妄想日記 

2002年02月24日(日) 「青春の過ち」(ぶっさんアニシリアス気味)


「だってぶっさんヤってる最中半端ない声出すもん」
「「「え!?」」」






やばかった。
ついぽろっと言っちゃって、みんなの視線感じて慌てて「本人が言ってた」ってごまかしたけど、やばかった。
もしかしたら、マスターは気づいたかもしれないけど。
妙に感鋭いし、勘ぐってるとこあるし。
ただでさえ、この前ぶっさんが「経験上わかるけど」とか言っちゃってヤバイのに。
それで俺の言葉だろ?絶対なんか気づいてるよ〜!!
だけど、俺の口から絶対言えない。


なんで俺がぶっさんの最中のこと知ってるのか、なんて。


バレたらヤバイってもんじゃない。
次の日から何言われるかわかんないし。
笑われるだろうけど、もしかしたら引かれるかもしんないし。
バンビなんか妙に潔癖なとこあるから、引くかもしんない。
そんなの絶対ヤダ。
だから、絶対バレるわけにはいかない。
あの時のことは、誰にも言えない。




俺とぶっさんが、ヤッちゃったなんて・・・・・・











高校卒業して間もないとき。
マスターはセツコさんが出産に備えて入院するからって病院につきっきりで。
バンビは大学入りたてで真面目に通ってたり。
うっちーは相変わらず謎で。
プータローなぶっさんと、就職したけど働くの面倒になって辞めた俺の暇人2人で「野球狂の詩」で飲んでた。

「どいつもこいつも忙しいってよ〜。どーせ俺等はヒマだっつーの!」
「そうだーヒマで悪いかー!」

ちょうど俺が家で「歩合制」とか言われてすげむしゃくしゃしてて。
それにぶっさんが付き合ってくれて、調子にのってすっげ飲んだんだよな。
それで暴れて飲んで。
気づいたときには、二人とも出来あがってた。
そりゃもう、わけわかんないくらい飲んでた。

「つーか、なんで俺等、野郎二人で飲んでるんだよ!」
「だって仕方ねーじゃん。ぶっさん今彼女いないじゃん?」
「アニだってつい最近フラれたばっかだろ!」

それから女の話になって。
高校んときに付き合ってた女はかわいかった自慢から、何時の間にか初恋の話になったりして。

「ぶっちゃけね、俺の初恋ぶっさんなんだよ〜」
「マジで!?」
「だってあの頃のぶっさん俺のヒーローだったもん」

あの頃、家が近くだったから物心ついたときには一緒に遊んでて。
ぶっさんはあの頃からみんなのリーダーで、いわゆるガキ大将だった。
俺は背はあったけど力とかあんまなかったから、隣の町内のヤツ等に喧嘩ふっかけられてヤラれたりして。
で、泣いてる俺見て「泣くな!」って言ってくれて。
ぶっさんが必ず仕返ししてくれてた。
あの時からぶっさんは俺のヒーローだった。
そんなヤツがそばにいたら、小さい時はなんも考えてないから純粋に「好き」とか思ったりしちゃうわけ。
だから、小学生になって隣の席の子に惚れるまで、俺の好きな人はぶっさんだった。

「なんで早く言わないんだよ!」
「だってオトコが初恋の相手なんて言えるわけないじゃん!」

恥ずかしいし、言えるわけないじゃん。
そう思ってたのに、今考えるとあの時言っちゃってるんだから意味ないじゃんとか思った。
そう、あの時言わなきゃこんなことにならなかった・・・・と思う。

「言ったところでどうにかなるわけじゃないし」
「バーカ。そんなことなら俺がかわいがってやったのに」
「うっそ!マジで?」
「あの頃のアニは女みたいだったし。実はかわいいとか思ったりしてたんだって」
「なんだよ〜。あの頃だけ?今は?」
「ん〜?・・・・今もかわいいよ」

そう言って、ぶっさんが俺にキスしてきたんだよな・・・
それに俺もうっとりして答えちゃったりしてさ!
そんで妙な雰囲気になって、気づいたら・・・・



「「マジかよおい!」」


二人素っ裸で目覚めて、隣にいるヤツ見て絶叫したんだよなあ・・・
酔った勢いとはいえ、さすがにこれはマズイだろうってことで。

「ま、まあ、酔ってたし!」
「そ、そうだよね!何かの間違いってことで!」
「「忘れよう!」」

固く誓い合って、別れたんだよなあ。



だけど、あの時のぶっさんとか覚えてるんだよね・・・・
俺を呼ぶ声とか、俺を抱きしめた腕とか。
それを思い出すたんびにすっげ顔熱くなって。
慌てて消そうとするんだけど出来なくて。
だけど忘れなきゃ!って思った時。




気づいたら、涙が出てた。


「なんだよ、これ・・・・・」


わけわかんなくなって、止めようしてるのに余計出てきて。
後から後から出てくる涙に、なんか悲しくなってそのままずっと泣いてた。





その時、ハッキリ気づいた。
今も、ぶっさんのこと好きなんだって。
恋愛感情とかそういうのじゃなくて、もっとこう・・・ぶっさんが1番大事で大切で。
だから、ああいう風になって今の関係が崩れるんじゃないかって不安で、泣いたんだって、気づいた。 







だから、絶対あの時のことは知られちゃいけない。
俺の気持ちと一緒に、ずっと封印しなきゃいけない。
あの時の秘密は、半分ぶっさんがあの世に持っていくから。
残り半分は、俺がずっと封印する。








ぶっさんが消えても、ずっと。
俺だけの思い出を抱えていくんだ。


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薫 [MAIL]

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