじゃないってわかる。
じゃ、アニの言う通り「触ったことないけど使い方わかった」ってことか?
けど、それは簡単には信じられないことだ。
そんな都合のいいことあるか?
「なんか、一気にぶわっと頭に浮かんだんだよ」
「ホントかよ〜・・・っておい!泣くなよ!」
「え!?」
マスターの声に驚いてアニを見ると。
その頬には涙が流れていた。
「あれ・・・」
アニ自身、泣いてることには気付いていなかったらしく。
頬に触れて涙の跡を確認すると、戸惑っていた。
「おいおい!なんだよ、もう」
「泣くことないじゃんかよ」
「これじゃ俺達が悪いみたいじゃねーかよ」
「ご、ごめん」
「いや、謝るとこじゃねーし」
アニの泣き顔なんて見慣れてるけど。
こう、わけもわからずに泣かれると困る。
どうしたらいいのかわかんねーし。
つか、なんで泣いたんだ?
俺達が言ったからってのは、いつものことだろーし。
「なんか・・・すっげここが痛くなったんだよ・・・」
アニの手は、胸を指していた。


「うっちーがパソコン開いたとこから、なんか急にいろんなことが頭に浮かんで。
うっちーがやってる事なんて初めて見ることなのに、見覚えがあって。
そのやり方とかも理解できて。
昔、誰かに教わったような・・・・
ギリギリまで、誰かのそばでひたすらキーを打ちつづけてたような・・・・」


まだ呆然とした風に、言葉を吐き出すアニ。
それは全然意味わかんねーけど。
だけど、その時のアニが、まるで別人のような気がした。
どこか遠くを見てるような。
どこか遠くにいってしまうような。
アニが、消えてしまうような。
何故かそんな風に思った。
「アニ!」
だから慌てて声をかけると、いつものアニの表情に戻った。
「なんだろうなあ?」
「あれじゃねー?昔親戚のお兄ちゃんとかに教わったとかさ」
「そうそう。アニ馬鹿だから覚えてねーだけでさ」
「ありえる」
「なんだよ!馬鹿っていうなよ!」
いつものやりとりに戻って。
ほっとした。
俺達が知ってるいつもの、馬鹿で単純なアニに戻った。




それからは、いつも通りの日常に戻った。
アニもあれ以来パソコンには触れないようにしたらしい。
それに少しほっとしながら。
あの時のアニが気になったけど。
あんまり考えないようにした。
あれがどういう意味なのか。
消えてしまうってのはどうして思ったのか。
そんなの関係ねーし。




今目の前にいるのが。
俺の知ってる、昔からずっと一緒の。
佐々木兆なんだから。


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薫 [MAIL]

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