2002年02月25日(月) |
八話での裏事情(サクツカ) |
晴天が広がるここ木更津で、恒例となったキャッツメンバーで 台本読みが行われていた。 ただ、ちゃんとした本読みじゃなく五人で台本読んで語ってるだけなのだが。 誰ともなく台本を持ってきて話すうちに、恒例になったらしい。
「バンビ〜やってくれるよ〜!」 「なあ、うっちーの家でだもんな!」 「すげ笑える〜」
バンビ役の桜井を抜いた四人の笑い声が響き渡る。 本日手に持っているのは「第八話」の台本だった。 八話はうっちーの家が明らかになり、尚且つそこでバンビが童貞喪失という話になっている。 その部分がおかしいらしく、さっきから繰り返し読んでは爆笑していた。
「笑いすぎだっつーの!」
いい加減うんざりしてきた桜井が、半ば怒りながら言った。 桜井自身が笑われてるわけではないけれど、自分が演じてるバンビが笑われてるというのはあまりおもしろくないらしい。 「バンビは俺の分身」と言うくらいだから、尚更なのだろう。
「だって、初めてがこんなだぜ?」 「笑うしかないよな。俺翔がここやるとき絶対見てよう」 「あ、俺も〜」 「ふざけんな!絶対見せねー!!」
口々に言われて、桜井が本気で怒り始めたとこで、タイミングよくスタッフから集合がかかった。
「ま、がんばれよバンビ!」 「うっせ!早く行け!」
それに笑いながら、佐藤とW岡田がスタッフの元へ戻って行く。 今の撮りで出番のない桜井と塚本の二人が残った。
「いつまで笑ってんだよ」
さっきからずっと笑い続けてる塚本に、桜井は怒気を含んだ視線を投げる。
「だって、すっげ笑えるんだもん〜」
桜井の視線に気づいたのか、笑いを止めようとしたけれど止められなくて、顔は笑ったままで答えた。 桜井はそれにいっそう不機嫌な表情を浮かべると、塚本に背を向けて座ってしまった。 それに気づいた塚本はヤバイと思い、慌てて桜井のほうを向く。
「翔?」 「高史まで笑うことないじゃんか」
完璧拗ねたような声色に、さすがに笑いすぎたと反省した。 後ろから抱き付きながら、少し甘えた感じで一言。
「ごめんな?」
それだけで、桜井の顔が緩んでいくのがわかった。 この場合、桜井が単純だと言うべきか、無意識に甘えてる塚本をさすがというべきか。 しかしきっと、桜井と同じメンバーである松本なら1日口聞いてもらえないだろう。(「ひいきだよ、ひーき!!」とは松潤談)
「実はサ、モー子に嫉妬してたってのもあるんだよね」 「はあ?なんで?」 「だって、バンビと翔ってそっくりじゃん。そのバンビがモー子とヤッちゃうってのはさ。なんかヤダったんだよ」
バンビと桜井は分身みたいにそっくりだと言われている。 しかし桜井から言わせると「バンビのが子供」ということだが、周りから見たら「同じ」だったりする。
「そんなに似てる?」 「うん。ラブホにムードを求めたりすんのなんかそのものじゃん」
変なとこにこだわるしさ〜。 そう言われて、思わず赤面する桜井。 さらりと言われたが、結構すごいこと言ってます塚本。 それを本人気づいてないからタチが悪い。 言われたほうのが赤くなってしまうのも無理ないだろう。 顔を赤くしたまま黙った桜井を不思議そうに覗きこむ塚本に、軽く咳払いして話を続ける。
「けどさ、ムード求めんのは当たり前だろ?」 「そうか?」 「そうなの!だって、相手が高史だからさ」 「え?」
言われた意味がわからなくて、きょとんとする塚本。 その塚本の視線を真っ直ぐ受けとめながら、真剣な顔で桜井は言った。
「バンビも俺も、好きな子のことだからムードとか色々考えんだよ」
だからまあ、俺とバンビはやっぱ分身なんだろうけどね。 相手は違うけど、好きな子に対する姿勢は一緒だし。 やっぱどっか共感するとこあるしね。
「そっか・・・・」 「そ!安心した?」 「おう!」
笑顔を浮かべる塚本に、安心した表情を見せる桜井。 それでやっと話が終ったと思った。 (今回俺かっこよくねえ?) 桜井は密かに思った。
が、しかし。 やっぱり塚本のが強かった。
「じゃ、今度バンビ達に負けないように船揺れるくらいがんばろうか?」 「ええ!?」 「嘘だよ、嘘」
そういうと、桜井を残してスタッフのところへ行く塚本。 残された桜井は一人佇んでいた。
「あ〜あ・・・・やっぱ高史には敵わないや」
モー子に振り回されるバンビのように。 俺もずっと高史に振りまわされるのかもしれない。 それでもいいけど。 だけど、
「いつか勝つ!」
男桜井、これで何度目かの誓いをするのだった。
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