2002年02月20日(水) |
佐々木兄弟(純アニ) |
新しい監督が決まったと顧問に言われてグラウンドに来てみたら、兄貴と兄貴の仲間が立ってた。 なんで兄貴が・・・? 朝出るときなんも言ってなかったのに。 そう思ったと同時に嫌な予感もしてた。 もしかしたら、新しい監督ってのはこの二人のどっちかじゃないかって。 兄貴も田淵さんも、チャラチャラしてるけど野球に関しては真面目だし、信頼出来る。 だからこの二人のどっちかが監督って言ってもおかしくない。
だけど。
オレの顔みるなり気まずそうに視線逸らす兄貴。 そっぽ向いたり・・・・・田淵さんになんか訴えたり。 それがちょっとむかついた。 この頃普通に、昔みたいに話せるようになったと思ったけど、こういうとこで逢うとやっぱ気まずいと思うらしい。
だけどオレは、そういう風に思わなくて。 気まずいっていうか、なんかくすぐったいようなキモチだった。 オレと兄貴がグラウンドに一緒にいるなんて小学生以来だし。 正直、嬉しかったりもした。 でもそれとこれとは別だ。 兄貴が監督・・・・ 今目の前の顔を見ると、不安になるキモチもある。
「新しく監督になった佐々木です」 「はあ!?」
ぽかんとしてる兄貴に、諭すように笑う田淵さん。 多分、兄貴も自分が監督にさせられるって知らなかったんだろうな。 オレは予想してたことだけど。 実際聞かされると・・・嬉しいけど。だけど。
「ええーー!!マジかよ〜」 「マジかよ・・・・」
今のキモチを兄貴に被るように言葉に出してた。 だって、この目の前の情けない顔を見たら不安にもなる。 兄貴と一緒にいられるのは嬉しいけど。 嬉しいけど・・・・・大丈夫なのかってキモチがある。
「まあ、そんなわけだから」
兄貴はオレの顔をちらっと見たあと、少し不安げな顔を向けた。 それが、オレに向けられたのが・・・・少し嬉しかったりした
仕方ない。
頼りないけど、他に監督できるような人知らないし。 それに、形は違うけれど兄貴と同じマウンドに立てるのが嬉しい。 兄貴と一緒にいられるのが嬉しいし。 昔野球によって離れた心が、また野球によって近づいた気がした。
「まあ、よろしくな」 「ウス」
オレが返事をすると、途端に笑顔を浮かべる兄貴。 本当に嬉しそうな顔。 それをオレが引き出したのかと思うと・・・・すごく嬉しかった。
「よし、走れ!」
今まで情けない顔してたのに、自信満々に監督みたいな態度をとる兄貴。 それがなんか兄貴らしくて、オレは知らず顔がニヤけるのを感じた。
「純、オレを甲子園につれてけよ!」 「言われなくても連れていってやるよ」
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